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【サンタスライム(ボス)】 スラっ!! |
金属すら容易く溶かすスライムの触手が、アシュリーをかすめる。 | |
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つっ・・・・・・このままではジリ貧です |
アシュリー、衣装の声に耳を澄ますんだ! |
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衣装の声・・・・・・ はっ! 聞こえました! クルチャ、最終奥義ですっ! |
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はいいーーーーーーっっっ!!? |
クルチャの襟首をむんずと掴み、アシュリーが高々と跳躍した。 |
冥界の空に、キラリと二人が光る。 | |
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聖獣の双角よ、我が怒りを力となし不浄の者を撃滅せよ! 聖夜の贈り物ーーーーっっ!!!(ホーリー・ナイト・スマーッシュ) |
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どわああああぁぁぁああぁぁあーーーーっっ!!!!!! |
アシュリーがぶん投げたクルチャが、一筋の光芒となる。 | |
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【サンタスライム(ボス)】 ス、ス、スラーーーーーっっ!!!!! |
土煙が風に流されていく。 |
スライムがいた地面には、槍のように気をつけをしたクルチャが頭から突き刺さっている。 | |
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あ、あのー、いい絵、撮れましたか? |
地面の中から声がする。 全冥界が泣いた! |
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ぶはっ・・・・・・ありがとうございます! アシュリーちゃん、ナイススロー(親指立てて) |
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クルチャこそ、素晴らしい突撃でした。 ここまで上手く合体技が決まるとは、やはり私たちは相性がいいのかもしれませんね。 |
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合体技っていうか、クルちゃん投げられただけなんだけど・・・・・・ まいっか。 美味しいところもらったし。 今回はアイドル的に大勝利ですわ! |
すがすがしい笑顔で、クルチャは顔についた土を手の甲で払った。 | |
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というわけで、MVPはシュリーさんに決定です。 |
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すみません、最後だけ目立ってしまって。 |
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MVPの賞品は、今まさに着ているサンタ衣装です! そのままお持ち帰りください! 誰ですか? そこらで売ってるサンタコスじゃん、とか思った方は? 違います! 断じて違いますよ! この衣装は、世界樹の力を借りて作られたれっきとした聖装。 ぜひ実戦で使ってくださいね |
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はい、大切にします |
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なお、究極合体奥義でスライムを倒したクルチャさんには、次点として トナカイ衣装を差し上げます。 |
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ありがとうございます。 これからはバラエティーにも進出しろっていうエールですよね! うおーー! やる気出てきましたよー! 10秒しか喋れなくても、しっかり爪痕残しちゃいますから! |
トナカイの蹄で、果たして爪痕が残せるのだろうか。 | |
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それではみなさん、引き続きパーティーを楽しみましょう! |
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主・・・・・・少々お時間をよろしいでしょうか。 |
みんなの輪から離れた食堂の隅で、アシュリーが俺を呼んだ。
いつものアシュリーとは違う―――たとえるなら鎧を脱ぎ払ったような、 柔らかな空気を纏っている。 |
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ええと・・・・・・こほん きょ、今日はクリスマスですね |
お、おう | |
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よろしければ、こちらを受け取っていただけないでしょうか? 日頃、お世話になっている感謝の気持ち・・・・・・です。 |
感謝の気持ちなら、そこまで赤くなる必要もないだろう。 などという無粋な感想は置いておき、プレゼントをありがたく受け取る。 紙袋に入っていたのは、毛糸で編まれた温かそうなニット帽。 いや、穴が開いているし、これは――― 欲しかったんだ、目出し帽! |
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あの、私はニット帽を編んだつもりだったのですが・・・・・・ |
・・・・・・ ・・・・・・・・・ |
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くっ!! さっきのスライムのせいで穴がっ!? すみません、このプレゼントはやっぱりなしということで |
ちょうど銀行を襲おうと思っててさ すっぽりと目出し帽をかぶる。 サイズはぴったりだ。 |
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すみません、お気を遣わせてしまい。 でも、主のお優しいところが、私は・・・・・・ |
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見てください! 雪です! 雪が降ってきました! |
窓際にわらわらと《アイリス》が集まる。 | |
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ひゃー、綺麗! クルちゃん寒いの苦手だけど、やっぱクリスマスはこうでなくっちゃ。 |
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リリィあとで雪だるま作る! |
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よーし、みんなででっかいの作っちゃおう |
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不思議です、冥界には天候の変化がないはずなのに。 ・・・・・・もしや主の力で雪を? |
アシュリーへのお返しだよ(キラーン) | |
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クリスマスでご気分が優れないのに、申し訳ございません。 いえ・・・・・・謝ってはいけませんね。 ありがとうございます、主。 素晴らしいプレゼントに心より感謝いたします。 |
アシュリーの顔が喜びにほころぶ。 その笑顔は、聖夜の雪よりも眩しく輝いている。 戦場に咲く《アイリス》も、武器を置けば年頃の女の子たちだ。 短い春を戦場だけで終わらせてほしくない。 学院の長として、こういう表情をもっともっと引き出せるようにしていこう――― 決意を胸に、俺はアシュリーの手をとって皆の輪に戻った。 |
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