食事が終わり、《アイリス》たちが眠りに就いた頃―― レストランから灯りが漏れていることに気づき、様子を見に行く。 |
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きゃっ・・・・・・冥王さまっ もう、いつからいらしたんですか? |
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描いているのは、服のデザイン? | |
はい、レストランの衣装を作ろうかと思いまして。 都会のお店には、制服があるところが多いですから。全員分は無理でも せめて主役のファムが着るものくらいは。 |
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もうひと頑張りするというのは、このことだったのだ。 エルミナには描いた絵を実体化させる不思議な力があるが、生み出したものは数分で消えてしまう。 だから衣装ばかりは自分の手で縫わなくてはならない。 |
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自分がこんなことをしているなんて、不思議なかんじです。 宮廷画家として、お金持ちのために絵を描いていくのだと思っていました。 考えてみれば、奉公先の旦那さまに絵の道を勧められてから、ずーっとカンバスに向かっていたんですよね。 今みたいに、お友達と遊んだり、お話をすることなんてなかったんです。 《アイリス》の使命が種子を集めることだっていうのはわかっていますけど・・・・・・ それ以上に、みんなと一緒にいることが嬉しくて、楽しいんです。 |
だから、みんなのためになりたいって・・・・・・お姉さんみたいな気持ちですかね? 本当はみんなに、この感謝の気持ちを伝えたいけど、今回は頑張っているファムに。 ふふ、ファムに対しては、お姉さんと言うよりお母さんかも。 |
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想いを語りながら、エルミナが筆を走らせる。 | |
うん、こんな感じでしょうか。 | |
がちゃり、とドアが開く。 | |
あら? ベア先生? | |
間に合うのですか? | |
はい? | |
レストランのグランドオープンは明日の予定ですよ? 絵筆しか握ってこなかったあなたが、一晩で衣装を縫えるのかと聞いているのです。 |
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そういえば・・・・・・ デザインばっかり考えていて、作ることを忘れていました・・・・・・てへ |
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だからあなたはアホなのです。 | |
ベアがエルミナの描いたデザイン画を横目で見る。 裁縫はベアの特技で、俺が着ている服もすべて彼女の手による。 |
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ベア、一晩でできそう? | |
詳細なデザイン画もありますので可能かと。 | |
じゃあ、明日までに頼む! | |
かしこまりました。 |
このベアトリーチェ、エレガントに解決させていただきます。 | |
ベアせんせーい、ありがとうございますー | |
女に抱きつかれても鬱陶しいだけです。 では、わたくしは作業に入りますので。 |
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さすがベア先生は頼りになりますね | |
ひゃあああっ! みなさん、モンスターです!おきてくださーーーい! | |
突然、外から叫び声が聞こえた。 | |
冥王さまっ! ファムです! | |
慌てて外に出ると、モンスターが俺たちの小屋に迫っていた。 | |
あ、めーおーさま・・・・・・カルダモ料理のしこみをしていたら、いつのまにかモンスターたちが みんなカルダモをねらっているみたいです |
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あら、おびき出す前に集まってきちゃったみたいですね |
【スライム】 スラーーーーッ! |
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はわっ!? | |
ぼやぼやしていると怪我をしますよ。 今は時間が惜しいのです。さっさと迎撃しましょう。 |
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