SNATCHER

ページ名:SNATCHER

登録日:2010/06/25 Fri 00:49:03
更新日:2023/10/05 Thu 12:16:34
所要時間:約 10 分で読めます



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この物語を欺まんに満ちた世界で闘う、
全ての『サイバー・パンカー』に捧げる




CYBER PUNK ADVENTURE


SNACHER




…とは、1988年にコナミより発売されたゲームである。
サイバーパンク・アドベンチャーとは読んで字のごとく、映画『ブレードランナー』をモチーフとしたサイバーパンク*1世界を舞台にしたアドベンチャーのこと。
監督・シナリオは今やメタルギアシリーズでお馴染みの小島秀夫であり、メタルギアを連想するキーワードが本編でも出てくる。
なお、スナッチャーとは、「強奪者、死体泥棒」を意味する。


●目次


概要

コマンド選択方式のアドベンチャーと簡単なシューティングが合わさったゲームであり、ゲーム初心者でも簡単に遊べる。
最初はPC-8801MkIISR、つまりパソコンでの発売であった。ただしPC版では本来予定されていた話の半分で終わっている。
その後MSX2PCエンジンメガドライブ(メガCD)、PlayStationセガサターンへ移植された。
実はMSX版でも最後までは作られておらず、後に『SDスナッチャー』というRPGがMSXで1990年に発売され、「ADV版の内容+最終章」と言う形でストーリーを完結させている。
ただしPCエンジン版以降ではADV形式のまま完結まで描かれ、その内容はSDスナッチャーとは異なっている。
またADV版のACT3は展開の関係上、これまでの謎が解き明かされるシーンがメインとなっており、ADV要素は薄い。
このゲームは小島が初めて映画的演出を導入した作品である。設計や表現は後の『ポリスノーツ』へ受け継がれた。
作品のテーマは「疑い-すべての闘争はそこからはじまる」。当時の冷戦からも影響を受け、作品にその色が強く出ている。
このゲームにはかなりのお遊び要素も含まれており、選択肢次第で女性キャラにセクハラまがい(完全にセクハラだが)の事が出来たりする。



<ストーリー>


MOSCOW 1991 JUNE 6TH


1991年 6月 6日 モスクワ
『チェルノートン研究所』、謎の大爆発。
当時、密かに研究中であったバイオ(細菌)兵器『ルシファー(魔王)α』が大気中に漏れるバイオ・ハザード(生物災害)が発生。
上昇気流に乗った『ルシファーα』は東欧諸国、ユーラシア大陸の約80%を壊滅。
・・・・この時、世界の約半分が死滅した。
この史上最大のバイオ・ハザードは後に『大惨事』と言われる。


しかし、この時、約半世紀後に
恐るべき真の『バイオ・ハザード』が来るであろうことを
誰が想像したであろうか・・・



・・・50年後



人類は異常な危機に直面していた。
謎の生命体、バイオロイドの出現である。
国籍、目的、正体不明。某国の新兵器か?
外界からの侵略者(エイリアン)か?
彼等は冬になると現れ、人を殺害、
密かに本人とすり替わり、社会に浸透していく。
人口の皮膚を纏い、汗もかき、血を流すこともできる。
極めて、有機的、かつ無機体そのもの。
オリジナルとの見分けはほとんどつかない。


彼等は人の身体を奪い(スナッチ)、すり替わることから、
『スナッチャー』と呼ばれた・・・



2042年12月、ネオ・コウベシティー。
謎のバイオロイド・スナッチャーによるすり替わり事件はここでも問題になっていた。
対象を殺害し、対象になり替わるスナッチャーの脅威により、人々は互いに互いを疑い、信頼を得ることも出来なくなっていた。
スナッチャーを追跡し、排除するために結成されたのが秘密警察Judgement.Uninfected.Naked.Kind &. Execute.Ranger.通称JUNKER(ジャンカー)(鉄屑処理人)
いま、JUNKERの『ランナー(専任捜査官)』として任命された、記憶喪失の男ギリアン・シードとスナッチャーとの激しい戦いが始まる…



<人物>

  • ギリアン・シード

本作の主人公で、3年前に妻のジェミーと共に『シベリア中立領土』から第17次シベリア捜索隊により発見、保護された。
妻ジェミーと共にいたが記憶喪失になっており、過去の素性は一切不明。持っていた身分証で夫婦だという事が分かっているのみ。
細胞分裂回数から逆算して推定された年齢は31歳。(軍での2年6ヵ月の訓練期間を含めて)
今日まで軍での長期特殊訓練に励んでいたが、急遽JUNKERのランナーとしてネオ・コウベ・シティに転属される。
記憶がない事で夫婦仲もギクシャクしており、ジェミーとは只今別居中。ただしよく連絡し合っていて仲は悪くない。
スケベ、かつ変態。女子中学生相手に興奮する。(まあ中学生らしからぬナイスバディなので仕方ないが)
作画がよく不安定になる。もっとも彼に限ったことではないが。
また、右利きだが訓練により左手でも問題なく射撃することが出来る。

ギリアンとジェミーは1970年代に生まれた*2アメリカ人で、1985年に拉致されてモスクワでソ連の国家計画「フランケンシュタインプロジェクト」に携わる。
これは旧ソ連の保守派が各国の首脳をスナッチし、世界を支配するために企てた計画で、二人は研究者として選ばれ連れてこられた。
ジェミー・ロレインはナノバイオロジー、ピコバイオロジーの専門家で、ギリアンより先に拉致された。
そして行動生理学、精神病理学の専門家として拉致されたのがギリアンだったのだ。


要するに、『スナッチャー』を作り上げてしまったのはギリアン達自身だったという事が判明する。
(なお実際には開発段階までで中止になった為、実物はエリアが40年かけて独自に完成させた)


しかしギリアンは実はCIAのスパイで、わざとクレムリンへ拉致されたのだった。
ギリアンの密告により計画がバレ、冷戦終結と保守派の失脚でこれまでの研究内容が全て廃棄処分となった。
しかしギリアンに恨みを持っていた科学者がバイオハザードを起こし、それにより無害化するまでコールドスリープポッドで冷凍睡眠に入った。
本来10年で起きるはずだったが、何らかの原因で起きずに長期間冷凍睡眠してしまった為に記憶障害を起こしていたのだった。


その後、彼らを発見・救出したシベリア探索隊はスナッチャーの手によりほぼ全滅しすり替わっていた。
スナッチされたとすればその機会はシベリアにしかないと確信した政府は、二人の素性とスナッチャーの正体を解明するために彼らをJUNKERへ派遣。
スナッチャーと接触させ、記憶の回復を促そうとしたというのがランナーに選ばれた真相だった。
尚、今の政府も彼が元CIAである事は把握している。もちろんハリーとの事情も知った上で、最高機密として開示しなかった。


ちなみにジェミーはACT-2ラストで記憶を取り戻しているが、ギリアンは結局記憶を取り戻せず、記憶を求めシベリアのスナッチャー工場壊滅に向かった。


ギリアンをサポートする小型ナビゲーター・ロボット。名前の由来は過去に世界を震撼させた悪魔の兵器METAL GEARから。
mk-IIにはその二代目という意味とPC版でのPCの型番の2つの意味がある。このゲームの萌え要素。
平和利用の為のメタルギアなので武装はないがライトは付いてる。解析とかすぐしちゃう超優等生。
ちなみに声はアラレちゃん。(海外版では無機質なロボットボイス)
『SDスナッチャー』ではプチメタルという手のひらサイズで登場する。
非常に人間に近い思考をする高性能なAIを搭載しており、冗談やウソまでつく。女性の裸体にも反応する



ギリアンの妻でネオ・コウベ薬科研究所に勤めている。細胞分裂逆算で29歳。ブロンドのアメリカ人美女。
夫・ギリアンとは2年前から別居しており、夫ともどもやっぱり記憶喪失。ただし夫婦仲自体はいい。
スナッチャーのお面でギリアンをびっくりさせたりするおちゃめさん。
実は物語のキーパーソンでもある。『SDスナッチャー』では大量に量産されていた。


JUNKER本部受付嬢およびオペレーター。ギリアンの口説き相手。
イスラエル系東洋人でおっぱいがチャームポイント。
犯罪心理学に詳しい。後に重要な任務に就くことになる。
ちなみに彼女の受付席は緊急ポッドになっており、シールドを閉めればスナッチャーでも手を出せない。


  • ベンソン・カニンガム
    • CV:納谷悟朗 (Ray Van Steen)

JUNKERの指揮をとるリーダー。通称『ヘッド』『局長』。語学、科学、法学に堪能。
元FOXHOUND戦略教官らしい。絵の趣味が悪い。柔道の達人でオリンピックに出たほどの実力者。

実はその正体はスナッチャー。ギリアンが赴任する一ヶ月前にスナッチされていた。
ベンソン本人の遺体はクイーン病院の地下モルグに放置されており、そこから正体が判明。
捜査の情報を横流ししてギブスンを罠にはめて死に追いやり、ギリアンのトライサイクルに細工して事故に見せかけて殺そうとした。
後者はナポレオンのヒントから「ベンソン」というキーワードが判明したため。
ハリーとカニンガムのどちらなのかと迷うギリアンに、マシンの細工からハリーが犯人と思わせようとした。
しかしトライサイクルに細工している現場をハリーに見られてしまうという凡ミスを犯す。
そのことを問い詰められたため本性を現し、ハリーに瀕死の重傷を負わせ身を隠した。
そして隙を見てミカを人質にするも、ギリアンによって処理。停止間際に数々の意味深なことを言い残す。
尚、『SDスナッチャー』ではラストダンジョンのザコ敵として大量に作られてて結構強い。


  • ハリー・ベンソン
    • CV:槐柳二 (Ray Van Steen)

おやじさんと言われ親しまれるメカニック。メタルやナノマシンまで作る天才。現職ランナーのジャンとは親友。
政府諜報機関「RUG HUNT(ラグ・ハント)」出身の優秀な科学スタッフでノーベル賞を3度、フィールズ賞も授与された。
幼い頃に両親を『大惨事』で亡くしたらしく、ずっと孤独なまま過ごしてきた哀しい過去がある。
また酒が好きで、いつも傍らに日本酒の酒瓶を置いているアル中(ただし日本酒しか飲めない)。頑固だが根は優しい。
強化レイガン『ブラスター』やメタルギアmk-IIをはじめ、JUNKERの装備はおやじさんお手製の特注品である。
実はこう見えてまだ55歳。脳細胞を活性化させる薬物を投与した副作用で実年齢よりも老化が進んでいるらしい。

実は失った両親とはギリアンとジェミーの事。二人がクレムリンで拉致されていた時に生まれた子供。
バイオハザード時はペトロヴィッチ博士と共にアメリカに亡命して保護されたため難を逃れた。
しかしギリアン達がバイオハザードを避けるためにコールドスリープをしていた事で年齢が逆転。
ハリー本人はその事実を知ることなく、偽カニンガムから受けた傷が元で死亡してしまう。
この事はACT-3で判明した為、未完成だったPCとMSX2版までしかプレイしていないと分からない。
死んだハリーの愛用の帽子は、エンディングでジェミーがハリーの遺品として持っていた。



  • ジャン・ジャック・ギブスン
    • CV:井ノ口勲 (Jim Parks)

ギリアンの同僚となるランナーで、刑事時代の経験と知識で精力的な捜査活動を行うベテランのJUNKER。
JUNKERになる前は30年間、「科学警察官(SC:サイエンス・コップ)」として働いていた。
スナッチャーによる『JUNKER狩り』を生き延びた経験がある腕利きのランナー。55歳。
2041年に起こったバイオロイド・パニックの時、妻アリスをスナッチャーに殺された。
ギリアンが来るまでの間、たった一人でスナッチャーと戦いネオ・コウベシティーを守り続けていた男。
無口な男で相棒も無口、似た境遇のハリーとは歳も近いこともあり親友である。
相棒のロボとしてリトル・ジョン、娘にはカトリーヌがいる。古い物好き。家を探せ。
ギブスンの死体描写は首がねじ切られているという残酷描写であるため、発売機種によってモザイクがかかったりしている。
EDのこいつ誰度は異常。


ジャンの娘。モデルをやっている。中学生にしてはえらいグラマー…。
愛犬アリスと暮らしている。裸見られたり、慰み者にされたり苦労人。
(まあ不法侵入して人の家の風呂を勝手に使ってたから自業自得だが)
本人曰く『あたしはJUNKERの娘よ。鍵をこじ開けるなんて朝飯前』。下着にはこだわるタイプ。


  • イザベラ・ベルベット

かつてはネオ・コウベの繁華街にある高級クラブでダンサーをしていたのを映画監督リドリー・スコッティーに気に入られて銀幕デビュー。
ホログラム・ビジョンの人気女優。大女優になった現在も「恩返しのために」とクラブのステージに立つ。どことなく怪しい。
っていうかそもそもファッションがエロ過ぎる。ギブスンが無理して鯨料理を食べていた事を見抜いていた。
ギリアンの捜査にも(手帳を見せて正体を明かさなければ)気さくに協力してくれる。


神出鬼没の謎の賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)で、一ヶ月に4体ものスナッチャーを処理する凄腕。
「探すのはお前(ジャンカー)の仕事、殺すのは俺(ハンター)の仕事」と言い、ギブスンの事もスナッチャーを見つけるために追っていた。
フレディ・ニールセンに扮したスナッチャーに殺されそうになっていたギリアンを助け、ギブスン亡き後のギリアンに協力する。
本来JUNKERのブラスターでしか破壊できないスナッチャーを、民生用レイガンで弱点を打ち抜いて倒す腕前らしい。
性格はつかみどころのな皮肉屋だが、根は義理堅い熱血漢であり今作屈指の漢でもある。

ACT-3終盤で実はスナッチャーと同じバイオロイドである事が判明。
ただし大量生産されているスナッチャーとは違い、ペトロビッチ・マッドナー博士が造り上げたワンオフモデル。
見た目はマッドナー博士の息子であるエリア・マッドナーの青年期(『大惨事』前)をモデルに製作された。
エリアが40年も掛けて作ったスナッチャーよりも遥かに高性能であり、その出来の良さにエリアは怒りをおぼえたほど。
自己再生まで可能な人工皮膚を持ち、スナッチャーを処理するようにプログラムされ、人間同様の記憶と感情を持っている。
ちなみにランダム・ハジルはエリア・マッドナーの英語表記(ELIJAH-MADNAR)の綴りを逆さ読みにした名前。
ランダムの記憶や過去もエリア・マッドナーのものを流用されている。ただし性格はエリアとは似ても似つかない。
自分の事を人間だと完全に信じており、エリアの記憶も手伝ってバイオロイドだという自覚は全くない。
爆発に巻き込まれて死んだと思われていた後、完全な人工皮膚を求めたエリアによってクイーン病院跡地の瓦礫から回収された。
最期は半壊した状態でエリアに捕獲されていたが、突如目を覚ましエリアを捕まえ、軍事衛星のビーム砲で彼を道連れにした。
『俺はあんたをスナッチすることで、自分を取り戻すんだ。』

ペトロビッチ・マッドナー博士の息子で、彼が入院している病室に足しげく通っており、マッドナー博士はエリアを「もう一人の息子」と呼んでいる。
その後、父が死んだこと、その直前にギリアンに話した真相を知らぬままスナッチャーの本拠地へと突入してしまう。
ラスト直前で腕を負傷したままエリア・マッドナーと出会い、そこで自分の傷口から見える機械で自身の正体を知り、ショックを受けた。
しかし本編とは違いエリアは自分のしたことに後悔しており、ランダムに自分の死後エリアになれと言い残して息を引き取った。
だがランダムはしがないバウンティハンターである自分を捨てる事なく、ランダムとしてスナッチャー達と決着をつけに向かう。
最後はスナッチャーの大群と新型ウイルスを搭載した原潜を止める為に…?



  • ナポレオン
    • CV:納谷悟朗 (Jim Parks)

小太りの中国系情報屋。金にがめつい。「スノースギ」という花粉に弱いアレルギー体質。
ギブスンの使っていたタレコミ屋でもある。ものすごく胡散臭い。


  • 陳周鳳(チンシュウホウ)
    • CV:井ノ口勲

医師免許を持っていない中国系の闇医者でクイーン病院の院長。
地下施設で違法の医療行為を行い、逮捕や営業停止処分を受けていた。
正体はスナッチャーであり、同族スナッチャーの人工皮膚を治す拠点にする為にスナッチされていた。
ランダムの決死の自爆でも死んでおらず、タクシーでギリアンを待ち構える。


  • フレディ・ニールセン

闇タクシー運転手を営む男性。ギブスンを殺害したスナッチャーの容疑者の一人。
実は有人タクシーはこの世界では違法らしく、リサはそれを隠したがっていた。彼の家のバスルームは病院と直結している。
正体はスナッチャーで、本物のフレディはタクシー運転手という職業に目をつけられて、妻ともどもスナッチされた。
なおフレディの死体はクイーン病院のモルグで無残に放置されて蟲に食われており、作中屈指のトラウマ級グロとなっている。


  • リサ・ニールセン

フレディの妻。セクシーな体型の美女。歯が痛むとのことで常に片手を頬に当てている。
そんなわきゃなく、当然コイツもスナッチャー。ギブスンに人工皮膚を引き裂かれた為、手で隠していた。
流石にバレバレすぎるので、怪しい手掛かりを発見されるとすぐ本性を表す。戦闘時の絵面が結構シュール。
死に様が結構グロいと評判(?)。媒体によってはチラリもあるよ!(嬉しいかどうかは別)


  • ペトロビッチ・マッドナー

50年前、ロボット工学のトップに君臨していた科学者。『大惨事』の直前にアメリカに亡命。
ギリアンが起きた時代では生きていれば100歳を超えており、老衰で政府の病院に入院していた。
今なおロボット工学の権威であり完全な人工皮膚を作り出すことができるらしい。現在失踪中。
登場時には老衰で息を引き取った後。これで2年前(100歳前後?)の時点でスナッチャーより優秀で完全なバイオロイドを造り上げていたのだから恐るべき人物。


ペトロビッチ・マッドナー博士の息子。遺伝子工学、マイクロバイオロジーの科学者でもある。

50年前にスナッチャー計画を奪わせない為に研究所を爆破し、細菌兵器『ルシファーα』を世界中にばら撒いた張本人。
ソ連の「フランケンシュタインプロジェクト」に親のコネで参加させてもらっており、そこに拉致されてきたジェミーに恋をする。
しかしジェミーはギリアンと恋に落ち、ギリアンにジェミーを取られたことで凶行に及び、コールドスリープ装置に避難した際、装置にも細工。
自分だけ細菌が無害化した10年後に目覚め、ギリアンだけ永眠させジェミーと二人でバイオロイドの研究を続けようとしていた。
しかしジェミーを起こしても悲しませるだけで説得できる自信が無かった為、先にバイオロイドを完成させてからにしようとした。
だが所詮は父のコネで参加した実力ではそう簡単にいくわけもなく、その後40年もの間クレムリンの地下にこもったまま、ただ独りでスナッチャー開発に費した。
そして3年前にスナッチャーが完成、テストを行う為にシベリア捜索隊をスナッチ。捜索隊に運ばせネオ・コウベに拠点を移す。


しかしシベリアから離れたスナッチャーの人工皮膚に致命的な欠陥がある事が判明。だが自分の実力では完璧な人工皮膚を作る事ができなかった。
そこで政府の病院にいた父・マッドナー博士を拉致し、彼に人工皮膚を作らせようとするが拒否されてしまい、説得できる寿命的猶予もなかった。
仕方なく父の助手であったジェミーを起こして手伝わせようとしたが、先に二人は政府の捜索隊に発見されてしまった事を知る。
行方を追ってギリアンがJUNKERになったことを知ると、彼をスナッチャー達に翻弄させ、その間にジェミーを誘拐する。
だが、途中で『完全な人工皮膚』を持つバイオロイドを手に入れた為、それを使って今度こそ世界を自分の意のままにしようと画策した。


尚、SD版では暴走したスナッチャー達に幽閉されており、むしろ改心してランダムに自分の代わりにエリアとして生きてくれと頼んで息を引き取る。
ADV版より老けて老衰していたが、設定から逆算するとどう頑張っても60~70代なので展開が変更されたものと思われる。


<スナッチャー>

本作の肝でもある謎の人造人間で、劇中当初では正体・目的が一切不明のアンドロイド。
何故か知らないが冬になると現れ、人間を殺してはその人間とすり替わり、人間のフリをして人間社会に溶け込む。
こうして「すり替わる(スナッチ)」ことからスナッチャーと呼ばれる。
素体は金属製の人体骨格標本のような形状をしている。っていうかぶっちゃけ見たままターミネーター
性別・体型をはじめとした身体的特徴をすべて似せる事が可能で、血液型まで同じにでき、汗もかけるし出血もする。
そのため一旦すり替わってしまうとスキャニング以外の手段でスナッチャーと判断することは非常に困難。
ただし素体のサイズの変更は限界があり、極端に背が低い人間、または小さな子供や背が縮んだ老人などとすり替わることはできない。
また人工皮膚は不完全なものらしく、紫外線を多く含む太陽光を長時間浴びると皮膚組織がガン化してしまう欠点がある。
(その為、紫外線が弱く長袖などで厚着をしても怪しまれない冬場だけ活動していた)
ガン化した皮膚は真っ黒に壊死してしまうので、日焼けを避けるために冬場なのにサンスクリーンという強力な日焼け止めを持っている。
素体状態では基本的に自我はないが、スナッチ後はスナッチした人物を基にした疑似人格で人の目を欺く。
骨格はチタンをはじめとする超硬金属製。ランナーやバウンティ・ハンターが所持するブラスター以外で破壊することは不可能に近い。
人の頭を掴んで捩じり千切るなど怪力で、人間の腕力で抑え込む事は難しい。更に口腔奥(のど)にはブラスターガンを隠している。
頭部に主要機器が集中していて、額部にある装甲の薄いスリット部分が唯一の弱点である。
すり替わる際に人目を避ける為に偵察用の小型ロボットなども使うなど、その戦力はかなり大きく幅広いと思われる。
なぜ『ルシファーα』が彼らと同時に作られていたのかというと、本来スナッチャーは町一つを丸ごと一夜でスナッチする事を目指して作られたため。
“本来の計画”では細菌兵器であっという間に住人を皆殺しにし、一気に一晩で全住人とすり替わるつもりだったらしい。


スキャニングすれば正体が確実に分かるのだが、スキャニング令状が無ければ人権侵害と見做されるため易々とはスキャンできない。
過去に魔女狩りじみた暴動が起きたため、証拠を揃えて令状を下ろして貰う必要があり、スナッチャー自身もそれを免罪符に利用している。
逆に令状が下りる条件さえ満たせば自動的に許可が下り、メタルギアによってスキャニングが可能となる。





<SDスナッチャー>

MSX2で発売された先発版のリメイク。
オリジナル版では存在しなかった最終章であるACT.3が存在する。
一部の演出を除きキャラクターを2頭身のSD(スーパーデフォルメ)化しRPGになった。
本作は小島による企画ではないものの、ダイアローグ及び企画サポートとして制作には参画している。
見た目のコミカルな雰囲気と裏腹に、きっちりシリアスな展開が続く内容となっている。
それでいてSD表現をうまく利用したコミカルな演出もやってのけるなど、玄人を唸らせる出来。
ただし処理の関係なのか移動時の動きが重く、操作のタイムラグがかなり大きいという欠点もある。


またハリーの助手「ジェフリー・トネガワ」など、本作のみのオリジナルキャラクターも登場する。
ギブスンと生前からコンビを組んで捜査したり、ジェミーが本部に居て直接会えたりと色々違いが多く、特に終盤は完全に別物。
RPGになった事で本編でちょい役だった小型ロボットに着目し、インセクターと呼ばれるメカ(ザコ敵)を放って攻撃してくる。
街中でこのメカ(クリーチャー)がうろうろしていて、実質スナッチャーの軍勢に占拠されているような状況。
戦闘シーンも凝っていて、本編での銃撃シーンを思い起こさせる戦闘システムが特徴。
敵を攻撃する際に狙いを定めるのだが、敵によって攻撃すべき箇所や破壊した部位によって戦況が変わる。
以下はその一例。


  • センサーを破壊すると攻撃力や命中率が下がる
  • 足回りを破壊するとスピードと防御力や回避率が下がる
  • 武器を破壊すると攻撃力が下がり攻撃手段が減る
  • アンテナを破壊すると仲間を呼べなくなる
  • ある程度ダメージを受けると自爆してくる

カーソルで攻撃マスを選び攻撃するのだが、敵は攻撃前に動くので狙い通り当てるのは至難の業。
タイヤやバーニアなど足回りを完全破壊すると動かなくなる。範囲攻撃や地雷も有効。
クリーチャーは、ボディ、駆動部、武器、アンテナ、センサーの最大5つのパーツで構成されている。
スナッチャーも額を撃ち抜けば倒せるわけではなく、主要部位を破壊してライフを削らないと倒せない。
更に相手が人質を取ったり重要なアイテムを持っている場合は、そこを撃ってしまうとゲームオーバーになる。
なお敵はフィールドエンカウント方式で、倒すとその場に残骸が残る。
武器は本部でハリーに作ってもらう(購入する)事ができる、任務の貢献度が上がると新武器が並ぶ。
セーブは街中にある公衆電話で行う。


<SD版のみの追加キャラ・設定>

  • ジェフリー・トネガワ

通称ジェフ。メガネ。ハリーの助手で、ハリーの死後に彼の役割を担う。

  • ロビン

本部にいるクリニック・ロボット。体力の回復や毒の治療を無償でしてくれる。
見た目は「禁断の惑星」に登場する万能ロボットのロビーにそっくり。

  • バラン・パーネット

ギブスンの妻を殺したスナッチャーで2mほどの機械工の大男。青髪赤シャツマッチョのたむけん。
限度は180cmじゃなかったのかとか言わない弁当に入ってる緑のアレとは関係ない。

  • ヤハウェの選民

カルト新興宗教団体。人と機械の融合を求めている。自称・教祖の弟夫婦はどっかで見た顔。
実はスナッチャーにより陰から操られており、入信した信者をスナッチしている。
「スカル・スパイダー」の紋章が目印。後に教祖の後釜に「スナッチされた者こそ選ばれし者」というとんでも思想で洗脳される。


<ストーリー変更点>

  • メタルギアはプチメタルとなり、肩に乗せて戦闘補助をしてもらう
  • ギブスンは生前からコンビを組んで捜査する
  • 女性キャラにセクハラはできない
  • ジェミーは本部に出向しており最初からいるが、途中でいなくなる
  • 本部の部屋は受付以外、局長室、医務室、メカニックルームの三つだけ
  • ギブスンの妻を殺害したスナッチャーと戦う
  • ギブスンはバランに殺される為、フレディとリサは出ない(代わりの役で登場)
  • カトリーヌは自宅で父の死を告げられるだけ
  • 「アウターヘブン」に入る為には仮装じゃなく紹介人が必要
  • ザコ敵を登場させる為か、町の中央はスナッチャーの無人機に占拠されている
  • ランダムが助けに来るのはバランが放ったロボット兵との戦闘時
  • 陳周鳳の正体はバランが逃げ込んだカジノで判明する
  • 新興宗教団体が登場し、クイーン病院と裏で繋がっている設定でスナッチャーを量産
  • 遊園地でスナッチャーを追い掛け、園内に潜むスナッチャーを探し出す
  • スナッチャー本拠地が廃教会ではなく遊園地内のミラーハウス
  • 後半はコスプレした多種多様なスナッチャーが出てくる
  • ジェミーのスナッチャーが登場する(しかも量産型)
  • 本編では名前が出ただけのLエンジェルは攻略アイテム
  • ラスボスは自我を持って有機体と融合し暴走した「マスター・スナッチャー」
  • 最後に生き延びたのは…?


<スダッチャー>

小島秀夫公式ブログ「HIDEOBLOG」で配信していたWebラジオ「ヒデラジ」の300回放送記念として企画・配信されたラジオドラマ及びそのドラマCD。全7話。
『スナッチャー』の前日譚のように思えるが、本編とは関係ないとのこと*3。また、本編とは声優が違う。
リトルジョン役が小島秀夫(ボイスチェンジャー変えた電子音声)なので割とひどい事になっている。一見の、いや一聴の価値あり。


あらすじ

2038年の神戸、「ネオ・コウベ・シティ」。そこでひとりの男がバーに向かって車を走らせる。
男の名は、ジャン・ジャック・ギブスン。彼にはある目的があった。
しかし、そのバーに入った瞬間から、彼の運命の歯車は回り出しているのだった…。


  • ジャン・ジャック・ギブスン(CV:大塚明夫)…行方不明になった妻アリスを探している。
  • リトルジョン(CV:小島秀夫)…ギブスンの相棒。本編と違いおしゃべり。大根演技は仕方ない。
  • クリスティアン・ゲンズブール(CV:大塚芳忠)…ネオ・コウベの麻薬市場における実力者。
  • スティーボ(CV:柳原哲也)…クリスの相棒。やたら喋りながら写真を撮る悪癖がある。
  • ドミニク・ブラックヘッド(CV:杉田智和)…政府諜報機関「RUG HUNT」のエージェント。
  • ロビン・グッドマン(CV:子安武人)…政府諜報機関「RUG HUNT」のエージェント。
  • アリス・ギブスン(CV:井上喜久子)…何らかのトラブルが原因で現在失踪している。
  • リサ・ニールセン(CV:菊池由美)…ダイナー「ワルシャワ」のウェイトレス。本編では…。
  • フレディ・ニールセン(CV:須田剛一)…ダイナー「ワルシャワ」のトイレにいたリサの夫。

謎のバイオロイド

物語の40年前にロシア(旧ソ連)でカラエフ博士によって発表された論文を元にソ連崩壊後、ウドムルト共和国にあるポドルフスキー社によって作られた。
「新種の生物のようなもの」と言われているが、詳細は不明。眼球が人間のものとは違い、殺された人間と『融合』していると語る。
人間を殺害後殺害した人物にすり替わる、人工皮膚が紫外線に弱い、頭部にブラスターを撃ちこまれると停止するという点でスナッチャーと共通している。

バイオロイドとなったクリスが「バイオロイドの完全体がスナッチャー」だと発言していることからスナッチャーとは別物*4
ちなみにスナッチャーを神と崇めており、作中のある人物のことを神の化身と称して扱っていた。
また、痛覚があるらしく紫外線で皮膚が焼けると悶え苦しみ、壊れるらしい。(ただしロビンはブラスターを受けながらも笑っていた)
スナッチャーと違い、バイオロイドとなった自分の事を「体は変わったが生きている」と言い、無暗に人を襲わない。
自分達の存在を新生物と認めさせようなど『ブレードランナー』のレプリカントを思わせる気質を持つ。
人間と同じ権利を求めているが、同時に自分達こそ人類の新たな進化系という傲りも持つ。自分達の人工皮膚下を化け物と称していた。
本編スナッチャーと違い表面は人間の頃を模したバイオロイドの人格、無意識下に人間の頃の人格が残っている。


脚本:須田剛一(株式会社グラスホッパー・マニファクチュア)
音楽:山岡晃(株式会社グラスホッパー・マニファクチュア)
企画・プロデュース:小島秀夫


総評

かなり古いゲームではあるが、非常に作り込まれておりボリュームも相応にある。
前述したセクハラ以外にも様々なネタ要素が入っており、細かく調べるのも楽しいだろう。




疑い。それはいつも闘争を生んできた。
本当の闘争は人の心にあるのかもしれない。
今、闘争は始まったばかりである。




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  • PS,SS版はグラフィックはまだ許せるけど音楽を差し替えたのがいけなかった…。特にクライマックスのシーンはPCE版は凄い盛り上がったのに差し替えられててがっかりしたよ…。だから自分の中ではPCE版が一番良いです。 -- 名無しさん (2013-09-03 01:32:54)
  • SS版だけやった身からするとそういうコメばかりでうんざりする。わざわざSS版のプレイ動画で言いに来るやつが多すぎ。 -- 名無しさん (2017-03-11 11:42:33)
  • ゲハ民とグラ厨はみんな滅べ -- 名無しさん (2017-03-11 12:41:30)
  • ネタバレの所の人物の生まれから拉致された年代が早すぎる(1970年としても1985年じゃ15歳)と思うんだけど、他所のネタバレでもそうなってるね。そういう世界観なのか単純なミスなのか。 -- 名無しさん (2020-11-09 19:42:46)
  • ↑そうなんだよな。でも困った事に設定資料にはそう書かれている。 -- 名無しさん (2020-11-09 20:14:22)
  • ↑まあ60年代とする所を間違っちゃっただけでしょうな。事故時の年齢と合わなくなるし。 -- 名無しさん (2020-11-09 20:46:31)
  • 愛国者達関連の物語を知ってる人はこれの世界だと歴オタ扱いなのかもしれんね。もしかしたらちっこいREXやエクセルサスがあったり…? -- 名無しさん (2021-03-08 17:48:16)
  • モルグのグロ死体はフレディじゃなくて局長じゃなかったっけ? PCとはいえよくあのグラフィックで発売できたもんだ。 -- 名無しさん (2021-11-09 03:37:38)

#comment

*1 電脳技術の発達した世界を舞台とその社会に対する反発・俯瞰が織りなす物語モチーフ
*2 公式設定資料ではこうなっているが、実際は1991年6月のバイオハザードの時点で29歳なので逆算すると1962年生まれ、23歳の時に拉致。
*3 スナッチャーが現れたのは3年前、ギブスンの妻アリスが死んだのは1年前、最後にリサとフレディがスナッチされているが、本編と時系列が合わない。
*4 そもそもスナッチャーはエリアがクレムリンの地下で40年かけて自力で開発したものであり、ポドルフスキー社は関係ない。類似点の多さから推測すると、恐らく50年前の研究を基に作られた模造品と思われる。

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