カムチャツカの火山群

ページ名:カムチャツカの火山群
logo

カムチャツカの火山群
(ロシア)

アヴァチンスカヤ山
アヴァチンスカヤ山
英名Volcanoes of Kamchatka
仏名Volcans du Kamchatka
面積核心地域 3,830,200 ha
登録区分自然遺産
登録基準自然遺産(7), (8), (9), (10)
登録年1996年
拡張年2001年
IUCN分類Ia, IV, V
公式サイトユネスコ本部(英語)
世界遺産テンプレートを使用しています
 ・話・編・歴 

カムチャツカの火山群(カムチャツカのかざんぐん)はロシアの世界遺産の一つ。カムチャツカ半島の2つの自然保護区と3つの自然公園を対象とする形で1996年に登録され、2001年に自然公園が一つ追加登録された。

環太平洋造山帯の中でも、カムチャツカ半島は特に「火山の博物館」の異名を取るほどに多彩な噴火様式の火山やそれが生み出した地形が存在している。また、火山の多さや土壌の特質などのために開発が余り行われてこなかったことから、景観美や生物多様性も十分に保持されている。登録にあたっては、こうした地学的重要性、景観美、生物多様性など多角的な点における顕著な普遍的価値が認められた。同じくロシアの世界遺産であるバイカル湖などとともに、世界自然遺産としての登録基準4項目全てが適用されている世界遺産である。

目次

登録対象[]

登録対象はいずれもカムチャツカ州にある。

国立クロノツキー生物圏・自然保護区[]

国立クロノツキー生物圏・自然保護区(Kronotsky State Biosphere Nature Preserve / Kronotskiy Zapovednik[1], ID765-001)は、クロノツカヤ山(標高 3528 m)の西側、ベーリング海沿岸部に存在している保護区で、面積は1,007,100 ha、IUCNカテゴリーはIa(厳正自然保護区)である。1932年に国立自然保護区が設定され、一時的な中断はあったものの、1966年に再設定された。1984年に生物圏保護区にもなっている。

この保護区の植物種は745種が確認されている。その中にはサハリンモミなどのような固有種が16種含まれている。それ以外の植物としては以下のものが確認されている[2]

  • アカンテンツキ(Fimbristylis ochotensis)
  • アツモリソウ
  • イブキソモソモ(Poa radula)
  • イワベンケイ
  • エゾサワスゲ(Carex viridula)
  • ヒメミズニラ(Isoetes asiatica)

動物種としてはクマやトナカイなどの陸棲動物のほか、保護区内の海域に以下のような生物たちが暮らしている[2]

  • イッカク
  • オホーツクワモンアザラシ(Phoca hispida ochotensis)
  • ゴマフアザラシ
  • ゼニガタアザラシ(Phoca vitulina stejnegeri)
  • タラバガニ
  • トド
  • ハナゴンドウ
  • ラッコ

ブィストリンスキー自然公園[]

ブィストリンスキー自然公園(Bystrinsky Nature Park / Bystrinskiy Zakaznik[1], ID765-002)は、針葉樹林帯が広がっている保護区で、面積は1,325,000 ha、IUCNカテゴリーはIVである。1995年に設定された。

この保護区に棲息している主な哺乳類は以下の通りである[2]

  • アメリカミンク(Mustela vison)
  • カムチャツカマーモット(Marmota camtschatica)
  • クビワレミング
  • ビーバー
  • マスクラット
  • ヘラジカ(Alces alces buterlini)

また、保護区内の川には次のような魚類も棲息している[2]

  • ギンザケ
  • シロサケ
  • ベニザケ
  • マスノスケ
  • ニジマス(Salmo mykiss)
  • カラフトマス(Oncorhynchus gorbuscha)
  • サクラマス
  • オショロコマ
  • イワナ

ナルィチェヴォ自然公園[]

ナルィチェヴォ自然公園(Nalychevo Nature Park / Nalychevo Zakaznik[1], ID765-003) は、1945年に噴火したアヴァチンスカヤ山(標高 2741 m)やコリャークスカヤ山(標高 3456 m)などがある保護区で、1995年に設定された。面積は287,200 ha、IUCNカテゴリーはIVである。

この保護区には、アツモリソウ、エゾスズラン(Epipactis papillosa)、ヒメムヨウラン(Neottia asiatica)などの稀少種が生育している。維管束植物549種、哺乳類33種などが確認されている。

カムチャツカ半島では渡り鳥も含めて鳥類が多く観測されている。この保護区では以下のような鳥が観測されている[2]

  • アオシギ
  • コクガン
  • ミカドガン
  • オオワシ
  • オジロワシ
  • シロハヤブサ
  • ミサゴ

南西ツンドラ自然保護区[]

南西ツンドラ自然保護区(Southwestern Tundra Nature Reserve / Southwest Tundra Zakaznik[1], ID765-004)は1990年に設定された保護区で、面積は123,000 ha、IUCNカテゴリーはIVである。

南カムチャツカ自然公園[]

南カムチャツカ自然公園(Southern Kamchatka Nature Park / South Kamchatka Zakaznik[1], ID765-005)は、1995年に設定された保護区で、面積は486,900 ha、IUCNカテゴリーはIVである。

クリュチェフスコイ自然公園[]

クリュチェフスコイ自然公園(Nature Park "Kluchevskoy" / Klyuchevskoy Zakaznik[1], ID765-006)は、半島の中央部に位置し、世界遺産対象内では最も植物種の豊富な保護区である。公園内のクリュチェフスカヤ山(標高 4,835 m[3])は、活火山としてはユーラシア大陸最高峰である。面積は376,000 ha、IUCNカテゴリーはV(厳正自然保護区)[4]。1999年に設定され、2001年に世界遺産登録対象に加えられた。

登録基準[]

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた。

  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

脚注[]

  1. 1.01.11.21.31.41.5 前者の英語綴りはユネスコ世界遺産センターのもの[1]、後者はUNEPによるもの
  2. 2.02.12.22.32.4 ここで列挙している動植物は後掲のUNEPのページで挙げられているものに基づいている。
  3. UNEPによれば、1988年の標高が4750 m、2002年の標高が4835 mとある。
  4. 本来、Vは「景観保護区」であり、「厳正自然保護区」はIaである。ここではUNEPのサイト(2008年9月1日閲覧)の記載にそのまま従った。

参考文献[]

ウィキメディア・コモンズ
ウィキメディア・コモンズには、カムチャツカの火山群に関連するカテゴリがあります。
  • ユネスコ世界遺産センター監修『ユネスコ世界遺産(4)東アジア・ロシア』講談社、1998年
  • UNEPによる「カムチャツカの火山群」のデータ
  • IUCNによる勧告書
  • 写真:カムチャツカ川と火山群 - カムチャツカ

ファイル:Icon of Sekaiisan.svgファイル:Icon of Sekaiisan.svgロシアの世界遺産
World Heritage Sites in the Russian Federation

文化遺産
サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群 | キジー・ポゴスト | モスクワのクレムリンと赤の広場 | ノヴゴロドと周辺の文化財 | ソロヴェツキー諸島の文化的・歴史的遺産群 | ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群 | セルギエフ・パサドの至聖三者聖セルギイ大修道院の建築的遺産群 | コローメンスコエの主の昇天教会 | クルシュー砂州 | フェラポントフ修道院の建造物群 | カザン・クレムリンの歴史的・建築的遺産群 | ノヴォデヴィチ女子修道院の建造物群 | デルベントのシタデル、古代城壁、要塞建造物群 | ヤロスラヴリ市街の歴史地区 | シュトルーヴェの測地弧
自然遺産
コミの原生林 | バイカル湖 | カムチャツカの火山群 | アルタイの黄金山地 | 西カフカース | 中部シホテ-アリン |ウヴス・ヌール盆地 | ウランゲル島保護区の自然体系 | プトラナ平原
世界遺産 | ヨーロッパの世界遺産 | ロシアの世界遺産 | 五十音順 | [編集]
ウィキメディア・コモンズに、ロシアの世界遺産に関連するマルチメディアがあります。

af:Vulkane van Kamtsjatkait:Lista dei vulcani della Kamčatkanl:Vulkanen van Kamtsjatkask:Kamčatské sopkysv:Kamtjatkas vulkaner



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

龍神温泉

♨龍神温泉ファイル:Ryujin Spa1.jpg.JPG日高川沿いに並ぶ旅館温泉情報所在地和歌山県田辺市龍神村交通アクセスバス - 龍神バス:バス停「龍神温泉」・「季楽里龍神」車 - 高野龍神スカイ...

鼓川温泉

♨鼓川温泉温泉情報所在地山梨県山梨市牧丘町交通アクセス車:中央自動車道 勝沼ICより、国道140号を経由して乙女高原方面へ鉄道:中央本線塩山駅より牧丘町塩平方面行きバス、鼓川温泉下車泉質単純温泉泉温3...

黒薙温泉

♨黒薙温泉ファイル:Kuronagi-onsen01.JPG混浴露天風呂(2007年)温泉情報所在地富山県黒部市宇奈月温泉交通アクセスアクセスの項を参照泉質単純温泉泉温97.2 セルシウス度|テンプレ...

黒羽温泉

♨黒羽温泉温泉情報所在地栃木県大田原市黒羽交通アクセス鉄道 : 宇都宮線西那須野駅よりタクシー・車で約35分車 : 東北自動車道西那須野塩原インターチェンジより40分、那須インターチェンジより約30分...

黒石温泉郷

黒石温泉郷(くろいしおんせんきょう)は、青森県黒石市(旧国陸奥国)の奥座敷に位置する温泉の総称(温泉郷)である。浅瀬石川沿いに長寿温泉、温湯温泉、落合温泉、板留温泉の4つが存在。前述の4温泉から山間部...

黒湯

曖昧さ回避この項目では、黒色の温泉について記述しています。秋田県仙北市にある温泉については「黒湯温泉」をご覧ください。黒湯(くろゆ)とは、主に湯船における湯の色が黒色、黒褐色をした源泉のことを指す。東...

黒沢温泉

♨黒沢温泉温泉情報所在地山形県山形市交通アクセス鉄道:奥羽本線(山形線) 蔵王駅より徒歩約10分泉質硫酸塩泉宿泊施設数7 表・話・編・歴 黒沢温泉(くろさわおんせん、Kurosawa Hot Spri...

黒松内温泉

♨黒松内温泉温泉情報所在地北海道寿都郡黒松内町交通アクセスJR北海道函館本線黒松内駅より車で約5分泉質塩化物泉泉温39.9 セルシウス度|テンプレート:℃湧出量400リットル(毎分)宿泊施設数1 表・...

黒川温泉_(兵庫県)

♨黒川温泉ファイル:黒川温泉1.JPG温泉情報所在地兵庫県朝来市生野町黒川交通アクセス車 : 播但連絡道路生野ランプより車で約30分鉄道 : 播但線生野駅から神姫グリーンバス生野駅裏より「黒川」行き終...

黒島_(鹿児島県)

日本 > 鹿児島県 > 鹿児島郡 > 三島村 > 黒島黒島 (鹿児島県)ファイル:Kuroshima of Kagoshima.jpg東方上空より撮影座標北緯30度50分5.6秒東経129度57分20...

黒岳_(大分県)

黒岳標高1,587m所在地大分県由布市位置北緯33度06分20秒東経131度17分34秒山系九重山系ウィキプロジェクト 山ウィキプロジェクト 山黒岳(くろだけ)は、大分県由布市庄内町及び竹田市久住町に...

黒姫山_(長野県)

曖昧さ回避この項目では、長野県信濃町の黒姫山について記述しています。新潟県糸魚川市の黒姫山については「黒姫山 (糸魚川市)」を、その他の黒姫山については「黒姫山」をご覧ください。黒姫山ファイル:Mt-...

黄金崎不老不死温泉

♨黄金崎不老不死温泉ファイル:Furofushi-spa.jpg混浴露天風呂温泉情報所在地青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15交通アクセス鉄道:五能線艫作駅より徒歩約15分。リゾートしらかみ利用の...

黄砂

この記事は秀逸な記事に選ばれました。詳細はリンク先を参照してください。曖昧さ回避オユンナの楽曲およびアルバムについては「オユンナII黄砂」をご覧ください。ファイル:Asian Dust in Aizu...

鹿部温泉

♨鹿部温泉ファイル:Sikabe kanketusen 2005.jpgしかべ間歇泉公園内の間欠泉温泉情報所在地北海道茅部郡鹿部町交通アクセス鹿部駅よりバスで20分。函館市内より車で約1時間。泉質食塩...

鹿塩温泉

♨鹿塩温泉温泉情報所在地長野県下伊那郡大鹿村交通アクセス鉄道 : 飯田線伊那大島駅より伊那バス大鹿線で約50分で最寄バス停鹿塩へ。バス停より徒歩約15分泉質塩化物泉泉温14 セルシウス度|テンプレート...

鷹巣温泉

♨鷹巣温泉温泉情報所在地福井県福井市蓑町22字17番1交通アクセス鉄道 : 福井駅から路線バスで50分車:北陸自動車道福井北ICより45分泉質アルカリ性単純温泉アルカリ性低張性高温泉泉温49 セルシウ...

鷹の子温泉

♨鷹の子温泉温泉情報所在地愛媛県松山市交通アクセス伊予鉄道横河原線久米駅下車徒歩7分泉質単純硫黄温泉泉温38.4 セルシウス度|テンプレート:℃湧出量毎分800リットルpH9.3液性の分類アルカリ性 ...