神聖ヴァルート覇帝国_8

ページ名:神聖ヴァルート覇帝国_8

25.対ジブル戦争 その2

2283年、神聖ヴァルート覇帝国はジブル連盟に宣戦。
当初はラクサナクスと共に宣戦する事を考えていたが、第1艦隊司令官アマンダ・ポーマー提督から意外な提案をされた。

「ラクサナクスを巻き込む必要はない、我々だけでよいのではないか?」

これはどういう事かというと、元々ラクサナクスと共に宣戦しようとしていた理由はさらにその向こうのロクスウンガを懸念していたからだった。しかしラクサナクスはロクスウンガに対して現在、宿敵宣言をしている。
宿敵宣言をすると自動的にその国に対して国境が封鎖される。つまり、ラクサナクスが宣戦せずともロクスウンガの艦隊はこちら側に来る事ができないのである。

ただし、その場合はもう一つの懸念、ジブルの艦隊と真っ向勝負をする事になる。ヴァルートもジブルも艦隊戦力はほぼ同等であり、お互いに全く邪魔の入らない真正面からの直接対決は勝敗が予想できない。

最終的に、女帝ミランダ・ジェラルドは単独で宣戦する事を決定した。
第一次対ジブル戦線において当初の想定になかったジブル本土侵攻を成し遂げたアマンダ提督を信じたのだ。

 

そのアマンダ提督の技量が試されたのが、半年後にネーアーズ星系で起こった、ヴァルート艦隊とジブル艦隊による初の艦隊戦である。


 ↑ネーアーズ星系艦隊戦。ジブル艦隊はそのほとんどが紫外線レーザー砲とディスラプターを搭載している。

ジブル艦隊のレーザー砲はシールドに対して相性が悪いため被害は少ないが、艦隊司令部の予想に反していたのがジブルのコルベット部隊である。ディスラプターとセンチネル対空砲を搭載しているのだ。

ディスラプターは火力が低めであり射程が短いという欠点があるが、大きな利点として「シールドと装甲をどちらも貫通し、船体に直接ダメージを与える」という特性を持っている。これは小柄故に船体が頑丈ではないコルベットにとっては危険な兵器である。
加えて、対空砲は艦載機だけでなく、ミサイルや魚雷も迎撃する機能がある。特にセンチネル対空砲は魚雷に対する迎撃性能が高めで、ヴァルート艦隊のミサイルコルベットを意識して設計していたことがよくわかる。

ただし、ヴァルート艦隊で宙間魚雷を主力としているのはコルベットのみである。
ライケスター級駆逐艦には実体弾兵器であるレールガンが搭載されているし、リュッツェン級巡洋艦は宙間魚雷、紫外線レーザー砲、レールガンを各部にバランスよく搭載しており、一つが欠けても十分な火力を発揮できる。

 

とはいえ敵の攻撃も激しく、初戦はコルベット四隻を撃沈して敵艦隊を撃退したが、こちらはコルベット二隻、駆逐艦二隻を喪失。クソール星間群のエルゴスーム提督が撤退戦に長けた戦術家だったのも大きいだろう。

武装面で当初の想定よりも苦戦を強いられそうだと否が応でも認識させられた戦いだったが、それでもアマンダ提督は進撃を決断。第2艦隊のジャンヌ・ジルベール提督も賛同し、ヴァルート艦隊はジブルの各星系へと進撃を続けた。

 


 ↑オブスカイク星系要塞攻略戦。オブスカイク星系要塞は星系要塞であると同時に大規模な泊地としても機能するため、制圧後はここを前線拠点にして戦闘を続ける事となった。

 

26.戦術と戦略

この時点での艦隊戦力値は第1艦隊が約3K、第2艦隊が約1Kとなっていた。
オブスカイク星系を攻略し、ジブルの首都星系ジブは目の前に迫っていたが、敵艦隊は1~2Kの戦力値の艦隊を断続的に差し向けてきた。
進撃続行する事も可能だったが、アマンダ提督はオブスカイク星系で進撃停止を指示。敵艦隊の迎撃に専念した。


 ↑第三次オブスカイク星系艦隊戦。この時の敵艦隊は戦力値2.1Kだったが、合計戦力値約3Kのヴァルート艦隊と2.5Kの星系要塞の防衛線は容易く跳ね返した。

実は、ジブルは既に大きな間違いを犯していた。
第五次オブスカイク星系艦隊戦までに彼らが投入した艦隊戦力値の合計は実に10K近くだったが、これらが一度に押し寄せるならまだしも、首都星系近辺の造船基地で持続的に建造しながら1Kほどの戦力が集まる度に前線に逐次投入していたのだ。
一方ヴァルート艦隊は第1・第2艦隊併せて合計戦力は5Kほどだったが、二艦隊を一か所に投入し戦力を集中させたため、常に前線で出せる限りの最大火力を発揮できた。

「戦力の逐次投入は愚策」...この考え方はヴァルート艦隊司令部では常識だったが、ジブルではそうでもなかったのだろう。
足止めし戦力漸減をしたのちに5K近い戦力の艦隊を投入できたのならば意味があっただろうが、そうはならなかった。


首都星系から出撃してくる敵艦隊の波が弱まり始めたのだ。言うまでもない、軍艦建造に必要な合金が尽きてきたのだろう。
この機を逃さず、ヴァルート第1・第2連合艦隊はついにジブル連盟首都星系ジブへ侵攻。


 ↑ジブ星系攻略戦。敵艦隊は防衛艦隊が1Kと星系要塞2Kだったが、こちらは補充の巡洋艦2隻と駆逐艦1隻、コルベット10隻以上が合流し合計戦力5.4Kまで増強されている。


 ↑防衛艦隊は防衛を諦めて隣接するアニス星系に緊急離脱。残った星系要塞を宙間魚雷とレールガンで集中攻撃する。

一ヶ月ほど続いた攻略戦の末にジブ星系要塞は陥落。そのまま艦隊は残存敵艦隊を追撃すべくアニス星系に進出した。


 ↑アニス星系攻略戦。残存艦隊はわずかであり、星系要塞のみの攻略戦は第一次対ジブル戦線を彷彿とさせる。

こうして2290年にはジブル艦隊は星系基地諸共駆逐され、請求権内の星系全ての制宙権を掌握。
第一輸送艦隊が各惑星に侵攻地上軍を輸送し、惑星制圧を行っていった。

 

27.徹底的に

第一輸送艦隊がジブル首都星へ移動している頃、ヴァルート外交官はジブル外交官から交渉を持ちかけられた。

しかしヴァルート外交官はこの和平提案を突っぱねた。
どうやら彼らはなんとしても首都星ジッバサを守りたいようだが、我々はその首都星を含めて請求を行っているし、なによりヴァルート帝国軍にはまだまだ戦う余裕がある。わざわざ占領した星系を手放すような和平を結ぶ理由がない。

神聖ヴァルート覇帝国の国是は「狂信的な軍国主義」。侮辱し、戦争を仕掛ける相手を間違えたことを彼らはようやく理解した事だろう。

 


 ↑首都星ジッバサに爆撃を敢行するヴァルート艦隊と、爆撃後の降下に備える第一輸送艦隊。

ジッバサ制圧作戦は凄惨な戦いとなった。
降下制圧にあたってまず防衛軍の戦力を削ぐために大規模な爆撃を行ったのだが、愚かなジブルキノコ共は民間施設立ち並ぶ市街地の中に防衛拠点をいくつも建設していた。これではこちらがどれほど正確に爆撃をしようと民間施設を巻き込んでしまう。結果、都市区画の多くが廃墟と化し、施設の多くが倒壊した。
さらに地上戦ではジブル守備兵らが毒ガスと化した猛毒の胞子をまき散らし、結果としてヴァルート地上軍だけでなく多くの民間人も巻き込む事となった。


 ↑ジッバサ制圧戦。爆撃により防衛軍は星系制圧時の40%にまで弱体化していた。

すると、ここでまたもやジブルから通信。

...ヴァルート外交官は呆れてものが言えなかったという。
一体どこからそんなことを言える自信が出てくるのだろうか。

 

28.制裁の完了

2293年、首都星ジッバサを制圧し、請求権全ての星系を制圧した神聖ヴァルート覇帝国はジブル連盟と和平を結んだ。
10年という長い戦争だったために建前上は現状追認になったが、事実上の結果は一目瞭然。



 ↑上が終戦前、つまり開戦時の国境。下は現状追認による領土割譲後の国境。

神聖ヴァルート覇帝国の宿敵であったジブル連盟は今や、辺境の田舎惑星であるアムリッツァ星系といくつかの星系基地のみを保有する、小国に成り果てた。

帝国首都星ヴァルートでは大規模な戦勝パレードが行われ、帝国民は勝利の歓喜に酔いしれたという。


 ↑ジブ星系で戦後処理のため星系基地に停泊し整備を受ける第1艦隊。旗艦ライテウスはさすがに兵装で周囲に劣り始める部分も出てきたが、今回の一連の戦いでもそれを全く感じさせないほど勇猛果敢に敵艦隊に突進する姿が見られた。

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