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ロッド・レイス(?~850)はレイス家の男性で、ウーリ・レイスの兄、フリーダ・レイスやヒストリア・レイスの父である。幼い頃は弟と共に父に人類を救うよう働きかけ、ウーリが巨人を継承したのちはその補佐と共に、『祈る』役割を担った。娘のフリーダが継承した8年後、グリシャ・イェーガーに始祖の巨人を奪われたのちはこれを取り戻すべく働く。エレン・イェーガーがトロスト区の扉を巨人の力で塞いだことを聞いて、王政及び憲兵団を動かしてその奪還を目指した。
黒髪の少年。前髪は眉の丁度上まで伸びており850年頃よりやや長めである。子供として登場した際はレイス家特有の白いローブのようなものを着ている。
前髪はやや短くなったが顔は子供時代と同様に丸顔のまま。頬にはほうれい線が刻まれている。
背が低くやや太り気味で丸顔である。長かった前髪は額が出る程度に短くしており、鼻の下に薄い髭を生やしている。服は貴族らしく白いシャツの上に黒いベストを着ているが、フリーダの継承の儀の際や礼拝堂などで祈る際はレイス家の白いローブを着用する。
ロッドは本人曰く「最も戦いに向いた巨人」になれる脊髄液を摂取して巨人化し、このためか彼の無垢の巨人は通常の無垢の巨人に比べて非常に大きく、そのサイズは壁を優に超え、100m以上あることが推測される。またその温度も非常に高熱で周囲の木が自然発火するほど。しかしその自重のために直立で歩行することは出来ず、大地を四肢で這って進んだ。その際にやはりその質量の為に体の前部分が削れ、そこを突いた作戦によって倒されることとなる。
レイス家の長男として生まれる。レイス家はカール・フリッツが壁の門を閉ざして以降、始祖の巨人と壁建造以前の歴史、そして初代レイス王カール・フリッツの築いた不戦の契りを引き継いできたが、これは全て巨人を継承した者ただ一人に委ねられる性質のものであり、周囲はその意志によって主導される。
このため、ロッドと弟のウーリは父が何故巨人の力を行使することで壁外から巨人を駆逐し人類を救うことをしないのかを理解できず、何度も父に人類を救う様訴えた。しかし父はカールの思想に囚われているため、その訴えを叶えることはせず、時にロッドを牢に入れたりすることもあった。その後、妻と826年に長男ウルクリン・レイス、827年に長女フリーダ・レイスを設けている。
829年、父がユミルの呪いの規定するところの13年を終え、その継承権を子に譲る時が来た。順当にいけば兄であるロッドが始祖を継承するはずであるが、ここでウーリが始祖を継承しようとする。ロッドはウーリではなく自分が継承すると主張し二人は揉めるが、ウーリは継承を買って出る代わりにロッドに「祈る」ことを頼むと、ロッドは困惑したような表情ながらそれを了承した。
この「祈る」が示唆するところは明確に描かれていないが、後のロッドの発言「祈っているよ 神は人類を導いてくれると」や、ここまでロッド、ウーリは始祖の巨人を使って人類を救うべきだと考えてきたことなどを考慮すると、「ウーリが初代王の思想に囚われず人類を救う」ように祈る、という意味ではないかという推測も可能である。
こうして始祖の力とカールの思想はウーリに引き継がれた。予てより人類を救おうと兄と共に主張してきたウーリだったが、初代王の思想に逆らうことは出来ず、始祖の力と記憶はウーリ一人に託され伝えることは出来ない性質上、ロッドは自分と思想を共にするものを失うこととなる。結果としてはロッドはウーリと道を違えることは無くウーリの補佐に回ったが、当時彼がどの程度人類を救う希望を残していたかは不明である。
しかしウーリの継承年間にアルマとの浮気をし835年にヒストリアが生まれている。「アルマ…君だけだ僕を分かってくれるのは…」との発言があり、彼がレイス家の実情と彼の思想を語ってそこにアルマが同調したのか、あるいはそれとは特に関係ない会話をしていたのかは不明だがこの浮気は彼の心理的孤独に端を発することは明らかである。彼の正妻は後述のグリシャによる簒奪の際の様子から基本的に王が示す方針に反抗する様子もなく、ロッドの思想的孤独は恐らくウーリと思想を違え、人類を救う思想を共有するものがいなくなったことが原因と考えられる。
他方ウーリは「壁の中に楽園を築きたい」などの発言から基本的に初代王の思想に同調する一方で、ケニーに対し「傷つけあうしかなかった我々を友人にしたものは何だ」「それでも私はあの時の奇跡を信じている」と発言している。ここで奇跡とは傷つけあうしかなかった我々が友人となったことであり、これを信じるという事は壁内人類に関して、何らかの形で平和的に壁外の非エルディア人と融和することができる可能性を希望としており、初代王の思想に反した行動は出来ない反面、その殉死的思想とは逆にウーリ自身は外因的な要素によりエルディア人が救われることを望んでいるのではないかと推測できる。
こうしてウーリの継承期間の13年が過ぎ、またこの間、正妻との間には831年に次男ディルク・レイス、833年に次女エーベル・レイス、ヒストリアと同年の835年に三女フロリアン・レイスが生まれている。
ウーリがその継承期間を終えた842年、長男ウルクリンではなく長女フリーダに始祖の巨人が継承された。何故ウルクリンではなかったのかは不明だが、フリーダは継承前、「私に任せて父さん」「先祖の亡霊なんかに私は負けないから」と言っており、恐らくロッドがその思想をフリーダに打ち明けフリーダもこれに賛同したものと思われる。しかしながらフリーダも例にもれず初代王の思想に支配されていたことはヒストリアの発言からも明らかであり、ロッドは再びその思想を共有する相手を失うこととなる。
壁が破壊された845年、進撃の巨人によるエレンの未来の記憶に導かれたグリシャによって、フリーダは始祖の力を簒奪され、ロッド以外の家族は殺害された。ロッドは彼の家族と、彼の思想の実現に必要な始祖の巨人を失うこととなった。彼は「祈る」役目を担う関係上、彼が初代王の思想に支配されれば彼の思想は実現不可能になる為、王家の血を引く人物が必要であった。そこで襲撃後ヒストリアとアルマを保護するべく行動するが、王政や中央憲兵には襲撃の事実を伝えていない(王政にとっては始祖の巨人が王家の求心力であり、これを失った事で求心力が損なわれることを避けた)ため、むしろ王家の穢れを払う為に中央憲兵に二人を殺害されそうになる。アルマはそのまま殺害され、ヒストリアも殺害されそうになったところでロッドはヒストリアを、実名を伏せ一般の訓練兵として生活させるよう提案し王家の血を保護した。
ベルトルト・フーバーが始祖の巨人を炙り出すため再びトロスト区前門を破壊、これをエレン・イェーガーが巨人の力を使い再び封鎖した、という情報を聞き、奪われた始祖の巨人を特定すると、ロッドは簒奪からここまでのあらましを王政に白状し、始祖を奪還するべく王政と中央憲兵の協力を仰いだ。
まず初めに特別兵法会議の場を用いて憲兵団を利用しエレンの引き渡しを要求。しかしエルヴィン・スミスの演説によりエレンは調査兵団への引き渡しが決定し、ロッドの思想の鍵である始祖の巨人は前線で運用されることになった。
次いで第57回壁外調査に失敗した調査兵団に再びエレンを引き渡しを要求するが、ストヘス区戦闘により知性巨人の潜入の存在を示し、人類の防衛目的として調査兵団と存在とこれに対するエレンの利用の妥当性を証明されてしまった。
そこで以降は強硬手段に出ることとなり、憲兵を用いてニック司祭を拷問、殺害。さらにエレンとヒストリアの所属するリヴァイ班の拠点を襲撃させた(エルヴィンやニファなどが事前にこれを察知し回避)。さらに中央憲兵はリーブス商会にエレンとヒストリアを攫わせるがこれもジャン・キルシュタインとアルミン・アルレルトによる替え玉作戦によって失敗。逆にディモ・リーブスと調査兵団は取引を交わし、中央第一憲兵ジェル・サネスとラルフが拘束、サネスの拷問により調査兵団に調査兵団にレイス家に関する情報が漏洩してしまう。
これを受けてケニー・アッカーマンを隊長とする中央憲兵対人立体機動部隊を動員しディモを殺害し、エレンとヒストリアを確保。さらにディモ殺害の罪をエルヴィンに着せることで調査兵団の解体を進めた。ヒストリアとエレンを奪還しようとする調査兵団はストヘス区にて対人立体機動部隊と交戦するも対人立体機動装置に敗れ、エレンとヒストリアは無事ロッドの下に到着した。ロッドはヒストリアに「今まですまなかった」と伝え、父親らしく振舞ったが、この際ロッドがどの程度父性的感情を持っていて、どの程度自分の思想を実現するための行動であるのかは不明。
王政が兵団によって瓦解しようとする一方で(始祖を奪還しさえすれば初代王の思想に反しない範囲で始祖の力が使えるので、記憶改ざんを用いて王政の復権が可能である)、ロッドは礼拝堂地下を対人立体機動部隊を守らせてヒストリアの継承の準備を進めていた。
ロッドは巨人化に必要な薬品の入った黒い鞄を携えヒストリアの下に来た。まず初めにエレンとの接触を行い簒奪に関するグリシャの記憶を断片的に思い出させ、ヒストリアに襲撃の事と始祖の巨人が持つ力を部分的に説明した。接触の際、フリーダとの交流の記憶を思い出していたヒストリアはグリシャによってフリーダが殺害されたことに強いショックを覚え、エレンに対して怒りの眼差しを向ける。
自分が巨人になって始祖を継承してもウーリの見た思想に到達できないことを知ったケニー(そもそもアッカーマンなので巨人化することもできないが)は、自分の野望に気付きながらこれを伝えずに自分を利用したロッドに憤り、ロッドの襟を掴み銃口を突き付けるが、父ロッドを妄信しているヒストリアはこれを妨害。ケニーはヒストリアに対し、ロッドはヒストリアの血統のためにヒストリアを奪還したのであって自分と同様に利用されていると言い、さらにロッドではなく弟や娘が始祖を継承したことを「自分が巨人になりたくねぇから弟や娘に押し付けるクズ」と表現したが、実際にはウーリの際はロッドは始祖を継承しようとしていたことに加え、「祈る」役割を担うべく継承を譲ったのであるからこれに対しロッドはケニーのナイフを掴んで「理由がある」「私が巨人になるわけにはいかないんだ」と伝えた。
これを聞いてケニーはロッドを攻撃するのを止め、その代わりとして独自の人生観の下エレンとヒストリアは巨人になって戦う結果として継承するべきだとし、エレンの額に切り傷を入れた。ロッドはヒストリアに注射器を渡したが、エレンは父の罪と自分の存在に絶望しヒストリアに自分を食べるよう頼み戦闘にはならなかった。注射を打とうとする直前、ヒストリアは牧場の柵を越えようとした際に姉が激昂したことを思い出し、これに対しロッドは不戦の契り(ロッドは不戦の契りという名前を知らないが)について説明した。これを聞き、エレンを選んでも王家を選んでも人類は救えないと踏んだヒストリアは、ユミルの言葉を思い出して、自分のために生き自分のしたい事をすると決意。ロッドは背負い投げられ背骨が折れ、ヒストリアは自分の理想である「自分なんかいらないって泣いてる人がいたらそんなことないよって伝えに行きたい」を叶えるためエレンを開放することを決意。
ヒストリアに拒絶され、もはや自分自身で始祖を用いて人類を救うことを試みるしかなくなったロッドは床にまき散らされた脊髄液を舐めて巨人化した。この時父やウーリ、フリーダの名前を呼び「僕が 今」と言っているが、かつて理想を共にした人に対して「自分が始祖を継承し理想を実現する」という意味で言ったのか、或いは理想を共にしながら継承と共に分かり合えなくなった人々に対して「ようやく自分も同じ境地に立ち彼らの考えたことを理解できる」という意味なのかなどその真意は不明。
巨人化したロッドであったがその無垢の巨人は余りにも大きく、さらに奇行種であったためエレンや周囲の人間を無視し、洞窟を破壊しより多くの人間の集まるオルブド区を目指し這い出した。そして明朝オルブド区に到達し、駐屯兵団の砲撃をものともせず壁に到達。しかし、その自重ゆえに顔や体の前が大きく削れていると踏んだエルヴィンの作戦により、まず両手を爆破し顔を壁の高さまで落し、巨人化したエレンが爆弾を喉に突っ込んだことで爆弾はロッドの巨人自身の熱で起爆し、うなじの肉片が区上空に飛散した。その中からロッドがいる肉片をヒストリアが攻撃したことで、ロッドは斬殺され死亡した。この瞬間、人類を救うべく失意の中進んできたロッドの記憶がヒストリアになだれ込んだ描写がある。
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