PlayStation_2

ページ名:PlayStation_2

PlayStation 2(プレイステーション トゥー)は、2000年3月4日に発売された家庭用ゲーム機。略称はPS2。発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE) (現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) )。

目次

概要

PlayStation (PS) の次世代機として開発された。日本では日付の語呂にあわせて2000年(平成12年)3月4日に発売開始となり、発売から3日で98万台の販売台数を記録した。また、2005年11月には全世界で1億台の生産出荷台数を記録している。なお、使用部品の性能の高さと安価性から「兵器転用の恐れがある」としてワッセナー・アレンジメントで輸出規制の対象となり、発売当初に話題となった。PSと同様に、ユーザー間では「プレステ2」や「プレ2」などと略されることが多いが、CMや自社製品内での記載では一貫して「PS2(ピーエスツー)」としている。

起動と同時に表示される柱の数には仕掛けがある。PS3の画面のインターフェースを担当した平松修治によると、起動時にメモリーカードの中のタイトル起動回数を読み込みその数に応じて柱の数が変わるという。ちょうど、一般家庭の使用状況下においてPS3の発売時期に画面いっぱいに柱が立つようになっている。2004年11月3日には軽量・薄型化された新型のPS2が発売された。

外観

発売当初の外観は初代PSの本体やコントローラのデザイン、VAIOシリーズのネーミング・ロゴデザイン、一部本体デザインなどを手掛けた後藤禎祐により「地球から宇宙へのメッセージを発信する黒い箱」(モノリス)をイメージして作られている。極めて直線的な形によって、従来の家庭用ゲーム機に多い「横置き」と、発売時点では他にはPC-FXくらいしか例がない「縦置き」が出来るようになっている。なお、縦置きの際には転倒防止のため専用スタンド(別売り)を併用することが推奨されている。

性能

DVD-ROMドライブを搭載し、USBやIEEE 1394(i.LINK)端子といったパソコンと同じインターフェースも備える。USB端子はキーボードやUSBマイクを利用したゲームなどに使用された。逆にUSB端子以外の使用頻度が低い端子は、本体の型番が上がるにつれて削除される傾向があった(#バリエーションを参照)。Graphics Synthesizerは4MBのDRAMをチップ内に形成している。従来は論理LSIとDRAMを同一チップ上に形成するのは製造プロセスの違いから難しいとされており、当時としては大容量のDRAMを用いたDRAM混載LSIの先駆け的存在となった。VRAM(混載DRAM)のバス幅を2560bitにすることで、48GB/sという発売時期からすれば常軌を逸したメモリ帯域を実現している。

VRAMの帯域は次世代機のPlayStation 3と比較しても約2倍広く(PS3のVRAMのバス幅は128 bitで、メモリ帯域は22.4GB/s)、アルファブレンドのようなVRAM上の大量のピクセルの値を変更する処理においてはPS3よりも優れている。GPUにプログラマブルシェーダが搭載されていないため、非常に高速なVRAMの速度を活用し、半透明テクスチャを大量に重ね描きすることにより個性的なシェーダや特殊効果を実装するメーカーが多かった(逆に表示ポリゴン数以上のポリゴン処理が必要、何度も同じレンダリングするため。当時ポリゴン処理数が重要視された理由、シェーダならあらゆるエフェクトが1度で済む)。このようなハードウェアの特異な構成により、ハードウェアの研究とソフトウェアの工夫によっては他社製のハードウェアでは実現できない特殊な処理が可能となった。その反面、特異なハードウェアを活かすために常にソフトウェア側に工夫が必要とされるため、開発が全体的に難しくなり、ソフトウェアの移植性に劣り、開発で得たノウハウが直接他のハードウェアで使えないという欠点があった。

上位互換性

2000年の発売開始当時、すでに世界での出荷台数の累計が7000万台を超えていたPS用のソフトウェアの大部分をそのまま利用できるというハードウェアの上位互換性はゲーム専用機として画期的であった。旧来ユーザーはPSのゲーム資産がそのまま引き継げること、新規ユーザーはPS2だけ購入すればPS用ゲームソフトも購入して遊べること、ゲーム開発者はPS用ゲームを引き続き製作してもソフトウェアの売り上げに響かないなど、大きな利点があった。ソフト開発が難しい仕様である上、当初は十分な開発ツールが提供されなかったため、良質なゲームソフトが出揃うまで時間がかかり、ここでも互換性は大きな意味を持った。この成功により、他社のゲーム機にも互換性が取り入れられるようになっていった(元々セガはSC-3000⇒セガ・マークIIIの時に上位互換性をとったが、当時の強者だった任天堂がファミリーコンピュータ⇒スーパーファミコンの時に上位互換性をとらなかったので、コンシューマー機的には上位互換性をとらないものという認識が一般化していた)。

またPSソフトに対して、以下の2点でパフォーマンスを強化することが可能である。これらのモードは規格外高性能PSとして動作する為サポート対象外であり、動作に問題が生じる場合がある。そのためかこれらのモードは基本的にオフの設定であり、一度オンにしたとしてもPS2本体の電源を切ったりリセットしたりするたび、設定の変更は解除されてしまう。また、規格外ディスクを入れると、『PlaystationまたはPlaystation2規格のディスクではありません』と警告メッセージが表示される。

テクスチャマッピング補間3DCGのテクスチャを多用したゲームで大きな効果があり、グラフィックが格段に滑らかになる。ただし、スプライト的に使用されているポリゴンのテクスチャまでも補間してしまうため、テクスチャの解像度によっては文字や静止画がぼやけるなど、必ずしも画質が向上するとは限らない場合もあった。CD-ROM高速読み込みPS2のCD-ROM(24倍速)と同じ速度で読み込む。しかし低速でもロード時間を短くするよう工夫されたソフトも多いため効果が薄い場合も中にはあった。PS2ソフト同等速度として動作する以上、回転速度も上がりドライブの騒音がPS2ソフトと同等に大きくなる弊害も一応はある。一部のソフトにおいては、BIOSまでは起動する(PlayStation のロゴまでは出る)が、タイトル画面が出ないこともある。また、ゲームによってはサウンドが音飛びを起こしたり、サウンドの再生が異常に速くなってしまったりするものがある(『ファイナルファンタジーIV』の戦闘音楽が頻繁に高速化、『幻想水滸伝II』の一部のシーン、『サイレントヒル』でのポリゴンムービー、『メタルギアソリッド』でテクスチャの一部が点滅するなど)。逆に最初から隠し機能として高速モードがあるソフト(『ときめきメモリアル』等)はコマンド入力無しに発動する恩恵もある。

メモリーカードスロットも互換性があり、PS用メモリーカードを直接使用できる。PS2用メモリーカード(8MB)にもブラウザによってPlayStation用のセーブデータをコピーすることができ、バックアップとして保存できる。ただしPS用ソフトを起動しているときにはPS2用メモリーカード(8MB)にはアクセスすることはできない。また、メモリーカードの読み書きを高速化する機能も案としてあったが(技術的には十分可能)、読み書き速度に依存したソフトが多いことを理由に採用されなかった。

上位互換性は完全ではなく、極一部のPSソフトは正常に動作しないので注意が必要である。

PS2をD端子ケーブルやコンポーネント端子ケーブルで接続した場合、PS用ゲームは一般的な映像フォーマットではない240p(解像度720*240プログレッシブ)で出力されるため、接続したモニタによっては信号に対応せずゲーム画面が乱れたり、全く出力されなかったりする事がある。

DVDプレーヤー

上記の通り本機の光学ドライブはDVD-ROMにも対応しており、DVDビデオの再生機能が搭載されている。DVDビデオの普及期に単なるゲーム機ではなく、DVDプレーヤーとして活用できるゲーム機として登場したことは、DVDの普及に大きな弾みを付けることとなった。特に話題作『マトリックス』のDVDソフトは国内ではPS2と同時期に発売され、相乗効果となり普及に貢献した。また、発売当初の39,800円と言うメーカー希望小売価格は既存のDVDプレーヤーと比べて格段に安く、DVDプレーヤーの低価格化の火付け役となった。2000年代後半以降はDVDレコーダーの普及により単体DVDプレーヤーの需要が減っている上、プレーヤーの価格も最も安いもので4,000円前後まで低下している。

ゲームソフトにおいてはCD-ROMが採用されたのは初期のものが殆どであり、ゲームデータの複雑化・大容量化に伴って大多数のソフトがDVD-ROMでの供給となっている。また、片面1層のDVD-ROMでは間に合わず2層ディスクや複数枚のディスクを採用したソフトもある。

多くのDVDプレーヤーやDVDレコーダーが対応しているMP3には対応していない。

PS3発売以後のシェア

次世代機のPlayStation 3 (PS3)が2006年11月に発売された後もしばらくはテレビゲーム市場の一角を占めていた。例えば2007年の北米における年末商戦ではPS3が120万台・PS2が130万台を売り上げていた。裕福層がPCゲームへと移行する中、比較的貧困層向けへのビデオゲームの売れ行きが良く、特に発売から年数が経過し購入しやすい価格となったPS2は人気であった。また、この頃よりゲームソフトのマルチプラットフォーム化が進んで、大手メーカーのソフトがPS2を含めた多機種で発売される場合もあった。

PS3の初期モデルにはPS2互換機能が搭載(PS2のプロセッサを内蔵)されていたが、コストダウンを最優先する姿勢から2007年秋に発売された新型PS3はPS2互換機能が撤廃された。そのため2009年頃まで多くのメーカーがPS2・PS3双方でソフトをリリースしていたが、映像出力等のパフォーマンスの違いを除けば、操作方法を含めて両者はほとんど同じソフトであった。ソフトによってはXbox 360やWii、PlayStation Portable (PSP)でも発売されるため、合計5ハードで一つのソフトが発売される事もあった。

2008年に入ると、次世代機であるPS3やWiiの普及、さらに日本の家庭用ゲーム市場が携帯ゲーム機中心にシフトした影響で、日本での全ゲームソフトに占めるPS2ソフトの販売割合は10%未満まで減少した。なお、SCEは同年7月発売の『ラチェット&クランク5 激突!ドデカ銀河のミリミリ軍団』(PSPからの移植)を最後に、新作PS2ソフトを発売していない。PSNでもPS2向けの情報は基本的に配信されていない。

シェアの衰退に伴い新作ソフト数が減少する中、恋愛ゲームや萌えを意識した内容の作品はPS2に残留していたが、2009年には次世代ないし携帯ハードへの移行、もしくはマルチ展開を行うソフトが出始め、年内にほとんどのタイトルが移行した。女性向けの乙女ゲームは、2009年までPS2単独で展開するソフトがほとんどだったが、2010年に入ると次世代ないし携帯ハードやPCへの移行、もしくはマルチ展開を行うソフトが出始め、年内にほとんどのタイトルが移行した。

日本をはじめ、アメリカやヨーロッパなどの先進国ではPS3が主流となったが、ゲームが楽しめる上にDVDプレーヤーとしても使えること、DVDそのものが依然として主流であること、主要国ではそれらが“枯れた”規格としての手軽さなどから東南アジアや中東などの新興国で売り上げを伸ばしており、2011年1月には全世界での販売台数が1億5000万台を突破した。現在、世界一売れたゲーム機である。

ヨーロッパでは2010年にPS2を内蔵したソニーの液晶テレビ「BRAVIA KDL22PX300」が販売されている。

出荷完了と終焉

日本市場では2012年に対応ソフトは廉価版を含め全く発売されなかった。そして、2012年12月28日をもって日本国内における本体(SCPH-90000)の出荷が完了したことがSCEJより発表された。事前予告がされていなかったため駆け込み需要が発生し、ネットショッピングサイトでは2013年の正月にかけて瞬く間に新品在庫が完売。家電量販店や総合スーパー、テレビゲーム専門店においても相次いで完売したことから、メーカーの修理保証が付けられる新品の購入は困難となっている。

海外市場でも完全に生産が終了したことが2013年1月4日に英紙the Guardianで報道された。

2013年3月27日に最後の新作ソフト『ファイナルファンタジーXI アドゥリンの魔境』(スクウェア・エニックス)が発売され、また2016年3月31日 23:00(JST)をもってFFXIのPS2でのサービスが終了した。初代の『ファイナルファンタジーXI』と同日発売で同じくオンライン専用ソフトだった『信長の野望Online』も2014年でオンラインサービスを終了、PlayStation 3版及びPlayStation 4版に移行しているため、日本市場でのPS2は名実とも完全に歴史の幕を下ろすことになる。新作ソフトの発売は2000年3月4日のPS2の発売から13年間も続き、家庭用ゲーム機ではネオジオ、ゲームボーイに次ぐ長寿ハードとなった。

新作ソフトの発売は無くなったものの、ソフトやDUALSHOCK2など周辺機器の新品販売は在庫限りで続いている。2012年7月よりゲームアーカイブスでPS2タイトルの配信が開始された。しかしながらリリースされたタイトルは莫大な数に上り、アーカイブス化されていないPS2ソフトを遊ぶためには、改めてPS2本体もしくはPS2互換機能を持った初期型のPS3の所持が必要である。

なお、2014年3月31日には、PlayStation 2 SCPH-50000MB/NHおよび90000シリーズを除く機種で修理等のアフターサービス受付終了し、ハードウェアの修理も困難になった。

関連項目

ソフト一覧

  • - 日本語版ウィキペディアに記事の作成されているタイトルのリスト(タイトルでの五十音順)
    • PlayStation 2のゲームタイトル一覧 - 日本で公式発売された全タイトルのリスト(発売日順)

ハードウェア・周辺機器等

本体製品
  • PlayStation - 本機は初代PlayStationとの上位互換機能を持つ。
  • PSX - PlayStation 2の機能を併せ持った、ハードディスク搭載DVDレコーダー。
  • PlayStation 3 - 一部製品のみPlayStation 2との上位互換機能を持つ。
周辺機器
  • DUALSHOCK 2
  • PlayStation BB Unit - 本機を PlayStation BB(後のPSNともいえる)へ接続する為のネットワークアダプタとHDD。
  • EyeToy
  • popegg

その他

  • ソニー・コンピュータエンタテインメント
  • PlayStation CLUB

外部リンク

  • プレイステーション オフィシャルサイト
  • PlayStation® Global(英語)
  • Good Design Award - プレイステーション2


特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

高梁碧

たかはし あお高梁 碧プロフィール性別女性出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・埼玉県生年月日1979年8月8日(テンプレート:年数歳)血液型A型職業声優事務所アクセント声...

闇の銃撃_(ホミサイド/殺人捜査課)

闇の銃撃 フェルトンとペンブルトンは、犯罪調査の間、人種主義を討議する。原題A Shot in the Darkシーズン数1監督ブルース・パルトロー原案トム・フォンタナ撮影監督ウェイン・ユーイング作品...

込山順子

こみやま じゅんこ込山 順子プロフィール出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・東京都生年月日1966年6月28日(テンプレート:年数歳)所属演劇集団 円声優:テンプレート ...

諸星すみれ

諸星 すみれ(もろほし すみれ、1999年4月23日 - )は、日本の声優、女優(元・子役)、劇団ひまわり所属。神奈川県出身。身長146cm。体重31kg。本名同じ。目次1 来歴・エピソード2 出演作...

西村知道

にしむら ともみち西村知道プロフィール性別男性出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・千葉県生年月日1946年6月2日(テンプレート:年数歳)血液型A型身長169 cm職業声...

突然のニュース

突然のニュース原題And the Rockets’ Dead Glareシーズン数1監督ピーター・マークル原案トム・フォンタナ撮影監督ウェイン・ユーイング作品番号108初放送日1993年3月17日エピ...

相馬幸人

そうま ゆきと相馬 幸人プロフィール出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・東京都誕生日12月15日血液型A型所属81プロデュース声優:テンプレート | プロジェクト | カ...

河原木志穂

かわらぎ しほ河原木 志穂プロフィール愛称しほしほ(その他愛称は「人物」節参照)性別女性出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・東京都生年月日1976年4月29日(テンプレー...

永遠への出発

永遠への出発『ホミサイド/殺人捜査課』のエピソードGone for goode homicide life on the street.jpg話数シーズン1 第1話監督バリー・レヴィンソン脚本ポール・...

永田亮子

ながた りょうこ永田 亮子プロフィール性別女性出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・岐阜県生年月日1975年2月23日(テンプレート:年数歳)身長155 cm職業声優事務所...

植竹香菜

うえたけ かな植竹 香菜プロフィール出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・北海道誕生日7月17日血液型O型所属81プロデュース声優:テンプレート | プロジェクト | カテ...

根本圭子

根本 圭子(ねもと けいこ、1979年12月10日 - )は、日本の女性声優。81プロデュース所属。千葉県出身。星座はいて座。身長158cm。2012年3月4日入籍したことを発表した。夫は声優の高塚正...

恋におちて(ザ・シンプソンズ)

恋におちて(ザ・シンプソンズ)シーズン数1監督デヴィッド・シルヴァーマン初放送日1990年3月18日エピソード前次回前回忘れられた英雄次回パーティーはこりごり『恋におちて』(こい - 、“Life o...

忘れられた英雄

忘れられた英雄シーズン数1監督アル・ジーン、マイク・ライス、サム・サイモンとマット・グレイニング初放送日1990年2月25日エピソード前次回前回ホーマー自然に帰る次回恋におちて『忘れられた英雄』(わす...

山寺宏一

山寺 宏一(やまでら こういち、1961年6月17日 - )は、日本の声優、俳優、タレント、ナレーター、司会者。アクロス エンタテインメント所属。宮城県塩竈市出身。妻は同じく声優の田中理恵。経歴多賀城...

宮田幸季

みやた こうき宮田 幸季プロフィール愛称宮田ッチ、ヘリちゃん、みやたん性別男性出生地テンプレート:Country alias JPNの旗 日本・神奈川県[1]生年月日1972年10月9日(テンプレート...