SCP-001-JP/Amamiel=Sanksの提言

ページ名:SCP-001-JP_Amamiel_Sanksの提言

登録日:2021/03/13 Sat 12:43:09
更新日:2024/05/27 Mon 09:24:50NEW!
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Welcome, O5-13. &today(format=m/d/Y),Your last working day.
This entry is SCP-001-JP. Please take your time.


Amamiel=Sanksの提言は、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するSCiPで、SCP-001-JPの提言枠の一つ。


オブジェクトクラスApollyon。S(確保),C(収容),P(保護)が全部出来ないというお手上げ状態に近いオブジェクトに付けられるもの。手の打ちようがない親戚には究極のメタオブジェクトとかがいる。


概要

SCP-001-JPとは、全人類に恒久的な精神活動停止を齎す、固有形而上空間の自発崩壊現象である。


いきなり難しい単語の羅列だが、固有形而上空間というのは、元記事から引用すると「潜在意識を含む人間の精神活動のホスト」、乱暴に言うと各人の見る夢の世界のことである。


この現象が発生すると、その世界に存在する全ての人間の夢、意識が崩壊して昏睡状態に陥る。その後現実世界での反応は無くなり、覚醒もできない。つまり二度と目を醒ますことが出来なくなる。
これはどんな人間でも例外は無く、一度発生するとコンマ01秒以内に脱出不可能になる。


当初はこの現象が発生した時、夢世界と共に自我も消失すると思われていた。まだそれだったら救いはあったのだが…


20██/██/██追記

SCP-001-JPが既に発生した並行現実*1に対して、形而上空間の走査試験、崩壊した夢世界の探索が行われた。そこで分かったのは、SCP-001-JPが発生しても、夢世界そのものは残るという事実だった。
というのも、普通基底現実から形而上空間にアクセスする(すなわち夢を見る)際、自分の夢世界に意識をつなぐのだが、肝心の夢世界が崩壊してしまうと元の肉体にも帰れなくなってしまうのだ。


現実世界に戻れない代わりに夢に閉じ込められるという事だが、それがエロゲーのような世界観だったら余程良かったかもしれないが、現実は残酷だった。


この閉じ込められる夢は、「醒めない悪夢」に喩えられる。解析の結果、この夢を見ている時の感覚は「全身をすり潰されるような痛覚」であるらしく、また精神世界であるが故、肉体、物理的な制限のない、実質無限大の苦痛を与えられる。
また、現実と夢の同期が取れなくなった結果、体感では現実の何倍もの時間(報告書では10の二桁乗倍、意識体が寿命を迎えるまでに三桁年かかる)を経験することになる。
※ 元記事では、この説明の際にかなりショッキングな画像が添付されている。閲覧には注意されたし。


要するに「千個の太陽が身体で爆発するよりも大きな苦痛が永遠に与えられる」という、頑張って現実を生きてきた者にとっては余りにも酷な仕打ちを受けるわけである。外部からは意識を救出することも、消滅させることも出来ていない。


発見と仮説、特別収容プロトコル

財団並行宇宙管理室(通称「MU-A」)の定期観測の中で、SCP-001-JPによるEK-クラス("人類意識消失")シナリオを経験した現実が確認された。
その数は三桁に上る。特にこの報告書が書かれた世界では、過去三カ月の間に、その近所の宇宙の多くが滅亡している。


財団はこの観測データから、SCP-001-JPは回避することのできない現象であると考えている。


この現象は何故発生するのか。仮説としては、形而上空間が寿命を迎えた、というのが有力である。
人類が使っている領域は、多数の知性体が使うには余りにも長く使われすぎた。しかも他の動物と比べて遥かに複雑に物を考える、ときた。そして崩壊を迎えた。


これが正しいとすれば、SCP-001-JPはあらゆる世界に普遍の、「知性種の世代交代イベント」と考えられる。実際、過去の財団世界、また並行世界における、あらゆる精神活動を行う生物はSCP-001-JPと考えられる現象で滅亡している。
つまり財団世界は(よしんばあれとかそれとかを回避できたとしても)終焉を迎えるということになる。


あらゆる知性種の精神が現実から切り離されてしまう以上、たとえSCP-2000を使おうが意味がない。生産したそばから昏睡してしまい、使い物にならない。逃れるすべがないのだ。
元の報告書が書かれた時点で、既に猶予はわずかしかない。SCP-001-JPの研究は、O5評議会の全会一致を以てレベルℵ高度優先対処事項、つまり財団に於ける最優先事項となった。


肝心の特別収容プロトコルだが、既にSCP-001-JPは現実を蝕み始めている。確保すら不可能なオブジェクトに対し、財団に残存する全てのリソースはSCP-001-JPの回避に使われることとなっている。クソトカゲとか緋色の鳥とか、今はそんなことに構っていられない*2


財団の明日はどっちだ。


追記・修正は、悪夢を見てからお願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

[#include(name=テンプレ3)]























…というのは旧版の報告書に於ける話。


補遺001.2: 救済計画とは

████/██/██、███博士により、SCP-001-JPを無力化し、EK-クラスシナリオを回避する計画が提唱された。
元記事では読んでいて目が回りそうな言葉が並んでいるが、ここでざっくりと言うと、夢世界を補強・修復して向こう数万年耐えられるようにするということである。


このシステムは、SCP-001-JPが発見されてからわずか3カ月後に完成された。
そのさらに一か月後、終焉対抗プロトコル・モルフィウム — 通称"救済計画" — が発動。SCP-001-JPは無力化し、オブジェクトクラスはNeutralizedに再分類。人類は新たなスタートを迎えた。


財団の明日は明るかった。


追記・修正は、昨日の夢を思い出してからお願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

[#include(name=テンプレ3)]
















+報告書に 1 件のメッセージが添付されています。















































まず最初に、O5名誉退任おめでとう。


君は財団職員として数多くの挫折や苦難を乗り越え、波乱万丈ながらもO5の座にまで上り詰め、そして無事、今日という最後の日までO5の職務を勤め上げた。
そのような立派な人物は、歴代のO5を見てもそう多くはない。ひとえに、これも君の奮闘と勤勉さ、そして財団職員としての使命感があってのことだろう。


そう、他ならぬ君が、最後の日にこの提言を目にしたのも何かの縁だ。君ほどの人物には事実を知る権利がある。君に知る覚悟があるのであれば、どうか次の報告書に目を通してほしい。


君より前のあるO5より


+ SCP-001-JP報告書にアクセスする


























画像出典:http://scp-jp.wikidot.com/amamiel-sanks-s-proposal , by amamiel, sanks269
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


"プロトコル・モルフィウムは正常に機能を継続しています"


SCP-001-JPは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するSCiPの一つ。オブジェクトクラスはNone。つまり存在しない。


真の概要

SCP-001-JPが指すのは、先ほど登場した"救済計画"に使用される技術のことである。現時点で、現実のあらゆるメディア、情報の内部にSCP-001-JPが潜伏している状態であり、しかるべき時が来ればいつでも発動できるようになっている。


このオブジェクトの影響下に置かれると、対象者は即座に昏睡し、二度と目覚めることは無くなる。そして、その人は長い夢を見る。


その夢は、現実と地続きになっているかのようにふるまう為、曝露した者は自分が夢を見ているという事にさえ気づかない。


夢の中で、各人は"自身が望む最良の人生"を歩むことになる。それはどんな思想、宗教、善悪の感覚も関係ない。たとえ暴力的、非道徳的だったとしても、それがその人にとっての幸福なら叶ってしまう。


もし君が順調に出世して普通に幸せな人生を送りたいと思っていたとしたら、その通りの人生となる。
はたまた素晴らしいアニメを全て見たい、若しくは自ら作り出したいと思っていたとしてら、君はそれを最高の形で体現することになる。
エロゲのような世界であれこれしたいと思ったり、FPSのような世界で無双したい、独裁者となって世界を統一したい、世界中の生物を抹殺したい、この世の富を全て自分の物にしたい、
…と思っていたとしても、その願望は全て思うがままに叶えられる。


これは、夢の中で大往生を遂げるまで続く。しかし、現実の時間の流れではたったの10のマイナス6乗秒でしかない。眠りについたその瞬間、最高の人生という劇を上映したと思ったら、一瞬で幕を下ろすのである。


夢人生を終えたのち、意識体は消失し、肉体は一切の反応を返さなくなる。所謂”脳死状態”になるのだ。研究の結果、「精神的な寿命を肉体的寿命より先に迎え、魂だけが死ぬ」という結論に至った。いつしかこの現象は"魂の昇天"と呼ばれるようになった。


発見経緯と運用

もともとこの技術は、全人類にすぐに効く情報操作の手段として研究されていた。しかし、研究が進むにつれ、"魂の昇天"という大きすぎる副作用があることが発覚、研究・使用計画は凍結された。


しかし、この危険を極まりないブツを使わなければいけないほど、切羽詰まった事態が発生した。それが、EK-クラス("人類意識消失")シナリオである。
終焉対抗プロトコル…そんなものは存在しない。先の補遺に書かれていた無力化の経緯は、O5-13が見ていた夢物語でしかなかったのだ。


本当の名前は、終焉受容プロトコル・モルフィウム — 通称"救済計画" —。真実を知る職員からは「敗北宣言」とも称される。発動すると、即座に頒布・曝露が開始され、ものの一分足らずで全人類に影響、そして"魂の昇天"が引き起こされ、財団の機能は全て停止する。後に残るのは、抜け殻となった肉体と、アノマリーだけ。


財団はまた負けた。しかし、その敗北は、全人類を幸せにする敗北だった。


補遺001.3: プロトコル・モルフィウム進展状況に関する定例報告


現時点において、SCP-001-JPの頒布は完了しています。


.
.
.
.
.


もう気が付いただろう。君は今、本来のSCP-001-JPの機能によって、夢を見ている際中にあるのだ。


そして、君の見る世界では既に解決済みとみなされていた件の"形而上空間の崩壊現象" — つまりは、君が最初に目を通していた方のSCP-001-JPだが — による終焉シナリオは、現実の世界では回避になど成功していない。今まさに我々の現実、我々の世界には、絶対的な滅びが迫りつつある。


だが安心してほしい。知っての通り、この夢の中で流れる人生の時間は、現実では1秒にも満たない。君がこの職を退いた後、数年もしくは十数年の余生を穏やかに過ごすための猶予も、十分すぎるほどに確保されているはずだ。


……


それとだが、私からも君への退任祝いが用意してある。君には、二つの"選択肢"を送ろう。


一つ。君は報告書を閉じ、記憶処理を受ける。そして全てを忘れて最良の余生を送り、夢物語の人生に幕を下ろす。


二つ。夢から目を醒まし、世界の終焉を見届ける。あるいは、残り僅かな時間で終焉に抗ってみるのも一興か。


好きな方を選んでくれて構わない。ただし、目を醒ましてSCP-001-JPの影響から脱するということは、形而上空間の崩壊に際して生じるであろう、"醒めない悪夢"とも称される長期的な苦痛を味わうことを忘れないでくれ。


……


君は幾つかの点で「なぜ?」と疑問を抱いたかもしれない。まあ、無理もない。こうして"目醒め"という選択肢を与えることも、ましてや退任祝いのメッセージなどを用意しておいたこと自体も、本来ならば何の意味もない行為だ。


そうだな、こう考えてくれ。この選択肢は「現実にて財団職員であった者が、最良であるはずの自らの夢中でも財団職員として在り続けた上、挫折と苦難の中に己が身を置くこともいとわず、最終的にO5評議会メンバーへと至るほどの手腕を発揮した」という、君のような非常に稀有な人物にのみ与えられる、ある種の"イースターエッグ"なのだと。


あまり深く思案する必要もない。こうして再生されているはずのメッセージにしても、敗北宣言とも言える悔恨の計画を実行せざるを得なかった中で入れ込んだ、ある意味では"犠牲となる同胞への手向け"でもあり、またある意味では"何もできなかった自らへの慰め"でもある、誰かが見つけるかすら怪しい単なる独り言に他ならないのだから。


……


長話が過ぎたか。


まあいい。選択を急かすつもりもない。夢物語とは言え、君の人生だ。じっくりと考えた上で好きな方を選んでくれ。


では、そろそろ私は、私自身の選択に従うとするよ。


どうか良い夢見を。もしくは、良い目醒めを。





夢の先には何があるのか。
醒めた現実には何が待ち受けているのか。


そのラストは元記事で、是非とも自分の目で確かめてほしい。


余談

「モルフィウム」というのは、麻薬・毒薬でもある鎮痛剤「モルヒネ」の別名と思われる。モルヒネを初めて発見した薬剤師ゼルチュルナーは、「夢のように痛みを取り除いてくれる」と、ギリシア神話に於ける夢を司る神「モルフェウス」にちなんでこの名前を付けた。



追記・修正は、最良の人生を思い浮かべてからお願いします。



SCP-001 Amamiel=Sanksの提言 - 末日の夢語り
by amamiel , sanks269
http://scp-jp.wikidot.com/amamiel-sanks-s-proposal


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  • 一週間経過しましたので、再作成いたしました。ルール違反してしまい申し訳ありません。 -- 項目作成者 (2021-03-13 17:03:14)
  • 待ってました! -- 名無しさん (2021-03-13 21:00:22)
  • 確か他にもあったよね、001で穏やかな滅び系。 -- 名無しさん (2021-03-14 20:06:52)
  • ↑ごめん途中で送られた。でもこっちはそのまま幸せなまま終わるのか、無謀でも現実に立ち向かうのかの2択があって、そこがまたすごいいいと思っ -- 名無しさん (2021-03-14 20:07:48)
  • 項目名から-JPが抜けてる? -- 名無しさん (2021-03-16 13:00:00)
  • そういえば他の支部提言もJPはついてないね。 -- 名無しさん (2021-03-16 14:12:23)
  • つけてもいいんだけど、つけると「存在しないSCP-001-JPの子ページになっちゃう」のよね まあ支部提言自体肥大化項目だからそこから分割してSCP-001-JP建てればいい気はする -- 名無しさん (2021-03-16 15:36:42)
  • 究極の記憶処理 -- 名無しさん (2021-03-17 03:53:14)
  • ↑2 救難信号の記事とかも似たようなもんだから別にjpつけてもいいんじゃないか? -- 名無しさん (2021-04-05 13:40:35)
  • 無力化されましたの補遺が単なるカバーストーリーとかじゃなくて「プロトコルでO-5が見ていた夢」なの面白いな -- 名無しさん (2021-04-29 22:53:57)
  • 元記事見に行ったらパッと見怖い画像出てきて最後の2択も怖くなっちゃった -- 名無しさん (2021-07-28 14:34:15)
  • ↑途中送信 これ選んだらちょっと怖い演出とかあったりします? -- 名無しさん (2021-07-28 14:35:01)
  • ↑ないよ。どっちを選んでも何処か美しさを感じられるような画像ですね -- 名無しさん (2021-07-28 14:44:18)
  • ↑ありがとう めちゃくちゃ良かったです -- 名無しさん (2021-08-05 15:09:19)
  • 大量の人類が使ったせいで寿命を迎えたんであれば、全人類が死んでO5-13だけが目覚めた世界ならしばらくはもちそうなものだけどそういうもんでもないんかな -- 名無しさん (2023-02-19 11:52:16)
  • ↑例えばもうすり減り切ったギアなんかは回転を超スローにしたところでチェーンを上手く回せないようなもんで、システム的に破綻が確定しちゃった後だから間に合わないんじゃないかな -- 名無しさん (2023-07-01 13:14:29)

#comment(striction)

*1 財団に於ける基底現実の概念として、「複数の現実」というものがある。平たく言えばパラレルワールドが存在するという世界観である。
*2 というか精神世界が崩壊したら、たとえこの二匹でも道連れになるだろう

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