種子を宿したモンスターを見つけられないまま、滞在3日目の夕方となった。 | |
はあ、今日も空振りでしたね。 あのモンスター、一体どこに行ってしまったんでしょう |
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明日は見つかりますって。挫けず頑張りましょう! ね、ファムちゃん!
・・・・・・って、あれ? ファムちゃんが消えた・・・・・・? |
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村に着くなり子供たちと遊んでいます。 元気なことですね。 | |
ベアトリーチェが村の広場に目をやる。 | |
さあみんな、かくれているバブーをみつけるんですよー |
【村の女の子】 先に見つけたら、お菓子もらえるんだね! |
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【村の男の子】 よーし! ぜったい見つけるぞっ! |
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ファムも負けませんからねーーっ! | |
面倒を見ているのではなく、完全に一緒になって盛り上がっている。 | |
ああ、なんて素晴らしい笑顔でしょう |
一点の曇りもない純粋無垢な笑顔・・・・・・私の絵筆などでは絶対に描けません。 私はいま、芸術的な意味で猛烈に感動しております。芸術的な意味で。 |
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念押ししてくるのが怪しい。 ファムのあんな笑顔は初めて見た。 |
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はい、私もです。 《アイリス》の中には、ファムと同じ年頃の子がいません。 もしかしたら、一緒に遊べる友達がいなくて、 寂しい思いをしていたのかもしれませんね。 ・・・・・・若返ることはできませんけど、何か力になれればいいのですが。 |
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【村の女の子】 ねえねえ、ファムちゃん。 今日もごはん作ってくれるの? |
はい。 そろそろ準備しないとです。 | |
【村の女の子】 うれしい! 『れすとらん』っていうのも、こういう場所なの? |
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え? レストラン? | |
【村の男の子】 うん、お父さんから聞いたんだ。 都会には『れすとらん』っていう場所があるんだって。 |
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【村の女の子】 お城みたいに綺麗なお部屋で、おいしいご飯が食べられるみたいなの。 ファムちゃんは行ったことある? |
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はい。 めいかいで何度か。 | |
【村の女の子】 いいなー、すごいなー。 連れていってってお父さんに頼んだんだけど、お金ないからダメって言われちゃった。 |
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【村の男の子】 一生に一度くらいは行ってみたいよなー |
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わ、 わかりました! | |
ファムがどーんと仁王立ちになる。 | |
ファムがこの村にレストランをつくってあげます! まっていてください! |
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【村の女の子】 本当!? ファムちゃんありがとうっ! |
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【村の男の子】 やったー! れっすとらん! れっすとらん! |
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(はっ!? ど、どうしましょう、いきおいでやくそくしてしまいました・・・・・・) | |
子供たちと別れたファムが、腕組みをして唸っている。 | |
レストランかあ。 ねえ、バブー、どうしたらみんな満足してくれるでしょう? うまくいかなかったら、みんなをしつぼうさせてしまいます。 |
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【バブー】 ば、ばぶー・・・・・・ |
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ふふふ、 大変なことになってしまいましたね。 | |
あ、もしかして見ていたんですか | |
ええ、 子供たちとあんまり楽しそうにしてるから目が離せ・・・・・・ 気になっちゃって。 |
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ぽろぽろ漏れてしまう人だ。 | |
どうやったら、あの家をレストランにできるかしら? | |
いろいろ足りないものがあると思うんです。 お部屋をきれいにかざらないといけませんし、かんばんメニューを作ったり、 もりつけをきれいにしたり でも、お料理を作るだけでもたいへんなのに、そんなにたくさんのことは・・・・・・ |
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《アイリス》はファム一人じゃないでしょう? みんなで協力して素敵なレストランを作りましょう |
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ふぇ!? ごきょうりょくいただけるんですか? | |
こう見えて、困っている児は放っておけないたちなの。 | |
エルミナさん・・・・・・ありがとうございます! | |
お店の装飾や盛り付けは私がやりましょう。 お料理は、ファムやソフィに任せるのが一番でしょうね。 |
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ソフィさんに手伝っていただけたら、ひゃくにんりきです。 ファムたちドワリンは、スパイスを使った料理が得意ですけど エルフィンのみなさんはダシをじょうずに使われるんです。 りょうほうのわざが合わされば、きっとおいしいお料理ができるはずです。 |
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きちんとしたレストランを目指すのなら、お給仕する人も作らないといけませんね。 作法はベア先生がお詳しいでしょうから、ぜひご指導いただきましょう。 |
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はい! ファム、なんだかできる気がしてきました。 りっぱなレストランにして、村の子に喜んでもらいたいです! ・・・・・・でも、エルミナさんは、どうしてファムを応援してくれるのですか? |
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子供たちの笑顔を守るために戦うのが、私のポリシーですから。 |
冥王さま、冥王さま。 これからお時間よろしいですか? お店の壁に絵を描きたいのですが、画材が不足していまして。 絵の具の原料になる石を、村の外まで取りに行きたいのです。 |
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荷物持ちなら任せて。 | |
ありがとうございます。 よろしくお願いしますね。 確か、この辺りにいい石があったと思うんですけれど・・・・・・ |
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歩きながら、エルミナは絵の具の原料になる石を探している。 | |
戦うときに使わない絵の具は、冥界に置いてきちゃったんですよね。 私も修業時代は、高価な絵の具が買えなくて自分で調合してみたりもしたんです。 色を作るのって結構楽しいんですよ。 少女たちの透き通るような肌も、細い髪も、淡い唇も、宝石のような瞳も・・・・・・ 使う色によって、まったく別物になったりしますから。
あっ、ありました。 あの石、綺麗な黄色が出るんです。 |
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エルミナが、たたたっと走っていく。 と同時に、闇の中で何かがうごめいた。 |
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きゃーっ! モンスターっ! もうっ、せっかく冥王さまと二人きりだったのに |
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