響〜小説家になる方法〜

ページ名:響_小説家になる方法_

登録日:2022/09/14 (水曜日) 1:39:10
更新日:2024/06/27 Thu 10:28:12NEW!
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私は、曲げない。


少女の名は響。


「天才」とは彼女のための言葉。


概要

『響〜小説家になる方法〜』は2014年18号〜2019年21号まで「ビッグコミックスペリオール」にて連載されていた漫画作品。作者は柳本光晴。


天才少女・鮎喰響の高校3年間に渡る活躍と軌跡を描く。


響は10代半ばという年齢ながら、他を凌駕する文才を誇る正真正銘の天才であり、彼女が描く文筆は他者を魅了し、多大な感銘を受けさせる。
しかしながらその一方、己の芯は決して曲げない性分故に、自身や近しい人物が不条理に直面すると、常識や世俗を顧みることなく暴行や器物損壊といった暴挙で加害者を成敗するという凶暴性を併せ持っており
そんな彼女の圧倒的な才覚と大胆な行動力に世間は驚愕し、圧倒され、そして翻弄されることになる。


天才・鮎喰響の大才と予想もつかない暴挙と奇策で理不尽に立ち向かう姿に、周囲の人々が驚愕し、同時に魅力されていく様を描く。
そのため良くも悪くも劇中では終始もっぱら響の活躍に焦点が当てられており、それ以外のキャラクターは彼女の引き立て役や狂言回しな立ち位置で、ぶっちゃけ印象が薄いのが特徴
また物語後半では響のブランドが確固たるものとなったことで、それに目を付けた大手TV局の敏腕プロデューサーや次期総理大臣候補の政治家、実力派の漫画家などといった各界の大物が自身の野望達成のために利用しようと目論み、これに対して響が如何にして切り抜けるかにシフトしていく。
しかしながらそんな敵対者たちも、単に私利私欲のためだけでなく、自らの信念に基づいて行動しているという心情が描写されており、奇しくもその傾向はある種響に重なることから、互いの信念を懸けた闘いと言えよう。


無論そればかりではなく、響が抱き、そして度々口にする創作観も見所の一つであり、
それは肩書きや世間体に囚われがちで最も大切なことを忘れつつあった者たちの心情を揺さぶっていく。
小説に限らず、何かを世に生み出したいと思っているクリエイター志向の人にもおすすめな一作と言える。


2017年には「マンガ大賞」を受賞し、翌2018年には『響-HIBIKI-』というタイトルで当時「欅坂46」のメンバーだった平手友梨奈氏を主演に起用し実写映画化した。


ストーリー

出版不況に悩まされる現代の日本文藝業界。


編集者たちが活力を失いつつあった中、小論社の木蓮編集部に勤める若手編集者の花井ふみは「これはスターが現れる前兆ではないか」と予見し寧ろ意気込んでいた。


そんな中、木蓮編集部に一つの新人賞応募作が届き、それに目を通したふみはその作者の圧倒的な文章に魅了される。


その小説のタイトルは『御伽の庭』、そして作者の名は「鮎喰響」。


これこそが、日本の文藝界、引いては社会全体を翻弄する天才・鮎喰響の活躍の始まりであった。


主な登場人物

  • 鮎喰響

演:平手友梨奈


「文句があるなら私にどうぞ」


本作の主人公。物語開始時点で15歳の高校1年生。
周囲とあまり馴れ合わず、普段から身なりを着飾ることもない一見すると大人しめな印象のある少女。


その実は他とは一線を画す才覚を秘めた文字通りの超天才*1であり、特に文才に関しては見た者全ての心を動かせる程人智を超越した能力を誇る


しかしその一方、自身にとって理不尽、非常識と感じた事象には暴力や器物損壊などといった暴挙で対抗する凶暴性を併せ持っており、無論その現場を目の当たりにした者は驚愕し、凄まじい印象を抱かせる。
然も彼女が働いた暴挙の中には、公共の場やTVの生中継など、目撃者が大勢いた場合もあり、当然それらは現実世界でやらかせばどれも傷害罪や器物損壊罪に該当するものばかりだが、なぜか劇中ではその件で訴訟を起こされたり、警察のお世話になったことは一度もない


だが本人が暴挙を働く真意は、単純に怒りを覚えただけでなく、自他共に妥協を許さない彼女自身の性分にある
そのため暴挙によって自身が損害を被ることも躊躇していない節がある他、中には結果的に事が快方に向かった事例もある*2。故に響の暴挙を目の当たりにした人物の中には、動揺こそしつつも「カッコいい」と憧憬する者も居り、如何に劇中で働く暴挙が覚悟の決まった行動であるかを表していると言える
暴挙を受けた人物らが被害を訴え出ないのも、こうした彼女の行動力、姿勢に驚愕し同時に感銘を受けたことで、潔く自身の負けを認めているためである。


ただしこの傾向は必ずしもプラスの面ばかりに働くわけでもなく、他方では様々な人物が響の暴挙が起因する災難に遭っていることもある*3
例えば響の暴挙の後始末(もとい尻拭い)は毎回ふみが担うのだが、上記のように大規模なイベントの真っ最中というケースもあるため、事後にその関係者たちへ謝罪に回るなど凄まじい苦行を強いられる羽目になる。
また全国高校文藝コンクールに参加した際には、授賞式に参列した政治家が響の正体を明かそうとし、それを阻止するために当人を暴行したことで、別の受賞者の女子生徒が「自身の最後の晴れ舞台を台無しにされた」と憤り式の後彼女から直に抗議を受けたことがあった。
そもそも彼女の暴挙が結果として罷り通っているのは彼女自身の人智を超越した才覚があるのを前提としている部分もあるため、言い換えば自身の圧倒的才を盾に、それによって起こる周囲への影響など一切顧みることもせず己の意見を強引に押し通している、という見方も出来る*4


良くも悪くも、圧倒的才覚と妥協を嫌う性分が両立した人格と言えるだろう。
またこれ故に、劇中で響の台詞がモノローグで述られる描写は一切としてなく、全て彼女自身の口から直に発せられている。


妥協を許さない性分は創作観にも現れており、一つに作品を読まずに賛否問わず勝手な評価をされること嫌う
一例に自身と同じく木蓮の新人賞を受賞した若手小説家が「文壇はガキの遊び場じゃないんだよ、どうせ話題性だろ?読まないでもわかるわ!」と授賞式の控え室で暴言を吐いて来た際*5、後述のような苛烈な仕返しをした後で「つまらないと言うのは構わない、でもちゃんと読んで判断しなさい」と反論している。
この他、自身のライトノベル小説の挿絵の担当となったイラストレーターが、同作を軽視しイメージとかけ離れたキャラクターイラストを描いて来た上「自分に描いてもらえるなら5割の力でも構わない作家は幾らでもいる」と豪語した際には、「モノを創るのに何割とか言う奴が本当にいたのなら、そいつは作家じゃないから相手にしなくていい」と説き、当人を根負けさせイメージ通りのイラストに描き直させたこともある。


このことから、彼女は肩書き、名声、営利よりも如何にして読んでもらえるか、そして見た人がどのような感想を抱くかを何よりも重要視していることがうかがえる
また『御伽の庭』は世間から傑作と評され、同作で後述のような輝かしい功績をいくつも刻んだが、それでも尚響自身は「まだ傑作を書いた覚えはない」と述べており、デビュー時点で文章能力は既に向かう所敵なしな劇中最高クラスにありながら、創作意欲と上昇志向も凄まじい。
それだけ小説に愛着と情熱があると言える。
ちなみに作風はデビュー作である『御伽の庭』を始め、死生観を主に題材とする傾向がある。


以上を見ると年齢離れしたハイスペック人間という印象を抱くが、自身が好きな小説家と対面すると有頂天になって感極まり、握手を求めてくるなど、かなりミーハーな一面がある。
というか、上記の大才と性分を除けばぶっちゃけ年相応な等身大の女の子だったりもする
体育の授業の徒競走では単純にやる気を出していなかった可能性もあるが他の女子生徒と比較してタイムが遅かったことから、運動は苦手と思われるじゃああの腕っ節の強さはなんなんだよ。他にも、絵も結構下手*6


高校2年時の身体測定で計測された身長及び体重は154.1cm、42.8kgと小柄で華奢な体躯*7
その上普段は身なりを着飾ることもなく物静かな印象を受けるため凶暴性も手伝って劇中ではあまり言及されることもないが、木蓮の新人賞受賞式にロリータファッションを上手く着こなして出席したり、大手TV局の敏腕プロデューサーが密かにアイドルデビューをさせようと画策したりと、容姿そのものは端麗な美少女である。


なお、他者との交流は消極的な割に交友関係は幅広く、例えばクラスメイトや高校で所属している文芸部の部員たちとは、学園祭のクラスの出し物を一緒になって盛り上げたり、テーマパークや動物園に遊びに行ったりと、結構仲が良い。
当人もそうした友人たちのことを大事に想っているようで、実際劇中で働いた暴挙の中にはその友人らが危害を受けたことが発端となったものもあるなど、義理人情に厚いところもある。
中には暴挙が切っ掛けで親しくなった者もおり、大物の小説家数名や大手TV局の敏腕プロデューサー、果ては現役の総理大臣すら手玉に取っている。なんだこの人たらし。
家族構成は父、母、兄の4人家族。
響の性格は両親を受け継いだ賜物といえ、一つに彼女の信条である他者に妥協を許さぬ性分は父親譲り。
彼は普段は市役所で働く生真面目な公務員だが、ふみが『御伽の庭』の売り上げ金額を説明するために自宅を訪れて来た際、「1億4千万円という破格の大金を年幾許ない響に持たせるわけにはいかない」という主張を断固として崩さず、「響の小説に対する正当な額」というふみの反論に対して「正当かどうかあんたらが勝手に決めるなよ」と逆に凄み、「確かに響きの親だ…」と彼女を恐れ慄かせた。
母親は響のことを「ひーちゃん」と呼んで本人が正直鬱陶しいと思うほど溺愛しているなどかなり天然で表裏のない明朗な性格であり、劇中で見せる天然さはこの母譲りであると言える。
また幼馴染に後述の椿諒太郎がおり、響とは幼少のころから現在に至るまで家族ぐるみで付き合って来たことから、彼は家庭外の保護者と言うべき存在である、のだが…


高校一年時の初めに『御伽の庭』を木蓮新人賞に応募し、新人大賞を受賞。
そして同年の芥川賞と直木賞にも同時に、それも史上最年少の若干15歳で受賞するという大快挙を成し遂げる
その後、確固となったその多大なるブランドを利用しようと目論む各業界の大物たちと相対するが、意表を突いた策でこれらを退けていき、高校卒業後は更なる飛躍のためにイギリスへと留学した。


  • 自身に「殺すぞ」と脅してきた先輩の男子生徒の小指を「殺すと言われたから殺されないようにするために」思いっきりへし折る

  • 凛夏ととある小説を文芸部の部室にある「面白い本棚」と「つまらない本棚」どちらかに置くかで争い、終いにはその本棚の片方を薙ぎ倒す

  • 凛夏の自宅に遊びにきた際、勝手に凛夏の父親・祖父江秋人の書斎に入り込み、その後部屋に入ってきて自身を追い出そうとしたふみと取っ組み合い、結果書斎を滅茶苦茶にする*8

  • 凛夏にセクハラをしていた芥川賞作家の鬼島仁の顔面を蹴り飛ばす

  • ↑の後の夜、泊まっていたふみの自宅から彼女のスクーターを無断でパクって運転し鬼島行きつけのバーへと向かい、目的地に着くと店内へ乱入し鬼島に対して「今のあなたの小説はつまらない」と言い放つ*9(完璧な無免許運転で、しかもこのスクーターは酒場に到着した際に駐車に失敗して横転し電柱と激突して御釈迦になってしまったふみは響にスクーターの弁償を迫るくらいはしてもいいと思う)。

  • 木蓮新人賞授賞式の直前に控室で上記のように自身に大人気ない嫌がらせをしてきた同じく受賞した若手小説家を、式本番の最中にパイプ椅子で何度も殴打*10

  • ↑の帰路の際、その若手小説家を尾行し電車内にて式での暴挙を公言しないよう脅迫。

  • 路上で強引にインタビューをしてきた悪質な週刊誌記者のカメラを奪い道路に投げ捨てて破壊。その後、その記者の自宅に押し入り自分のことを記事にしないよう脅迫する。

  • 芥川賞&直木賞の授賞式で、同行したふみへ「『御伽の庭』の作者は本当はふみで響のゴーストライターではないか」という失礼な質問をしてきた記者*11マイクを投げつける(無論式はその場で即中断)。

etc.....



  • 祖父江凛夏

演:アヤカ・ウィルソン


「私は狙ってるよ、芥川」


響の一学年上の女子生徒で、文芸部の部長。
いわゆる「ギャル風」な見た目をした派手な容姿*12をし、性格も社交的且つ快活でリーダーシップに溢れ責任感もある、響とは対照的な人物。
父親は作中の現代日本随一の文豪である祖父江秋人。母親はフィンランド人のハーフである。
父への憧れから幼い頃より小説家を夢見ており、かねてより「リカ」のペンネームでネットに自身の小説を投稿するなどして活動していた。
そんな折、2学年に進級した際に響と出会い、彼女の突拍子のない行動を見て驚愕。
更に響が部誌制作のために寄稿した小説『千年楼』を読み、その多大なる才覚に愕然とする。
その年の秋に『四季降る塔』で本格的に小説家としてデビューし、ペンネームも本名の「祖父江凛夏」に改名。
同作でその年の芥川賞に臨んだが、ノミネートすらされなかった挙句、響からは「つまらない」と酷評されてしまう。
しかし父・秋人から「手放しで褒められる内容ではないが、自分だったら"面白い方の本棚"に入れる」と励まされたことで立ち直り再起を決意。
翌年、第二作『竜と冒険』を出版しこれも同年の芥川賞にノミネートは外したが、反響は大きく『四季降る塔』の重版も決定したことでモチベーションは益々上がり、高校卒業後、母の母国であるフィンランドに単身留学した。


劇中では卒業までふみや諒太郎共々響の保護者やフォロー役としての役割が多い他、彼女の才覚や人物性をモノローグで評する狂言回しな立ち位置にある。
また劇中で芥川賞にノミネートされることはなかったが、本格デビュー前でもかなりの評価を得ていたことや、上記のように秋人から『四季降る塔』を絶賛されたこと、『竜と冒険』の世間での反響の大きさを見るに、彼女自身も若くしてかなりの文才を持つ実力者であったと言える。身も蓋もないことを言えば、響がチートすぎるだけ



  • 花井ふみ

演:北川景子


「なんかこういうの…スターが現れる前兆って気がしませんか?」


小論社「木蓮」編集部に勤める新米女性編集者。
他の編集者らが出版物の売上低下に嘆く中、上記のようにこの状況を寧ろ「スターが現れる前兆」と捉え一人やる気に満ちていた。
ある日、木蓮編集部に新人賞応募作として届いた『御伽の庭』に一人だけ興味を示し、同作を読みその類稀なる文才に衝撃を受ける。
やがてその作者である響と邂逅すると、彼女が自分の求めた「文藝界の革命家」と確信し、以降響の担当編集者兼保護者として頭角を現していく。


響の担当編集者という立場上、彼女が行く先々で起こす暴挙の後始末もとい尻拭いは毎回ふみが行う羽目になるため、劇中一番の苦労人である特に自身のスクーターを勝手にパクって運転した挙句軽く事故って損傷させたことに関しては損害賠償を請求してもいいレベル
しかしながら「響を通じて文藝界に革命を齎す」という並ならぬ野心故、彼女がイギリス留学で日本を離れるまで響の担当編集者を務め上げた
他の編集者であれば直ぐに降りても致し方ないことを考えると、響の大出世は彼女の功績といっても過言ではない
見方次第では本作は、ふみが編集者として文藝界に革命を齎し立て直していく物語であるとも言える


尚、響の存在で霞がちだが彼女自身も目的のためなら手段を選ばないところがあり、時に突拍子のない行動に出ることもある。
その最たる例が、『御伽の庭』の作者が響と確信し、彼女の通う高校で再度響と対面した際なのだが、
なんとふみは自身の近くを通りかかった女子生徒を捕まえ説得し、彼女から拝借した制服を着て生徒に成りすます、というトンデモ奇策で学校の侵入に成功した*13。無論これを見た響と凛夏はドン引きしている。
これを見ると、彼女が担当編集者として響と付き合っていけるのは必然だったのかもしれない。



  • 椿諒太郎

演:板垣瑞生


「俺は…響には普通に幸せになってほしいんです」


響の幼馴染の男子生徒。幼少の頃から彼女とは家族ぐるみで付き合ってきたためか、日頃から響のことを気に掛けている。
故に凛夏やふみと同じく彼女の保護者とといえる立ち位置にあるといえるが、小説に関することは無知らしく、主に私生活面でフォローしている。
成績優秀、スポーツ万能な上に容姿はイケメンであり、また社交的で誰に対しても物腰柔らかに接することから校内では生徒、教師共に評判は良く、多数の女子生徒たちから連日熱烈なアプローチを受けている。俺ら涙目
しかし本人は学校成績を優先しているのと、響への想いからそれに関してはやんわりと受け流している様子。
上記の台詞のように、彼は数多の文豪が非業な最期を迎えていることから、響は小説家にならずなるべく平穏無事な生涯を送ってほしいと望んでいる。そのため彼女の文藝界での躍進には内心快く思っていない節がある。
そのため響のフォローには一際熱心且つ献身的になっており、彼女が悪質な週刊誌記者を成敗しに単身東京都の練馬区まで出向き、その後帰りの電車賃がなく途方に暮れていた際には、響の行動を察して迎えに来たこともあった。


そんな彼だが、物語が経るにつれて響への愛着が常軌を逸したものだったことが明らかになる


まずコイツの自室。
その自室の壁には、四面360度びっしりと響の幼少期から現在に至るまでの写真が大量に貼り付けられており、然も部屋に入る度にその多数の響の写真に密着し彼女への想いに浸るという側から見れば気持ち悪いこの上ない変態行為に耽っている(人にもよるだろうが、このシーンは正直生理的嫌悪感を覚える)。


更に恐ろしいのが当人はこれを至って普通のことと確信しきっていることであり、他者からそれを「異常」と指摘されても「何言ってんだお前」お前が何言ってんだよという感じで自身の響に対する病質的な思慕を肯定し反論もとい逆ギレする有様である*14
しかもなんと自分と響が結婚することも当然と然も当たり前のように信じ切ってもいるようであり実際その通りなのが悲しいところ、学校の学園祭で文芸部の部室にて凛夏の父である祖父江秋人と相対した際に、それを聞かされた彼から「お前気持ち悪いな」ドン引き断言されている。
秋人の口調こそ辛辣ではあるが、はっきり言おう。ド正論である


要は、諒太郎は自身がしている響へのストーカー行為を当然のことと認識しきっており、それを「異常」だと指摘してくる周囲の方が「寧ろ異常」だと思っているのである完全に異常者


ちなみに最大の被害者の響自身も諒太郎にここまで病的な好意を向けらていることは把握しているが、彼の自室に入った際に部屋に貼り付けられている自身の数多の写真を見て呆れた素振りをしたこと察するに、どうやら彼女本人も内心不快に思っているのがうかがえる当たり前だ


このことから、諒太郎は響とは別ベクトルの問題児で、尚且つ劇中随一の狂人と言える(しかもその自覚が一切ない)。
こいつに好意を抱いていた学校の女子たちが正直哀れに思える…。


思えば、響というトンデモ問題児と長きに渡って付き合えているような人物がまともな性格をしている筈がなかったのである


なお、物語序盤でふみが文芸部の部誌に掲載されていた諒太郎の小説を読んだ際に「夜中に猫とかいじめてそう」、「文体が癪に障る」と彼を内心揶揄していたが、
恐らくこれはこいつのこの悍ましい本性を示した伏線であったのだろう。


「小説家になった響の将来が不安」とか言ってたけど、その響に不幸を齎すのお前になるんじゃないのか?


実写映画

2018年9月14日に公開。主演は上記の通り、当時「欅坂46」のメンバーだった平手友梨奈氏。女史の女優デビュー作にして、初主演作でもある。


ちなみに平手氏は作者である柳本氏直々の指名で響役に決定したという経緯があり、それ故氏は平手女史が演じる響に太鼓判を押している。


興行収入は5.5億円とヒットとは言えない結果になった一方で、作品自体の評価は高い傾向にあり、平手氏は本作で同年の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、女史の出世作となった。


実際に本作を鑑賞した原作ファンからの評価も上々であり、中には「原作漫画よりも面白い」という評価さえもあるほどである






追記・修正は芥川賞と直木賞を同時受賞してからお願いします。



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  • 絵が途中から崩れたのってなんか理由あったんだろうか -- 名無しさん (2022-09-14 01:48:31)
  • 龍と苺でも思ったがこの作者エキセントリックな天才女子高生を主人公にするの好きだよな -- 名無しさん (2022-09-14 03:22:30)
  • この漫画、鮎喰響は脇役でむしろその周囲の関係者が主人公に据えられてる作品(笑うセールスマンとかキノの旅とかと似たようなタイプの主人公)で、その文脈が読み取れるかどうかで面白さが変わってくる -- 名無しさん (2022-09-14 05:43:06)
  • 響のエキセントリックは漫画的な誇張だが、巻き起こす騒動通して現在の文壇を冷徹に描けてたとは思う。有名人を◯◯賞の話題作りなんかそのまんまだったしな -- 名無しさん (2022-09-14 06:16:03)
  • 世紀に一人レベルの天才はこのぐらい破茶滅茶なので周りがちゃんとフォローしてあげましょうねって作品 -- 名無しさん (2022-09-14 13:59:40)
  • ベイマックス程じゃ無いけど、地味に映画の宣伝に恵まれなかった作品かもしれん。15秒のCMのうち半分以上暴力しか無かったような気が…。 -- 名無しさん (2022-09-14 18:06:20)
  • 作者の次回作龍と苺では天才主人公のイキリ感が上手いこと中和されて読みやすくなってる印象 序盤はキツいがそこさえ乗り切れれば -- 名無しさん (2022-09-14 21:03:06)
  • ↑なんだかんだ言っても自身の周りについてきてくれる人達に恵まれたのが響なら、いろいろな面から自身に立ち向かえる人達に恵まれたのが苺なんだと思う -- 名無しさん (2022-09-15 22:00:47)
  • 最終回だが、こんな問題児を一人で外国に行かせて果たして大丈夫なのか……?せめてふみさんとかが付いて行ってフォローするべきだったのでは……? -- 名無しさん (2022-09-15 23:28:53)
  • ↑留学前になんやかんやあって味方になった総理大臣が「海外でお前が問題起こしても日本政府が全面フォローするぜ」的なこと言ってたで。まぁ日本政府はふみみたいに頭抱えることになるだろうけど… -- 名無しさん (2022-09-17 12:25:02)
  • 実写映画版リアタイで観た時世の中の不可解に尤もらしく物申す響のエキセントリックさが最大限発揮されてるのが最高に良くて当時原作未読だったから「続編みたいな」って思ってたけど、そのあと原作読んだらその後の展開がイマイチパッとしない印象(相手が大物とはいえ敵が現れてはなんだかんだで響が勝利して仲間になるの繰り返し、途中でヤンデレストーカーだったことが判明した幼馴染も結局何もせずに終わった)だったし、オリジナル要素を入れるにしても作品の方向性が右往左往して迷走しそうなのを考えてると、1作で綺麗に幕引きして正解だったなと今では思ってる -- 名無しさん (2023-03-11 11:17:51)

#comment(striction)

*1 学力は高二時点で「国立も余裕で狙える」と担任教師から評されるほど優秀であり、高三時では数ヶ月勉強した程度でネイティブに通用するレベルの英語力を習得した。
*2 例えば凛夏にセクハラ行為をした芥川賞作家の鬼島仁を蹴り飛ばした際は、凛夏自身は暴行を咎めはしつつも結果的に助けてくれた響に感謝し、もう一方の鬼島はその後『御伽の庭』を読んだことでそれに感銘を受け改心し、却って響を慕うようになった。
*3 なお、本人はやや天然気質なところがあるのか、それを自覚していない節がある。
*4 実際自身が通う高校の生徒会長からは「好き勝手やって周りでフォローしてくれている人のことを全然考えていない」と指摘されている。
*5 ちなみにこの若手小説家は授賞式の前に自身のミスを注意してきたアルバイト先の店長に対して「自分はそういうのが苦手」と開き直った挙句「凡人」と罵るという大人気ない対応をして解雇されている。ガキは一体どっちなのだろか。
*6 12巻101話の扉絵より。ちなみに後述する響の母も、自宅に押しかけて来た報道陣にカーテンの隙間から(一体なんの意味があるのか)自身の描いた絵を見せたことがあるのだが、報道陣らはそれを「ネッシー」と思ったのに対し本人は「キリン」を描いたつもりだったようであり、どうやら絵下手は母親譲りであることがわかる。
*7 余談だが、実写映画版で響を演じた平手友梨奈氏の身長は165cmと、原作の響よりも大分長身。
*8 後述のように、実写映画版ではこの出来事の直後、ふみが響こそ『御伽の庭』の作者と気付く流れになっている。
*9 実写映画版では尺の都合かスクーターを運転するシーンはカットされている。
*10 しかもこの式ではロリータファッションを着て出席していたために、「ファンシーな格好の少女」と「バイオレンスな行動」というギャップが合わさった物凄い絵面になっている。
*11 原作では其々で別人であったが、実写映画版ではこの記者と上記の「路上で強引なインタビューをしてきた週刊誌の記者」と同一人物に設定されており、響との因縁深さが強調されている。
*12 原作は褐色肌で髪色は金髪であったが、後述の実写映画版では派手な外見は同様であるが、肌は色白で髪色はやや茶髪と演者の容姿がほぼそのまま採用されている。なお、原作の金髪は染髪ではなく地毛である。
*13 ちなみに実写映画版では尺の都合か、上述の様に凛夏の自宅で響と初対面した際に、凛夏が響の名前を発したことで「『御伽の庭』の作者・鮎喰響」と確信する、という流れに変更されているため、このシーンはカットされた。残念!
*14 このため、上記の自室に他人が入ることも特に気に留めていない。いや躊躇しろよ。

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