伝統と革新(K2)

ページ名:伝統と革新_K2_

登録日:2023/5/24 (曜日) 10:00:00
更新日:2023/06/01 Thu 02:15:24
所要時間:約 5 分で読めます


【概要】
『伝統と革新』とは、医療マンガ『K2』の第271話のエピソードである。1話完結。
主人公の医師たちが、突如目の前で発生した事故現場で、物資も環境も欠しい状況での施術を強いられるが…?


後述の理由で、シリーズの中でも特に評価の高いエピソードの一つでもある。


以下、ネタバレにご注意ください





【前半のあらすじ】
伝統的な組紐作りを受け継いできた組紐工房「中島屋」。
その跡取り息子である総太は、自社製品の営業に出ていた。
しかし、企業からは品質自体は素晴らしい物であることは認められつつも、
「そもそも現代では日本人は和服を着ないため高級な組紐自体の需要がない」「量産に適さずコストが嵩む」と断られ続けてしまっていた。


一方、主人公の「ドクターK」こと神代一人と彼の弟子の和久井譲介は、以前彼らが手術をした患者の術後の様子を、入院先の総合病院へ確認しに来ていた。
経過が順調な様子であることを知って安心した2人は、皆から「社長さん」と呼ばれている老人患者のところへ、娘や孫がお見舞いに来ている所を目撃する。


その後、総太と譲介はカレーまんを買いに、社長さんの娘はプリンを買いに、同じコンビニへ入店した。
が、ちょうどその時、コンビニに1台の車が猛スピードで突っ込む事故が発生。
社長さんの娘が首の頸動脈を損傷する重傷を負ってしまった。
出血がひどく、救急車を待つ余裕もない。
一刻を争う事態に、一人達はその場で血管の縫合処置を始めようとしたが、午前中の往診で傷口を塞ぐための縫合糸を使い切ってしまっていた……。



【主な登場人物】
神代 一人
本作の主人公のひとり。2代目ドクターK。
今回は術後の患者の様子を確認しにきており、アフターケアもきちんと行っている所が描かれた。
暴走した車をとっさに回避するという何気にすごいこともしている。
目の前で起きた交通事故について患者に緊急処置を行おうとするも、必要な糸が無く苦戦させられるが…?
なお、残念ながら今回は「ギュッ」は無し。
譲介がコンビニで買い物してる間、あの格好で外のベンチに座っている光景がとてつもなくシュール


和久井 譲介
一人の弟子として、医学を学んでいる青年。
一人に付き添って現場の見学に来ていた。
その後、コンビニにカレーまんを買いに行っており、最後の1個を総太から譲られ無事ありつくことができた。
事故があった時には危うく轢かれそうになるもこれを回避、救急車を呼びつつ一人の緊急手術をサポートする。
そしてエピソードの最後では……


中島 総太
組紐工房「中島屋」の跡取り息子。
組紐についてあちこちに営業をかけるも断られ続けており、やはり時代遅れなのかとあきらめかけていた。
一人に商品について尋ねられた時にもスラスラとセールストークが出てきていたことから、かなりの数を回っていたことがわかる。
外回り中にコンビニでカレーまんを買おうとするも最後の1個だったため、譲介に快く譲っていた。
その後、事故に巻き込まれ、ケガこそなかったものの見本品をぶちまけてしまうのだが、これが思わぬ展開につながってゆく。


荒木 竹士
「せ……先生…!娘は……?!」


みんなから社長と呼ばれている老人。
人当たりがよく気さくな人物で、よく娘や孫がお見舞いに来るなど慕われているようだ。
なんの会社の社長なのか、そもそも本当に社長なのかも不明。
リハビリ中で満足に歩けないらしく、娘の手術にも車いすで駆け付けていた。


竹士の孫
「ねぇ、私、プリン食べたい!」


竹士のお見舞いに来ていた。
祖父の病室にあるプリンを食べたいと、おねだりしていた。


竹士の娘
「あれはおじいちゃんの!帰りにコンビニ寄ってあげるから」


同じく、竹士のお見舞いに来ていた。
プリンを買いにコンビニに来た所を暴走車に突撃され、首の頸動脈を切断する大けがを負う。



【後半のあらすじ】
竹士の娘を救うため緊急処置を開始する一人。



「もうすぐ脳虚血と出血性ショックが起きる!あるものでやるしか……」
「…!」


どうにか血管を繋ぐための糸を調達できないかとコンビニ内を見渡した所、総太の持っていた組紐糸を発見する。
総太の説明で生糸であることを確認すると、何もないよりはマシ、とそれで処置を開始するのだが……


職人技によって組み上げられた糸はその細さからは想像できないほどの強さと滑らかさを発揮、切断してもささくれもない。
この状況で思いがけず手に入った素材の上質さに、一人は驚く。
この糸のおかげで、「事故で破損したコンビニの中」という極めて困難な状況であっても、一人はきっちりと血管を縫合できたのだった。
応急処置の後、病院にて改めて処置を行い、患者は無事一命をとりとめたのであった。


術後、緊急時とはいえ勝手に糸を使ったことを謝る一人に対し、
総太は「お役に立てればそれでいいんです」「どうせもう……人には必要とされてない糸なんですから」と寂しげに返す。
そんな様子を不思議に思う譲介。


後日、組紐工房「中島屋」に、無事退院した荒木家族と譲介が訪ねてくる。
首元にスカーフをしてはいるものの、患者には特にこれといった後遺症もなく、無事に快復したことを喜ぶ総太。
てっきり糸を提供した御礼に来たものだとばかり思っていた総太だったが、老人は自分が医療器材を取扱う商社「(株)ARAKI」の代表取締役であることを明かす。



「こちらの糸は 生糸の滑らかさに加え 縒りをかけることによって強度を併せ持つ……
どこにも負けない糸だと僕の先生もおっしゃっていますよ」


「おたくの組紐の技術ならば 世界一の医療用の糸も夢ではない!」
「どうか我が社とご契約を!!」


なんと譲介から事故当時の状況を教えられた社長が、その組紐糸の技術を元にした新たな医療器具の開発を提案してきたのである。
受け継がれてきた伝統技術が、思いがけない形で新たなる用途を見出されたことに、総太は涙ながらに感謝するのであった。


譲介はそんな様子を横目に、クールにその場を立ち去るのだった。



「カレーまん……譲ってくれたお礼だよ」


【余談】
1話読み切りでありながら、話がよくまとまっていることから評価が高いエピソード。
なにせ、場所にしても、中島屋、室井総合病院、カドイ紡績(総太の営業先)、コンビニ、搬送先の病院の手術室前、とコロコロ移り変わり、
さらに登場人物も上記の人物も含め、セリフがあるだけでも15名も登場している。


にも関わらず、K2に関する知識がなく、このエピソードから読み始めた人でも内容の理解に全く支障がないように話が整えられつつも、
それでいて、緊張感ある手術シーンや感動しつつも心温まるラストシーンも揃っており、これらがたった20ページに収まっているのだ。
長ったらしい医療用語の解説等もなく「試しにK2を1話読んでみたい」という人にオススメできるエピソードの一つと言えるだろう。


もちろん、最初からK2を読んでいる人にも印象深いと言える。
やんちゃだった譲介が「人間として成長中」ということが直にわかるからだ。


なお、組紐が題材になっている理由は、おそらくこの話の掲載当時に映画『君の名は。』が大ブレイクしていたためだと思われる。



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[部分編集]
「K2エピソード項目」……これを機にもっと増えていってくれ -- 名無しさん (2023-05-24 14:52:32)
確か「君の名は。」が大ブレイクしてた時だから組紐のネタになったわけだけど、単にそれだけではない人情味溢れるエピソードになってるのがいい。 -- 名無しさん (2023-05-24 18:01:32)
K先生が糸に感心するシーンとかあったりと、いろんな意味で普段のK2とは違う雰囲気のエピソードでもあるのよね -- 名無しさん (2023-05-24 21:42:18)
作品項目のコメント欄で相談してる人はいたけど、正直初エピソード項目としてこれが取り上げられるとは思ってなかった。 -- 名無しさん (2023-05-24 22:09:23)
↑K2はかなりガチよりだから名エピソードほど、アニヲタWikiの医療・医学関係の項目は医療漫画の場合軽く触れる程度を越えそうなレベルに追記したい要素がやまほど増えるからな…未病のメスとか -- 名無しさん (2023-05-24 22:13:24)
カレーまん 譲ってくれた お礼だよ 譲介心の俳句 -- 名無しさん (2023-05-26 22:55:05)

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