戦車/3突_派生機種_8.3_SU-76i

ソ連軍に鹵獲されたⅢ号突撃砲はソ連側の兵器設計局によって研究され、赤軍の装備開発に大きく寄与することとなった。

ソ連が鹵獲したⅢ号突撃砲、Ⅲ号戦車、Ⅳ号戦車の多くはスターリングラードで得られたものであった。これらは砲塔をT-34のものに換装するなどしてソ連軍によって活用されていた。エンジン不良や部品の故障といった些細な理由で遺棄されていたドイツ軍の戦車は、赤軍にとって格好の獲物だったのである。

SU-76iは、鹵獲したⅢ号戦車やⅣ号戦車から回転砲塔を撤去した上で、Ⅲ号突撃砲の部品を設置するというパッチワーク的主砲によって生み出された自走砲である。急造かつ臨時的な設計であったため、司令車両を除くとキューポラが設置されていないといった欠陥が存在した。また、戦闘室が乗員が中からピストルを発砲できるように改良されている。鹵獲品を組み合わせたという性質上本車の生産は長くは続かなかったが、乗員からの評判は良好であった。但し鹵獲元のⅢ号戦車がハッチを省略したタイプであった場合、当然の帰結として乗員の脱出は困難であった。

SU-76iは早くも1943年4月から実戦に投入され、1943年7月のクルスクや秋のウクライナでの戦闘で重宝されている。一部の個体はドイツ軍によって鹵獲され、再びドイツ軍の兵器として生まれ変わるという数奇な運命を辿った。

特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。