古谷一行の金田一耕助シリーズ

テンプレート:ドラマ本項、古谷一行の金田一耕助シリーズ（ふるやいっこうのきんだいちこうすけシリーズ）では、

• 連続ドラマシリーズ「横溝正史シリーズI･II」
• 単発ドラマシリーズ「名探偵金田一耕助シリーズ」

について記述する。

横溝正史シリーズI・II

毎日放送と角川春樹事務所の企画で、TBS系列にて毎週土曜日22:00から22:55の時間帯に放映されたテレビドラマ。第1シリーズは1977年4月2日～10月1日、第2シリーズは1978年4月8日～10月28日。

毎日放送と東宝、大映（京都）・映像京都、三船プロダクションとの共同製作であった。本シリーズのような制作プロダクションが作品毎に変わる制作体制は珍しく、他に同例は見られない。毎日放送プロデューサーの青木民男は当時のインタビューで、凝った美術で定評のある大映京都と東宝の競作を狙ったと語っている[1]。三船プロは第2シリーズのみの参加である。

第1シリーズ本放映時には、裏番組に『ウィークエンダー』（日本テレビ）が存在していたにもかかわらず、最高視聴率が41%を獲得するなど話題作となった。

主役の金田一耕助はすべて古谷一行が演じ、古谷が初めて金田一を演じたのもこのシリーズである。各作品第2話以降の冒頭は古谷一行の「ぼく、金田一耕助です」というセリフから始まり、ここまでのあらすじナレーションが入る。金田一が推理に行き詰まると逆立ちをするという癖は、このシリーズ独自の設定である。また原作における等々力警部や磯川警部は、このシリーズではほとんどの作品で長門勇演ずる日和警部に置き換えられているのも特徴であるが、「三つ首塔」「悪魔が来りて―」では日和とともに等々力刑事（演：早川保）が登場し、「獄門島」では日和が一切登場せずに磯川警部（演：有島一郎）がこの1作限りであるが登場する。

シリーズ全般において、原作の分量に合わせて放送回数を決めるというスタイルで制作され、第1シリーズはほぼ原作に忠実に作られているが、第2シリーズはドラマオリジナルからの大きな変更点（「真珠郎」「仮面劇場」は原作では金田一の登場しない作品）がある。

現在、全作品がキングレコードまたは角川エンタテインメントよりDVDソフト化されている。

レギュラー・セミレギュラー出演者

• 金田一耕助 - 古谷一行
• 日和勇警部 - 長門勇:「犬神家の一族」「獄門島」以外の全作品に登場。原作には登場しない。鼠が苦手。
• かね - 野村昭子: 金田一耕助探偵事務所に勤めるおばさん。第1シリーズのみ登場。原作には登場しない。
• 等々力大志刑事 - 早川保: ドラマ中では下の名前「大志」は設定されていない。「三つ首塔」「悪魔が来りて笛を吹く」に登場。

放映リスト

横溝正史シリーズI放送期間：1977年4月2日～10月1日主題歌：『まぼろしの人』 茶木みやこ

タイトル	制作	監督	脚本	回数	放映日 (1977年)	主な出演者
犬神家の一族	大映/映像京都	工藤栄一	服部佳	5回	4月2日～4月30日	田村亮 京マチ子 月丘夢路 小山明子 西村晃 松橋登 岡田英次ハナ肇
本陣殺人事件	大映/映像京都	蔵原惟繕	安倍徹郎	3回	5月7日～5月21日	淡島千景 荻島真一 佐藤慶 内藤武敏 真木洋子 金井進二西崎みどり
三つ首塔	東宝	出目昌伸	岡本克巳	4回	5月28日～6月18日	真野響子 黒沢年男 佐分利信 米倉斉加年 殿山泰司ピーター 大関優子三原葉子 小松方正
悪魔が来りて 笛を吹く	東宝	鈴木英夫	石森史郎	5回	6月25日～7月23日	草笛光子 沖雅也 壇ふみ 長門裕之 加藤嘉中山麻里 星正人森次晃嗣 江原真二郎
獄門島	東宝	斎藤光正	石松愛弘	4回	7月30日～8月20日	中村翫右衛門 滝沢修 河原崎國太郎 金子信雄 島村佳江河原崎長一郎三善英史 立枝歩萩奈穂美 西村晃 浜木綿子有島一郎
悪魔の手毬唄	大映/映像京都	森一生	田坂啓	6回	8月27日～10月1日	佐藤友美 高岡健二 夏目雅子 小沢栄太郎 大塚道子 池波志乃　日色ともゑ 宍戸錠 鈴木瑞穂 東野英心

横溝正史シリーズII放送期間：1978年4月8日～10月28日主題歌：『あざみの如く棘あれば』 茶木みやこ

タイトル	制作	監督	脚本	回数	放映日 (1978年)	主な出演者
八つ墓村	大映/映像京都	池広一夫	廣澤榮	5回	4月8日～5月6日	荻島真一 鰐淵晴子 松尾嘉代 白木万理 神崎愛 毛利菊枝 中村敦夫 草薙幸二郎 梅津栄 江幡高志 北村英三 内田朝雄
真珠郎	大映/映像京都	大州齋	安藤日出男	3回	5月13日～5月27日	大谷直子 中山仁 原田大二郎 岡田英次 藤原釜足 早川絵美 加藤嘉
仮面舞踏会	東宝	長野卓	椋露地桂子	4回	6月3日～6月24日	草笛光子 乙羽信子 村地弘美 木村功 柳生博 佐原健二 久保明 内田稔 三ツ木清隆 小笠原弘 露原千草 大田黒久美 皆川妙子
不死蝶	大映/映像京都	森一生	野上龍雄 米田いずみ	3回	7月1日～7月15日	竹下景子 小沢栄太郎 植木等 江木俊夫 松山照夫 山本昌平 山本紀彦 浜田寅彦 松村康世 岩崎加根子 栗田ひろみ
夜歩く	東宝	水野直樹	稲葉明子	3回	7月22日～8月5日	范文雀 原泉 谷隼人 村井国夫 鮎川浩 伊藤雄之助 菅貫太郎 南風洋子 岸田森 清水紘治
女王蜂	三船プロ	富本壮吉	石松愛弘	3回	8月12日～8月26日	片平なぎさ 岡田茉莉子 南美江 岩本多代 田中春男 河原崎権十郎 (4代目) 夏夕介 三谷昇 赤塚真人 神山繁 川合伸旺
黒猫亭事件	大映/映像京都	渡邊祐介	安倍徹郎	2回	9月2日～9月9日	太地喜和子 近藤洋介 池田秀一 田口計
仮面劇場	東宝	井上芳夫	鴨井達比古	4回	9月16日～10月7日	司葉子 長尾深雪 池部良 下條正巳 睦五朗 柳谷寛 冨川澈夫 新村礼子 服部妙子 富田恵子 菅井きん
迷路荘の 惨劇	三船プロ	松尾昭典	田坂啓	3回	10月14日～10月28日	三橋達也 浜木綿子 仲谷昇 千石規子 西沢利明 滝沢双 伊豆肇

放映ネット局

※は遅れネット

• 毎日放送（制作局）
• 北海道放送
• 青森テレビ
• 岩手放送（現・IBC岩手放送）
• 東北放送
• 秋田放送（日本テレビ系列）※
• 山形放送（日本テレビ系列）※
• 福島テレビ（フジテレビ系列、ただし放送当時はTBS系列とのクロスネット局）
• 東京放送（現・TBSテレビ）
• 新潟放送（火曜22時に3日遅れで放送）※
• 信越放送※
• テレビ山梨
• 静岡放送
• 北日本放送（日本テレビ系列）※
• 北陸放送（1978年9月までは月曜22時に2日遅れで放送）※
• 福井テレビ（フジテレビ系列）※
• 中部日本放送
• 山陰放送
• 山陽放送
• 中国放送
• テレビ山口（放送当時はフジテレビ系列とのクロスネット局、さらに1978年9月まではテレビ朝日系列局でもあった。木曜22時に5日遅れで放送）※
• 南海放送（日本テレビ系列）※
• テレビ高知
• RKB毎日放送
• 長崎放送※
• 熊本放送※
• 大分放送
• 宮崎放送
• 南日本放送※
• 琉球放送

上記のネット局は、以後の森村誠一シリーズ、高木彬光シリーズ、黒岩重吾シリーズなどに引き継がれた。

TBS系 土曜22時台（当時は毎日放送の制作枠。一部地域を除く。1977.4 - 9）
前番組	番組名	次番組
江戸特捜指令	横溝正史シリーズ	森村誠一シリーズ・腐蝕の構造
TBS系 土曜22時台（当時は毎日放送の制作枠。一部地域を除く。1978.4 - 10）
森村誠一シリーズ・人間の証明	横溝正史シリーズII	森村誠一シリーズII・青春の証明

テンプレート:TBS土曜10時枠の連続ドラマ

名探偵・金田一耕助シリーズ

1983年からTBSの2時間ドラマ枠『ザ・サスペンス』にて放映開始。のちに『月曜ドラマスペシャル』、『月曜ミステリー劇場』などで放映。当初は「名探偵金田一耕助の傑作推理」というシリーズ名であったが、ビデオソフト化された際に「名探偵・金田一耕助シリーズ」とつけられて以降はこちらが使用されている。2008年現在、BS-iで再放送されているタイトルには、「金田一耕助の傑作推理」と表記されている。

前記の連続シリーズとは違い、あくまで一回終了を目指したドラマ制作を心掛けているためにどうしても手狭な感を拭えなかったが、話を完結できる強みと当時の金田一人気に肖って好評を得、かなり息の長い長編シリーズとなった。メジャー系の長編だけでなく「女怪」や「殺人鬼」「死仮面」といった短編のドラマ化や、「木乃伊の花嫁」のように本来なら金田一の出演しない原作の転用、また「白蝋の死美人」のように複数の短編を組み合わせるなどの独自の工夫も多く見て取れる。

なお、金田一の相棒役は「横溝正史シリーズ」の第一作「犬神家の一族」で橘署長を演じていたハナ肇が、等々力警部（初期作品では「日和警部」）役で長らく親しまれていたが、1993年9月にハナが亡くなったため「悪魔の唇」より「ハナ肇とクレージーキャッツ」の盟友であった谷啓が、河合警部役で後を引き継いでいる。

ほぼ全作品がビデオ化されている（「悪魔の仮面」以降はレンタル用のみ。「神隠し真珠郎」は未ソフト化）。2004年に「悪魔の仮面」から「白蝋の死美人」までの6作のDVDが発売された。

レギュラー出演者

• 金田一耕助 - 古谷一行
• 日和警部（「本陣殺人事件」〜「獄門岩の首」）・等々力警部（「霧の山荘」〜「迷路の花嫁」） - ハナ肇
• 磯川警部（「悪魔の手毬唄」のみ） - 藤岡琢也
• 亀井警部（「女王蜂」のみ） - 名古屋章
• 河合警部（「悪魔の唇」〜） - 谷啓

放映リスト

話数	放送日	サブタイトル	原作	脚本	監督
1	1983年2月19日	本陣殺人事件	「本陣殺人事件」	安倍徹郎	井上昭
2	1983年8月13日	ミイラの花嫁	「木乃伊の花嫁」	江連卓	児玉進
3	1984年3月3日	獄門岩の首	「首」	中村努	田中徳三
4	1985年5月27日	霧の山荘	「霧の山荘」	江連卓	山口和彦
5	1986年5月12日	死仮面	「死仮面」	宮川一郎	西村昭五郎
6	1987年5月11日	香水心中	「香水心中」	岡本克己	斎藤光正
7	1988年2月2日	不死蝶	「不死蝶」	江連卓	西村昭五郎
8	1988年7月26日	殺人鬼	「殺人鬼」	岡本克己	藤井克彦
9	1989年3月27日	死神の矢	「死神の矢」	関本郁夫
10	1989年10月11日	薔薇王	「薔薇王」	江連卓	藤井克彦
11	1990年10月5日	悪魔の手毬唄	「悪魔の手毬唄」	峯尾基三	関本郁夫
12	1991年2月27日	魔女の旋律	「空蝉処女」	江連卓	吉田啓一郎
13	1991年7月1日	八つ墓村	「八つ墓村」	関本郁夫･新津康子	関本郁夫
14	1992年4月9日	悪魔が来りて笛を吹く	「悪魔が来りて笛を吹く」	江連卓	藤井克彦
15	1992年7月27日	女怪	「女怪」	中村努	田中徳三
16	1992年12月28日	病院坂の首縊りの家	「病院坂の首縊りの家」	高村美智子	田中徳三
17	1993年7月15日	三つ首塔	「三つ首塔」		和久田正明
18	1993年9月20日	迷路の花嫁	「迷路の花嫁」	江連卓	原田眞治
19	1994年4月4日	女王蜂	「女王蜂」	和久田正明	関本郁夫
20	1994年8月22日	悪魔の唇	「悪魔の百唇譜」	田村恵	原田眞治
21	1996年1月2日	呪われた湖	「湖泥」	中村努
22	1996年3月25日	黒い羽根の呪い	「鴉」	峯尾基三	関本郁夫
23	1997年1月3日	幽霊座	「幽霊座」	峯尾基三	奥村正彦
24	1997年5月5日	獄門島	「獄門島」	和久田正明	関本郁夫
25	1998年3月30日	悪魔の仮面	「薔薇の別荘」 「神楽太夫」	峯尾基三	吉田啓一郎
26	1999年3月8日	悪霊島	「悪霊島」		原田眞治
27	2000年10月30日	トランプ台上の首	「トランプ台上の首」 「黒猫亭事件」	峯尾基三	吉田啓一郎
28	2002年4月29日	水神村伝説殺人事件	「車井戸はなぜ軋る」	石原武龍	山本厚
29	2003年3月25日	人面瘡	「人面瘡」
30	2004年4月26日	白蝋の死美人	「蝋美人」 「雌蛭」
31	2005年7月18日	神隠し真珠郎	「真珠郎」

主題歌

• 『糸電話』
  • 作詞：山川啓介
  • 作曲：伊勢正三
  • 編曲：青木望
  • 唄：古谷一行
    • （VAPレコード）

脚注

1. ↑ 中宮 敏　「金田一耕助の秘密」　日本電子出版　1994年　(ISBN 4931-3250-68)

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