登録日:2021/04/09 Fri 21:47:31
更新日:2024/05/27 Mon 10:22:34NEW!
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id software fps ゲーム レトロゲーム wolfenstein 第二次世界大戦 ナチス 元祖 始祖 原点
Get Psyched!
概要
Wolfenstein 3Dとは、1992年にApogee Software(後の3D realms)が発売したFPS。
開発を担当したのは、後に『DOOM』『QUAKE』といった作品を制作する伝説的老舗FPSメーカーのid Software。
現在はマイクロソフトが権利を保有している。
『Hovertank 3D』、『Catacomb 3D』に続く同開発メンバーの『3D』シリーズの最終作であり、同時にCommodore 64で発売されていたステルスアクションゲーム『Castle Wolfenstein』シリーズのリブート作でもある。
その最大の功績は、ジャンルとしてのFPSの始祖となったこと。
一人称視点のRPGやアドベンチャーは古くを辿ればウィザードリィやCorporation、Ultima underworld、そのほか原始的なミニゲームなどなどさまざまな作品があったが、現在常識となっている「3D描画された世界を一人称視点で自在に歩き回り」、「性能の異なる複数の銃火器を場面に応じて使い分け」、「人間の敵を相手にリアルな銃撃戦を行う」というFPSの当たり前を本作は定義した。
今なお数多くのタイトルが発売され続けるFPSジャンルだが、その影響の源流を辿ればほぼ全てが本作に辿り着く。たった一作でジャンルを確立し、ゲーム史に多大な影響を与えた金字塔である。
ストーリー
- オリジナルエピソード(全三章)
アメリカ軍諜報組織OSAは、ナチスの極秘計画「アイゼンファウスト計画」の存在を突き止め、エージェントの一人B・J・ブラスコヴィッチをドイツへ潜入させる。
しかし、ブラスコヴィッチは捕まってしまい、古城を改装したウルフェンシュタイン城の地下牢に放り込まれてしまう。
治療と引き換えに自白を仄めかしたブラスコヴィッチは、監獄の警備兵の一人を不意打ちで殺害。ピストル一丁とナイフのみを握りしめ、古城からの脱出、そしてアイゼンファウスト計画の阻止を図るのだった。
- ノクターナルミッション(拡張パック・全三章)
ブラスコヴィッチがアイゼンファウスト計画に関わる以前のこと。
ドイツ将校オットー・ギフトマッハー、通称「ポイズンメーカー」が化学兵器の製造を行っていることを突き止めたOSAは、ブラスコヴィッチをドイツ領内へと送り込む。
工場を破壊し、極秘計画の詳細を突き止めたブラスコヴィッチは、計画を主導するフォットゲシヒト将軍を倒すべくオッフェンバッハ軍事基地へと潜入する。
キャラクター
我らが主人公。1911年8月15日生まれでポーランド人とユダヤ人のハーフ。
連合軍の諜報機関OSAに所属するエージェントであり、その血筋を利用しておもにドイツ領内での潜入任務を行っていた。
聖槍を巡る騒動を終えたのちにミュータントを製造するアイゼンファウスト計画を知り、真偽を突き止めるためドイツ領内に潜入。
一時は捕まるもののナイフ一本で脱獄し、そのままアイゼンファウスト計画を担当ごと抹消。さらにはベルリンへと向かい、ヒトラーを死闘の末に殺害する。
やたらとスペックの高いid softwareキャラクター達と比較するとまだまだ撃たれ弱いほうではあるが、灰色の囚人服一枚でチェーンガンを担ぎ、大量のナチス兵士を次々と血祭りに挙げる様には既にその片鱗が見られる。
なお、id software伝統の顔芸を生み出したのも本作の彼。
- ガード
序盤から登場する茶色の制服を着た兵士。ルガーP08で武装している。
キャラクターとしては最弱だが、独特な声が印象に残る本作を代表する敵モブ。
- キラードッグ/ミュータントラット
序盤から登場するジャーマンシェパード犬。左右に移動しつつ飛び掛かってくるため撃ちにくいが、耐久力自体はさほど高くないため弱い部類に入る。
動物愛護団体にケンカを売る内容が任天堂に問題視され、スーファミ移植版ではめちゃくちゃデカいドブネズミに置き換えられた。キモければセーフ
- ナチス親衛隊
中盤から登場する敵。通称SS。
MP40を使用する上、足も速いため倒すのはやや難しめ。
死後地獄に落ちたのか、同社の続編『DOOM II』にも隠しステージに出演している。
- オフィサー
白い制服を着た敵。使用する武器はルガーP08。
一見大したことないように見えるが移動速度がめちゃくちゃ早く設定されており、左右に猛スピードで動いては抜き打ちで的確にダメージを与えてくる。
- ミュータント
灰色の肌とドイツ系ではない髪色で、米軍装備に似た緑色の服を着ているナチスの誇る超人兵士。...なんか失敗作っぽくね?とは言ってはいけない。
ちなみにナチスの制御下に置かれているわけではなく、彼らの周りにはしばしば収容を試みたガードたちの死体が転がっている。やっぱり失敗作じゃないか...
攻撃手段はシュト〇ハイムばりに腹に埋め込まれた機関銃で、なぜか交互に腕を振り上げながら連射する。
- フェイクヒトラー
ヒトラーと瓜二つの顔を持った呪術師で、胸のクリスタルから火炎を放つ。
空中を浮遊しながら襲い掛かり、複数体で侵入者を追い詰める。
...という建前のただの人形。天井から糸で操作され、胸にある火炎放射器を魔法っぽく放つ。
ボスほどは強くないが、火炎放射がスローかつ大量にまき散らされるため立ち回り次第では四方を壁のように囲まれてしまいがち。
- ハンス・グロッセ
エピソード1のボス。
名門グロッセ兄弟の一人で、過去に兄トランズと妹グレーテルをブラスコヴィッチに殺害されている。
復讐を遂げるべく青いパワードスーツを装着し、ウルフェンシュタイン城エントランスでブラスコヴィッチを迎え撃った。
- シャブス博士
エピソード2のボス。
ミュータントを製造していたアイゼンファウスト計画主任で、髪の毛の後退したデブの中年オヤジ。
毒入りの注射器を投げて攻撃してくるが、ブラスコヴィッチに返り討ちにされあえなく死亡。
- アドルフ・ヒトラー
エピソード3ボス兼本作のラスボス。ご存じ総統閣下。
最初はパワードスーツに乗ってブラスコヴィッチを迎撃するが、一定以上ダメージを与え続けるとスーツを脱いで両手に抱えたチェーンガンを乱射しながら走り回り始める。
猛攻を掻い潜って総統を挽肉に変えるとゲームクリアとなる。
- オットー・ギフトマッハー
エピソード4ボス。
白い軍服を着た将校で、『ポイズンメーカー』の異名を持つ化学者。
装備しているのは小型ロケットランチャーだが、容易にハメ殺せるため難易度は低め。
- グレーテル・グロッセ
エピソード5ボス。
名門グロッセ兄弟の一人で、ハンスの妹。
ハンス同様にパワードスーツを装着しており、巨大な機関銃で攻撃する。
...実はグラフィック以外は全部ハンスの流用のため、行動パターンは同じだったりする。
極秘文書を守るため駆り出されたが、ブラスコヴィッチに返り討ちにされ文書を奪われる。
- フォットゲシヒト将軍
エピソード6ボス兼ノクターナルミッションのラスボス。
茶色の軍服を着た金髪デブ。化学兵器散布計画の首謀者であり、チェーンガンとロケットランチャーを装備した強敵。
グレーテルの残した文書から居場所を突き止めたブラスコヴィッチに襲撃され、抵抗空しく死亡した。
- パックマンゴースト
最終章にのみ登場するイースターエッグ的キャラ。ナムコのパッ〇マンの敵。
原作同様に無敵キャラクターであり、接触すると一瞬で体力を奪われてしまう。
高画質化されたMac移植版ではなぜか足部分が触手めいた造形に変更され、名状しがたい異形の姿となった
...著作権の都合上、PS3・Xbox配信版ではリストラされている。
登場勢力
- OSA
アメリカ軍の誇る諜報機関。モデルはCIAの前身となった諜報機関OSS。
ブラスコヴィッチが所属している機関。
- ナチス
ご存知、第二次世界大戦中に存在した全体主義国家であり創作界のフリー素材。
本作でも相変わらずオーバーテクノロジーとオカルトにまみれたトンデモ第三帝国となっており、機関銃を体に埋め込まれたミュータントから空を飛んで火の玉を飛ばす呪術師、全身を覆うアイ〇ンマンめいたパワードスーツまで多種多様。
総統は総統で悪魔を召喚してみたり、時空を超越して未来の暗黒メガコーポから技術盗用してみたりと色々ヤバイ事に手を染めている。
冒頭でブラスコヴィッチを捕らえ収監するが脱出され、アイゼンファウスト計画を量産直前で食い止められる。その後も奮闘空しくブラスコヴィッチにヒトラーを殺害され、そのまま終戦となった。
武器
- ナイフ
まだまだ素手では戦えないブラスコヴィッチ君の初期装備。
攻撃範囲も攻撃力も心もとなく、弾薬を使い切った時以外に有用な場面はほとんどない。
- ピストル
モデルはルガーP08。連射力・威力の少なさと距離による威力減衰の激しさからほかの武器と比較すると弱い。
茶色の制服を着た一般兵が所持している。
- サブマシンガン
モデルはMP40。連射力に優れた主力装備。威力と取り回しの良い使いやすい武器。
ナチス側は青い制服を着たSSが装備している。
後に発売された『Spear of Destiny』拡張パックではガワだけStG44に変更された。
- チェーンガン
ミニガン並みの凄まじいサイズを誇る、レトロFPS伝統のクッソデカいガトリングガン。
元ネタはもちろん映画プレデターのアレ。
...が、パッケージ画像のブラスコヴィッチはなんと片手で乱射している。やっぱりお前もid softwareキャラか。
威力は強いが燃費も悪く、基本的にボス戦で使用することになる武器。
ラスボスであるヒトラーも使用している。
余談
- ドイツでの規制
実は本作、1992年発売にも関わらず2019年までドイツで発禁を食らっていた。
原因はもちろんナチス要素(ハーケンクロイツやヒトラーの肖像画など)。ヨーロッパ各地でも発売当初こそ発禁扱いだったが、あまりに売れすぎて極秘で購入するヨーロッパ圏のゲーマーが後を絶たなかったという。
- 3Dステルスゲーム?
実は本作、最初はオリジナルのCastle Wolfenstein同様にステルスゲームとして製作されていた。
排除した敵の死体を物陰に隠す、敵の制服を奪ってドイツ兵になりすます、敵の視界を避けて進んでいくなど、『メタルギア』や『HITMAN』のように進むステルスアクションとして製作されていたのだが、結局ただの撃ちまくり一人称シューターだった前作『Catacomb 3D』が好評・シリーズ化を成し遂げたことで「アレ?これ別にステルスいらないんじゃ...?」と開発側も気づいてしまう。
結局、路線変更され銃撃戦がメインの派手めな暴力的シューターとして本作は発売。以降多くの会社もそれに倣い、派手な銃撃戦を目玉とする作品が市場を賑わすこととなった。
- まさかの聖書版リビルド
1994年、Wisdom Tree社からSNES(海外版スーファミ)向けにスリングショットで武装したノアが襲い来る羊やヤギの大群に食べ物をぶち当てて昏倒させていくというカオス極まりない内容のFPS「Super 3D Noah's Ark」が発売されたが、実はこれ、スーファミ版の表現規制の数々を不服に思ったid softwareが、規制した任天堂への報復として非公認のゲームを多数開発していたWisdom TreeにWolfenstein 3Dのゲームエンジンのライセンスを破格の条件で提供したことで誕生というとんでもない経緯で発売された。
勿論これも任天堂非公認であり、カセットは公認ゲームのそれを差し込むことでSNESの防犯チップを無効化してゲームを起動するための追加端子が上部に備わった奇怪な外見が特徴。
Wisdom Treeは当時、キリスト教関連の店で販売を行うことで宗教の威光を盾に任天堂からの干渉をかわすことを目的として聖書要素を含んだゲームを数多く開発していたため、その流れを汲んで先述のようなカオスな内容となっている。
海外の小規模な会社が作った古い非公認ゲームのため、当然今から日本で手に入れるのは困難…かと思いきや、現在は何をトチ狂ったかPCゲームとして移植されSteamでもDL販売されている。
How tough are you?
Can I play, Daddy?
Don't hurt me.
▷Bring'em on!
I am Death incarnate!
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▷ コメント欄
- SNES版は残虐描写の緩和やら敵がめちゃくちゃ変更されてしまい、怒ったid社が未認可の怪しい会社にソースコード提供したってのもあったなあ -- 名無しさん (2021-04-09 23:06:43)
- ↑一応ジジイ3Dのアレはidから正式にエンジン使用ライセンスを取得したって話もあるので実際はどうなんだろうな…30年近く前の話だし結局真相は分からないだろうけど -- 名無しさん (2022-04-15 17:28:52)
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