オルドイニョ・レンガイ

ページ名:オルドイニョ・レンガイ
オルドイニョ・レンガイ
噴火するオルドイニョ・レンガイ
噴火するオルドイニョ・レンガイ。1966年撮影。
標高2,960m
所在地タンザニアの旗 タンザニア
位置南緯2度45分 東経35度54分
山系グレート・リフト・ヴァレー
種類成層火山
ウィキプロジェクト 山ウィキプロジェクト 山
ファイル:Lava lengai.jpg

オルドイニョ・レンガイのクレーター内で固化した溶岩。2001年8月撮影。

ファイル:Hornito lengai.jpg

オルドイニョ・レンガイのクレーター内にあるホルニト。2001年8月撮影。

オルドイニョ・レンガイ (Ol Doinyo Lengai または Oldoinyo Lengai) はタンザニア北部にある火山である。レンガイ山とも呼ばれる。東アフリカのグレート・リフト・ヴァレーの火山系の一部で、東リフトヴァレーにある。アルーシャの北西120 kmに位置し、ケニア国境のナトロン湖の南に位置する。2008年現在も活動中の活火山である[1][2]

地元のマサイ族の言葉で「オルドイニョ」は「山」、「レンガイ」は「神」であり、「神の山」を意味する[3]

目次

溶岩[]

カーボナタイト (火成炭酸塩岩) を噴出する地球上で唯一の活火山であり、特にこの山の溶岩はナトロカーボナタイトと呼ばれ、溶岩の温度は510℃しかない[4]。オルドイニョ・レンガイ火山のカーボナタイト溶岩は1962年にイギリスの地質学者ジョン・バリー・ドーソンによって報告された[5]。古い休止したカーボナタイト火山が近くに数個あり、Homa Mountain もその一つである。

世界中のほとんどの溶岩はケイ酸塩鉱物が豊富なのに対し、オルドイニョ・レンガイの溶岩は希少なナトリウムとカリウムの炭酸塩鉱物であるニエレレアイト (nyerereite、Na2Ca(CO3)2) と グレゴライト (gregoryite、(Na2,K2,Ca)CO3) が豊富である。この異常な組成のため、溶岩は比較的低い温度 (500 - 600℃) で噴出する。この温度の低さのためマグマは他の火山で見られるような赤い輝きを持たず、太陽光下で黒色に見える。そしてケイ質溶岩よりも流動性が高い。オルドイニョ・レンガイによって作られた溶岩のナトリウムとカリウムの炭酸塩鉱物は地表では不安定で、風化を受けやすく、すぐに黒色から灰色になってしまう。その結果、世界の他の火山景観とは違ったものになっている。

噴火[]

ファイル:View into OlDoinyoLengai.jpg

山頂付近の様子。2010年10月撮影。

ファイル:Aerial view of Ol Doinyo Lengai erupting in 2008.jpg

2008年の噴火

この山の連続噴火の記録は1883年にまで遡り、同様の噴出が1904年 - 1910年にも記録され、1913年 - 1915年にも再び記録されている。1917年に大噴火が起き、このときの火山灰は約48 km先まで飛んで堆積した。

同様の噴火は1926年の数か月と1940年の7月 - 12月に起こり、灰は100 km離れたロリオンドまで及んだ。数回の小噴火が1954年、1955年、1958年および1960年代前半に観察されている。

最近では1966年8月14日に噴火した。2人の地質学者J. B. ドーソンとG. C. クラークは、その1週間後にクレーターを訪れ、標高3,000フィートまで登り、ナトロン湖に向けて北に吹き流れている「黒い灰の太い柱」を見たと報告した。円錐形の噴火口の中央からガスと白灰色の灰と塵が連続して放出されるのを見たと報告している。

この火山活動はケニアとタンザニアで2007年7月12日から毎日起きた地震の原因であった。ナイロビ市を襲った最新の地震は2007年7月18日午前8:30 (ケニア時間) と記録されている。最大の地震はマグニチュード6.0と測定された。

[6]。地質学者たちは地震が突然増加したのはオルドイニョ・レンガイのマグマの動きを示すものと考えている。2007年9月4日の噴火では、灰と蒸気の雲を少なくとも18 km風下まで運び、北と西の斜面に新鮮な溶岩が流れ出た。噴火は断続的に2008年へと続き、2月末に強さを増したように見え、3月5日に大爆発が起こった。4月は4月8日と17日に噴火があった。噴火活動は2008年8月後半まで続いた。9月に頂上を訪れた人は溶岩放出が新しいクレーターの底にできた2つの噴火口から再開されたものだったことを発見している[7]

映像[]

日本では2010年10月2日にテレビ朝日で俳優の大沢たかお紹介のドキュメンタリー番組「大地疾走」として放映された。大沢は山の中腹まで50度の斜面を火山灰に足を取られながら登るが、雲が出たため下山。ヘリで頂上から1000m下の南クレーターに達し、ビバークして翌日登頂することになる。頂上には現在大きな噴火口が静かな様子を見せる。番組の冒頭から何度も流される黒い液体の噴火の様子は過去の資料映像である。この山に至るまで大沢は、タンザニアのムトワンブからンゴロンゴロ(200万年前のクレーター)、オルモティ(同30万年前)、エンパカイ(同数万年前)というアフリカ大地溝帯の3つのクレーターを巡る。

脚注[]

[ヘルプ]
  1. “Global Volcanism Program Ol Doinyo Lengai”. Global Volcanism Program. Smithsonian National Museum of Natural History. 2008年12月20日閲覧。
  2. Belton, F. A. (Middle Tennessee State University). “Lengai 2007 (through November) News Archive”. 2008年12月20日閲覧。
  3. Briggs, P. (2006). Northern Tanzania with Kilimanjaro and Zanzibar. Bradt Travel Guides. ISBN 1-84162-146-3. 
  4. Belton, F. A. (Middle Tennessee State University). “OL DOINYO LENGAI”. 2008年12月20日閲覧。
  5. Dawson, J. B. (1962). “Sodium Carbonate Lavas from Oldoinyo Lengai, Tanganyika”. Nature 195: 1075-1076.
  6. The Associated Press(2007年7月17日). “Earthquake shakes northern Tanzania, measures 6.0 on the Richter scale”. International Herald Tribune. http://www.iht.com/articles/ap/2007/07/17/africa/AF-GEN-Tanzania-Earthquake.php 2008年12月20日閲覧。 
  7. Belton, F. A. (Middle Tennessee State University). “Latest news at Lengai”. 2008年12月20日閲覧。

関連項目[]

ウィキメディア・コモンズには、オルドイニョ・レンガイに関連するカテゴリがあります。

参考文献[]

  • 国立天文台編 『理科年表 平成20年』 丸善、2007年。ISBN 978-4-621-07902-7。

外部リンク[]

  • オル・ドイニョ・レンガイ山 (ナショナルジオグラフィック) (日本語)
  • Global Volcanism Program (Smithsonian National Museum of Natural History) (英語)
  • Stromboli Online (英語)
  • Volcano World (英語)
  • St Lawrence University Oldoinyo Lengai (英語)
  • Middle Tennessee State Univ. Mountain of God (英語)
  • Earlham College Ol Doinyo Lengai (英語)
  • Volcano Discovery Ol Doinyo Lengai volcano, Tanzania (英語)

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