「世界一臭い」と言われているスウェーデンのニシンの缶詰。 ニシンを塩水に漬けて自然発酵させ、缶詰にして完成。 スウェーデン語では「Surstromming」と書くが、「sur」は「酸っぱい」、「stromming」は「バルトのニシン」という意味である。 缶詰の技術が確立される前から、スウェーデン人はニシンを塩水に漬けて保存する習慣があった。中世の頃はニシンが大量に獲れたが、食物を調理・保存する塩は貴重品であった。塩を節約するために生まれたのが、ニシンを塩水に漬ける保存法であった。 塩水に漬ければ腐敗は防げるが、発酵は止められないため、ひどい発酵臭が発生する。 この悪臭を生む物質には主にプロピオン酸、硫化水素、酪酸などが含まれており、濃度が高すぎれば人体に多大なダメージを与えることもあるため、密閉された空間では同時に複数の缶詰を開けてはならない。 国際的に見て、ほとんどの航空会社はこの缶詰を空輸禁止にしているが、それは爆発の危険があるから。2014年5月1日、スウェーデンの都市フーディクスバルのある倉庫で火災が起き、倉庫内で発酵中だったこの缶詰数千個が爆発し、倉庫から外に吹っ飛ばされた。 この缶詰は毎年8月の第3木曜日に発売される。9月が食べるのに適しているからである。今ではネット予約ができ、船便で入手が可能である。ただ、船が熱帯地域を航行する時間が長すぎると、完全に発酵して液状化してしまう。 この缶詰は度胸試しに最適な珍品であり、各国の食いしん坊をあくなき挑戦へといざなっている。 |
イラスト:M.vv様 ボイス:杉浦しおり様
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧