あばばばば

ページ名:あばばばば

登録日:2010/07/27(火) 19:50:40
更新日:2023/08/18 Fri 19:45:58NEW!
所要時間:約 5 分で読めます



タグ一覧
文学 芥川龍之介 ぼのぼの あばばばば シマリス「あばばばば」 こみっくがーるず 萌田薫子



あばばばばばば

   ∩___∩        |ノ   丶/⌒)     /⌒)(゚) (゚) /     / / (_●)ミ /    ( 丶 |∪| /      \  丶ノ /        /    /       |    /        | /\ \       | /  ) )       (_ノ  ( \           \_)   



&link_up(△)メニュー
項目変更&link_copy(text=項目コピー) &link_diff(text=項目変更点)&link_backup()&link_upload(text=アップロードページ)



[#include(name=テンプレ3)]

















2.芥川龍之介の小説。
「保吉もの」と呼ばれる中~後期の作品群の一つである。
内容としては、主人公の保吉がマッチとたばこを買いに行った店で出会った女性についての話。




■あらすじ
保吉は赴任して間もない、独身で一人暮らしの海軍学校の英語講師である。
ある時、知ってはいたが入ったことのなかった店に入り、マッチを買おうとする。
主人は目が細く若い男で、きわめて無愛想だったが、保吉はそれからその店に通うようになった。



通い始めて半年ほどのある初夏の朝。
いつもなら主人が座っている勘定台(レジ)に、この日は女が座っていた。
その容貌は「Enface(正面)に見た顔は猫に似てゐる」と描写され、ややツンとした印象に思えるが、
その実、非常に恥ずかしがりで、かつ品物を間違えまくるドジっ娘である。


間違いを指摘された時の彼女については、
「この瞬間の感情の変化は正真正銘に娘じみてゐる。それも当世のお嬢さんではない。五六年来 迹(あと)を絶つた硯友社趣味の娘である。」
と描写がある。
硯友社とは明治中期~後期にかけ文壇の中心となった、『金色夜叉』の尾崎紅葉らにより結成された文筆家結社で、
その性格は「もっと古典を見直そうぜ!」「文学は娯楽だろうよ!」「純粋に文学しようぜ!」といった、政治的色彩を排し娯楽小説をめざすというものである。
しかしこの場合のニュアンスとしては擬古物語(ex:恋路ゆかしき大将)のような理想的女性像を示すものだろうか。


簡単にいえば、「そんなんホントにいるのかw」というくらいテンプレ的な気弱ドジっ娘というのが、保吉の印象なわけである。



そんな珍しい生き物に出くわしてしまったのだから、保吉はその後いろいろ観察したり、
ちょっとややこしい注文をつけたりして、おたおたしたり顔を赤らめたりする反応を楽しんでいた。
ちなみにややこしい注文というのは例えば、VanHoutenはないかと尋ね、Fryしかないと言われているのによく探せと言ったりする、
まあめんどくさい注文のことである。


そんなこんなで通っていたが、翌年の正月になると、ぱったりと女の姿が見えなくなった。
物足りなさからいろいろ理由を想像したりもしたが、よく考えたら別に親しくもないので、
わざわざ無愛想な主人(どうやら旦那らしいが)に尋ねる心持ちにはならなかった。



そして、女の存在もやや忘れかけた二月の末。
保吉は通りがかったあの店の前で、一人の女が赤子を両手に抱え、



「あばばばばばば、ばあ!」

  ∩___∩   |ノ   丶   / (゚) (゚)  |  (_●_)ミ  彡、 |∪| 、`\  / /,'3 丶-っ ) `( | ⊃ ⌒(_/  \二)ー―"  | /\ \  | /  ) )  (_ノ  ( \      \_)

と、あやしているところを見かけた。
例の気弱ドジっ娘なあの女である。


ふと目が合い、さぞ逡巡・赤面するだろうと思いきや、女は澄まして微笑んで、嬌羞などかけらも浮かべていない。
しかも一瞬ののちには、また



「あばばばばばば、ばあ!」

  ∩___∩   |ノ   丶   / (゚) (゚)  |  (_●_)ミ  彡、 |∪| 、`\  / /,'3 丶-っ ) `( | ⊃ ⌒(_/  \二)ー―"  | /\ \  | /  ) )  (_ノ  ( \      \_)

と、人目も恥じずに赤子をあやし始めるものだから、
保吉は女を後ろにして一人ニヨニヨしていた。


これが「母になる」ということなのだなと思いながら、あの初々しかった気弱ドジっ子娘の変化に、やや茫然としたのだった。


おしまい。





■余話
ちなみに舞台となるこの店、現代の読者には何の店かよくわからない。
売って(置いてあ)るものを一覧すると、

  • たばこ(朝日、三笠が登場)
  • マッチ
  • 軍艦三笠の模型
  • キユラソオの壜(ビン)
  • ココアの罐(缶)
  • 干し葡萄の箱
  • スコツトランドのウイスキイ
  • マニラの葉巻
  • エヂプトの紙巻
  • 燻製の鰊
  • 牛肉の大和煮

と非常に雑多であり、しいて言えば『萬屋』的な感じである。



また、VAN HOUTEN(バンホーテン)といえば、世界で初めてココアパウダーを作った世界的企業だが、
FryもFryで初めて固形のチョコレートを作った有名な企業である。
作中では他にもDrosteというこれまたオランダ指折りのココアメーカーが言及され、芥川はココアフリークだったのか、と疑念を抱くほど。
他にも、De HoogheだのSpargoだのとやたら横文字が多く、妙にハイカラな雰囲気の作品となっている。





あばば あばば あばば 踊る赤ちゃん人間



筋肉少女帯の「踊る赤ちゃん人間」という曲はこの小説をモデルにしている。
アニメ「N・H・Kにようこそ!」のEDであり、内容はアニメに負けないネガティブな歌詞になっている。


現実世界が嫌になった人間が赤ちゃん人間を目指そうとしロシアを、カナダを、インドも、さらにチャイナを、ユーロを、トルコも、
そして火星へ、土星へ、銀河へ赤ちゃん人間を増やそうとするベイビーヒューマンドラマ的な歌詞である。



追記・修正はあばばばばばば、ばあ!


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,11)

[#include(name=テンプレ3)]


シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧