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2016.09.07
プロゲーマーも参戦!勝負の行方はいかに
本部門で使用するソフトはPC版『オーバーウォッチ』。スポンサー企業から提供された12台のPCを使用し、6対6のチーム戦で争われる。
最初に主催者側によるチーム分けのうえ、6人チーム×3による総当たり戦と、チームをシャッフルしての対戦が行われた。
即席チームでプレイするというルール上、交流戦としての色が濃く出た大会となったが、選手たちの表情は真剣そのもの。試合中もボイスチャットで状況を報告しあって連携を取り、本気の勝負を繰り広げていた。
総当たり戦では、プロゲーマーRutti氏が参加するチーム“Wall Run”が2勝で優勝。
titanzz | そうじやそーじ キャリーしろ | WALL RUN | |
---|---|---|---|
titanzz | - | ○ | × |
そうじやそーじ キャリーしろ | × | - | × |
WALL RUN | ○ | ○ | - |
総当たり戦終了後のシャッフルマッチでは、控え2名を含めた8人チームが編成され。試合の合間にプレイヤーを入れ替えながらの対戦が行われた。
全試合終了後、大会MVPとして、総当たり戦でチーム“そうじやソーヤーキャリーしろ”を率いたEulen氏が選出された。
MVP受賞コメント
「やっぱりオフラインは楽しいですね。こうやって顔を合わせたほうが盛り上がるし、また新しい友だちもできるし、やっぱりオフラインはいいものだと思います。これを見ている人も、ぜひオフラインで会いましょう!」
本大会でMVPを獲得したEulen(そうじやソーヤー)氏にインタビューを行った。第1回大会から参加してきたという氏は、現在大学4年生。半年後に卒業を控える立場から、学生選手権に対する思いを語った。
MVPインタビュー
――大会に参加したきっかけを教えて下さい。
Eulen第1回大会から第3回大会まで、『League of Legends』部門の運営として大会に参加していました。現在は『オーバーウォッチ』をメインでプレイしていますが、そのオーバーウォッチ部門が開催されるということでプレイヤーとして参加しました。
――MVPコメントではオフラインのよさを強調していましたね。
Eulen今のゲームはオンラインで家にいながらプレイ出来てしまうので、ネット上のつながりに終止してしまいがちです。でも実際に顔を合わせれば、ゲームだけではないつながりが生まれます。この大会がオフラインでつながりのできる場として、長く続いていってほしいですね。
――今後も選手としてeスポーツに参加していく予定はありますか。
Eulenはい。今後は選手としてだけでなく、別の立場からもeスポーツに関わっていきたいと思っています。
本大会でチームWall Runを勝利に導いたRutti氏は、なんと現役大学生にしてプロチーム“Unsold Stuff Gaming”に所属するプロeスポーツプレイヤー。プロとして活動する立場から見た学生選手権の印象について、インタビューを試みた。
――eスポーツのプロプレイヤーとして活動されているということですが、普段はどのタイトルで、どのような活動をされていますか。
Rutti『オーバーウォッチ』が始まってからは、ずっとこのタイトルに専念しています。それ以前には別タイトルのFPSを長期間やっていました。大会の際はチーム単位で活動しています。
――プロプレイヤーになったきっかけを教えて下さい。
Rutti私の場合は友人から「やってみてはどうか」と薦められてプロとして活動することになりました。過去の実績はまったくなくて、『オーバーウォッチ』から活動を始めた形です。実績がもっとも重視されるので、プロとして活動したい場合、通常は大会に出て実績を作る必要があります。私のようなケースは珍しいと思います。
――今回オーバーウォッチ部門では唯一のプロプレイヤーとして学生選手権に参加されましたが、普段参加されている大会と比べて、雰囲気などに違いはありましたか。
Rutti普段参加しているオフライン大会とすごく似た空気ではありますね。ただ交流会ということで、気持ちの面では楽でした。大会ではあるんですが、エンジョイ重視の雰囲気がより強く出ていたと思います。
――今後また『オーバーウォッチ』やその他のタイトルで学生選手権に参加したいと思いますか。
Rutti別タイトルとなるとそのタイトルのプロもいると思うのでわからないんですが、『オーバーウォッチ』部門なら私でよければ今後も参加させていただきたいですね。大変楽しかったです。
今回、サークル単位での参加としては最多の5人が参加した慶応大学のeスポーツサークル“TitanZz”。サークルを運営する立場から見た学生選手権の印象について語ってもらった。
――今回はサークルから5人で参加されたとのことですが、どのようなきっかけで大会を知りましたか。
Laboratory運営の方にお誘いいただきました。本当は6人で出たかったんですけど、サークル内で集まったのが5人でした。
――普段はどのようなタイトルを中心に活動されていますか。
LaboratoryTitanZzではタイトルごとに部門を分けていて、その中のひとつとして『オーバーウォッチ』部門があります。ほかの部門との掛け持ちも可能です。
96v サークル全体の規模としては50名程度ですね。80名ほど在籍していたこともあるのですが、アクティブメンバーとしては50名程度です。
――学生選手権に参加していかがでしたか。
Laboratory参加の機会をいただけるのはありがたいですね。自分たちで大会を立ち上げようと思っても、連絡面でうまくいかないことが多いですし。またeスポーツとなるとどうしても『LoL』が中心になってしまい、FPSの大会がなかなかないので、そういった点でもありがたいですね。
――今後、TitanZzが学生選手権で運営に関わることはあると思いますか。
Laboratory実は我々のサークルも、大会の運営やイベントの企画を活動内容に含んでいます。参考にしつつ機会があればやってみたいですね。
――サークルとして大会に参加した感触はいかがでしたか。
Laboratoryうちの部門自体があまり集まる時間がなくて、オンラインでチームを組んで対戦したこともなかったんです。今日が初めてかも知れない(笑)。オンラインだけだと呼びかけてもうまく集まってくれないことが多いんですよね。こうして一度オフラインで集まることでお互いに顔もわかり、今後の集まりやすさも変わってくると思います。オフラインの良さというのがわかりました。
オーバーウォッチ部門唯一の女性プレイヤー、プレイヤーネームとうふ坊や氏は國學院大學の3年生。ふだんは格闘ゲームサークルに所属しており、今回の大会にはサークル内の有志3人で参加したという。
女性の視点からFPSや本大会をどう捉えているのか、インタビューを行った。
――オーバーウォッチはどれぐらいプレイされていますか。
とうふ坊やもともとFPSが好きで、いろいろプレイしています。『オーバーウォッチ』はそんなにやっていないんですけど、一応リリース時からPCでプレイしています。
――普段よく使うヒーローを教えて下さい。
とうふ坊やヒーラーかタンクをよくやっていて、使っていて楽しいのはマーシーです。
――FPSはいつごろからプレイされていますか。
とうふ坊や中学生からです。最初はPS3の『CoD:Modern Warfare 2』をプレイしました。
――格闘ゲームサークルに所属しているということですが、格闘ゲームはどれぐらいプレイされていますか。
とうふ坊や実は格闘ゲームは全然プレイしたことなかったんですが、「できないゲームジャンルがあるのは嫌だな」と思って入りました。
――ゲーマーとしての向上心が強いんですね。
とうふ坊やはい(笑)。もともとRPGのレベリングとか、そういうコツコツ作業するゲームが好きでした。FPSで対人になれたので格闘ゲームもいけるかな、と思ったんですが、まだまだ難しいです。
――大会を知った経緯を教えて下さい。
とうふ坊やサークルの先輩方から聞いて知りました。今回が初参加です。
――今回、オフラインで初対面のプレイヤーとチームを組んでプレイした感想はいかがでしたか。
とうふ坊や相手の顔が見えているということもあり、野良でプレイする時よりはコミュニケーションが取りやすかったです。1回目の時にボイスチャットが機能せずにドタバタしちゃったんですが、2回目はしっかりコミュニケーションを取りながらプレイできました。
――『オーバーウォッチ』はeスポーツ競技として多くの大会で採用されていますが、今後そういった大会への参加は考えていますか。
とうふ坊や自分の技術がまだ足りないので、もっとうまくなってからですね。
――ほかのタイトルでは大会に参加したことはありますか。
とうふ坊や『CoD』では昔ちょっと出たことがあります。一番プレイしているのも『CoD』で、次が『バトルフィールド』ですね。
――今後の学生選手権でFPS部門が開催された場合、また参加したいと思いますか。
とうふ坊やそうですね、機会があればぜひ出たいです。
この日の会場には、eスポーツ学生選手権を立ち上げた溝口晃太郎氏も来場。
大学を卒業してからもeスポーツの振興に努める溝口氏に、本大会発足からの経緯や、今後の展望などを伺った。
――溝口さんはeスポーツ学生選手権の前身となる“格闘ゲーム大学対抗戦”を立ち上げたとのことですが、そのきっかけはどのようなものでしたか。
溝口FPSの大学対抗戦というのがもともとありまして、それを見ていたときに「格闘ゲームの大学対抗戦があるなら出てみたいな」と思ったんです。でも当時は調べても存在しなかったので、じゃあ自分でやっちゃおうと。
サイト運営にはもともと興味があったので、自分でサイトを立ち上げて、格闘ゲーム関係の知り合いにTwitterで拡散してもらいました。
それで実際に大会を始める前に、サイトに応募フォームを作って、「実際に開いたとしたら参加したいですか」、というのを調べたんです。すると当初は30~40人程度を想定していたんですが、全国の大学から100人以上の参加希望が集まりました。
場所を探していたところ、今は日本から撤退してしまったんですが、Ustream Asiaの担当の方から「Ustream Asiaスタジオのスペースを貸すのでやってみませんか」と申し出をいただいたんです。その申し出を受け、オンライン予選で勝ち残った人を呼んで大会を開きました。
最初は使える機材も少なく、僕と友人で私物のモニター2台をレンタカーを使って持ち込みました。ほかにも僕がやっていないゲームの実況を高校時代の友人に頼んだり、UstreamAsiaの方からポケットマネーでトロフィーを買っていただいたりと、全体的に手作り感溢れる温かい大会でした(笑)。それでも有名プレイヤーの方も参加してくれましたし、参加者からは「よかった」と言ってもらえたのが嬉しかったです。
その後大会を知ったJeSPAが興味を持ってくれて、「格闘ゲーム以外も含めた大きな学生大会を作りたいので協力して欲しい」とお話をいただいたんです。それで『ぷよぷよテトリス』と『League of Legends』を含めた3種目で、第1回eスポーツ学生選手権を立ち上げました。
今回の会場(日本経済大学246ホール)は第1回大会と同じ会場なので、思い出深いです。
――回を重ねるごとに、参加人数の変化はありますか。
溝口そのときそのときで注目度の高いタイトルを採用しているので、そこまで変わらないと思います。『ストリートファイターIV』のときは人気が凄まじくて、あのときは本当に参加者が多かったです。
『ストリートファイターV』になってからプレイヤー人口自体は減ったんですが、大会のレベル自体はかなり高くなっています。初日の格闘ゲーム部門では全国レベルの選手が集まっていました。
――参加しやすくするために、工夫している点はありますか。
溝口TOPANGAが主催する大学対抗戦があるんですが、あちらは同じ大学で3人集めないといけないんですよ。こちらは「1人でも参加可能、チームメイトはこちらで斡旋します」という形で気軽に参加できるようにしたんです。
今回も新潟大学と札幌大学、玉川大学の参加者でチームを組んだところ、組んだ後で実は全員北海道出身と分かったんです(笑)。それですごく意気投合したようで、試合中もずっとハイタッチしたりしているんです。
このように、知らない人同士が絆を深めて仲良くなる、というのが僕たちのいちばんの目標です。この大会きっかけで生まれたチームが、今でもイベントがあるといっしょに参加しているという話を聞くと嬉しいですね。
僕たちはこの大会を通じて全国の大学に知り合いを増やしていきたいし、参加者のみなさんにもそうしてほしいです。終わった後の打ち上げも含めての大学対抗戦、という感じですね。
――大会を長期休暇に合わせて開催しているのも、地方の学生が集まりやすくするためでしょうか。
溝口そうです、夏や春の長期休暇に合わせています。格闘ゲーマーって昔から、賞金も交通費も出ないのに勝つためだけに遠征するんですよね(笑)。東京の強豪が全国を回ったり、逆に地方から上京してきたり。この「勝ちたいから行く」という文化は個人的にも好きですし、おかげでこの大会も成り立っていると思います。
――今後、大会規模の拡大などは考えていますか。
溝口少し前に京都産業大学の『ハースストーン』サークルから連絡がありまして、次回から『ハースストーン』が大会に加わる予定です。eスポーツの範囲内であればゲームのジャンルは問いません。イベントを実際に運営することで得るものがあれば、という感じですね。
――運営はタイトル単位で学生の有志が行う、という体制で今後も続けていくのでしょうか。
溝口そうですね。このような形で、半永久的に続いていけばいいなと思っています。在学中から頑張っている選手も多いですし、この大会からプロゲーマーが生まれればうれしいですね。
――今後プロゲーマーを呼んで開催するといった方向性は考えていますか?
溝口参加しているみんなにこの場を楽しんでほしいので、配信で人を集めるためにプロを呼ぶ、ということは考えていないです。全国レベルのプレイヤーじゃなくても楽しめる大会として、学生間の交流とともに盛り上がっていってほしいですね。
『オーバーウォッチ』は6人対6人のチーム戦というゲームの性質上、試合を有利に進めるにはチームメイト間のスムーズな意思疎通が必要になる。本大会では各試合の合間に、チームメンバー同士で談笑する様子が多く見受けられた。
複数大学の選手による混成チームでの進行は、大会運営上必要な措置であったと同時に、ゲームの性質を利用して学生同士の交流を無理なく実現させる手助けにもなっていたことが感じられる。
ゲームを通じた学生同士の交流という点において、本大会は確実に成功したと言えるだろう。
大会レポート :
第4回日本eスポーツ学生選手権/大会レポート(8/30 パズルゲーム部門)
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