ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ

ページ名:ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ

登録日:2011/09/03 Sat 16:41:20
更新日:2023/12/08 Fri 11:48:32NEW!
所要時間:約 5 分で読めます



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ライトノベル 富士見ミステリー文庫 あとがき ホラー 屋敷 人形 尾関修一 ヴァーテックテイルズ ゴシックホラー 深淵のブラック・オニキス ゴシック蘊蓄 決して夜一人で読まないで下さい(編集部) 花壇



レーベル:富士見ミステリー文庫
著者:尾関修一
イラスト:山本ケイジ



第六回富士見ヤングミステリー大賞、佳作受賞作品
当時富士見の長編大賞からのデビュー作四作品は宝石の二つ名が与えられたが、この作品は「深淵のブラック・オニキス」
(ちなみにその他は『太陽戦士サンササン』が「燃える漢のファイアー・オパール」、『黄昏色の詠使い』が「切なさのサファイア」、『僕たちのパラドクス』が「輝きのダイヤモンド」)



ウイリアム・ベックフォードのホラー小説「ヴァテック」が名前の由来となったゴシック・ホラー(著者曰く「ヴィクトリア朝幽霊譚」に近い)
悪魔ヴァーテックと蓬色の屋敷にまつわる六つの章から構成されている




【序章】
かつてとある屋敷に住んでいた人物の独白


◎登場人物

  • 語り部

蓬色の屋敷に住んでいた人物。そこでの惨劇を新聞で知り二十年ぶりに帰還する




【人形の章】
蓬色の屋敷に住む人形作家とメイド、そして姿を見せぬ作家の妻の物語


◎登場人物

  • シャーロット・フェリエ

屋敷に仕える住み込みメイド
美しい金髪を持ち、主であるメーネルトに淡い恋心を抱いている



  • フレデリック・メーネルト

屋敷の主人
「実在の人物を忠実に再現する」ことに長けた人形作家
裏では死者の魂を宿す『魂依り人形』の製作を請け負っている



  • ミリアム・メーネルト

フレデリックの妻
光に弱い体質のため部屋から出ることはなく、また病気により喋ることもままならない
その肌は白磁陶器のように白く、人形のようなやや時代遅れな衣装で着飾っている



  • 墓守りトゥトゥ

近所の墓場に住む異形の男
骨しか愛せない異常性癖の持ち主
『魂依り人形』の『芯』を提供している



  • ウイリアム・コートニイ

フレデリックの友人である美男子
人形製作の仲介人であり、トゥトゥへの指示だしも彼の役割
メーネルト夫妻とは昔からの知り合い



  • クローディオン夫妻

『魂依り人形』の依頼人
正体は北州の宗教警察。妻を救う方法を求め亡命したフレデリックと手引きしたウイリアムを追ってきた




【告白】
死別した妻を取り戻すために悪魔ヴァーテックを召喚したある人形作家の物語


◎登場人物

  • 語り部

病で妻ミリアムを喪った人形作家
完全な『魂依り人形』を作るため、悪魔ヴァーテックを呼び出す



  • ヴァーテック・ド・カリフ

語り部が召喚した悪魔
『飽くなき知識の探求者』『手を汚さぬ虐殺者』と名乗り、一興として語り部と契約する



  • ミリアム

語り部の妻
病によって斃れるも、廃血療法で抜いた血や遺骨が残っていたため、『魂依り人形』を作る条件が揃っていた



  • エリッサ

語り部に仕えるメイドその一
あまり仕事ができるとは言えず、人形のために黒髪を剥ぎ取られる



  • シャーロット

語り部に仕えるメイドその二
主人を愛し、人形のために己の美しい金髪を進んで提供する



  • 墓守り

語り部に『魂依り人形』と悪魔召喚の秘術を教えた魔導師




【日傘の章】
かつて惨劇があったという蓬色の屋敷に越してきた家族の物語


◎登場人物

  • ルシアラ・マストラム

マストラム家の長女
妹を溺愛し、管理人の忠告からフェリエを警戒している
屋根裏部屋で『魂依り人形』に関する支離滅裂な内容の日記帳を見つけるが……



  • ラヴィリア・マストラム

ルシアラの腹違いの妹
日光に肌が焼ける特異体質の持ち主。そのためマストラム家はほとんどの部屋が北向きのこの屋敷に越してきた
ルシアラの誕生日にスピアードパラソル(先端が鋭く尖った日傘)をプレゼントする



  • ロベルト・マストラム

大学教授
転勤で移る屋敷を探しているときに蓬色の屋敷を知る



  • マリアンナ・マストラム

ロベルトの後妻
ルシアラの母が生きていたころからロベルトと関係を持っていた



  • フェリエ

マリアンナが雇った住み込みメイド
感情表現に乏しく人形のように美しい女性。左脚は作り物
以前もこの屋敷で働いていたという



  • 管理人

屋敷の管理人
ルシアラにかつての惨劇と「この屋敷に仕えるメイドは主人一家を殺す」という噂を吹き込む




以下ネタバレ
※作品の根幹、及び最大の叙述トリックに関わるため、ここまでで興味の沸いた方がいるのなら……



※汝に選ばせてやる。苦渋と悔恨に満ちた天国か、それとも悦楽に身を震わせる地獄か――


























【人形の章、ふたたび】
焼け落ち、建て直されたた蓬色の屋敷でのそれぞれの末路


◎登場人物

  • ミリアム・メーネルト

かつてルシアラ・マストラムと呼ばれていた女性
闇に呑まれ狂った妹と引き離され、後見人としてメーネルト家に引き取られた後、フレデリックと結婚
だが自分を『人形』として束縛する夫に辟易し、不義の関係にあったウイリアムと共に彼を『壊す』計画を立てる
その計画は成功したかに見えたが……



  • ウイリアム・コートニイ

全ての黒幕
ラヴィリアに妄想を増大させる薬を与え、管理人としてルシアラの不安を掻き立て、友人としてフレデリックに『魂依り人形』作りを提案し、トゥトゥの嗜好を肯定して手懐け、シャーロットに屋敷を燃やさせ、そして好奇心に溺れてゆくミリアムをも観察していた張本人


その正体は、人間の壊れる様に興味を持った魔人、教主ヴァーテック・ド・カリフ




【再序章】
屋敷へと帰還した人物とその友人の対話


◎登場人物

  • 語り部

二十年前に蓬色の屋敷に住んでいた人物
人形収集が趣味で、戯れに書いた半自著的短編小説『告白』によって、愛していたメイドのミリアム・フェリエとの関係が破綻
胎内に娘(後のシャーロット・フェリエ)を宿した彼女を捨て、屋敷を去った



  • ウイリアム・コートニイ

語り部の友人
二十年前と変わらぬ姿で屋敷の主人を出迎える




つまり時系列は
【日傘の章】→【人形の章】→【序章】&【人形の章、ふたたび】→【再序章】
となる






汝に選ばせてやる。
苦渋と悔恨に満ちた追記か、それとも悦楽に身を震わせる修正か――

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