登録日:2015/02/10 Tue 13:04:50
更新日:2024/01/12 Fri 10:32:05NEW!
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ショットガン 散弾銃 ブラウニング 猟銃 銃 ジョン・モーゼス・ブラウニング オート5 ハンプバック セミオート またブラウニングか ロングリコイル型セミオート
オート5は、ジョン・モーゼス・ブラウニングが設計したセミオート・ショットガンである。また貴方か
セミオートタイプのショットガンとしては初めて大量生産された記念すべき銃。
カタログスペック
口径/使用弾薬:12/16/20ゲージ
銃身長:28インチ(711mm)
装弾数:通常5発(チューブマガジン4発+薬室1発)、制限時3発(チューブマガジン2発+薬室1発)
作動方式:ロングリコイル型セミオート
全長:1270mm
重量:4.1kg
概要
ブラウニングの手によって1898年に設計されたが、生産開始までは4年ほどのブランクがあった。
というのも、彼は当初この設計を懇意にしていたウィンチェスターに提案したのだが、向こうに契約の一部を拒否されたため白紙になる。
今度はレミントンにこの設計を持って行き、レミントン側も興味を示していた(ブラウニングの実績を考えれば当然ではある)ようなのだが、
なんと持ち込んだ直後、返答待ちの間に社長が心臓発作で急逝してしまい、契約そのものがなかったことにされてしまう。
もう祖国内での生産は無理っぽいと判断した彼は、1902年、かねてより彼の設計銃を生産していたFNにこの企画を持ち込む。
三度目の正直だったか、今度は大過なく生産が開始され、ベルギーでの本銃の生産は第二次大戦前夜まで続けられた。
その後はアメリカのレミントンやサベージ・アームズ、日本のミロク製作所でもライセンス生産が行われ、
特にレミントン製のものはアメリカ初にして二番目に売れたセミオート・ショットガンとなった。
最終的な生産数は不明だが、レミントン・モデルだけでも85万挺から生産されたといい、ブラウニング・ブランドの集客効果の高さがうかがえる。
なお、98年までに全工場での生産は終了しており、99年にFNが製造した記念モデルがラストワンとなっている。
性能
動作機構であるロングリコイルはブラウニング自らが最高の成果と言うだけあって、原理的・機構的にはこの時点ですでに完成されていると言っていい。
ティルトバレル式ショートリコイル共々やっぱりブラウニングが発明したもので、1900年に特許を取得している。
その作動様式は
- 激発の反動でバレルとボルトが後退開始、リコイルスプリング圧縮
- ロッキングブロックが開放され排莢、同時にスプリングの反動で銃身が前進
- 弾倉から飛び出してきたショットシェルがボルトストッパーを開放、ボルトが前進し再装填
というもの。
ゴムシーリングの品質不良や熱溶解による作動不良に悩まされた初期のガスオペレーテッド・ショットガンと違い、
機構面ではやや複雑化する代わりに頑丈で信頼性が高い(ゴム使わんから溶けんしね)のが特徴。
ただし、弾を極端に弱装化しすぎたり、肩付けが不十分で十分な反動を銃身に伝えられなかった場合、あっさり作動不良を起こすという欠点も。
そのため、ガスオペレーションの技術向上に伴い、この形式は次第に廃れていった。
多くの散弾銃同様に下部装填・右側排莢だが、弾切れかつホールドオープン状態でシェルを装填すると、
オートでボルトリリースが作動して薬室にシェルが装填される。
この機構を備えているものは現行品では極めて少ない。ブローニング曰く「スピード・ローディング・システム」。
機関部後端が角張りながら盛り上がる独特の形状をしており、ここからつけられた愛称が「せむし」。
本来はマガジンに4発+薬室1発で計5連発(オート5の名も装弾数に由来する)なのだが、現在この銃が流通している大半の国では
猟銃の装弾数が法規制されているので、それに適合させるためにマガジン内に押し込み、装弾数を制限するマガジンリミッターが用意されている。
元よりマガジンを削って装弾数を絞ってるモデルもあるので、それ以外のモデルを法規制に対応させるための部品。
ウィンチェスターの「トレンチガン」共々二度の世界大戦に投入されているが、あちらが単純な構造と軽さから塹壕戦で活躍したのと対照的に、
スラムファイアのような技術要らずで連射でき、ある程度重量があるため反動がマイルドなど、
きちんと使えば確実に戦果を挙げられるのが評価されていたようだ。
逆に言えば、トレンチガンと違ってある程度狙いを付けないといかん、という欠点もある(上記参照)わけだが……
バリエーション
- オート5
オリジナルモデル。1902-39年までと、57年から98年までの約80年弱ほど生産された。
- レミントン M11
レミントン製ライセンスモデル。米国内で初めて生産されたセミオート・ショットガン。05-48年にかけて生産された。
このモデルだけでオート5全生産数の3割以上を占める。
- サベージ・アームズ M720/M745
サベージ・アームズのライセンスモデル。30-49年の間に生産された。
前者はオリジナル同様のフル規格品、後者はリミッタードマガジンと合金製レシーバーを備えた軽量型。
- ミロク製作所 オート5
66年以降にブラウニング・アームズと提携し、同社製品のOEM製造を行っていた。
特にオート5の製造数は、75年以降の各メーカーの本銃製造数では最多を誇る。
国内では狩猟用ショットガンとしてバリバリ現役で、同社の高い工作精度と元からの完成度が合わさり最高に見える、とかなんとか。
現在は同社のカタログから削除されているため、製造していないか、していたとしても輸出に全振りしているかのどちらか。
ちなみに、ミロク自体が上下2連ショットガンのメーカーとして国内外(特に海外)で非常に有名だったりする。
ある程度安価でありながら他社の高級モデル用のオプションを備えており、さらに仕上げの美しさも評価されているのだとか。
登場作品
他の有名なショットガンに比べれば二次元での登場は控えめ。まあ、デザイン状の押しはあまり強くないし。
映画だと、有名どころでは007 サンダーポール作戦やダーティハリーあたりか。
ゲームならレッド・デッド・リデンプション。
ちなみに……と言っては何だが、津山事件で犯人の都井睦雄が使用した「9連発改造ブローニング猟銃」は、
製造年月や事件の日付等から考えて、おそらく本銃の改造品であろう。
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