SCP-3171

ページ名:SCP-3171

登録日:2019/11/17 (日曜日) 05:48:15
更新日:2024/05/13 Mon 11:19:18NEW!
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scp scp foundation safe 植物 何、この…何? 記憶処理 scp-3171





つまり、財団は記憶処理薬を作るためならわりと何でもやる。

その方法がリスクの小さいものだったなら、なおさらだ。



はじめに

財団世界は異常存在にあふれている。
そして財団はそれらから一般大衆を守り、そんなものないと安心して暮らしてもらうため、日々奮闘している。
だがどうしても限界はあるし、そもそも異常存在の方から一般大衆のど真ん中に飛び込んでいくのは残念ながらよくあることである。
異常が、それに関わる者たちが、存在することを認識してしまう無辜の人々は後を絶たない。


世間だけでなく、財団内でも知ってはならないことを知ってしまう人間は多い。
機密情報や認識災害などよりヤバい情報を大量に取り扱う財団では、しばしば管理体制にほころびが出たり、外部とのいざこざだったり、その異常が思ったよりヤバいやつだったりなどでセキュリティクリアランスを守りきれないことがある。


そういう時に登場するのが、記憶処理である。
見てはいけないものを見た記憶を消してしまう。なかったことにする。実に効率的な解決法である。
その方法としては色々なものが見受けられるが、最もよく使われるのは記憶処理薬の投与であろう。
様々な種類や投与方法が存在し、消したい記憶に応じて色々な記事で使われている。
メタ的にはTale「記憶処理取り扱いガイド」の設定が有名であり、記事建て現在大方はこれに沿って使用されているように見受けられる。




しかし、だ。
この記憶処理薬、これ自体もまた異常存在である場合が多いのだ。
正直、日常的な財団での貢献度で言ったらどのThaumielクラスオブジェクトも及ばないのではないかと言う気すらする。
どこが異常なのかと言えば、その起源または作用する原理がである。
つまり、異常存在由来のものであり、なぜ効くのか分かっていないという明らかな危険性を孕んでいるわけだ。それに、その製造過程で別の問題が発生する場合もある。
一応、Tale「改訂版記憶処理薬ガイド」においては完全に非異常性の神経学的アプローチから制作された新記憶処理薬が大量生産できるようになっているとのことであり、「記憶処理取り扱いガイド」の設定に変わってこちらの設定を採用する記事も登場してきている。
直接関係はないが、韓国支部に記憶処理薬原料となるキノコが存在し、作用原理が解明できたためExplainedクラスとなっているという例もある。


また、この「改訂版」では従来の記憶処理薬について、その起源に関わっている三つの記事にリンクを張ることでそれらの問題点を提起し、新薬の説明に繋げている。


第一に「危険性に満ちている」として貼られたリンク先の記事はSCP-3000
言わずと知れたThaumielクラスの大ウツボで、人間を捕食することで「個人を個人たらしめるナニカ」を抜き取り、記憶処理薬の原料となる物質を分泌する。
収容は出来ていないし、ウツボがその実何をやっているのかすらよくわかっていないが、それまで使われていたアヘンやクロロホルムなど危険な記憶処理薬を使わなくてよくなることから、なりふり構わずDクラスを生贄に捧げ続けている。


第二に同じく「危険性に満ちている」として貼られたリンク先の記事はSCP-2419
表向きは財団の廃棄物処理場だが、その実死んだDクラスから生前の幸福な記憶を抽出・蒸留・精製し、記憶処理薬として利用するための施設だ。SCP-3000のそれと違って「これと消したい記憶を差し替えると、脳が勝手にギャップを埋めてくれる」という原理は一応説明されていることから財団が精製技術をつかんでいることは確かだろうし、原料は普通の人間だけであり異常存在は介していない。
しかし負の記憶のみを残され怨霊となったDクラスが焼却炉の中で蘇って人を襲い始めてしまい、焼却炉が稼働しているうちは勝手に焼けてくれるもののだんだん灰が溜まって彼らを止められなくなってしまう危険が迫っている。




そして、最後に「危険でこそないが倫理的な問題を抱えている」としてリンクが張られているのが当記事SCP-3171である。
先の二つだって倫理のりの字すらないレベルではあったが…まあリスクが小さいだけマシと言うものかもしれない。
つまりSCP-3171は記憶処理薬の原料に関わっているが、少し悩みの種があるということだ。
前置きが長くなってしまったが、説明に移りたい。




SCP-3171はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスSafe


特別収容プロトコル

特に分かりづらい点はないため、こちらから説明する。


SCP-3171はアフリカ南部にあるザンベジ自然保護区の北東部、そのごく一部のサバンナにしか生息していない。
この区域は財団が所有しており、隠しカメラと24時間体制の警備で押さえられている。またここには遠隔操作型のスピーカーが30台設置されている。
そして担当研究員は毎週1回ここに来て、その根元にある「液嚢」を回収することになっている。
この際SCP-3171のいら立ちや非礼な反応を防ぐため、過度な接触は禁じられている。


以上。アフリカの生き物で音が関わっていて、コミュニケーションが成り立つ何かであることが分かる。
液嚢、つまり液体の入った袋が記憶処理薬絡みなのはお察しの通りだが、どう関わるのか見ていこう。


概要

SCP-3171はヒドノラ属という寄生植物の一種。基本地中で育ち、他の植物に寄生して養分や水分を奪い取ることで生きている。
ふつうヒドノラはこのため葉や茎がなく、根から直接花や実が地上または地中に生えるのだが、SCP-3171は少し異なるらしい。
SCP-3171は高さ4~5メートルほどの茎を持っており、実ではなく「実のような器官」が茎の周りに伸びるツタから4個生えている…パッと見は妙なサボテンと言う印象。さらに奇妙なことに、ヒドノラ属は花から花粉を出して繁殖するのが道理のはずなのにSCP-3171はなぜか胞子で繁殖する。
どちらかというとシダ類に近いのだろうか?


異常性らしい異常性はここから。SCP-3171は人間並みの知能を持ち、ツタ同士を打ち合わせて鳴らすパチパチとした音でコミュニケーションを取っている。音同士の時間の長さで情報を表すようだ。なかなか面倒臭そうな数学的処理が必要に思えるが、SCP-3171は高速計算能力に長けていて90桁の数字同士の掛け算を1~2秒でやってのけた。加えてしれっと音を聴くことができることもわかる。
またSCP-3171は先述の通り生息地が一つしかなく、財団は他の場所で胞子を根付かせようとしたものの叶わなかった。なお現在の個体数は457体。


そして、「実のような器官」の中には時折液体の入った袋が分泌されるのだが、この中身が記憶処理薬の原料となる。
例によってコレがなぜ記憶を消せるのかはわかっていないので、原料が人間じゃないだけマシというだけで依然として起源と原理が不明瞭なリスクはぬぐえないが…。
なおこれが記憶処理薬に使えるとわかったのは収容からいくらか経ってからである。




しかし、財団がSCP-3171を利用するに至るまでの経緯は良くも悪くも偶然に満ちていたと言える。


発見経緯

SCP-3171の群生地であるザンベジ自然保護区を旅行に訪れていた大学教授がいた。教授はこの際に20時間もの環境音を録音し自身のWebサイトに上げていたのだが、たまたま教授の講義を受けていた学生の一人が音声に含まれていたパチパチ音を分析したところ、あることに気付いた。


「あれ、これ完全なランダムじゃないぞ」


その音のパターンは疑似乱数的、つまりランダムに見えて確固たる何らかの計算の結果としてできたものだった。
この報告は財団も監視する公的なメーリングリストで行われたため、財団が調べたところこれは暗号通信に使われる「ディフィー・ヘルマン鍵共有」を行っていたと判明。自然界にそんなことができる存在がいたと発表でもされたら大変なので関係者全員記憶処理された。
後の研究によってこれはSCP-3171は近くにいる個体同士は会話の盗み聴きがし放題なため、プライベートな会話のために発達した暗号通信だったと判明している。極めて大きな素数をあれこれして解読するのはさしものSCP-3171でも無理なようだが、エンコードとデコードを自力でやりながら会話するくらいは造作もないらしい。


で、財団は研究チームを立ち上げて現地へ向かい、9か月かけて人間とSCP-3171のコミュニケーションのための自動翻訳プログラムと英語⇔SCP-3171語の音声変換ソフトを完成させた。流石は財団の研究者である。(一応別件で獲得したパラテック機械学習も使ったようだが、地道な外部事象と発言の相互参照や振る舞いからの推測の積み重ねには変わりない)


交流記録

そうしてやっとこさ出来上がった翻訳機でSCP-3171は日ごろ何を言っているのかを調べたところ、意外にも(のようななにか)だった。内容としてはいくつかの単語を一見無秩序な順番で繰り返し並べるというもので、日中の大半の時間はそうして作った詩を互いに聞かせ合うことで過ごしていることが分かった。
この発見を受けて研究チームに文学者が加わっていたのだが、ここで一つ事件が起きた。


ファーストコンタクト(非公式)


全く関係ない食中毒が研究チーム内で発生し、一人観測所に取り残されたのは詩に関することで大学を卒業したばかりのグリーン博士だった。
ここでグリーン博士、何を思ったか勝手にSCP-3171同士の会話に混じって自作の詩を放送し始めた。なおこれが記念すべき人間からSCP-3171へのファーストコンタクトである。


SCP-3171-234: 月 太陽 月。
月 太陽 月。
月 月 闇。


約3秒間の沈黙の後、拍手が起こる。


SCP-3171-446: 太陽 太陽 月。
月 太陽 太陽。
月 闇 月。


約3秒間の沈黙の後、軽い拍手が起こる。


グリーン博士: 太陽 月 月。
太陽 月 月。
闇 闇 月。


約15秒間の沈黙。


SCP-3171-053: 今まで聞いた中で文字通り最低の詩だ。


なんでや!ほとんど変わらんやろ!
…まあ、彼らには彼らの感性があるのだろう。あ、グリーン博士は無事懲戒されました。
あとしれっと「拍手」と出てきたが、これはSCP-3171が茎を風になびかせて音を立てることで賞賛を表しているのを人間風に表したものらしい。
実際は普段叩いてる手(?)を止めている真逆の状態なのだが。


ファーストコンタクト(公式)

こんなのが最初の会話では困るので、言語学者チームの主任アリス・ワン博士が正式な挨拶を試みた。


ワン博士: 私たちは動物です。あなたがたの言葉を話しています。


ワン博士: しかし地面を這い回る動物とは違います。あなたがたと同じく、私たちは知性を、理解を、自我を発達させてきました。


ワン博士: 私たちが望むのは会話です。アイディアの交換です。交流です。


SCP-3171同士による、約1分間に及ぶ非公開のコミュニケーション。


SCP-3171-128: 雲と大地。風と太陽。青と赤。


ワン博士: 私には理解できません。説明していただけませんか?


SCP-3171-003: 荒々しい日没。平和な空。熱。命。


SCP-3171-232: 十七。二十三。三十七。四。


ワン博士: 私には理解できません。


SCP-3171はまたも非公開のコミュニケーションに1分を費やす。


SCP-3171-241: 動物よ、価値あることを言いなさい。


SCP-3171-033: 動物よ、詩を詠みなさい。


彼らは詩人なのだ。詩人の村で語らいたいならまず詩を詠めということだろうか。
幸い、我ら人間にも詩は詠める。この大事な局面で即興ではグリーン博士の二の舞になりかねないので、著名な詩人の作品から引用することにしたようだ。


約15秒の沈黙の後、ワン博士はエリザベス・バレット・ブラウニングの詩『自然が教えてくれる忍耐』の第1節を読み上げる。


ワン博士: 「ああつまらない!」我らは嘆く「なんとつまらぬ人生か!」
そしてその間も世代を超えて歌う鳥らの鳴き声は
我らの吐いた溜息かき消し、羊や牛が安らかに
暮らし続けるその最中にも、天が賜うた人生の
真の意味とて争い続ける我らの姿喩うなら
我らが刃向かうナイフのようで。


ワン博士の朗読後、約90秒間の沈黙が続く。


SCP-3171-341: 変。


ワン博士: もっと聞いてみたいですか?


SCP-3171-341: いいえ。


SCP-3171-241: いいえ。


ご期待に添えなかったらしい。
この2件によってどうやら人類はSCP-3171にとって「語るに及ばない」と見なされたらしく、これ以降財団からのコミュニケーションは無視され続けた


しかも、前述した記憶処理薬の原料としての価値が判明したのが無視され始めてからだった。
否応なしに財団の彼らへの関心は高まるのだが、Win-Winの取引を何度持ちかけても返事はない。
液体の袋を無理やり出させることが可能ならやっただろうが、それが分からなかったためリスクを考慮すると強制的に動くこともできない。
ならば詩方面でリベンジを…とSCP-3171的な詩でいい感じのものを作るため、国際的に有名な詩人のチームを雇ったり、機械学習で作ったりといろいろ試したのだがそれでも彼らは反応してくれなかった。
…なんか財団がここまでオブジェクトに下手(?)に出ているのもやや珍しい印象だが、記憶処理薬というのは財団にとってはここまでするのに十分な動機なのだ。
あと撥ね退けられたとか攻撃されたとかではなく、無視され続けているというのが余計に悲壮感を漂わせる。
もう考えられる方法はこのまま詩で勝負するしかなさそうだが、果たしてSCP-3171は人類を、ひいては財団のことを再び考えてくれる日は来るのだろうか…




そうして2年がたったある日、思いもよらない転機が訪れた。
しかもまた想定外にもほどがあるベクトルの、溶岩にお菓子を捨てたレベルでは済まない不祥事によってだった。


SCP-3171の秘密


財団の努力が初めて実を結んだのは1999/11/12午前3:30、植物学チーム所属の次席研究員であるカレン・ウィリアムズ氏が酩酊状態でSCP-3171とコミュニケーションを試みた際のことです。


オイなにしてくれとんじゃ。
ファーストコンタクトといいこのチーム管理体制がガバガバな気がするが、終わりの見えない仕事で緩んでいたのだろうか。SCP-3171も昼間によく行動するようだし、普通に真夜中に酔っ払いに叩き起こされた状態である。


ウィリアムズ氏: これ点いてる?


録音の最初の2分間はウィリアムズ氏がダイヤルを手探りする音が入っている。


ウィリアムズ氏: よお、SCPども! 元気かな? 俺のダチ!


ウィリアムズ氏: で、俺はここで……植物の留守番をやってる。


ウィリアムズ氏: 人生の今まさにこの時でこんなことする羽目になるとは思わなかったよ。


ウィリアムズ氏: 俺が放送してるって知ったらアリスの奴ぶちぎれるだろうなあ。


ウィリアムズ氏は約10秒間笑い続ける。


ウィリアムズ氏: いい気味だぜ。


ウィリアムズ氏: 女ども。俺はてめえらの刈り方を知ってんだからな。


約40秒間の沈黙が続く。


おそらく上司で女性のはずのワン博士を名前呼びするどころか「SCPども!」「俺のダチ!」である。
…まあ、仕事はずっと雲を掴むような状態だったのだからストレスがたまるのもわかる。
だがそれを異常存在である原因に直接ぶつけてどうする。しかも真夜中に。「SCPども!」なんて”たのしいざいだん”世界でもそうそう聞かねえよ。


ウィリアムズ氏: 感謝祭もそろそろ*1だしさ。


ウィリアムズ氏: 家に帰りたくてたまんねえし、当分はこんなバカバカしいこと全部ほっぽっときたいんだ。


ウィリアムズ氏: フロスティーズが食べたい。子供の頃道端で売ってた小さなアイスクリームだよ。おい草ども、アイスクリームって何だか知ってる?


ウィリアムズ氏: 知らねえよな、多分。


ウィリアムズ氏: フロオオオオオオスティイーズ!


ウィリアムズ氏は少しの間軽く笑い声をあげる。


ウィリアムズ氏: ああ、楽しかった頃だ。


ウィリアムズ氏: 今言ったアイスクリームってのはネバネバでドロドロのぬかるみみたいなもんさ。



完全に酔っぱらっているが、アイスクリームを説明しようとするところは財団職員らしいと言えるか。説明できているとは言い難いが。
そうしてウィリアムズ氏は自分の慣れ親しんだアイスクリームについて語りだした。


ウィリアムズ氏: フロスティーズにはボウルも付いてくる。チョコレート、バニラ、キャラメル、エスプレッソ。俺はいつも一番大きいサイズをママと一緒に食べるのさ



その時だった。



ウィリアム氏の独白は350体以上のSCP-3171によるリズミカルな叩打音により遮られる。


SCP-3171-123: 不愉快。


SCP-3171-403: 自我無し動物。


SCP-3171-102: アバズレ。


SCP-3171-067: [翻訳エラー]。


なんということだ。ついにSCP-3171が反応してくれた!どう見ても喜べる状況じゃないけど!


SCP-3171のリズミカルな叩打音は「罵倒や非難」を意味し、その後に続く言葉がそれを裏付ける。
[翻訳エラー]は今まで彼らの間での公共的な会話で用いられたことがなかったようなので、極めてアレな侮蔑語だったのだろう。
あ、もちろんウィリアムズ氏は懲戒されました。




で、何が彼らの琴線に触れたのかは一旦置いておいて、この翌朝。
このやり取りを知ったワン博士や植物部門主任のジャクソン氏は驚いた。
いやもちろんウィリアムズ氏の行いやSCP-3171から声が帰ってきたことについてもだろうが、それだけではなかった。
なんと、おそらくはその真夜中のやり取りの直後からずっと合計約100回ものSCP-3171からの非公開コミュニケーションの打診が記録されていたのだ。
真夜中に不愉快な話を垂れ流されたのなら話したくもないのが普通だが、むしろ向こうから話を聞きたいという人(?)がいっぱいいたということだ。


どういうことなのか、ジャクソン氏はSCP-3171の生態について調べた。
すると、以下のようなことが分かった。

  • SCP-3171同士のほとんどは地下に張り巡らされた根のネットワークで互いに栄養を分け合っている。
  • しかしほとんどありえないものの、自身の胞子が自分の近くに根付いて成長していた場合がある。この時それら”家族”同士は栄養を分け合おうとしない。

この事実からある推測が建てられた。…つまりはだ。




食事を家族と分け合うというのは、SCP-3171にとっては近親相姦に相当する性的タブーなのだ。




だからウィリアムズ氏の「母親とアイスを分け合う」という発言に嫌悪感の嵐が浴びせられたわけだ。
しかし、性的タブーというものが特に心の中ではどういう扱われ方をするのかは、我々人間とそう変わらなかったらしい。


全てのSCP-3171はそうした概念に対して公的には嫌悪感を表明するものの、
私的には多くの個体が財団職員による「近親相姦」の詳細な説明を聞かせるよう要求します。


そう、それは彼ら共通の「性癖」でもあったのだ。難儀なものである。


そうしてここに、彼らの”需要”が明らかになった。ならば財団は取引としてそれを供給して、代わりにこちらの欲しいものをもらうだけだ。
こうして開発されたSCP-3171との一対一での交流プロトコルの様子が以下である。


SCP-3171-213: 最近、近親相姦はしている?


ジャクソン氏: かもね。


SCP-3171-213: 話して。


ジャクソン氏: 2袋。


SCP-3171-213: 良いよ。話して。


ジャクソン氏: 気が変わった。4袋。


SCP-3171-213: 駄目。


SCP-3171-213: 自我無し動物。


約30秒間の沈黙


SCP-3171-213: 分かった。4袋。話して。


これまでとは打って変わって会話が一気に砕けたものになっているし、財団の方が足元を見ている。


ジャクソン氏: 先週は姉ちゃんと一緒に夕食を食べたんだ。


SCP-3171-213: オオゥ!


ジャクソン氏: 2人で同じミルクシェーキを同じストローで少しずつ吸って分けあったんだ。


SCP-3171-213: あんた泥まみれのアバズレだね。


大人のオス(?)がこんな情けない声で鳴くんですね。
詩では全然わかり合えなかったのに、性癖の話ではこんなにわかり合って…よく考えたらわかり合ってないね。
無視されるか謎の興奮をされるかしか我々にはできないというのがある意味さっきより悲壮感を増大させる。


SCP-3171-213: 初雨の時もずっと液体を分け合っているんでしょう。間違いないね。


ジャクソン氏: まさしく、それは俺のことだな。雨が降るたびに親戚のところに行くし、心の中は液体の交換のことでいっぱいなんだ。


ジャクソン氏: いつだってミルクシェーキは美味い。俺は姉ちゃんとミルクシェーキを分け合って大満足なのさ。


SCP-3171-213: アアァ!


SCP-3171-213のカメラ映像には最後の発言と同時に胞子を放っている様子が見られる。次の日にジャクソン氏は4袋の液嚢を回収した。


言葉だけでイッちゃうとか恥ずかしくないんですか?
…というかこの様子からすると記憶処理薬の原料の液体の袋ってSCP-3171が興奮すると(ひいてはイクと)できるものなのか?
じゃあそれ実質精子じゃね?精子で記憶処理薬作ってんの財団?いや生殖のための胞子は別にあったけどさ。
さらに邪推すると本来ヒドノラ属にないはずのデカい茎(意味深)とその根元にある果実状の器官ってそれ男性器の暗喩という可能性が微レ存…?


…少々下品な話が過ぎたが、ともかく現在財団は上記のプロトコルをもってSCP-3171との交流をするための従業員を87名雇っており、記憶処理薬の原料たる分泌物は毎年400kgも生産できているとのこと。よかったね(白目)。
「植物を言葉攻めしてイかせる」とかいう業務内容が発生しうるのが財団の怖いところである。





補遺 - 言語学者ワン・アリス博士の請願


監督評議会へ: SCP-3171に対するアプローチは明らかに非倫理的です。液嚢との交換条件として私たちが行なっている「サービス」は人間の (そして植物の) 尊厳を踏みにじっています。財団のリソースはSCP-3171にとって価値あるシステムや詩を研究するために再割り当てすべきです。 — ワン博士


アリスへ: 我々がここで行なっている倫理的に問題がある物事と比べれば、これは私の安眠を妨げるものの100位にすら入らない。却下。O5-██




SCP-3171


如何にして財団はテレフォンセックスホットラインを運営するに至ったか




だって、記憶処理薬が作れるから…





追記・修正はSCP-3171を最低1回イかせてからお願いします。



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*1 11月第4木曜日。

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