登録日:2019/11/05 Tue 16:30:00
更新日:2024/05/13 Mon 10:49:49NEW!
所要時間:約 18 分で読めます
▽タグ一覧
スター・ウォーズ star_wars sw マンダロア マンダロリアン 平和主義者 理想主義者 オビ=ワン・ケノービ 銀河共和国 公爵 サティーン・クライズ ニュー・マンダロリアン 革新派 硬骨 中立星系評議会 焼け木杭に火が付いた 魚心あれば水心あり シーリー・タチ
「平和をうたい文句にする割に、人を傷つけるのは平気のようですね」
「非暴力を誓われた女性にしては、人が殺されかけても平静ですな」
「でも死ななかった! それにまだ謝辞を聞いていません」
「やれやれ。むかしとちっとも変わってない」
サティーン・クライズ(Satine Kryze)は、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。
クローン戦争当時の惑星マンダロアの国家元首、公爵の地位にあった。
種族は人間だが、マンダロアの文明に属する「マンダロリアン」である。
平和主義政策を掲げるニュー・マンダロリアン政府を率いた。
なお、マンダロリアンはもともと戦闘民族であり、その族長はマンダロアを名乗りとするが、彼女は後述のように旧マンダロア文化からの脱却を訴えた人物である。そのためマンダロアの称号は用いていない。
【人物】
◆風貌
「お久しぶりです。一段とお美しくなられた」
「裏切り者と非難する相手にお世辞ですか」
面長でやせぎすの女性。金髪碧眼の白人。
年齢は不明だが、オビ=ワンはクローン戦争勃発時点(EP2)で35歳、終結時点(EP3)で38歳という設定を考えると、彼女はほぼ同年代かやや年上、おそらく三十代後半から四十代ぐらいと思われる。
(オビ=ワンは老けるのが早すぎるので、彼を参考にするのは少し難しいのだが)
しかしこの仮定に基づいてもやや老け気味に見えてしまう。おそらく、戦時中の国家元首としての疲労が顔に出ているのかもしれない。
反面、威厳や覚悟といった内心の強さが表情にも現れており、色香は薄いが覇気のある顔立ちではある。
◆能力
「平和主義者でも、自分の身くらいは守ります!」
戦闘民族・戦士文化を拒絶している中年女性なので、戦闘シーンそのものはそんなに多くない。
しかしこれでも戦士文明華やかなりしころのマンダロリアン出身であり、若いころには内戦をかいくぐってきた経験もあるため、実は相当戦場慣れしている。
超小型のブラスターも隠し持っており、緊急時にはそれを用いて自衛を行う場面もある。
なんだかんだ言って戦闘民族マンダロリアンであるといえよう。
◆性格
「戦争は生命そのものに対する侮辱です」
頑固なまでの平和主義者。平和主義というのは彼女にとっては政策そのものなので、性格を言うならば「理想主義者」というべきか。
ドゥークーからはどう思われていたのか、彼の側から危害を加えられたことがない(デスウォッチに助言したのみ)。ドゥークーも理想を掲げる改革主義者だったため、シンパシーでも感じていたのかもしれない。
その主義に殉ずる姿勢は筋金入りで、硬骨漢というよりはむしろ過激派、原理主義者に近い。
彼女と議論しているとオビ=ワンのほうが戦争肯定派・安易な妥協に陥る事なかれ主義者に見えてしまうほど(実際そういう側面はあるのだが)。
というより、交渉は行うが決裂すればライトセーバーによる交渉を行うジェダイに対しても、そしてそれを肯定する銀河共和国に対しても、軽蔑していたようである。
相手の意見を聞き入れず、頑強に反発して我を通すなど、意固地になりやすく敵を作りやすいことは否めない。
そういう意味では、彼女も確かに戦闘民族マンダロリアンの文化で生まれ育ったといえるだろう。
彼女も思うところがないではなかったようで、マンドア語で遺言を残した工作員に同じ言語で看取ったこともある。
しかし実際問題、戦争が発生し、国内外に危険な勢力が右往左往している状態では、彼女の理想と姿勢は机上の空論・平和ボケした妄想に近かった。
政権内部からの理解も得られていなかったようで、幹部の多くがデスウォッチや犯罪組織につながったり、再軍備を主張したりしていた。
そして結局、その理想や態度ゆえに彼女の政策は後手後手に回り、最終的な破滅に至っている。
利権の配分や経済の発展など、行政面では優秀ではあったが、彼女の主張や政治スタイルは、いやおうなしに大戦に巻き込まれるクローン戦争のような状況ではあまり当を得たものとは言えなかったようである。
また、微妙に人を見る目がないようで、衛星植民地の総督、元老院議員、首相、副首相のいずれとも意見の不一致や敵意を向けられる様子がある。
「護衛任務に参りました」
「ああ、アナキン。来てくれて助かった」
「……お疲れのご様子で?」
「かたくなな平和主義にも、問題は多いよ」
ただ、こういった「厳しすぎる硬骨の政治家」というのは、あくまで「人間」サティーン・クライズの一面である。
時折彼女は、特にオビ=ワンに対して甘い顔やなじんだ冗談、はたまた無礼すれすれのナマの怒りを向けることがある。
これは、かつての内戦時代にサティーンとオビ=ワンが行動を共にした結果、男女として入れあげてしまったかららしい。
彼女が突き放すような態度を向けるのは「捨てられた女としてのプライド」、にもかかわらず甘えるような態度をとるのは「捨てられない女としての情」であろう。
要は、政治家としてのスタンスを繕いつつも、言動の端々にオビ=ワンに思いを寄せる女としての顔をにじませてしまうのだ。
「……やはりそのひげは、感心しません」
「どうして!? なにか問題でも!?」
「せっかくのハンサムな顔が、隠れます」
オビ=ワンもオビ=ワンで、彼女と行動しているとどうにも取り乱したり頭に血が昇ったりといった場面が多く、いつもの冷静沈着な態度が成立しない。
「魚心あれば水心あり」というか、「焼け木杭に火が付く」というか……
また上述した通り、彼女と討論しているとオビ=ワンの「状況を肯定するところから入ってしまい、根本的な解決に踏み込めず、現状維持を続けることしかできない」という彼の欠点があぶり出されることが往々にしてある。
「ここは僕に任せ、あなたは恋人を探して!」
「わかった!! ――あッ?!? 誤解だアナキン、彼女は!! ッ~~~~~~!!!」
もしかしたらオビ=ワンは、ジェダイの道を進むよりも彼女とともに生きたほうが幸せだったかもしれない。
【来歴】
◆前歴
「覚えておいでですか? ドラブーンの毒ダニのこと」
「忘れるものですか。今でも傷があります」
「お言葉ですが、あなたを抱きかかえてダニから守りぬいたはずです」
「最後にわたくしを落としたでしょう。そのときの傷です」
「オウ。そうでした」
出身は、マンダロア星系に属する惑星カルヴァラ。
妹にボ=カターンが、甥にコーキーという人物がいるが、妹とは深刻な対立を経ており、早いうちから絶交状態にある。それなりに長い付き合いのオビ=ワンが存在すら知らなかったほど。
他の家族は内乱期にほとんど失われたらしい。
マンダロリアンには氏族とは別に、政治思想を異とする多くの分派があるが、彼女はそのうち「ニュー・マンダロリアン」に属した。
もともとマンダロリアンは戦闘民族だが、このニュー・マンダロリアンは戦闘民族の戦士文化を否定し、平和主義への改革を行おうとした一派である。
しかしこうした平和主義運動は、それぞれ古来からの戦士文化の維持を訴える「デスウォッチ」と、新しい戦士文化を提唱する「トゥルー・マンダロリアン」との反対を招き、三者は激しい抗争を開始。
それはやがて「マンダロア内戦」となった。
ちなみに、ジャンゴ・フェットはこのうち「トゥルー・マンダロリアン」に属していたため、サティーン一派やヴィズラ一派とは繋がりがない。
この内戦は、最終的に「トゥルー・マンダロリアン」が壊滅、「デスウォッチ」が消耗のち衰退、残った「ニュー・マンダロリアン」が惑星マンダロアの支配権を掌握して、決着となった。
しかしこれはトゥルー派とデスウォッチがつぶしあった結果の棚ぼたというべきで、むしろニュー・マンダロリアンはもっとも弱かった。平和主義と内戦の矛盾も大きかったかもしれない。
このとき、ニュー・マンダロリアンに所属していた若き日のサティーン・クライズは、共和国から派遣されたクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービのジェダイ師弟に助けられたことがある。
二人が惑星マンダロアに赴任したのは一年ほどだが、このあいだ特にサティーンとオビ=ワンは親密な関係になった。
というか、ぶっちゃけオビ=ワンはジェダイをやめて彼女と駆け落ちしようかと本気で悩んだらしい。
結局、オビ=ワンはジェダイとしての道を選択したが、彼女のことを忘れることはできなかったようだ。
それから十数年後、サティーンはいつの間にかニュー・マンダロリアンのリーダーとなり、「公爵」として惑星マンダロアの国家元首に就任。
戦闘民族の文化を否定して平和主義を訴え、首都サンダリを拠点として、内乱で荒れた惑星の再建に乗り出した。
行政手腕はなかなかのものだったようで、十数年ぶりに訪れたオビ=ワンは首都の美しさに感嘆している。
しかし彼女の平和主義とそれに基づく繁栄は、一方で規律の弛緩、腐敗や堕落、対応力の低下、そして軍事力の喪失など、看過できない問題も数多く生じさせた。
しかも内乱で消耗したデスウォッチは組織力を急速に回復させており、彼女の平和主義と内政重視政策が、かえって彼らの復活を許してしまった面もある。
(デスウォッチが拠点としていた衛星コンコーディアは衛星マンダロアの植民地である。詳しい政情が描かれていないが、状況から考えるとコンコーディアのデスウォッチ装備工場は、マンダロアおよびサティーン政権からの物資横流しで運営されていた可能性が高い)
◆クローン戦争と中立主義
「1500の惑星系を代表するものとして、この戦争に中立を保つことが、人々の幸福につながると信じています」
一方、規律の弛緩、腐敗や堕落、対応力の低下、といった事態は惑星マンダロアのみならず、当時の銀河共和国全体にはびこるものでもあった。
そうしたなか、もとジェダイマスターにして、マンダロア内戦にも参戦した経験を持つドゥークー伯爵が銀河共和国への批判と、それからの独立を訴える分離主義を提唱。
この運動はやがて独立星系連合へと発展し、銀河共和国からの独立を訴えたクローン戦争を引き起こす。
このときサティーン・クライズ公爵は、独立星系連合には合流しないながらも、銀河共和国にも与しないという、中立主義を選択。「中立星系評議会」を創設し、その主導的立場に就いた。
しかし往々にして、中立勢力というのは双方からの攻撃を招く。
それでなくとも、「まずは主義を立てて運動し、それを下敷きにして星系連合組織を作る」というやり方は丸々ドゥークーの「分離主義→独立星系連合」の発足過程と同じであり、銀河共和国からの警戒と干渉は避けられなかった。
他方、デスウォッチは半ば公然と活動を開始しており、しかも独立星系連合とも連携を取り合っていた。
そこで銀河共和国は、ジェダイマスターとなっていたオビ=ワン・ケノービを彼女のもとへと派遣。再会した男女は、いちおうそれぞれの主義と立場で対立する……のだが、はたから見れば明らかに……アナキンですら気付くほどに……
「……こんな時に、アレですが……サティーンとのあいだには……」
「なにをバカなことを言ってるんだ!!! 時と場所をわきまえないか!!!」
「………… (* ̄ー ̄*)ニヤリ」
◆デスウォッチとの内紛
「もし共和国が軍事介入すれば、暴力の拡大を招くだけです。改めて、中立の維持を表明します」
よりを戻すかどうかで痴話げんか……もとい、平和の理想と戦争の現実で二人が討論するあいだも、ニュー政権の転覆を狙うデスウォッチは暗躍を展開。
オビ=ワンはサティーンとともに、かつてデスウォッチが追放された衛星コンコーディアを調査したところ、彼らのアジトを発見し、再編成の状況も確認。
その後、コンコーディアの総督だったプレ・ヴィズラも自らデスウォッチの首領と名乗りを上げ、いよいよ事態は内紛へと突き進む。
しかしサティーンは、事態をあくまで「惑星マンダロアの内紛」に留め、銀河共和国の介入を拒絶し、どちらの陣営にも属さず中立を続けようと考えていた。
オビ=ワンはデスウォッチの背後にいるのは独立星系連合と考え、共和国側につくことを進言するが、彼女はそれに猛反発。
「交渉人」と呼ばれるほど離れした彼も、元カノ相手じゃやりにくかったのか、変にしょげたり頭に血が上ったりと、アナキンが苦笑して気を遣うぐらい「らしくない」態度を見せてしまう。
「分離主義者の脅威に対抗できるのは、共和国軍しかないのです!」
「そんなものは過激派の論理です!」
「一度バトルドロイドの金属音を聞けば、そうは言えなくなります!!」
「ふっ、軍人らしい皮肉!!」
「そちらは夢想家のたわごと!!!」
ともかく彼女は、銀河共和国からの干渉を断るべくコルサントへと出発。
この間もオビ=ワンとの痴話げんかや、デスウォッチの度重なる暗殺、側近の裏切り、本星の留守を託した副首相ジェレクの暗殺やメッセージの偽造、などなどさまざまな問題が次々と起こり、とても平和主義を云々できそうもない事態になっていく。
(ちなみにデスウォッチとしては、銀河共和国が惑星マンダロアを占領してくれれば「デスウォッチによる開放」という大義名分が立つため、彼女の共和国拒絶政策は失敗してほしかった)
傍目から見ればマンダロアは明らかに内紛状態であり、元老院の趨勢もマンダロアの介入ではなく占領へとかじを切る。
サティーンは元老院の議論に見切りをつけ、自ら暗黒街を動き回って奔走。
共和国情報省に送っていたマンダロア出身の諜報員から、ジェレク副首相の偽造されていないデータを受け取ることに成功し、オビ=ワンやパドメ・アミダラ議員の協力を受けて、かろうじて共和国のマンダロア占領計画は白紙となる。
(ただ、この副首相のメッセージもよく聞くと、遠回しながら政府の平和政策がデスウォッチの台頭と内乱を引き起こしたと断じ、制圧するためにはマンダロアの再軍備を行い戦うことを主張するものであり、サティーンと合致しているのは共和国の援軍を拒む一点のみである。
しかも彼女はジェレク副首相がそんなメッセージを発したことすら知らなかった。つまりこのメッセージ自体、ジェレクの独断である。結局、ジェレク副首相もサティーンと意志の統一が取れていない)
◆経済制裁
「汚職は、答えではありません!」
しかし、銀河共和国からの支援を拒絶した以上、共和国サイドとしては彼らの勢力が独立星系連合と組むことは考えなければならない。
結局、惑星マンダロアは中立を維持した代償に、交易ルートからの締め出し、経済制裁を食らうことになった。
もちろん、独立星系連合に属する通商連合も動かない。
経済が破綻すれば、密貿易と闇市が栄えるのは理の当然である。
そこに犯罪組織の横行やデスウォッチの政権転覆計画が絡み、事態はますます悪化。
サティーンはパドメ・アミダラを通じてジェダイの派遣を依頼し、アソーカ・タノを迎え入れる。
サティーンの甥のコーキーと友人たちが触発され、アソーカとともに密貿易の調査を開始。
一連の密貿易を裏で取り仕切っていたのは首相のアルメクであり、彼の策略でサティーンも失脚しかけたが、アソーカの介入もあってなんとかアルメクの逮捕に成功。小康状態になる。
ちなみにアルメクはデスウォッチとは関係ないらしい。
しかし、クローン戦争の展開、銀河共和国の腐敗、暗黒街の拡張、デスウォッチの暗躍、と彼女を取り巻く情勢はなんら変わっていなかった。
そして、彼女の平和主義や中立主義、非武装政策は、どうしても水際防衛、後手に回らざるを得ないものであり、根本的な解決もできないどころか、敵に主導権を握らせるものでしかなかった。
しかも彼女は中立を歌いつつも、実質は共和国にもしばしば顔を出しており、惑星ローディア元老院議員オナコンダ・ファーやオビ=ワンの葬儀に参列するなど、明らかに不徹底、銀河共和国側とみなされてもおかしくない行動をとり続けた。
そうした彼女の中途半端に清廉な態度が、結局は彼女の命と理想の死を招く。
◆終焉
「ヴィズラ! この騒ぎを起こしたのはお前たちだったのね!」
「いや、自分は関係ない。だが鎮めることはできる……!」
戦争中盤、デスウォッチが再び策謀を開始する。
しかもこの時の彼らは、彼女らがかつて衛星コンコーディアで戦った時とは比較にならないほど強大になっていた。
デスウォッチは彼女らが追撃をしなかったために勢力を再建させたばかりか、客将として迎え入れたダース・モールの助言とその弟サヴァージ・オプレスの助力を受けて、ハット・クラン、パイク・シンジケート、ブラック・サンといった暗黒街の大勢力を支配下におさめた、巨大組織「シャドウ・コレクティヴ」へと成長していたのである。
彼らはすでに力押しでもマンダロアを制圧できるほど成長していたが、そこにモールの知恵まで加わり、「攻め込んできたハットやパイク、ブラック・サンをデスウォッチが迎撃した」という大芝居を展開。
ハットたちを倒してさっそうと現れたプレ・ヴィズラは、我らこそ実力を持った民衆の守護者であり、彼女の平和主義は見せかけの詭弁に過ぎないと激しく糾弾。
現に、暗黒街の勢力にはマンダロアの警察組織も無力であったため、民衆はヴィズラの理論を讃えてサティーンを拒絶。
そもそもマンダロリアンは戦闘民族であり、戦闘民族の文化を持っていた。
サティーンはそれらを旧弊として否定し、捨て去ろうとしたが、多くのマンダロリアンは否定すればするほど郷愁と違和感を強めていたのだろう。
こうして、彼女の意見は惑星全体から否定され、退場することになった。
「民は彼らの側につきました」
この時点で、歴史人物としてのサティーン・クライズは終わる。
しかし、彼女の命はもう少しだけ続く。
◆最期
「いまやもと公爵となったサティーンとはお前だな?」
「……あなたたちの望みはなんです?」
「ふーム、いまは言えぬがそのうち役立ってもらう」
彼女は知らないことだが、シャドウ・コレクティヴは一枚岩ではない。プレ・ヴィズラとダース・モールのあいだで主導権争いが起きた。
戦いはモールがプレを討ち取ることでデスウォッチの、ひいてはマンダロリアンの首領「マンダロア」となることで決着。
モールはサティーンによって投獄されていたアルメクを傀儡の首相として擁立し、自分は裏から支配するようになった。
プレは惑星マンダロアの支配だけを考えていたが、新たな支配者となったダース・モールには、かつての宿敵オビ=ワン・ケノービの暗殺という真の目的があった。
この時点で、サティーンの存在意義は、オビ=ワンをおびき出すためのエサとなっていたのである。
果たして、プレの女だったボ=カターン・クライズが、甥のコーギーと手を組んで、サティーンを刑務所から解放するが、これはあえてコルサントに連絡させ、オビ=ワンをおびき寄せようというモールの策略であった。
彼女はまんまとオビ=ワンに助けを求めた直後に再逮捕。
オビ=ワンは事態の急変を知り、デスウォッチの兵士に変装して駆けつけたが、事前準備を怠りアナキンから借りたボロ船を修理もしないままやってきたため、脱出に失敗する。
そもそも彼女は共和国の介入を何度も拒んでおり、独立星系連合との関与もなかったため、ジェダイ側としても共和国としてもいまさら援軍を出せる関係ではなかった。
オビ=ワンが駆け付けたのも独断専行であり、ボロ船を使ったのはアナキンが融通できる資産がこれしかなかったためだろうが、オビ=ワンは焦るあまり船の修復もせず代わりの船を盗んでくるでもなく、失敗したときの予備プランもないまま駆け付け、失敗したのである。
オビ=ワン・ケノービ、一世一代のミスであった。
少し前まで君臨していた玉座の間にて、サティーン・クライズはオビ=ワン・ケノービの眼前で、ダース・モールの持つダークセーバーによって胸を穿たれ絶命した。
「忘れないで、わたしのオビ=ワン……あなたをずっと愛していたわ…………これからも…………」
◆死後
結局、彼女が心血を注いだニュー・マンダロリアンも平和主義も復活せずに歴史から退場。
モールはほどなくダース・シディアスに敗北するが、デスウォッチは彼を救出するなど良好な関係を築いたものの、いつしかモールは彼らから離れたらしい。
結局、惑星マンダロアには旧来の戦闘民族・戦士文化が蘇り、マンダロリアンの名前は銀河の戦闘民族としてよみがえった。
【余談】
彼女がダース・モールに処刑される場面は、「モールが背中越しに胸を穿つ」という構図的にクワイ=ガン・ジンの戦死の場面を再現したものであろう。
これはメタ的な演出ではなく、オビ=ワンの心の傷をなぞって抉ろうというモールの計算と思われる。
レジェンズに分類された昔のスピンオフ作品では、オビ=ワンは昔、シーリー・タチというめっちゃ美人な女性ジェダイと恋仲になりかけたことがある。サティーンに知れたら殺されそうな話である。
シーリはスパイとして共和国を離れたり戻ったりしたあと、クローン戦争期にはジェダイマスターとして長く活躍するが、大戦後期に暗号解読装置を巡る戦いで戦死。
オビ=ワンは恋愛禁止というジェダイ規律は知りつつも、彼女への愛情と喪失に対する苦痛は抑えきれなかったという。
なおシーリの使うライトセーバーの光刃はメイス・ウィンドゥと同じく紫色らしい。
あとクワイ=ガンにもこの手の話があり、タールという女性ジェダイと昵懇になったという。「師が師なら弟子も弟子じゃわ! 悪いところが似おった!」
タールはEP1の七年ほど前に惑星アプソロンで戦死し、クワイ=ガンは暗黒面の暴走寸前にまで行きかけたとか。
というかオビ=ワンやクワイ=ガンの師匠筋のドゥークーからしてジョカスタ・ヌーと恋仲だった過去があり、この一門の妙な共通項というかなんというか。
また、当時の設定では、シーリのマスターはアディ・ガリア。
クローン・ウォーズでは、オビ=ワンがガリアと組んでモール兄弟討伐に向かった場面がある(彼女はこの戦いでサヴァージに討たれる)。
この配置は、もしかしたら制作サイドもシーリ・タチのことを踏まえての人事かもしれない。
「追記・修正は僕に任せ、あなたは恋人を探して!」
「わかった!! あッ?!? 誤解だアナキン、彼女は!! ッ~~~~~~!!!」
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,6)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- プレ・ヴィズラの副産物として完成。オビ=ワンとの掛け合いが面白かったです。次はIG-88の予定です。 -- 作成者 (2019-11-05 16:38:10)
- 中立主義勢力ってあったっけ。見たはずなのに覚えてないや -- 名無しさん (2019-11-05 17:27:39)
- いちおうあるらしいです。ほとんど設定とセリフでしか語られないのですが。 -- 作成者 (2019-11-05 17:42:28)
- だいたいこいつのせいという印象 -- 名無しさん (2019-11-06 08:36:01)
- この時のクローン戦争時のマンダロア内戦とのちの新共和国とファーストオーダーの関係ほぼそのままなんだよな。JJ監督がこのエピソードを参考にした可能性が微レ存? -- 名無しさん (2019-11-06 15:41:15)
- 反乱者たちに出てきたサビーヌが作った兵器の女公爵って名前の由来がこの人だっけ? -- 名無しさん (2019-11-12 22:13:20)
- サティーンは自衛や中立の徹底が出来てないしデスウォッチ襲撃の時に民に反発されて投獄されたのに、アルメクにこの期に及んで民は理想を選んだとか言ってて理想だけしかなくそれを押し付けるだけの人だと思ったな -- 名無しさん (2019-11-12 23:08:38)
- マンダロリアンに生まれた時点で詰んでる -- 名無しさん (2020-10-06 17:27:01)
- 平和主義は結構、けど戦時下では自分からは攻撃をしないが他人から攻撃された時に身は守れる程度の武力が必要だった。武力を放棄するなら戦争が終わった後ですればいい -- 名無しさん (2021-02-13 13:39:16)
- 寧ろマンダロリアンでありながら何故ここまでの平和主義者になってしまったのか気になる。現役時代の頃によっぽど嫌な目にでも合ったのか -- 名無しさん (2021-02-13 15:31:00)
- 散々共和国やジェダイをクサしておきながら自国の腐敗を共和国議員のパドメに相談した挙句、なんの恥ずかしげもなくジェダイに子供たちへの授業を依頼した時はドン引きしたわ -- 名無しさん (2022-08-15 23:13:24)
- 政治家としてのスタンスは好きになれないが、オビワンとのやり取りはすげえ好き。アナキンの反応もおもろいし -- 名無しさん (2023-06-17 01:38:07)
- 現実が見えてないのに理想ばかり見てるから失脚、ひいては自分の死に繋がったんだよ。自衛が出来ない程武力を削って民にも死傷者が出てるのに「たかがゴロツキ集団だし相手にしちゃ駄目」と呼びかけるだけは酷すぎる -- 名無しさん (2023-07-19 16:25:31)
- 人の気持ちを考えず綺麗事の理想論を言うこの人の姿が「歴史に残る悪女になるぞ」のキャザー・リズに似てるわ -- 名無しさん (2024-03-29 14:20:19)
#comment
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧