名前 | マネー・ローンダリング |
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概要
マネー・ローンダリング(Money Laundering、資金洗浄)とは、違法な手段で得た資金(犯罪収益)を、合法的な資金に見せかけるために行われる一連の行為を指す。これにより、資金の出所を隠蔽し、追跡を困難にすることを目的とする。マネー・ローンダリングは、麻薬取引、詐欺、脱税、テロ資金供与など、さまざまな犯罪と関連している。主に以下の3つの段階で進行する
配置(Placement)犯罪収益を金融システムに導入する段階(例:銀行口座への入金)。
層化(Layering)資金の出所を隠すため、複雑な取引や送金を通じて資金を分散・移動させる段階。
統合(Integration)洗浄された資金を合法的な資産や投資として経済に再統合する段階。
マネー・ローンダリングは国際的な犯罪と見なされ、各国で厳格な法規制や監視が行われている。日本では「犯罪収益移転防止法」などがこれに対応している。
来歴
マネー・ローンダリングという用語は、1920年代のアメリカで、アル・カポネなどの犯罪組織が違法な酒類販売の収益をクリーニング店などの合法的な事業に偽装して隠したことに由来するとされる。この行為が、汚れたお金を「洗浄」するというイメージから「マネー・ローンダリング」と呼ばれるようになった。
1980年代以降、国際的な麻薬取引の拡大に伴い、マネー・ローンダリングが世界的な問題として注目されるようになった。1989年には、G7諸国が中心となり、国際的なマネー・ローンダリング対策を目的とした「金融活動作業部会(FATF)」が設立された。FATFは、資金洗浄防止のための国際基準(FATF勧告)を策定し、各国に法整備や金融機関の監視強化を促している。
日本では、2000年に「犯罪収益等隠匿防止法」が制定され、2007年に「犯罪収益移転防止法」に改正された。これにより、金融機関や事業者に対して顧客の本人確認や不審な取引の報告が義務付けられた。また、国際的なテロ資金供与の防止も含め、規制はさらに強化されている。