国際比叡プロダクション_艦娘

艦娘とは？[]

　艦娘は、深海棲艦を沈めるとまれに「ドロップ」して出現します。また、資源を大量に妖精さんに渡すことで「建造」することができ、軍船としての部位である「艤装」を「解体」したり「近代化改修の素材に使う」ことで陸暮らしの人間になります。その原理は「まったくの謎」です。
　艦娘の兵装の管理や航空機のコントロール、武装の開発に入居時のサービスなど、関連するありとあらゆる「人のやる作業」は、「妖精さん」と呼ばれる謎の生物が担当しています。妖精さんがどこから来てどこへ行くのかは謎で、何を考えているのか、なぜこの艦娘を建造したのか、なぜこの装備を開発したのか、まったくわかりません。しかしどうも艦娘たちは妖精さんとコミュニケーションがとれるようで、彼女らを通して、新たな装備や艦の開発、建造が可能になることもあります。海軍は、F2やF35C、CIWSファランクス、などの設計図を与えて、ぜひ艦娘の装備にしようとやっきでしたが、今のところうまくいっていません。「妖精さん」とはそんな超自然的力の発現であって、相対性理論を超えたところにある存在です。
　鎮守府は、互いに大型の施設や情報などを共有し、指令系統を確立するため、地域ごとにまとまって設置されます。たとえば、「横須賀鎮守府」の旗の下に多数の「横須賀××鎮守府」が置かれています。「鎮守府」や「泊地」、「基地」と呼ばれるこの地域ごとのまとまりは組織性を持ちますが、マンションの住民による町内会のように有力鎮守府による寄り合いで運営され、所属する鎮守府に対する法的な指導力は持ちません。
　地域ごとのまとまりを持たない場所にも鎮守府はあり、たとえば東京湾岸の国際比叡プロダクションなどがそうです。こういった鎮守府でも、近隣の鎮守府との緩やかな交流はあります。
　ドロップした艦娘はだいたいの場合第２次大戦で記憶が止まっていることから、シャワーや電車やテレビや携帯電話、そして何より日本の圧倒的な豊かさ、ビルの高さと人々の服装の上質さに、驚き混乱し逃げ惑うことがあります。
　「ほええええーーーー！」
　「家にキネマがあるなんてすごいな！なんと！しかも色がついている、音も出る！」
　「これは、食べられるのか…？これも包装？こっちも包装？これは？食べられる？」
　「どうもこのぱそこんというやつの扱いは馴れませんね…。」
　ドロップさせた艦隊がそのままエスコートして簡単なチュートリアルを与えるということでももちろん良いのですが、ドロップする人数が増えるにつれ、組織的な教育機関が必要になりました。それが、「適応センター」と呼ばれる研修施設で、代々木オリンピックセンターなど各種施設に作られて、１年かけて現代人のイロハを教え込みます。ついでに英語やロシア語、中国語などの外国語や、数学など教養を学ぶこともできます。
　研修施設の規模にもよりますが、艦娘は毎日ドロップするため、入学は３ヶ月毎や１ヶ月毎に受け入れています。艦娘の仕事をしながら受けられるようにと鎮守府附属のものも作られています。研修を終えた艦娘は、３割ほどは義務感や責任感、正義感から艦娘として戦線に立つことを望みますが、鎮守府のほうがイエスと答えないと結局仕事がありません。
　不思議なことに、建造された艦娘は現代生活の知識を持っていることがほとんどです。

日本の艦娘[]

　現在日本が抱える現役の艦娘の数は30万を超え、この数の力によって勢力圏内の海を支配しています。その一方で、30万が艦隊戦を経過するたび艦娘がドロップすることがあり、さらに建造でも増え、彼女らを（軍縮条約も名目に使って）解体や近代化改修素材にすることにより、年間約10万人の元艦娘が生まれています。30万という数字は現在の資源供給で支えられる水準であって、これより増やしたければ石油や弾薬や鋼材やアルミニウムを増産する必要があります。残念なことに過去10年の年間平均で年300人もの艦娘が任務中に命を落としており、政府はこの数字をなんとか減らそうと努力しています。もちろん結婚や飽きた、やりたいことを見つけた等の理由で艦娘をやめるものも数多くいて、こちらは年8000人には上ります。
　鎮守府で狩り暮らしをする艦娘ならまだしも、解体・近代化改修で普通の女の子になった元艦娘には、人間らしい文化的生活と能力と仕事が必要になります。このため元艦娘は国費で教育を受けることができ（代わりに社会保障関係費がごっそり削られたが）卒業後は普通に就職したり永久就職したりしています。難民・移民との扱いの違いが軋轢を生んでいますが（いわゆるジャパン・ファースト政策）、日本としては彼女らは日本人です。
　元艦娘は区別のため、自分で名字や名前を名乗ったり、結婚して名字をくっつけたりします。一部の艦娘が自分で自分に「キラキラネーム」をつけたりして、問題視する向きもあります。
　年間10万人もの適齢期の女性が人口に加わるため、婚活市場には歪みが生じています。長きにわたって約5万人の女性が婚活市場に新規参入するわけで、普通の人口動態で増えるのが男女70万人ずつ（日本国内では出生率向上政策が採られている。他国には出生数抑制政策をやらせているが。）であることを考えると、女性が多めな割合になってしまっています。提督の一部は艦娘とジュウコンカッコカリしていますが、それでも女性の婚活は乾期なのです。
　元艦娘になると年を取るようになりますが、その年齢は法律に基づき下記のように暫定的に設定するものとされています。
　駆逐艦：１２歳　　　研修後中学校に２年生から転校
　潜水艦・軽巡洋艦：１５歳　研修後高校に２年生から転校
　重巡洋艦：１８歳　研修後大学に入学することができる
　空母、戦艦：２１歳　研修後大学に入学することができる
艦娘によってはけっこう精神年齢や外見とズレが生じる場合がありますが、その場合は市役所が柔軟に対応します。ドロップするのは実際のところほとんど駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦で、たまに軽空母と戦艦、稀に正規空母や潜水艦となっています。正規空母や潜水艦が解体や近代化改修されることは非常に少ないため、やはり偏りが出ます。
　艦娘に寿命があるのか、という問題はしばしば議論され、特に結婚しようという者たちにとっては重大な関心事ですが、少なくとも日本国内では最初の提督が
「詳細は説明できませんが、私たちの持つ情報から演繹すると、艦娘の寿命は普通の人間と同じ程度か、少し平均的に長い程度、とかなり高い確度で予想できます。」
と1998年に発表したことから、そうだと信じられています。横須賀ダイエースタバ鎮守府は、偵察の前から敵の位置と性質を知っていたり、深海棲艦の出現をある程度予想したりできるようになっていたため、「彼女たちならわかるのだろう」と思われているのです。

艦娘のお仕事[]

艦娘は、所属する鎮守府を通して出撃、演習、遠征の3種類のお仕事をこなします。
　出撃では、実際に敵の発見された場所に赴いて艦隊戦をおこない、月に平均2〜3体の深海棲艦を撃沈しています。
　演習は、練度向上のために近くの鎮守府と行ったり、艦娘同士、特に海外艦娘とのトラブルを解決したりするために行ったりします。ペイント弾とゴーグルを使用して、だいたいは演習用プールで実施するので、損傷は残りません。
　遠征は、艦娘の主任務です。指定された海域を哨戒して制海権を維持したり、輸送船などを護衛したり、ドラム缶に資材を詰めて輸送したりと、深海棲艦や他国の跳梁を抑えシーレーンを確保する重要な活動です。
　出撃は主に３種類に分かれます。１つ目は、常時可能な敵艦隊撃破任務で、敵艦が出没する勢力圏外縁部の深海棲艦を撃沈します。２つ目は、期間を定めて勢力圏拡大を図る「特別作戦」で、予算を多額割り振って多数の鎮守府が反復出撃します。３つ目は、「スクランブル」。これは当卓独自の設定で、姫クラスを中核とする千単位の深海棲艦が集結している場合に、付近の鎮守府から千人単位で艦娘を輸送機に乗せて輸送/空挺するというものです。そのまま泊地に殴りこみに行くこともあれば、襲撃予想ポイント付近で迎撃することもあります。
　「スクランブル」の場合、しばしば敵も悪知恵を働かせており、直前まで空軍の哨戒機の目から集結を秘匿したり、煙幕やジャミングなどの小手先の技を使ったりしてきます。このため、襲撃予想地点付近にいた「先着組」の艦娘による情報収集と威力偵察が重要になってきます。危険な役目で、死者が出ることもありますが、ここが天王山なのです。
　通常の出撃、演習、遠征の任務はまとめて、海軍が管理するポータルサイト「赤煉瓦」を通して発注し、入札し、受注します。「スクランブル」では、事態発覚から1分以内に最寄りの泊地に所属する各艦娘の持つ軍用タブレットに呼出音が入って、専用ページに誘導します。専用ページには、わかった情報が逐次入る仕組みになっており、右上には赤い数字で「会敵予想時刻マデ」のタイムリミットが表示されます。目安1時間で、予告のうえ任務が発注され、5分程度の入札のうえ出撃メンバーを確定したら、順次輸送機に乗って出発していきます。
　スクランブルに限らず、大人数を必要とする任務、たとえば海上護衛任務などは、しばしば入札によってメンバーを決めます。「受注金額×練度修正」の値が小さい順に受注していき、所定の練度修正済み人数に達したらその時点での金額で全員への支払額が決まります。
　練度修正とは、要するに練度の高い艦娘を1レベル艦娘複数人分と数えるということです。
　艦娘の移動手段は、だいたいにおいて自前ですが(輸送船より速いことが当たり前)、陸地の移動は鉄道や航空機、自動車ですし、また遠隔地への移動や「スクランブル」で迅速が求められる場面などでは、各泊地に設営された大型飛行場から艦娘用輸送機に乗って飛んでいきます。
　たとえば横須賀には、鎮守府群から車で5〜15分程度の距離に、無人島猿島を埋め立てで大拡張した猿島飛行場があり、陸地から橋もかかっています(艦娘は水路を使うことのほうが多いですが)。飛行場にはC-130ロッキードハーキュリーズシリーズ(すべて国産)20機やボーイング747が10機を中心とした輸送機が待機しています。加えて有事には羽田空港の優先利用権もあり、航空会社がチケット変更やキャンセルに追われる中、旅客機で予定戦場付近に移動することもできます。億単位の税金がかかるオプションです。
　輸送機は艤装が重くかさばる艦娘に合わせて内装を変えており、音楽や映画を流せる仕様のものも一般的です。747なら、300〜400人の艦娘を人数分のパラシュート付きで搭載し、原設計より大型のハッチからパラトルーパーすることも可能です。
　艦娘はこうして現金の給与を受け取りますが、目安全体の50%程度が鎮守府に支払われ、残る50%程度が口座に入ります。さらに、主として討伐した深海棲艦の数に応じて資源が現物供与されます。鎮守府は、運営スタッフのお給料はもちろんのこと、施設の維持の諸経費、入居ドックや艦娘保有枠となる各種住宅・生活・娯楽施設への設備投資、そしていざとなれば資源やアイテムの購入費など、何かとお金が入用なのです。
　なお鎮守府は、わりと独立系のものが多く、互助組織である泊地や鎮守府など、以外とは関係を持たないことも多いです。が、相当数企業系の鎮守府というものもあり、また官公庁や行政、財団、宗教法人なども鎮守府を傘下に持つ場合があります。
　このような形式の鎮守府制は、当初から政府が大規模な艦娘組織を維持運営するだけの組織力と資金力を持たなかったために生じたものですが、アメリカで入札方式による任務割り振りが成功を収め、各国に広まった現在では、当たり前のものとして受け入れられています。究極のPPP、とも呼ばれています。

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