エルミナのもうひと頑張り1(あいりすミスティリア)

ページ名:エルミナのもうひと頑張り1(あいりすミスティリア)

 

 

食事が終わり、《アイリス》たちが眠りに就いた頃――

レストランから灯りが漏れていることに気づき、様子を見に行く。

きゃっ・・・・・・冥王さまっ

もう、いつからいらしたんですか?

  描いているのは、服のデザイン?

はい、レストランの衣装を作ろうかと思いまして。

都会のお店には、制服があるところが多いですから。全員分は無理でも

せめて主役のファムが着るものくらいは。

 

もうひと頑張りするというのは、このことだったのだ。

エルミナには描いた絵を実体化させる不思議な力があるが、生み出したものは数分で消えてしまう。

だから衣装ばかりは自分の手で縫わなくてはならない。

自分がこんなことをしているなんて、不思議なかんじです。

宮廷画家として、お金持ちのために絵を描いていくのだと思っていました。

考えてみれば、奉公先の旦那さまに絵の道を勧められてから、ずーっとカンバスに向かっていたんですよね。

今みたいに、お友達と遊んだり、お話をすることなんてなかったんです。

《アイリス》の使命が種子を集めることだっていうのはわかっていますけど・・・・・・

それ以上に、みんなと一緒にいることが嬉しくて、楽しいんです。

だから、みんなのためになりたいって・・・・・・お姉さんみたいな気持ちですかね?

本当はみんなに、この感謝の気持ちを伝えたいけど、今回は頑張っているファムに。

ふふ、ファムに対しては、お姉さんと言うよりお母さんかも。

  想いを語りながら、エルミナが筆を走らせる。
うん、こんな感じでしょうか。
  がちゃり、とドアが開く。
あら? ベア先生?
間に合うのですか?
はい?

レストランのグランドオープンは明日の予定ですよ?

絵筆しか握ってこなかったあなたが、一晩で衣装を縫えるのかと聞いているのです。

そういえば・・・・・・

デザインばっかり考えていて、作ることを忘れていました・・・・・・てへ

だからあなたはアホなのです。
 

ベアがエルミナの描いたデザイン画を横目で見る。

裁縫はベアの特技で、俺が着ている服もすべて彼女の手による。

  ベア、一晩でできそう?
詳細なデザイン画もありますので可能かと。
  じゃあ、明日までに頼む!
かしこまりました。

このベアトリーチェ、エレガントに解決させていただきます。
ベアせんせーい、ありがとうございますー

女に抱きつかれても鬱陶しいだけです。

では、わたくしは作業に入りますので。

さすがベア先生は頼りになりますね
ひゃあああっ! みなさん、モンスターです!おきてくださーーーい!
  突然、外から叫び声が聞こえた。
冥王さまっ! ファムです!
  慌てて外に出ると、モンスターが俺たちの小屋に迫っていた。

あ、めーおーさま・・・・・・カルダモ料理のしこみをしていたら、いつのまにかモンスターたちが

みんなカルダモをねらっているみたいです

あら、おびき出す前に集まってきちゃったみたいですね

【スライム】

スラーーーーッ!

はわっ!?

ぼやぼやしていると怪我をしますよ。

今は時間が惜しいのです。さっさと迎撃しましょう。             

 

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