画家が守っていた扉にシャロンが手をかける。 | |
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よいな? 行くぞ。 |
がらんとした、巨大な空間に出た。 |
上方は吹き抜けになっており、遥か高みに小さく青空が見える。 火口か鍾乳洞か地の割れ目か、とにかく長い縦穴の底なのだろう。 |
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み、皆さん、めちゃくちゃ大きな竜が寝てます。 |
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・・・・・・父様 |
シャロンの声が届いたのか、竜が閉じていた目を開く。 | |
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【ガルガンチュア】 ・・・・・・ようこそ、命短き者たちよ そして・・・・・・シャロン |
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我が力を証明するため、ここに来た。 ・・・・・・後は言わずともわかるな |
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【ガルガンチュア】 無論・・・・・・そのために貴様を呼んだのだ。 |
竜が億劫そうに首をもたげた。 見ればウロコは光沢を失い、皮膚も乾燥した果実のようになっている。 |
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もしかして、ご病気なのですか? |
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【ガルガンチュア】 歳、よな・・・・・・我ももう長くはあるまい。 |
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まさか・・・・・・父様は古竜の中の古竜・・・・・・ |
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【ガルガンチュア】 なればこそ、最も死に近いということだ。 いかなる者も死の運命よりは逃れられない。そこにいる神に近き者でもなければな。 |
1000年ぶり? 竜が深々と頭を下げる。 |
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【ガルガンチュア】 もはや、かつてのように力を振るうこともできぬ。 欲に駆られた冒険者共に、ここを荒らされる日も遠くないだろう。 |
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遺跡は冒険者を呼び寄せる餌。 彼らに倒されるのも避け得ぬ運命であろう。 |
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【ガルガンチュア】 ふふふ、貴様の目には遺跡に映るか。 |
竜が立ち上がる。 すると、巨体で石碑を覆い隠していたことがわかった。 |
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【ガルガンチュア】 ここは我が妻、シャルロッテの墓。 彼女の亡骸を我が愛したこの地に埋めたのだ。 |
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母様の・・・・・・? そうじゃ、思い出したぞ。 遺跡の鍵は母様の髪飾りと同じデザインじゃった。 |
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【ガルガンチュア】 そう、 我が妻に贈ったものだ。 |
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では、仕掛けられた罠は、墓荒らしを防ぐものだったのですね。 |
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【ガルガンチュア】 その通り。 智慧あるものよ。 そなたがいたおかげで、多くの罠が役目を果たせず終わってしまった。 |
竜が喉の奥で笑う。 | |
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【ガルガンチュア】 さて、シャロン。 我が意識の欠片により、お前を呼んだのは他でもない。 貴様がシャルロッテの墓を託すに足る力を持っているか、見極めるためだ。 |
シャロンがしっかりとした視線で竜を睨む。 | |
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【ガルガンチュア】 ドラゴニアに言葉はいるまい。 |
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無論じゃ。 この身を流れるドラゴニアの血にかけ、父様を倒す。 |
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いいんですか、お父様弱ってるのに |
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【ガルガンチュア】 構うな・・・・・・ 老いたとて、簡単に負けるほど衰えてはおらんぞ |
竜が空に向かって大きく吼える。 |
瞬間、時を巻き戻したかのように、鱗が、肌が、金色の光沢を帯びる。 |
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【ガルガンチュア】 命短き者たちよ、 その力を示すがよい |
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