聡明な教え2(あいりすミスティリア)

ページ名:聡明な教え2(あいりすミスティリア)

 

  幾度か階段を下りたところで、空っぽの部屋に出た。
向こう側に通路が続いておるな。 さっさと突っ切ってしまおう。
待ってください、 嫌な予感がします。
 

ティセが小さな袋を取り出した。

それを矢の先端に着け、部屋の天井に打ち込む。

袋が破けて、キラキラ光る粉が落ちてきましたね。

・・・・・・って、よく見ると部屋中に細い糸が張り巡らされてます。

そうか、粉が付着して見えるようになったのか。
糸を切ると何らかの罠が動くのだと思います。触らないように注意して進みましょう。
  これは本気で助かった。
昔、父に教わった方法をアレンジしてみました。

  父親のことを話すティセの表情は軽い。

父は部族のシンボルである、白鹿を守る役目を仰せつかっていました。

昔から厳しい人でしたが、白鹿が殺されてからは一層厳しく私を

指導するようになったのです。

同じ過ちをさせたくないと思ったのでしょうね。

この粉を撒くテクニックも、そのときに教わったものです。

受け継ぐものがあるのは、うらやましいことだ。

技術の一つ一つを大切にすると良いぞ。

ええ、 そうします。
・・・・・・
シャロン?
いや、 自分には父様から受け継いだものがあるのかと思ってな。
あったのですか?

ないな。

あるとすれば、弱き者には価値がないという哲学だけだ。

  肩をすくめ、シャロンが先へ進む。

 

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