戦術的な運転の仕方（テクニカル・ドライビング）

一般的なドライバーは戦術的な運転について考える必要はないはずだが、まれに必要に迫られることがある。さらに言えば、法執行機関の人たちは、戦術的な運転が命を救うスキルであるとか、「悪者」を捕まえるのに役立つ能力であると感じるかもしれません。このチュートリアルでは、タクティカル・ドライビングとみなされがちなスキルや操作の基本をいくつか取り上げますが、事故を回避するような極端な状況でも役に立つかもしれません。

この記事を読めば、特定の状況下での車の運転に関する知識を得ることができるかもしれませんが、実際にそのスキルを実行することは、そのスキルについて読むだけとはまったく異なることがわかるでしょう。このチュートリアルで述べられていることの中には、公道では違法となるものもありますので、絶対に必要な場合以外は、公道で練習したり実行したりしないでください。

方法1

スタート

1. あなたのクルマによっては、これらの手順を少し変更する必要があるかもしれません。疑問がある場合は、より良い車を手に入れましょう。

   • 前輪駆動（FF）のクルマが最も制限される可能性が高い。一般的にFF車は、ドライバーがコーナーでアクセルを踏んでクルマを加速させるときに、アンダーステア（ウォッシュアウト）になりがちです。これは悪いことで、車の旋回性能を大きく制限する。
   • 後輪駆動（FR）車は、コーナリングや加速においてFF車よりも効率的だが、経験の浅いドライバーにとっては危険となりうる。ドーナツは楽しいかもしれないが、危機的な状況には適していない。
   • 全輪駆動（AWD）車はバランスが良いが、アクティブまたはマニュアルのセンターデフ（ほとんどのAWD車にはこの機能が付いているが、そうでない場合はパートタイム4WDと呼ばれる）を備えた車でなければ、ひどいアンダーステアになることもある。
   • 自分のクルマの特性を知っておくことは、極限の状況でも自分自身や周囲の人を危険にさらすことなく、パフォーマンスを発揮するための鍵となります。詳しくは、タクティカル・ドライビングのためのクルマの選び方の記事をお読みください。
2. 警戒を怠らない：

   • 運転中は常に周囲の状況に注意を払う必要があります。周囲にどのような車があるかを常に把握しておく必要があります。追い越しをする場合は、前方、後方、側方の車の位置を確認できなければなりません。
   • 自分の車の両側には死角があることに注意し、ミラーを調整して死角をなくすようにしましょう。
   • 高速を走行中、前方の車がブレーキを踏んできたら、まず減速を試みるべきだが、同時に出口がないか周辺をスキャンすべきだ。常に出口があるわけではないが、多くの場合はある。
     • その「出口」がきれいな出口でないこともあり、What-will-cause-the-least-damage（CTLD）出口であることもある。これは、路肩に出るのではなく、完全に道路から外れることを選択する場合もある。最も安いルートを選ぶ前に、最も安全なルートを選びましょう。
   • 多くの人は最近事故に遭った後、目に見えて警戒心が高まる。最初の事故だけでなく、注意を怠っているかもしれない周囲の人を避けるためにも、注意深くあるべきです。

方法2

ブレーキ

1. ブレーキは失われた技術だ。多くの車にアンチロック・ブレーキ（ABS）が装備されているため、人々はどんな状況でもただブレーキを踏む。これは良い選択肢かもしれないが、常にベストというわけではない。たとえABSが付いていても）ブレーキを踏むとハンドリング性能が低下し、実際に危険な状態に陥る可能性がある。 ブレーキをかけたまま旋回すると、ブレーキをかけないときと同じようには曲がらないか、曲がらないときよりも減速しないことがある（詳しくは、いくつかの操作をお読みください）。
2. 常にギリギリのところでクルマを操っているレースカーのドライバーは、ブレーキングと旋回を切り離すという必要な技術を身につけている。90％のコーナーで、レーサーは（どんなレースタイプでも）コーナーに入る前にブレーキを使い、コーナーを曲がり、それからアクセルを使う。コーナーの各セクション（またはコーナーの前後のストレート）にはそれぞれ目的があり、ブレーキと旋回を分離することで、車両が望ましいコーナーを作るための最高のトラクションを得ることができる。

   • また、コーナリング中にブレーキをかける「トレイルブレーキング」というテクニックもある。コーナーに素早く進入し、曲がる前に急ブレーキをかける。十分に減速するまでブレーキングを続ける。トレイル・ブレーキはリアからフロントに荷重を移動させるため、フロントタイヤが地面に押し付けられ、ステアリングの食いつきがよくなる。逆効果になりやすいので、経験を積んでから行うこと。
3. ブレーキの使用は（ABSがない場合は）スムーズに行うこと。ブレーキペダルを地面に叩きつけるのではなく、踏み込んでください。これはブレーキの絞り込みと呼ばれる方法で、車から最高の制動力を引き出すために不可欠です。車のタイヤをトラクションが切れるところまで持っていくのです。ポンピング・ブレーキは、特にトラクションの低い路面で停止するのに適した方法だと言う人もいるが、それは緊急時にのみ確実に停止する方法である。

   • これは誰もいない駐車場で簡単に練習できる。窓を開け、駐車場の端からスタートする。安全な速度まで加速し（時速30～40マイル（48～64キロ）がよい）、できる限り強くブレーキを踏む。キュルキュルというかなりの音が聞こえるはずだ（聞こえない場合は、ABSが付いているか、ディスクブレーキでないか、ブレーキの交換が必要な可能性がある）。今度は反対方向に戻り、再び鳴き声が聞こえるまで素早くブレーキを踏み込む。鳴き声がかすかに聞こえる程度でブレーキをかけることができるようになるまで、何度も往復します（これを最適絞りポイント（OSP）と呼びます）。
   • 鳴き声のささやきとは何でしょう？これがタイヤのトラクションの絶対的な限界であり、最も早く止まる方法なのです。
   • ブレーキングを開始するタイミングとクルマを止めるタイミングに目印をつけることで、これを測定することができ、タイヤがロックしているかしていないかの違いを視覚的に確認することができる。
   • さらに練習：わざとブレーキをロックさせます。ロックしなくなるまでペダルを踏む力を弱め、再びOSPに力を加える）。
   • 注意：路面やスピードによってOSPは異なる。そのため、乾いているときに練習し、次に雨が降っているときに練習し、そして（可能であれば）雪が降っているときに練習する必要がある。異なるトラクションレベルに十分適応することで、何も驚かなくなる。
4. ブレーキの使い方は（ABSがあれば）もっと簡単だ。ほとんどの場合、ブレーキペダルをスムーズに（素早くではあるが）床まで踏み込めばよい。ペダルが振動する（依存型ABS）か、完全に抜ける（独立型ABS）ように感じるだろう。もちろん、ペダルが抜けたように感じるのに止まらない場合は、ブレーキが効かなくなったのでしょう。
5. ブレーキに関する詳しい情報は.

方法3

ハンドルを切る

1. 非常にシンプルな操作から始めますが、普通のドライバーやテクニカルドライバーにとっては非常に有効なスキルです。このスキルは、急な方向転換が必要なときにあなたの命を救うことができます。
2. シナリオ夜、フリーウェイを走行中、雨が降っており、路面のトラクションと視界が低下している。あなたは時速70マイル（110km）で走行中で、約100フィート前方に大きな箱が道の真ん中にある。

   • このため、あなたはほぼ1秒以内に最善の行動を選択し、それを実行することができる。
   • 大きな箱であることから、あなたは箱の中に非常に重いものが入っている可能性があり、それがあなたの車をひどく傷つけ、あなたと同乗者を危険にさらす可能性があると推測する。
3. 解決策1（周囲に車がない）：近くに車があるかどうかは、すでに知っているはずです（上記の「警戒を怠らない」をお読みください）。ブレーキに触れないでください！1秒しか猶予がないのにブレーキを踏むと、フロントタイヤにかかるトラクションが減少し、急操作中にクルマのバランスが崩れてコントロール不能に陥る恐れがあります。

   • また、急ハンドルを切って希望の方向にハンドルを切るのも、最も安全な方法とは言えません（ブレーキが安全でないのと同じ理由です）。常に制御されたハンドルを切るのが最善です。サスペンションをアウトステアにすると、クルマはアンダーステアになり、ボックスにぶつかる可能性があります。ギクシャクせず、素早くハンドルを切ること。ボックスの進路を外れたら、ハンドルを反対側に切ってクルマをまっすぐにします。この場合も、急すぎるとスピンしてしまう！また、まっすぐにする前にブレーキを使ってしまうと、スピンしてしまうこともある。ボックスから出れば、クルマの向きを修正する時間が増えるので、急がず、修正しすぎないこと。
   • この場合、ブレーキングは関係なく、ボックスから離れる最初のターンは、正しい方向に戻る修正よりも速く行う必要がある。
4. 解決策2（周囲に車がいる）：この状況はもっと厄介だ。隣の車線に移動できない場合は、使える路肩があるかどうかを判断する必要がある。きれいな出口がない場合、CTLDの出口がボックスに当たっている可能性が高い。上記のブレーキテクニックを使い、できるだけ早く減速すること。時速70マイル（時速110キロ）の車が100フィート（約160メートル）で停止できる可能性は低いが、少しでもスピードを落とせば、あなたや同乗者、そしてあなたの車が受けるダメージは軽減される。

   • 重要でない（非戦術的な）状況では：箱の中身が空になり、ダメージがない場合、スピードが遅かったり、高速道路の真ん中で停車していたりするために追突してくる後続車に注意すること。高速道路から箱を取り除く安全な方法を見つけ、続行する。箱があなたの車を傷つけた場合、あなたと同乗者が無事であることを確認してください。安全に車を道路脇に寄せることができる場合は、そうしてください。高速道路は危険な場所である。警察に電話し（携帯電話を持っていることが望ましい）、事故を報告する。
   • 危機的な（戦術的な）状況：箱にぶつかった後、車がまだ正常に機能する場合（どこかに行こうとしている場合）、旅を続ける。車が正常に機能しない場合、あなたが追われておらず、この問題によって命が脅かされないことを祈る。
5. 対象物がもう少し遠くにある場合、おそらく最善の判断は、ブレーキを短時間使用し、そのほとんどを解除してから（ずっと使用すると、フロントタイヤから体重が移動するため、ハンドルを切ろうとしたときに車両が不安定になったり、単にアンダーステアになったりする）、ハンドルを切ることでしょう。ハンドルを切るときの速度が低ければ低いほど、より安全にハンドルを切ることができます。
6. もっと詳しく知りたい方は、「クルマで安全にS字ハンドルを切る方法」をご覧ください。

方法4

逆180（Jターン）

1. 通常は停止した状態から行うが、狭い場所でも（8点ターンがなくても）向きを変えることができる。
2. この操作を適切に行うには、クルマを横向きにできる十分なスペースと、それ以上のスペースが必要だ。誰もいない駐車場かダートエリアで練習するのがベストだ（ダートなら同じスキルが身につくが、必要なスピードが少なくて済み、タイヤの摩耗も少ない）。
3. バックエンドを行きたい方向に向けて、エリアの端まで走る。時速10～30マイル（時速16～48km）に逆加速する。

   • FF車の場合、次のステップは簡単です。ハンドルを一方向に切り、フロントエンドのスライドを開始する。切り始めてすぐにアクセルを少し多めに入れると、少し楽になります。フロントが滑り始めたらすぐにブレーキを軽く踏んでニュートラルにし、ギアを入れる準備をする。
   • FR車の場合は、ハンドルを一方向に切ってフロントのスライドを開始するが、まったく同時にブレーキペダルをかなり強く踏み込む。ブレーキをロックさせないようにするが、これはリアタイヤでクルマがピボットするのを助ける。ニュートラルに入れ、ギアを入れる準備をする。
4. スライドが半分ほど進んだらすぐにギアを入れ（ドライブ）、アクセルを踏む準備をする。行きたい方向に向いたらすぐにアクセルを踏み、ハンドルで走行角度を微調整する。
5. 両方向にスピンする練習をしておくといい。また、滑り出しのアクセルとブレーキの量を変えて試してみること。
6. ニュートラルに入れるのが遅かったり、ギア（ドライブ）に入れるのが早すぎたりすると、トランスミッションを壊してしまう可能性がある。

方法5

タイトなターンを素早く

1. タイトなターンをすればするほど、その速度は遅くならざるを得ない。しかし、うまく立ち回り、相手よりも速くターンをすれば、有利になる可能性がある。
2. 練習のために）駐車場のライトポスト（コンクリートの土台がある背の高いもの）のまわりをタイトに左折するとする。
3. 練習するときは、車の両側にコーンを置いて道路に見立てます。
4. 曲がり角に差し掛かったら、できるだけ右に寄ってください。ブレーキを使うタイミングはできるだけ遅くし（上記のブレーキのかけ方を読んでください）、できるだけ直線をキープしてください。曲がると車のスピードが落ちますから......ゆっくりです。
5. 90度ターン（またはそれ以下）の場合は、右から行ってコンクリートにぶつからないように近づき、ターンをできるだけ右へ抜けるという単純な方法です。これが可能な限り直線的なラインとなり、当然、最速のラインでもある。
6. 90度から135度のターンの場合は、車の協力が必要かもしれない。ここでも右からアプローチするが、今回はハンドブレーキ（あれば）を使って車の後部を回す。ハンドブレーキを長く使いすぎるとスピンしてしまうので注意。ハンドブレーキが使えない場合（足踏み式のEブレーキを装着している場合）は、少しゆっくりコーナーを曲がるしかないので、90度ターンの指示に従ってください。
7. 135度以上曲がる場合は、Eブレーキターンが必要です。通常のターンほどスピードを落とさず、ターンを過ぎて数フィート（5フィート以上）走行する。まだそこそこのスピードで直進しているうちに、Eブレーキを引く。リアタイヤがロックしたら、ハンドルを左に切る。車のバックエンドがスピンし、元のコースからほぼ180度向きを変える。Eブレーキを解除して走り出す。
8. FR車やAWD車でこれらの操作を行う場合、ドリフトスタイル（加速しながらバックエンドをスライドさせる）であってはならない。バックエンドを "整頓 "することが、コーナーを曲がる最速の方法なのだ。バックエンドが振り切れるほどパワーでタイヤが滑っている場合は、アクセルを踏み込みすぎている。

方法6

パシュート・インターベンション・テクニック（PITマニューバー）

1. PITマニューバーは、世界中の警察で使われている方法である（Precision Immobilization Techniqueとも呼ばれている）。 高速走行中の車両は、物理学と空気力学の法則により、低速走行時よりも本質的に安定していない。また、車両後部は車両前部（特に加速時のFR車）よりも基本的に安定性が低い。
2. PITマニューバーを行う前に、A車がB車に後方から接近していると仮定する。速度が速ければ速いほど（フリーウェイの速度）、A車が有利になる。
3. A車はフロントクォーターをB車のリアクォーターに近づけようとする。スタート距離が長すぎるとA車に危険が及ぶ。
4. 時速70マイル（110km/h）以上であれば、B車はA車から強いキスをする程度で済むが、時速40マイル（64km/h）近くでは、A車はB車のリアに強い衝撃を与えるために、フロントエンドを少し犠牲にする必要があるかもしれない。
5. A車が最初のタップを十分な力で与えれば、B車のバックエンドはスライドするはずです。A車は追従しすぎてコントロールを失わないように、まっすぐ走る必要がある。同程度のクルマ同士であれば、A車は常にB車よりも速く減速できるはずです。
6. B車がコントロールを取り戻すのに十分なほど減速したら、すぐに走り去ろうとすることを覚悟してください。FF車の経験豊富なドライバーなら、驚くほどのスピードで復帰し、元の方向に走り去ることができる。FR車の経験豊富なドライバーは、車両がほとんど減速した時点で、おそらく最初の追跡とは逆方向に加速しようとするだろう。AWD車はどちらの方向にも行けるかもしれない。

   • これは非常に難しく危険な操作であるため、訓練を受けた者のみが行うべきである。
   • この操縦の詳細については、「自動車での追跡介入テクニック（PITマヌーバ）の使い方」をお読みください。

この記事は、CC BY-NC-SAで公開されている「 How to Drive Tactically (Technical Driving) 」を改変して作成しました。特に断りのない限り、CC BY-NC-SAの下で利用可能です。