絵画詳細
『木の葉に埋もれたはしご』
作者:モーリス・ドニ 制作年:1892年 所蔵:プリウレ美術館
本作は、裕福な資産家で熱心な絵画収集家でもあったアンリ・ルロルの依頼により制作されたもの。 ドニの傑作的作品の一つである。 制限的な色彩によるアラベスク文様の木の葉が美しい。 アラベスク文様とは、イスラム美術にみられる独自的な唐草模様のこと。 原題では『天井装飾のための詩情に満ちたアラベスク文様』と呼ばれている。 天井装飾として制作されたことを考えると、女性たちが木々にかけられる梯子に登る様子を見上げる視点が上昇感や浮遊的効果を生んでいることがよくわかる。 |
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『天国』
作者:モーリス・ドニ 制作年:1912年 所蔵:オルセー美術館
ドニが1908年に購入した、ブルターニュ北海岸沿いのベロス=ギレックの別荘から海岸を眺めた情景を描いた作品。 画面上部には別荘から見下ろした海面、画面手前には美しい紫陽花が咲く庭先。 紫陽花の庭では無邪気に遊びまわる子供たちとたくさんの天使らが戯れる様子が描かれている。 ドニは毎年夏に制作活動のため家族を連れて別荘へ訪れていた。 別荘で過ごす夏はドニにとって最高の幸福であり、『天国』そのものだったのだろう。 画面いっぱいに溢れる幸福感がそれを象徴しているようだ。 |
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『セザンヌ礼賛』
作者:モーリス・ドニ 制作年:1900年 所蔵:オルセー美術館
画面の中心にあるのはポール・セザンヌの静物画『果物入れ、グラス、りんご』。 それを画家や批評家たちが取り囲み、みなセザンヌを礼賛するという光景を描いた作品。このセザンヌの絵を所有していたのはポール・ゴーギャンであり、背景にはゴーギャンの絵も覗いてその存在を示唆している。 ゴーギャンは、この作品のことを「類まれな宝石であり、私の秘蔵品だ」と語っていた。 描かれた人物には、ピエール・ボナールをはじめナビ派のメンバーが多い。 一番左にはオディロン・ルドン、後ろのほうにはドニ自身を描いている。 セザンヌに高い関心を持っていたドニは後年にセザンヌに関する論考を多数発表し、セザンヌ評価の礎を築いたといわれる。 |
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