登場人物
宇佐美 (カンザシバト飼育員)
前書き
実施日時:2018年5月13日18時50分~5月15日午前0時3分
本文
[カントーエリアのある屋外ステージ]
百郷 葵
[もうすぐあるアイドルのライブが行われるその場所に、人目を気にするようにコソコソと動く人影が有った]
(かなりの人が聞きに来てくれてるみたい……良かった……)
[職場の研究所の人達にバレないように今日の百郷はハンチング帽を深く被っていた]
[しかし一番の特徴である猫耳と尻尾は付けたままである]
[変装するとしてもそれだけは外せなかったようだ]
[暫く入り口近くにいると、カンザシバトの姿が少し遠くに見えた]
宇佐美
そんな感じで、OKだよPin。今日もお客さんもたくさんいるから緊張もするけどいつもどうりのPinで行けば大丈夫。応援してるよ。
カンザシバト
うん!ありがとうお父さん!
(よし!今日のライブも楽しんでもらうように頑張らなきゃ!)
[ヘッドマイクをONにして]
会場のみなさん!こんにちは!PInちゃんです! 今日はいつもより熱いから水分補給をしっかりとして今日のライブ楽しんでね~!
ライブ開始までもうちょっと時間あるから、それまでに用事を済ましておいてね! それじゃあ、「夢を届ける小鳥」CDリリースライブ楽しんでいってね!!
ばいば~い!
[楽屋裏に行く]
百郷 葵
(pinちゃんすごい……)
[ステージ上にいた時間は少しだけだったが、カンザシバトからは確かにアイドルの人を惹きつける力を感じ取ることができた]
(あと少しで始まる……)
[どうやら楽屋に入って行ったカンザシバトが気になるようだ]
(楽屋に行きたいけど、わたし関係者って訳じゃないし……でも、少しくらいなら……)
[そして百郷は好奇心を抑えることが苦手である]
[迷っている間にも時間は過ぎていく]
カンザシバト
あ~↓ あ~↑.......。よし、大丈夫だね!
[本番に向けて発声練習をしている]
本番まで20分か....。 やっぱりもうちょっと発声練習しよ!
[また発声練習を始める]
百郷 葵
あと20分……
[好奇心と残り時間の間で悩み続け、百郷が出した結論は……]
(うん!時間無いし止めとこう……pinちゃんに迷惑は掛けられないしね)
[大人しくライブが始まるのを待つことにしたようだ]
[席に移動しわくわくしながら待つ]
<ライブ開始>
カンザシバト
[ライブ会場にはたくさんの人やアニマルガールが心をワクワクさせながら待ち、遂にライブが始まった。]
みんな~! おまたせ~!「夢を届ける小鳥」のPinちゃんです!
カンザシバト
「客席から黄色い歓声が上がる」
百郷 葵
[その黄色い歓声に合わせて、心から、腹の底から叫ぶ]
がんばってえええぇぇぇ!!pinちゃんー!!!!
カンザシバト
今日は、来てくれてありがとう!早速だけど一曲目いくよ~!
初CDから、「飛び立て!リトルバード!」
<二曲目が終わり、トークタイム入り>
まずは、「飛び立て!リトルバード!」とカバー曲「けものみち」を歌いました~! みんな~ここでクールタイムでPinちゃんトークタイムをするよ~!
本当に今日は、リリースイベントに来てくれて本当にありがとう!
[その後もいろいろなトークをしてる中、Pinが手を振っている見知ったおねいちゃんらしい姿を見つけた]
(あそこで手を振っている猫耳の女性多分葵おねいちゃんかな...?後でポストカードの手渡し会やるときに確認しよ!)
百郷 葵
(あっ、いま目あった?気づかれたかな……?)
[ステージに手を振りながら、カンザシバトのトークを聞いていた]
カンザシバト
(とりあえず振り返さないと悪いかな~。)
[手を軽く振る]
~......。そんな感じで「夢を届ける小鳥」が出来たのです!
ここでトークタイムは名頃惜しいですが終わりにします!
早速三曲目に入ります! 曲名はー.....
<ライブの全曲が終了>
みんな~!今日はありがとうね~! この後にCD特典の引換券でポストカードが手渡しで貰えるから待っててね!
本当にありがとうございました! ばいば~い!
[楽屋に戻る]
<アナウンス>
「夢を届ける小鳥」CDリリースイベントの全項目が終了いたしました。来場されたお客様でポストカード引換券のお持ちの方は、列を形成いたしますのでスタッフの指示に従い、ご移動してください。本日は、誠にありがとうございました。
百郷 葵
(あぁ……楽しかった……)
[最後のサビに近づくに連れて高まっていくボルテージや、みんなとの一体感、すべてが百郷にとって初体験のものだった]
[冷め遣らない雰囲気の中、アナウンスに従って席を立つ]
カンザシバト
[手渡し会が始まり、来場した方々がポストカードを貰いながら一言「これからも応援していきます!」などの言葉をもらいながら列は前へ前へと移動していき、そろそろ百郷 葵の番が近づいていていた。]
ありがとう~! これからもよろしくお願いします!
「Pinちゃんスマイル」
(ファンの気持ちはうれしいけど、手渡し凄く疲れます....。明日筋肉痛です...)
百郷 葵
[そして百郷の番になる]
pinちゃん!お疲れ様!!
とっっっっても可愛くてかっこよかったよ!!!
[引換券をスタッフに渡して言う]
カンザシバト
あ!やっぱり葵おねi....。ゴホン。 ありがとう~! これからもよろしくね!
[手渡しでポストカードを渡す]
(危ない危ない....。葵おねいちゃんが聞きに来てくれたのは嬉しいけど、今はガマンガマン....)
百郷 葵
これからもがんばってね!ずっとずーーーと、応援し続けるから!!
[ポストカードを受け取って、名残惜しそうに次の人に場所を譲る]
宇佐美
[手渡しが終わり、その先に見知ったPinの飼育員がいて声をかけてきた。]
あ、お客様この後、もしよろしければ楽屋来ますか?一様関係者ですし....。
百郷 葵
[直ぐにこの前会ったカンザシバトの飼育員だと気づく]
えっ、いいの……?
宇佐美
大丈夫ですよ、いつもPinと仲良くしてもらっていますし後で、ご招待しますね
百郷 葵
ありがとう!宇佐美さん!
宇佐美
いえいえ。
<楽屋部屋前>
宇佐美
[百郷 葵は、宇佐美に連れられてPinがいる楽屋に来た。]
[ドアを2回ノックして]
Pin入るよー。
カンザシバト
......。いいよ~!お父さん!
[カンザシバトからの変事を受けた後にドアを開けて宇佐美が入りそのあとに百郷 葵も入室する]
百郷 葵
こんにちは〜。
[楽屋に入りカンザシバトに挨拶する]
カンザシバト
あ!葵おねいちゃん!見に来てくれてありがとう!
[葵おねいちゃんに抱きつく]
百郷 葵
ふふふ……。
お疲れ様、pinちゃん。
[胸で受け止め、頭をゆっくりと撫でる]
[ステージの上で歌い踊っていたときとはまた別の顔、普段のカンザシバトに何故か少し安心したような感情を百郷は覚える]
カンザシバト
今日は初めてのリリイベで緊張もしてたけど、とっても頑張ったよ!
[葵おねいちゃんに目線を合わせるために上を向いて]
百郷 葵
うんうん、大変だったよね……。
頑張ったね。
[カンザシバトの目線までしゃがみ、ぎゅーっと抱きしめる]
宇佐美
それじゃあ、私は会場の片づけとかしていくからね。すみません。葵さん、Pinの面倒お願いします。
百郷 葵
は〜い、
[抱きつくのをやめて少し宇佐美の方を向いて言う]
宇佐美
[宇佐美が楽屋から退出する]
カンザシバト
[その後宇佐美が出行ってから数分後にカンザシバトが百郷 葵の異変に気付く]
葵おねいちゃん....?何で目が赤いの?
[不安そうな顔で]
百郷 葵
へっ……?
[少し意表を突かれた質問に変な声が出る]
え……、あ……。
[そして……]
あぅ……
[目に溜まっていた涙が遂に溢れ出す]
カンザシバト
どうしたの!?おねいちゃん?
[動揺している]
百郷 葵
ぁ……あれ……?
なんで……なんで泣いてるんだろ……
[その間にも涙は溢れ落ちていく]
(なに、これ……さみしい……?)
[自分自身の心に有った感情に気づいた途端、ピシッ、と何かが割れたような気がした]
[今より遥かな過去に置いて来た、もう二度と感じないと、感じまいとしてきた感情を思い出す]
…………。
pinちゃん……。一つだけ、聞いてもいい?
[膝立ちのままカンザシバトの肩に手を置き、既にひびが入った心の壁を必死に塞ぎながら声を絞り出す]
[百郷の表情は俯いているせいで、よく見えない]
カンザシバト
うん。大丈夫だよ。
[Pinも葵おねいちゃんの心情を察したのか、いつものPinとはがらりと変わった雰囲気を出しそのまま葵おねいちゃんの顔を胸にうずめた。]
百郷 葵
…………ありがとう。
[なされるがまま、胸に顔をうずめる]
[そのまま、どれくらいの時間が経っただろうか]
[彼女の優しさに甘えたままで、本当にいいのだろうか。また以前通りの自分に戻るのか。いつまでも不自由ないぬるま湯に浸かり続けるのか]
(そんなの……楽しくないじゃん……)
[気付いてしまったからには、もう騙し続けられない]
[ぽつりぽつりと少しづつ言葉が雫のように滴っていく]
わたしね……ずっとさみしかったんだ……。
きづかないようにしてたけど……。
むかしはこんなみみもなくて、しっぽもなくて、だれもわたしなんか気にしてなくて。
だれかに見てもらいたいって……ずっと。
パークにきて、みんなが輝いてて、正直うらやましいっておもってたんだ……。
[雫は段々と量を増し、流れ落ちていく]
そんなときにね、pinちゃんに会って、さいしょはすごいなーくらいにしか思ってなかったんだけど、何回もあって、ほんとうのpinちゃんのすごさに気づけたの。
それは、ずっと夢に向かってがんばること。
わたしにはできないこと。
ステージの上のpinちゃんは、ほんとうに、心の底から感動するほど輝いてて、こんなこと思っちゃだめなんだけど、わたしね、pinちゃんがどこか遠くに行っちゃうんじゃないかって、pinちゃんにもう手が届かなくなるんじゃないかって、とっても、不安で、寂しくて……。
だから、一つだけ、
「わたしと、これからもずっと、ずぅぅぅぅぅっと、友達でいてくれますか?」
カンザシバト
[さっきより強く抱きしめ、泣きそうな声で葵おねいちゃんに返す。]
あたりまえじゃないですか!!Pinがもし遠くに行ったとしても葵おねいちゃんのことを忘れるわけがないよ....グスッ。これからもずっと、ずぅぅぅぅぅぅっと「一番大好きな友達」だよ.....。グスッ....。
[Pin自体も葵おねいちゃんとの楽しかったこと、相談に乗ってくれて励ましてくれたことを思い出して泣き始めていた。]
Pinも葵おねいちゃんには、たくさんお父さんに言えないような悩みを聞いてもらっ....グスッ.....。葵おねいちゃんは.....。
笑顔で「大丈夫だよ、Pinちゃんならきっとできるよ」って言ってくれて.....グスン....とっても励ましてもらって感謝もしていたのに、
Pinちゃんはおねいちゃんに何も返してあげられなかった...ごめんな...グスッ....さい。
だからこれからはPinちゃんもおねいちゃんの悩みも聞く!Pinちゃん解決できるかわからないけど....。でも一生懸命考えて解決していく....!
だって...。
それが.....。
グス...今の私にできる精一杯の大好きな葵おねいちゃんにできる恩返しだもん!!
[つぎはぎで文脈になってない言葉でも「ありがとう、だいすき。」の気持ちを伝えきったPinは、色んな気持ちがあふれて何時の間にか泣いていた。]
百郷 葵
ありがとう……っ
[その言葉は強く、確かに、しっかりと]
わたしも、だいすき……!pinちゃん……!
[滝のように溢れる思いが、今までの思い出と一緒に心の中を満たしていく]
[言葉なんてたくさん無くても、今この瞬間だけは……]
[強く固く、抱きしめる]
ありがとう…………。
[その一言だけで充分だった]
カンザシバト
うん........ク゛スッ......。
[こちらもさっきより強く固く、抱きしめ返す]
百郷 葵
[少しだけ、百郷の目から涙が零れる]
[しかし、それは先程の涙とは違う、安心したような笑顔と一緒に流れる嬉し涙だった]
―――――――――
[そうして、暫く経ったころ、漸く百郷が抱きついていた手を緩める]
Pinちゃん……。
今日は、ううん……いつもありがとう。
[目を合わせ、きちんと自分の思いを伝える]
こんな弱いわたしだけど、これからも友達でいてくれると嬉しいな……。
[しかし改めて面と向かって言うのは恥ずかしさも有るようで、頬が若干赤く染まっている]
カンザシバト
[葵おねいちゃんに目を合わせて]
うん! これからもずっと、ずぅぅぅぅぅぅっと、友達だよ!
[その目は、泣いて充血しているが見て感じとれるようなまっすぐな目線で伝えた。]
あっ! そういえば、忘れてた!
[唐突に何かを思い出した表情をして]
百郷 葵
えっ!どうしたの?
[びっくりしたのか耳もピンと立つ]
カンザシバト
葵おねいちゃんのふわふわなお耳と尻尾をもふもふさ~せ~て!!
[葵の大好きなPinの輝かしい笑顔で伝えた。]
百郷 葵
うん!もちろん!
[こちらもとびきりの笑顔で応える]
[ライブ後の楽屋での二人のやり取りは、またいつも道理の光景へと戻っていく]
[いつもと変わらない日常と、少しづつ変わっていく二人の関係性は今後どうなっていくのか]
[その答えは、神様さえもまだ知らない]
ーーー愛を届けた小鳥ーーー
―――[Their story will be continued]―――
キャスト
カンザシバト:鯖ナメクジ
宇佐美:鯖ナメクジ
百郷 葵:isume
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