幾度か階段を下りたところで、空っぽの部屋に出た。 | |
向こう側に通路が続いておるな。 さっさと突っ切ってしまおう。 | |
待ってください、 嫌な予感がします。 | |
ティセが小さな袋を取り出した。 それを矢の先端に着け、部屋の天井に打ち込む。 |
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袋が破けて、キラキラ光る粉が落ちてきましたね。 ・・・・・・って、よく見ると部屋中に細い糸が張り巡らされてます。 |
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そうか、粉が付着して見えるようになったのか。 | |
糸を切ると何らかの罠が動くのだと思います。触らないように注意して進みましょう。 | |
これは本気で助かった。 | |
昔、父に教わった方法をアレンジしてみました。 |
父親のことを話すティセの表情は軽い。 | |
父は部族のシンボルである、白鹿を守る役目を仰せつかっていました。 昔から厳しい人でしたが、白鹿が殺されてからは一層厳しく私を 指導するようになったのです。 同じ過ちをさせたくないと思ったのでしょうね。 この粉を撒くテクニックも、そのときに教わったものです。 |
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受け継ぐものがあるのは、うらやましいことだ。 技術の一つ一つを大切にすると良いぞ。 |
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ええ、 そうします。 | |
・・・・・・ | |
シャロン? | |
いや、 自分には父様から受け継いだものがあるのかと思ってな。 | |
あったのですか? | |
ないな。 あるとすれば、弱き者には価値がないという哲学だけだ。 |
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肩をすくめ、シャロンが先へ進む。 |
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