埼玉県さいたま市にある「埼玉県立近代美術館」についてご紹介します。普段あまり建築に詳しくない方や、「美術館ってなんとなく難しそう」と思っている方にも楽しんでいただけるように、丁寧にわかりやすく解説していきます。
建築巡りが好きな方にとってはもちろんのこと、アートに少しでも興味がある方なら一度は訪れてみてほしい、とっておきのスポットです。
埼玉県立近代美術館とは?
埼玉県立近代美術館(通称:MOMAS)は、1982年に開館した日本でも比較的歴史のある美術館のひとつです。場所は、JR北浦和駅から徒歩3分という好立地にあり、都心からのアクセスも良好。公園の中に建っていて、緑豊かな自然とともにアートを楽しめる癒しの空間として、多くの人に親しまれています。
そしてこの美術館の大きな魅力のひとつが、建築そのものの美しさです。設計を手がけたのは、日本を代表する建築家・黒川紀章(くろかわ きしょう)。彼の建築哲学が随所に感じられるこの建物は、建築好きの間では“名作”と語り継がれています。
建築家・黒川紀章の思想が息づく空間
黒川紀章は、「共生」や「循環」といったテーマを大切にし、都市や自然、人間と建築が調和することを目指していた建築家です。未来的なデザインと哲学的なアプローチで、世界中に数々の個性的な建築を残しました。
「埼玉県立近代美術館」は、そんな黒川の初期の代表作のひとつ。建物を一目見るだけで、無機質さの中に温かみを感じるような、シンプルで洗練された美しさが伝わってきます。
シンプルだけど奥深いデザイン
外観は一見とてもシンプル。白を基調とした直方体のようなフォルムに、黒いラインがアクセントになっています。まるで現代アートのような建物は、周囲の緑と見事に調和し、決して派手ではないけれど、存在感があります。
建築に詳しくない方でも、「なんだかスタイリッシュだな」と感じられるはず。無駄な装飾がなく、どこか静謐な雰囲気をまとっていて、アートを鑑賞する場所として理想的な空間がつくられています。
館内は、天井が高く広々としていて、自然光が心地よく差し込む設計。展示室へ向かう導線もわかりやすく、初めて訪れる人にもやさしいつくりになっています。
館内で出会える名作家具たち
建築ファンにとってのもう一つの楽しみは、館内に設置されている名作家具の数々です。
「椅子に座れる美術館」としても知られるこの美術館では、20世紀を代表するデザイナーの椅子が随所に置かれており、実際に座って体感することができます。例えば、ミース・ファン・デル・ローエの「バルセロナチェア」や、ル・コルビュジエの「LCチェア」など、一度は見たことがあるような有名なデザイン家具が並びます。
これは、美術館としての役割だけでなく、デザインや暮らしの美学を広めるという黒川紀章の思想にも通じる部分です。「使えるアート」「体感するデザイン」が、ここでは特別な体験として味わえるのです。
建築初心者でも楽しめるポイント
建築に詳しくない方でも、「埼玉県立近代美術館」は以下のようなポイントで十分に楽しめます。
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建物のフォルムや色合いを味わう:直線的でクールな外観と、周囲の自然とのコントラストに注目。
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自然光の使い方に注目:館内に差し込むやわらかな光が、展示空間の雰囲気を豊かにしています。
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名作椅子に座ってみる:デザイン性と座り心地、両方を体験するだけで、建築やデザインの魅力がぐっと身近になります。
ちょっとした観察でも、建築に対する興味が自然と湧いてくる、そんな仕掛けがこの美術館には詰まっています。
公園の中でアート散歩も楽しめる
埼玉県立近代美術館は、北浦和公園という緑豊かな場所に建っています。美術館の前庭には彫刻作品も展示されており、建物を外から眺めながらのアート散歩もおすすめ。
展示を見たあとは、公園を歩いたり、ベンチでひと休みしたり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。まるで建築と自然に包まれたひとつの芸術空間のような感覚です。
アクセスとおすすめの過ごし方
アクセスはとても便利で、JR京浜東北線「北浦和駅」から徒歩約3分。駅前にはカフェや飲食店もあるので、美術館のあとに軽食やコーヒーを楽しむこともできます。
おすすめの過ごし方は、午前中に美術館を訪れて、建物や展示をじっくり堪能。その後、公園でランチをして、午後は周辺の街を散歩。建築もアートも自然も一度に味わえる、充実の一日になりますよ。
まとめ
埼玉県立近代美術館は、建築に詳しくなくても、その空間の美しさや心地よさを肌で感じることができる場所です。黒川紀章という建築家の思想と、シンプルでありながら豊かなデザインが調和したこの美術館は、まさに“建築を体験する場所”。
アートが好きな方はもちろん、建築巡りに興味を持ち始めたばかりの方にも、自信を持っておすすめできるスポットです。ぜひ、ふらっと訪れて、建築とアートの世界に浸ってみてください。