東京・両国駅のすぐそばにそびえ立つ、まるでSFの世界から現れたような建物、それが「江戸東京博物館」です。まるで空中に浮かぶような巨大な構造物。そのユニークな外観に「これって何の建物?」と気になったことがある方も多いのではないでしょうか?
今回は、建築の知識がない方でも楽しめるように、「江戸東京博物館」の建築的な見どころと、なぜこのようなデザインになったのか、そして訪れる楽しみ方についてご紹介します。
江戸東京博物館ってどんな施設?
江戸東京博物館は、1993年に開館した東京都立の博物館です。その目的は、江戸から現代の東京に至るまでの歴史や文化、暮らしを紹介すること。館内には、江戸の町並みを再現した巨大な模型や、明治以降の近代化を象徴する展示物などが並び、まるでタイムスリップしたような体験ができます。
この博物館の目玉は、もちろんその展示内容…だけではありません。実は「建物そのもの」が、国内外の建築ファンの間で高く評価されているんです。
空中に浮かぶ巨大な「箱」?独特な外観の秘密
江戸東京博物館の建物を初めて見たとき、多くの人が驚くのはその形。まるで巨大な箱が4本の脚で持ち上げられているかのような、近未来的なデザインです。
この構造は、「メガストラクチャー(巨大構造)」と呼ばれる建築手法を採用したもの。4本の鉄筋コンクリート製の柱と、それをつなぐ巨大な梁によって、上部の展示空間を“宙に浮かせる”ような形になっています。
なぜこんな構造になっているのかというと、「建物の下にも開放的な広場を作りたい」という意図があったからです。巨大な建築物でありながら、地上の空間を圧迫せず、街と建物が自然につながるよう工夫されているのです。
江戸の高床式建築を現代に再解釈
実はこのデザインには、日本の伝統的な建築様式へのオマージュも込められています。建物の「高床式構造」は、江戸時代の蔵や芝居小屋などに見られたもの。それを現代的なデザインと技術で表現し直したのが、江戸東京博物館なのです。
つまり、建物自体が「江戸と東京をつなぐタイムトンネル」のような役割を果たしているわけですね。
見どころ①:エントランスの大空間
建物に入ると、まず圧倒されるのが広大な吹き抜けの空間。ここには、実物大の日本橋の復元模型が堂々と架かっています。床から見上げると、そのスケール感に思わず息を呑みます。
この空間も、建物の上部に展示室を設けることで生まれたもの。展示の臨場感を損なわず、かつダイナミックな空間体験ができるよう工夫されています。
見どころ②:空中を歩くような回遊ルート
展示室へは、長いエスカレーターやスロープを使ってアクセスします。まるで建物の「脚」の間を歩いているかのような感覚が楽しめるほか、東京の街並みを一望できるポイントもあり、建物全体が“都市とつながる建築”として設計されていることが感じられます。
建築巡り好きには外観も必見!
内部の展示ももちろん魅力的ですが、建築好きならぜひ「外から」もじっくり眺めてみてください。正面からの迫力はもちろん、横や裏から見ることで、構造の工夫や素材の違いなどが見えてきます。
また、夜になるとライトアップされ、無機質な外観が少し柔らかく幻想的な雰囲気に変わります。このギャップもまた、建築の面白さのひとつですね。
現在は長期休館中(2026年リニューアル予定)
残念ながら、江戸東京博物館は現在、大規模改修工事のため休館中です。再オープンは2026年度中の予定。新しい展示や設備に加え、建物自体もどのように生まれ変わるのか、今から楽しみですね。
最後に
江戸東京博物館は、建築初心者にもやさしく、建物を楽しむ入り口として最適な場所です。「なんでこんな形なんだろう?」という素朴な疑問が、建築の世界に興味を持つきっかけになるかもしれません。
街中にある“ちょっと変わった建物”を見たら、そこにはきっと何か意味や物語があるはず。そんな視点で建築巡りをしてみると、散歩も旅行もぐっと面白くなりますよ。
江戸東京博物館の再開を心待ちにしつつ、ぜひ他の建築にも目を向けてみてくださいね!