基礎編(その十二)

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JPTX と JPDC


これまでずっと扱ってきたのは拡張子 .jpy1 を持つ JPY ファイル、エフェクトブースターにおいてはもっとも多用される形式ですが、エフェクトブースターにはこの他にも JPTX と JPDC という、異なる二種類の様式のファイルがあります。


JPTX ファイル
テキストを背景画像として扱うための定義ファイルの様式。WirthBuilder の背景描画におけるテキストセルと似た機能を持つ。拡張子 .jptx
JPDC ファイル
CardWirth のプレイ画面のスクリーンショットを利用するための定義ファイルの様式。スクリーンショットはエフェクトブースターで利用することもできるし、ファイルとして出力することもできる。拡張子 .jpdc

これらについては用途が限定的で機能がさほど多くない上、JPY ファイルに比べれば比較的分かりやすいので、概要を紹介するにとどめます。


JPTX ファイル


JPTX はテキストを画像のように扱うために導入されたエフェクトブースターの機能です。


基本的に CardWirth でテキストを表示するにはメッセージコンテントやセリフコンテントを用いるのが正しい作法ではありますが、演出上の必要から背景に何らかのテキストを表示したいこともあるでしょう。
その場合、テキストを背景に表示するための特別な仕組みというのがかつては存在せず、テキストを画像化して表示する必要がありました*1が、その作業を行わずとも背景にテキストを表示できるようにしたものが JPTX です。


JPTX ファイルを作成するためのツールとして、CardWirth の配布パッケージには JPTX メーカーが付属しています( CardWirth\Tool フォルダにある JPTXMaker.exe )。これは(JPY メーカーに比べれば)扱いやすい道具ですので、これを用いて制作すると良いでしょう。


JPTX メーカーの使い方


JPTX メーカーを起動すると、次のようなウィンドウが表示されます。



この状態で作業をすることはできません。作業を始めるにはまず「更新」ボタンをクリックします。
すると、あと二つウィンドウが開きます。




この「テキストウィンドウ」にテキストを入力して「更新」ボタンを押すと、セルとして表示される内容が「文字描画ウィンドウ」に表示されます。その際に、JPTX メーカーで行った設定(フォントのサイズや文字色・背景色など)が表示に反映されるという具合。
例を示してみましょう。まず、フォントと表示サイズを変更してみます。



次に「テキストウィンドウ」に表示したいテキストを入力します。



HTML 風のタグが使われていますね。JPTX では文字を装飾したり表示位置を制御したりするために、タグを使うことが出来ます。そして「更新」ボタンを押すと・・・



こんな風に表示されます。設定した内容を「書き出し」ボタンで保存すると JPTX ファイルが作成されますが、それを CardWirth (および WirthBuilder )の画面で表示するとこんな風に見えます、という表示サンプルですね。


その点も実際に確認してみましょう。「書き出し」を押してファイルを保存します。



次に WirthBuilder を開き、いま保存した JPTX ファイルを適当なエリアで表示させます。



するとこんな風に表示されます。これはエリアの背景として表示させましたが、セルとして使用することも可能です。


JPTX ファイルの文法


先ほど保存した JPTX ファイルの中身は、こんな感じになっています。例によって行番号は説明のためにつけたもので、実際は存在しません。


 1: [jptx:init]
 2: backwidth=632
 3: backheight=420
 4: lineheight=100
 5: backcolor=$FFFFFF
 6: autoline=1
 7: antialias=0
 8: fonttransparent=0
 9: fontpixels=24
10: fontface=MS P明朝
11: fontcolor=$000000
12: [jptx:begin]
13: <shifty="32><shiftx="24"><b>エフェブ</b>はそんなに難しくないっすよ
14: <shiftx="48">多少<i>クセ</i>はありますけどね<font color="$0000ff">多少です、多少</font>
15: [jptx:end]

JPY ファイル同様の ini ファイル・・・と言いたいところですが、実際には HTML 風に拡張した独自の形式になっており、以下の二つのセクションから成り立っています。


  • [jptx:init] セクション(1 ~ 11 行目):表示に関わる各種の設定を記載
  • [jptx:begin] ~ [jptx:end] セクション(12 ~ 15 行目):表示内容(本文)

具体的なパラメータの内容、そして本文で使えるタグについては CardWirth に付属のヘルプファイル editor128.chm をご参照下さい。「エフェクトブースター→文法一覧→JPTX文法」のページに必要な情報が記載されています。


注意点


これは JPTX だけでなく WirthBuilder でテキストセルを用いる際にも共通する注意点ですが。
これらで表示するフォントを指定する場合、Windows で標準的にインストールされているフォント(たとえばMS Pゴシック等)を用いるようにしましょう。
設定したフォントがプレイヤーの PC にインストールされていない場合、代替フォントで表示されてしまい、予期しない表示となってしまいます。
凝ったフォントを用いたい場合は JPTX ではなく、画像編集ソフトを用いてテキストを画像化し、表示させましょう。


JPDC ファイル


JPDC はプレイ中の画面のスクリーンショットを利用するためのエフェクトブースターの機能です。
JPY や JPTX と異なり、JPDC ファイルを扱うためのツールは(今のところ)ありません。
内容は ini 形式のテキストファイルで、その点では JPY ファイルと同様ですが、使えるパラメータの数が非常に少なく、編集は容易です。
ものすごく極端な話、空のファイル(ファイルサイズが 0 バイト)に .jpdc と拡張子をつけただけでも JPDC ファイルとして機能するくらいです(この場合、全てのパラメータにデフォルト値を指定したとして動作します)。


実行例


実際に、JPDC ファイルを使った例を示してみましょう。
まず、JPDC ファイルを作成します。内容は以下の一行だけで大丈夫です。


[jpdc:init]

これをテキストエディタに入力し、適当な名前をつけて保存します。ただし拡張子は .jpdc にして下さい。ここでは ScreenShot.jpdc というファイル名で保存したものとします。
次に、この JPDC ファイルを呼び出す JPY ファイルを作成します。


 1: [init]
 2: backwidth=632
 3: backheight=420
 4: dirtype=2
 5: fileName=MapOfWirth.bmp
 6: 
 7: [ScreenShot]
 8: width=400
 9: height=260
10: fileName=ScreenShot.jpdc
11: position=116,15
12: transparent=0

いままで動作確認に使っていた冒険者の宿の定義ファイルと似ていますが、冒険者の宿の画像を表示する代わりに先ほどの JPDC ファイルを指定しているのがお分かりでしょうか(10行目)。
そしてこれを表示するよう、WirthBuilder のエリア画面で指定します。



この時点では、中央のスクリーンショットが表示されるべき部分が、ぽっかりと白くあいてしまっていますね。表示されるべきスクリーンショットがまだ作られていないからです(スクリーンショットを作るのは WirthBuilder ではなく CardWirth エンジンの役割です)。
このシナリオを実行して表示させると、なかなか興味深い事態になります。まずは普通に張り紙からシナリオを選択して表示させた場合。



画面の中央部分にはプレイ画面を縮小したものが表示されてますね。この部分にスクリーンショットが利用されているということなのですが、以前紹介したように WirthBuilder から「パーティを指定して実行」で直接シナリオを起動すると、同じエリアのはずなのにこんな風に表示されるんです。



なぜこのような違いが生ずるかというと、そのエリアを表示する際の直前の画面が違うからなのです。
画面を表示する際に CardWirth エンジンは ScreenShot.jpy1 を読み込み、さらにそこで参照している ScreenShot.jpdc を読み込んだ時点、つまり画面構成直前のスクリーンショットを内部的に保存します。
そしてエフェクトブースターはそのスクリーンショットを ScreenShot.jpdc の画像の内容であるとして扱い、JPY の定義とエリア画面の設定に基づいて画面を構成します。
ですから、直前の画面の違いを反映してその都度違う画面を表示する、というわけなのです。


だいぶトリッキーですが、このように JPDC を持ちいれば現在表示されている画面を用いて動的に背景を構成することが可能になります。
さらに JPDC にはスクリーンショットをファイルとして保存する機能もあり、ファイル名を適切に管理することによって任意の時点のスクリーンショットを保存して使用することも可能となります。
使い方次第ではかなり強力な機能ですが、シナリオの内容と設計に依存する面も大きく、本チュートリアルの性格(初心者向け)からするとかなり高度なものとなりますので、現時点では扱わないことにします。


JPDC ファイルの文法


説明は割愛します。
具体的なパラメータの内容、そして本文で使えるタグについては CardWirth に付属のヘルプファイル editor128.chm をご参照下さい。「エフェクトブースター→文法一覧→JPDC文法」のページに必要な情報が記載されています。


まとめとおさらい


今回のポイントは以下の通りです。


  • JPTX ファイルはテキストを背景画像のように扱うことが出来る
    • JPTX ファイルを編集するには JPTX メーカーを用いるのが簡単
  • JPDC ファイルはプレイ画面のスクリーンショットを画像のように扱うことが出来る
    • JPDC ファイルは中身がなくてもわりと大丈夫

今回をもって、基礎編をいったん終了とします。
次回からは、みなさんお待ちかねのエフェクトブースターを用いたアニメーションについて解説します。


戻る:基礎編(その十一)

*1 テキストセルが導入されたのは ver 1.50 からです

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