【これはカランがシロイルカを担当していた頃のお話】
[場所はナリモン水族館の屋外展示エリア、サンシャインハーバーにある、ベルーガシンフォニーと呼ばれている場所だ。そこである二人のアニマルガールが話し合っていた。片方は純白のアニマルガール、シロイルカ「ベル」。もう片方は白と黒のツートンカラーが目立つアニマルガール、「シャチ」だ。]
ベル「シャチさん」
シャチ「お?どうしたんだ?」
ベル「ルルちゃんの事なんですけど」
シャチ「あぁ、あの傷だらけで保護された子か?」
ベル「はい、実は私たちみたいに人の姿になってからの担当がまだ決まってなくて…」
シャチ「あれ?巫女さんが担当じゃなかったのか?」
ベル「先日担当を外れましたよ?」
シャチ「あーそういう…でもルルって…」
[そこに泣きながらトボトボと飼育員を探し回っているイルカのアニマルガールが通りかかる]
???「……ぐずっ……おねーちゃん………どこ………?おねーちゃぁん………。」
ベル「あっ。ルルちゃん、おいで」
[ルルと呼ばれたイルカのアニマルガールは、シロイルカのアニマルガール、ベルに勢いよく抱き着いた]
ルル「ベルおねーちゃぁぁん……!!」
シャチ「この水族館じゃ1番の甘えん坊なんだよな…」
ベル「よしよし…大丈夫……〜〜♪」
[ベルは、ルルを落ち着かせようと、動物だった頃のルルに聞かせていた歌いはじめる]
ルル「おねーちゃぁん……。……!…っ。〜〜♪」
[すると、ルルはすぐに泣き止み、ベルの声で一緒に歌いはじめた]
シャチ「!?」
ベル「えっ!?」
[ベルとシャチは完璧なまでのルルの声真似に驚愕している]
ルル「ベルおねーちゃん…?シャチおねーちゃん…?」
[ルルはきょとんとした顔で2人を見つめる]
ベル「…なんでもないよルルちゃん。とりあえず、担当の事はまた巫女さんにお願いしてみましょうか」
シャチ「そうだな、今なら…」
[そこに、巫女服のような白衣を羽織った女性の飼育員が現れた。彼女がその見た目から「巫女さん」と呼ばれている飼育員の様だ]
???「どうしたの?2人とも」
ベル「あっ巫女さん!」
カラン「カランでいいわよベル」
[ベルに対し名前呼びで構わないと伝えたその時…]
ルル「おねーちゃん!」
[ルルはカランに飛びついた、ルルの探していた飼育員は彼女だったようだ]
カラン「ちょっ!?はぁ…」
ベル「とりあえず一つだけお話に付き合ってもらってもいいですか?」
カラン「えっ?あぁ、別に構わないわよ、でもルルの担当の件なら解決済みよ?」
ベル「えっ!?なんでそのことを知ってるんですか!?」
カラン「あ〜〜朝ね、この子を任せた人から連絡があってね」
[カランはベルとシャチに話の経緯を説明する]
カラン「それで今後もあたしが担当する事にって」
シャチ「へ〜、つーか巫女さん、担当とかは大丈夫なのか?」
カラン「カランでいいってば。で、先日までカマイルカ担当だったあたしの今の担当はここ。ただ既に先輩(元ベル担当)のとこに移動が決まってるから今月末までだけどね」
ベル「そういう事でしたか、あと随分と掛け持ちしてるみたいじゃないですか、身体は大丈夫なんですか?」
カラン「全然平気よ?そうそう、あの宴会会場ってあったでしょ?」
[カランは唐突に話を変える]
ベル「えっとー…」
シャチ「職員寮のか?」
カラン「そそ、そこね、あたし達の寮にしてくれるって、いつまでもベルちゃん達にお世話になるわけにもいかないしさ」
ベル「えー…カランさんの手料理、本当に楽しみだったんですけど…」
[どうやらカランは同じ寮に住まい、ベルたちに料理を振舞っていたようだ]
カラン「幸いベルちゃんたちの寮のお隣じゃない、だからいつでもおいで、好きなもの、なんでも作ってあげるから。」
ベル「本当ですか!?」
シャチ「マジか!!」
カラン「シャチはあたしへのナンパ行為が減ったらね」
シャチ「えーケチ」
[真顔で言われたシャチは不貞腐るが]
カラン「冗談よ、シャチもいつでも来なさい」
シャチ「やったぜ!」
[冗談と聞いた途端表情が明るくなる]
ベル「よかったですねーシャチさん」
[そんなシャチを、ベルは白い目でシャチを見つめる]
ルル「おねーちゃんたちっ!あそびにいこっ!!」
[遊ぶことが大好きなルルはそんな話を一切聞かず、マイペースに遊ぶことだけを考えているようだ]
カラン「はいはい……あはは…。」
シャチ「さっきまで落ち込んでたのが嘘みたいだな」
ベル「いつも歌を聞かせてあげるとすぐに落ち着いてくれてましたので、聞かせてあげたんですよ」
[ベルがそういうとシャチは…]
シャチ「へー、そうだったんだ、オレもその歌聞いてみたいぜ」
ベル「えー…」
[聞いてみたい。と言う言葉にベルは嫌がるような表情を見せるが]
カラン「だったらあとで聞かせてあげるわ、ルルの介護の仕事の休憩中に先輩とベルとあたしでずーっと一緒に歌ってたからさ」
[カランは快く承諾した]
ベル「ちょっとカランさん!」
カラン「はいはい」
[そんな話をしている中でルルは待てなくなったのか…]
ルル「おねーちゃんたちっ!いこっ!!!」
[と元気よく言い、カランの袖を引っ張り始めた]
カラン「……ルルを待たせるのもあれだし、行きましょっか」
ベル「…そうですね」
シャチ「よっしゃ、今日はどんな子が来てるかな〜♪」
カラン「まーたナンパの事考えてるし…」
ベル「もう気にしない方が楽ですよ、あはは…」
【そんな賑やかな雰囲気の続くベルーガシンフォニーのある日の出来事。これはルルがフレンズ化して間もない頃のお話でした。】
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