ムカサリ絵馬

ページ名:ムカサリ絵馬
名前ムカサリ絵馬
ジャンル民間信仰 / 供養習俗 / 冥婚
別名むかさり絵馬、迎さり絵馬

概要

ムカサリ絵馬とは、山形県の村山地方を中心に(置賜地方や最上地方にも)伝わる民間信仰の風習。
未婚のまま亡くなった故人を供養するため、死後の世界で結婚できるように婚礼の様子を描いた絵馬を寺院や観音堂に奉納するもの。
「ムカサリ」は山形の方言で「結婚」「花嫁」を意味し、「迎えられ」「嫁に迎えて去る」「娘が去る」「向こうへ去る」などが語源とされる。
絵馬には故人(正装姿)と架空の配偶者(生きている実在の人物を描くのは禁忌)が婚礼姿で描かれる。古くは三三九度の場面に仲人や稚児を加えたものが多く、近年は新郎新婦のみの記念写真風や洋装、写真合成、同性カップルなど多様化している。
大きさは50〜70cm程度が一般的だが、1mを超えるものもある。
代表的な奉納先は天童市の若松寺(若松観音)で、1000体以上が奉納されているほか、黒鳥観音、小松沢観音、久昌寺、立石寺などにも見られる。
目的は「せめてあの世で一人前になって幸せになってほしい」という遺族(特に親)の願い。結婚を通過儀礼としてとらえ、半人前の死者を祖霊として完成させる意味合いもある。
現在も絵師が活動しており、全国から依頼がある。


来歴

起源は江戸時代まで遡るとの説があるが、現存する最古の作例は明治後期(1890年代後半〜1900年頃)のもの。
若松寺では1898年のものが確認され、久昌寺などでも明治35年(1902年)頃のものが残る。
明治〜昭和にかけて興隆し、戦死者供養なども含まれるようになった。
観音信仰(最上三十三観音など)と強く結びつき、地域の檀家や巡礼者によって奉納されてきた。
戦後も続き、近年はメディア露出やネットを通じて全国的に知られるようになり、遠方からの奉納も増えている。
ホラー作品や都市伝説で「生者を描くとあの世に連れていかれる」という禁忌が強調されることが多いが、本来は純粋な供養習俗である。

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