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"ゴーストは、そろそろ諸君も気づいたと思うが、この世を離れた魂が地上に残した痕跡だ... "—セブルス・スネイプ教授[出典]
ゴーストは、かつて生きていた魔法族の肉体から抜け出た霊魂である。魔法に属する存在だけがゴーストになれる。多くのゴーストたちはホグワーツ城を住まいとしている。これら肉体なき霊魂たちは死への恐怖、あるいは彼らが出没する場所との非常に強い結び付きのいずれかを有する。
その超常的な状態のために、ゴーストはあまり強い物理的影響を及ぼすことができない。彼らは目視することができ、生前と同じ姿をした灰色がかった銀色の幻影として見える。彼らは固形の物体を損傷させずに通り抜けることができるが、水や火、空気中では乱れを生じさせる。ゴーストのすぐ近くでは温度が下がる。また、彼らはその姿を青い炎に変えることができる[1]。
"魔法使いは、地上に自らの痕跡を残していくことができます。生きていた自分がかつて辿った所を、影の薄い姿で歩くことができます... しかし、その道を選ぶ魔法使いは滅多にいません。"—ハリー・ポッターとゴーストについて語り合うサー・ニコラス[出典]
ゴーストとは、この世に尚も存在し続けている、死亡した魔法使いや魔女の透明かつ立体的な痕跡である。マグルはゴーストとして舞い戻ることはできず、また賢い魔女と魔法使いたちはそうすることを選ばない[1]。あの世への移行を拒むのは、恐怖や罪悪感、後悔という形だろうと、物質世界へのあからさまな執着だろうと、何らかの「やり残したこと」を抱える者たちである[1]。
生者の世界に在り続ける脆弱な幻影という道を選んだが故に、ゴーストが経験できることには限りがある。肉体的な快楽は残されておらず、その知識や見解は生涯の内に達成されたレベルに留まるため、過去の恨み(例えば、中途半端に斬られた首を持つなど)は数世紀の後もわだかまり続ける[1]。このため、ゴーストは概して人付き合いが不得手になりがちである。とりわけ彼らは殆どの人が夢中になる、とあるテーマについて期待外れである。:ゴーストは精彩に欠く人生の続きを選んだために、死ぬとはどういうことかという問いに対して気の利いた答えを返すことができない[1]。
トム・リドルの自ら分断した魂がリンボへ永久に閉じ込められ、ゴーストになれなかったように、その人の魂の状態によってはこの世にゴーストとして戻れないかもしれない。
物体を通り抜ける際に、彼らは凍るような冷たさを与えることができる。しかしながら、石化したほとんど首無しニックが大うちわの風によって医務室まで運ばれたように、彼らの身体は突風によって動かされるようである。だが、ニックが石化状態だったためにそうなった可能性もある。ゴーストは腐った食べ物を味わうことができるか、そうできるかのように見せかけている。
また、彼らは重力の影響を受けず、任意の方向に飛行できる。ゴーストが滅ぼされることはないが、バジリスクの凝視によって石化する可能性がある。石化状態はマンドレイク回復薬によって元に戻せるものの、どうやって投与するのかは分かっていない。テレビゲーム版においては魔法の光によって撃退されるため、ゴーストは照明呪文の光から逃げ出すと推測される[2][3]。さらに、ゴーストはスクージ呪文を恐れ、それから逃れようとするが、これは彼らの形を成すエクトプラズムをスクージ呪文が除去してしまうためである[4]。
魔法使いや魔女はマグルたちが超常現象と呼ぶものに一層敏感であり、マグルには寒気や不気味な雰囲気しか感じ取れない心霊スポットにおいて、そこにいるゴーストの姿や声をはっきりと認識する[1]。ゴーストを見ることができるというマグルの主張は嘘か魔法使いによるいたずらであり、後者であれば国際魔法使い機密保持法に対する重大な違反行為である[1]。
嘆きのマートルがオリーブ・ホーンビーの兄弟の結婚式を妨害した際、彼女が死亡したホグワーツ魔法魔術学校への退去を余儀なくされたように、魔法省は少なくともゴーストに対するある程度の権力や法的権限を有していると思われる。ゴーストの福祉を取り扱う魔法生物規制管理部下の部署として、霊魂課が存在する。
Deathday_Party_Pottermore.pngほとんど首無しニックの絶命日パーティ
また、ゴーストはその絶命日を祝うようである。彼らは自らの死に関する状況について非常に神経質になる傾向にあり、他人からどのように亡くなったのかと尋ねられても、大抵は話したがらない。典型的な絶命日パーティとされる催しでは、腐ってカビの生えた料理が並び、その匂いが通常の生きる存在の顰蹙を買ってしまう。絶命日パーティに通常招待されるのは死人だけである。
"後ろの壁からゴーストが二十人ぐらい現れたのだ。真珠のように白く、少し透き通っている。みんな一年生の方にはほとんど見向きもせず、互いに話をしながらスルスルと部屋を横切っていった。"—ホグワーツでハリーが初めてゴーストを見た際の描写。[出典]
Ghosts_of_Hogwarts.jpgホグワーツのゴーストたち(左から順に): スリザリン寮のゴースト 血みどろ男爵、ハッフルパフ寮のゴースト 太った修道士、グリフィンドール寮のゴースト ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン、レイヴンクロー寮のゴースト ヘレナ・レイブンクロー
ホグワーツの各寮は専属のゴーストを擁している。ゴーストたちは担当する寮にかつて所属していた過去を持つ。どうやら彼らは寮の担当者として働いているようであり、また組分けされたばかりで寮に不慣れな生徒たちのためのメッセンジャーやガイドとしての役割を果たしている。彼らがこの仕事をどれくらいの間務め続けるのかは分かっていない。
"ハリー、私は死の秘密を何一つ知りません。なぜなら、死のかわりに儚い生の擬態を選んだからです..."—サー・ニコラス
グリフィンドール憑きのゴーストはほとんど首無しニックである。彼は手際の悪い斬首によって中途半端に残った首を持つ友好的なゴーストとして知られ、その特徴から「ほとんど首無しニック」というあだ名を得ている。彼自身は「サー・ニコラス」と呼ばれることを好む。本名はニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿。些か気取った所のある、彼自身が思っていたよりも未熟な魔法使いであった生前のサー・ニコラスは、ヘンリー7世の宮廷へ無為に出入りしていた[5]。
ハッフルパフ憑きのゴーストは太った修道士である。彼にはただ棒を突きつけるだけで農夫の疱瘡を癒やす能力や聖餐用の盃からウサギを取り出すという軽率な癖があり、上役の聖職者たちに不審がられた末に処刑された[5]。基本的に温和な人物だが、生前に枢機卿になれなかったという事実を未だに根に持っている[5]。また、彼は度々ピーブズに対して(そうするに相応しいかどうかに関わらず)チャンスを与えるべきだと口にする。
レイブンクロー憑きのゴーストは灰色のレディであり、ヘレナ・レイブンクローとしても知られる。寮憑きゴーストの中で最も寡黙な灰色のレディは長い髪と美しい容姿を持つ[5]。彼女はロウェナ・レイブンクローの娘であり、寮憑きゴーストでは彼女だけがホグワーツ創設者と直接的な関わりを持っている。ホークラックスの捜索において、ハリー・ポッターの助けになったエピソードで有名。
スリザリン憑きのゴーストは血みどろ男爵である。彼は非常に無愛想なことで有名であり、スリザリン生を含む多くの生徒から若干怖がられている。ただ一人ピーブズの行動をコントロールすることができる。また、男爵はヘレナ・レイブンクローを死に至らしめた張本人である。生前は頭に血が上りやすい性質だった。
"嘆きのマートルのインスピレーションになったのは、不特定多数の人が使うトイレ、特に若い頃に通ったパーティ会場やディスコのトイレで、泣いている女の子とたびたび遭遇した事でした。こういうことは男性用トイレでは起こりそうにないので、秘密の部屋と謎のプリンスにおいては、ハリーとロンをそういう(男性にとっては)居心地が悪い、不慣れな領域に配置することを楽しみました。
ホグワーツで最も生産的なゴーストというのはもちろんビンズ教授で、彼はある日教員室の暖炉の前で眠ってしまい、次の授業のために起きた際に身体を置き去りにしてしまった年老いた魔法史の教師です。ビンズ教授が自身の死に気付いているかどうかに関しては議論が分かれる所です。黒板をすり抜けて教室に入ってくる光景は初見の生徒からすれば面白いといえなくもないですが、彼は最も刺激的な教師ではありません。
ビンズ教授のインスピレーションになったのは私が通っていた大学の老教授で、彼はどの講義でも目を閉じて、つま先立ちで微かにその身を前後に揺らしていました。彼は学者としては素晴らしく、講義ごとに膨大な量の価値ある情報を吐き出していましたが、生徒との断絶が全てを台無しにしていました。ビンズ教授は生きている生徒をぼんやりとしか意識しておらず、生徒から質問を投げ掛けられると驚かされます。
これまでにホグワーツのために書いたゴーストの一番初期の一覧表には、マートル(最初は「泣き喚くワンダ」という名前でした)、ビンズ教授、灰色のレディ(その頃は「囁くレディ」と呼んでいました)、血みどろ男爵が含まれていました。Black KnightやThe Toad(教室中にエクトプラズムを撒き散らす)、それから作中で使わなかったことを若干後悔しているEdmund Grubbというゴーストも存在していました。彼の名前の横にあるメモは以下のようなものです。「大広間の出入り口で亡くなった。中に入ろうとする人を時々腹いせに邪魔する、ビクトリア朝時代の太ったゴースト。(有毒のベリーを食べた)」"
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