ディーの日記 1583年6月5日

ページ名:ディーの日記 1583年6月5日

1583年6月5日 水曜日 午後2時頃


 エドワード ケリーは、委員会が彼を硬貨偽造の罪で逮捕しようとしているという彼の兄弟トーマスがもたらした知らせと、彼の妻がブロックレーのフリーマン婦人の家から来て、ハッセー氏が彼を詐欺師であると当局に伝えており、かなり厳しく酷い報告をしていたという知らせにより、朝の9時から現在まで心が不安定になり怒り狂っていた。そして彼の妻は今はチッピング・ノートンにある母親の家へと帰っている。これらにより、余は今の彼の大きな動揺、外的に彼に向かっている難局、内的に彼の怒り狂った短気さからの神に向かっての罵りについて考え、(神の僕として行え得るためには)余ら2人によって行われるべきという神の約束全体を思い出し、大きな憐れみを抱いた。彼が今用いているような言葉遣いは、どのようなキリスト教徒もなすべきではなく、彼が示すような復讐心も抱くべきではなく、それらは余ら2人の作業を防ぐ事になり、肉体と魂の両方で大きな危険となるであろう。そのため、(神の僕として余らが一致するために)強い決意をした者の任務として、余自身と同じように彼のためになすべき事があり、余は神を慰め、助言のための我が避難所とし、この大きな苦難、誘惑の十字路における大きな助けを求めた。
 そして、余の先に述べた目的のための大いに謙遜した祈りの後に、エドワード ケリーは声を聴いた。その間、余はこの神秘が中にある水晶玉をエドワード ケリーの傍の机に(充分に敬意を抱きつつ)置いた。


声「光の娘らに、その衣を取るようにさせよ。彼女らのその秘密の部屋を開くようにさせよ。人の声が述べたようにである。
 汝自身を神に示せ。汝が既に約束された事を真に行え。汝の衣服を共に集めよ。病んだ者らには助けが必要だからだ。汝らは憐れみの子らであり、憐れみの腰に住む。我が述べたように、汝はそうである。そして我は述べるように、我が決意は沈む事は無い。もっとも人の子らには、我が決意は未決定であろう*1
 汝らの衣を集めよ。害毒は熟し、悪虫が百合の中へと齧って侵入しようとしているからだ。
 彼は述べている。我に彼らに示させよ。彼らは義人では無いからだ。真に我に彼らに触れさせよ。彼らは不義だからである。我は彼に力を与えたが、広める事はさせなかった。我は彼に武器を与えたが、それらは鋭くは無い。彼の指は汚されるが、まだ損なわれてはいない。我は彼に夜へと割り当てて、その言葉の前に終わりを付けているからだ。その理由はやがて知られよう。ゆえに我は彼の口を引き伸ばしている」
ケリー「私は水晶玉の近くに、人々が土塀へ向かって叩いているような大きな声を聴きました。ドンドン打ったり、引きずったり、散りばめたりといった感じです」
声「起き上がれ、真に。我は彼らの嘲りに対して復讐するからである。真に彼らは乳児である」


 長い沈黙と停止の後に、テーブルの上に(サーセネット産のシルクの縁の外側に)女のような者が現れた。彼女は赤い衣を着て、その上からはアイルランドのマントルのような白い外套を着ていた。そして頭には花冠のような緑色の丸いものと、その下には小冠をかぶっていたが、それらははっきりと見分ける事が出来なかった。彼女の胸には1つの白い宝石があり、その背中には別の宝石があった。両方の宝石は十字架の中央に置かれていた。


ディー「汝の外観(汝、光の娘よ)に余らは感銘させられたと認めよう。だが、外部の光の力と恵みにより、余らは汝の内なる美徳について信頼し理解したいと望む」
彼女は言った。「我が見た目から、汝は宝石細工の妻と我を考えているのか?」
ディー「余らは汝を、人類のために永遠の至福の宝石、その並ぶ者無き最も貴重な血の宝石を贖った、主(イエス)の御使いだと考える」
声「汝もそれを持っているのか?*2
 長く沈黙が続いた後、余は汝が送られた目的を果たすように期待していると述べた。
彼女は言った。「プライドは第1の罪と書かれている。輝ける者*3はそれを知らず、それゆえ彼は無知な者である」
ケリー「彼女は胸の宝石を弄り回しています。それから、私が見えない別の者と対話をしていて、彼女の喋りはとても短くて早く、私は何を言っているのか聴けませんでした」
彼女「私が述べた事を読むのだ」
 余は先の言葉を読んだ。
彼女「汝はプライドは最大の罪であると認めるであろう。
 プライドは自らについて知らなくなる原因であった。
 それため、プライドは無知の原因である」
ディー「その論法は良きものである」
彼女「無知は裸であり、汝ら人の子が陥った最初の苦難、災厄は知を望む事だった*4
ケリー「また彼女は見えない他の者らと話し、彼らは彼女に再び返答したように思えます」
彼女「知を望む事は、汝自身について知る事を防いだ」
ケリー「彼女はディー殿を見て笑みを浮かべました。今彼女は、見えない者らと再び対話をしています」
彼女「それゆえ、自らを知らない者はいずれもプライドがある」
ディー「神よ、その誉れのために、自らを知るように我らを助けたまえ」
ケリー「彼女はディー殿を見て、笑みを浮かべています」
彼女「汝は充分な時がある。それゆえ、我らは休息を取ろう」
 余はその間に、素早く筆記していった。
ケリー「彼女は再び見えない仲間と話しています」
彼女「プライドは罪となろう。最初の罪ある者は呪われた。あなたはどう述べるか?(エドワード ケリーに向けて述べた)あなたの心とプライドに何の違いがあるのか?」
ケリー「私のどこにプライドがありましょうや?」
彼女「悪魔が最初にプライドを持った同じ所にだ。誰が悪魔に栄光を帰するか?」
ケリー「神でしょう」
ディー「神は悪魔に栄光を帰したりはせぬ。だが悪魔となる前の彼(ルシファー)には栄光があった」
彼女「その栄光の悪用により、彼は悪魔となった。同じように、神のこの男(ケリー)への善意の悪用により、彼を悪魔とするであろう。
 霊の働きは素早く、肉の行いは破滅へと向かう。汝は悪魔と呼ばれるのに不快か? ならば、汝自身を高められた場所から、さらに高くするなかれ。
 人は適切な名前により選ばれるのではなく、その信仰によるものである。そして、この信仰は生けるものであり、素早き霊が永遠に中にある。確かに、汝は無知であり、それゆえ汝は充分に災厄を受けた。なぜ汝は自らを誇るのか? そして我は何が行えよう?
 風の長さのある舌管の中には汝は自らを知らないのを示している。汝はプライドが高いからだ。そのため、汝は悪魔と呼ばれるのを望まないならば、自らを知り、プライドを投げ捨てるべく祈るのだ。
 真の理解により、汝はまず最初に、汝自身が何であるか、何に属するか、汝の目的は何かを学ぶであろう。
 この理解により、汝は自己愛ではなく、霊的な自己愛となる。
 この理解は、冒涜を教えない。
 この理解は、怒りを教えない。
 これは人に怒っても激怒しないのを教える。
 我らは怒っても罪ではないが、憤怒は破滅だからである。
 そのため、この憤怒は第1には終わり、すなわちプライドと無知であり、第2には懲罰(それは非常に恐ろしいものである)と考えるのだ。
 第1となるのを避け、第2を被らないように神に祈るのだ。
 誰により汝は助言され、この助言は誰によるものか考えよ。我らと共にあれば、罪の原因は無く、弱き(人間の)口が与える助言でも無い。
 汝は良く報酬を受けるか? なぜ汝は良く学ばないのか? 汝は選ばれた者の1人ではないのか? 堅固に立ち、全ての誘惑に立ち向かうのだ。
 神は義の神では無いのか?」
ケリー「それは真実です」
彼女「それゆえ、汝はただの僕であるべし。
 この世界の(自分自身の心の)征服者以外は、永遠の王国を継ぐ事は出来ない。
 征服者であるか義の働きをなした者以外は、報酬を正しく求める事は出来ない。
 悪魔は汝を説得したのか? 汝は悪魔に対して自らを守るべきである。
 この世界は汝を好まないのか? 2つの原因からである。汝が良く生き世俗的で無いからか、汝の悪が世界が驚くほどであるかである。汝が前者ならば喜ぶがいい。この世界が憎む者には祝福があるからだ。彼らが汝の信心深さを笑うならば、その罪を憐れみ悲しむがよい。
 汝が後者であり世界から軽率に攻撃されるならば、世界に汝は彼女のものであると告げ、汝が彼女を知る事を恥じさせるがよい。汝の肉は頑固なのか? 断食して祈るがよい。それは誘惑を避けられよう。
 常に悲しむがよい。この世界には、喜びは何も無いからだ。罪は汝自身にあろうが他者にあろうが、悲しみのみを生み出すからだ。
 誘惑に対して不動であれ。我のように身を固めていない者は、その敵対者(悪魔)の武器により苦しめられよう。
 我が花輪は信心であり、我が胸甲は謙遜で、背中には我は忍耐を纏っている。我がこれらを身に着けているのは、汝も何を身に着けるべきかを示すためである。
 だが、十字架にこれらの事が置かれるように、これらを身に着ける者には十字架(の迫害)が常に従おう。
 汝は使徒のように迫害されているのか? 喜べ。それは幸福な十字架である。
 汝は暴君に苦しめられているのか? この世界にあるのを神に感謝せよ。祝福されるは、ここで迫害されている者だからだ。それにより彼らの罪は以後は忘れられよう。
 我は(世俗から)反対の者となるよう説得する。謙遜し、真の知恵を求めよ。さすれば汝はその創造主に従って真に形作られ、天でハレルヤを唱えつつ我らと共に安らぐであろう。
 我は助言した。これにより我がメッセージを伝えた」
ディー「汝の助言は完全に善きものであり、汝のメッセージは慈悲深い。汝を送った神の御名に誉れと栄光が与えられたまえ。アーメン。
 汝はここでは光の娘の名前で呼ばれるように、他の日にもここに来た娘がいて、彼女には6人の姉らがいると述べていた。この娘の名前はマディミであったが、余はこれらの神秘を語る際に汝の名前を区別させるために知りたいと望む」
彼女「我が名を知り、我が教義が同意されるのを見るのは良き事である」
ケリー「(あなたの推奨全てにおいて)あなたは私をどう告発するのですか? 勿論、私はあなたの推奨と助言に心から感謝をするが、 ハッセーの手により私が不義に扱われ、心にこの大きな影響を与え、様々な不適切な発言をなさせたが、ハッセーと私との間の汝の裁きはどうなのですか?」
彼女「罪をなし、その贖罪をしない者は誰でも罪びとの報いを受けよう。2つの贖罪があり、1つは神とともに、もう1つは良心とともにある。だがこの男は良心に贖罪をしておらず(その悪意を後悔しておらず)、それにより神により贖罪する事も出来ない。それゆえ、彼は今の状況の報いを受けよう。罪の報いは、神とその天使らの社会、この世界からの不在、というより追放となろう。ゆえに定められた良き守護者の不在とともに仲違いをするならば、諸地域、国々、諸都市、諸王、その家臣ら、権威、その権能から取り去られよう。
 それゆえ悪魔は彼とともにあり、その近くにあると示された。
 そして悪魔が彼の主ならば、彼が最も得意と主張する事柄で仕える者となる。悪魔の巧みさは主要で大いなるものであり、その理由からハッセー*5は妬み、悪意、中傷、神の言葉を汚す事により、容易に影響されるだろうと我は示した。
 これは汝らを襲うだろうと予告したものの1つである。
 行おうとした者と、それに同意する者とどちらが咎められるべきか? 悪魔は同意した彼を仲間として選んだのだ。それゆえ、彼の悪意に怒るなかれ。この火は汝自身の手にもたらしているからだ。
 敵対者の働きを測るのは不可能である。彼の微細さは驚くべきものだからだ。
 良き生をした者の報いは大きい。だが罪びとがこの世界でなし、来るべき世界へと導く汚れは最も恐るべきものである。
 (心の中の悪と)大いに闘争をし、征服者となれと言われていなかったか? それは(聖書に)書かれており、真理であり、決して覆されない。これを身に纏う者の力はかくも大きなものである。
 蛇(悪魔)の腹は薄汚いものである。同様に不正直な者(信仰無き者を我は意味する)は、何ら純粋な付き合いも無い。光は闇と同意する事は無く、美徳が悪徳ともである。それゆえ、神と共にあり、神の中にあるなら、汝は神の同意と報いがあろう。
 見よ、我は述べる。我は義人と不義の者の間を分け、我が民を分離させ自らで住むようにさせようとする敵の意図に不和の種を撒き、苦しませるであろう。
 聖書を追求するなら、常に見るであろう。神の霊はサタンの頭に、不和により悪しき者を良き者から分けるように考えさせるようにし、それによって悪魔は自らに対して働くようにさせている。
 我ら良き天使らは、この神の神秘の秘密を保持している。来るべき事柄について、我らは常にこの例外を閉じたままにする。それは我らの命令である。
 真実は、この(ケリーを逮捕しようとする)委員会は汝らに問いただすだけではなく、拘束するのも許されている。
 もし彼(ケリー)が向かうならば捕まるであろう。それゆえ、神を誘惑するなかれ」
ディー「ですが、彼がここに居るのは良く知られており、余の小さくない悲しみと不名誉とともに、彼がここで襲撃されるでしょう。これについて汝の助言は何か?」
彼女「いと高き方を崇める者の扉に不幸が入る事は無いと言われる。語り、語られ、語られた事。この世界は決して汝らに打ち勝てないであろう」
ディー「扱うべき書、巻物、粉について、汝の判断は何か? 彼はこれらを持ってイズリントン地域から来た時に、彼が余のもとへとこれらを持っていくならば、バラバラにされると脅迫されたようだが?」
彼女「語られた事全ては、まったくの虚偽である。この書は良き目的のために用いられよう。これらは悪しきものであるが、これらの事柄はこの活動の最小の部分であり、気を付ける程でもない」
ディー「この粉に関してであるが(余は汝に嘆願する)、これについて汝は知る事があるか?」
彼女「これは自然の命の枝である。これは時と目的が定められている」
ディー「探索によって得た11の場所の土に関して、これらを今は何をすべきか?」
彼女「それは神の予知であり、これらがここに無ければ、今頃は完全に消えていたであろう」
ディー「イエスよ、それは素晴らしい事です」
彼女「ああ、無と帰していたであろう」
ディー「これらの土の性質から、そんなに短い期間で消え去るように思えないが」
彼女「我は語った」
ケリー「汝の名前を伝えたまえ」
彼女「汝が我が助言を覚えているならば、我が名前を語ろう」
ケリー「汝の助言は私に少しずつ語られ、全体的な事以外はよく覚えていません」
彼女「それで良い。汝は行い、得た。そして我が名はHATHに近い」
ディー「余はエメトの印にあったATHであると理解した」
ATH「それが、神の選ばれた数における我である」
ディー「委員会の有力者の1人であるリチャード ヤング氏に、我が仲間(ケリー)への便宜を図ってもらうべきか?」
ATH「汝が必要ならば働くがよい」
ケリー「彼女はこれをやや鋭く喋りました」
ATH「汝の友らに、汝らへの良き報告をするようにさせよ。さすれば何年もここには(官警が)来ないであろう」
ディー「余らが書いている聖なる書について、正当な文字で完全に書くために、余はどうすべきか? 発音と正字法が適切でない多くの言葉が書かれているようだが」
ATH「汝は充分に読めるだけの学識があろう」
ディー「どこから余は始めるべきか?」
ATH「汝の中にある者に導くようにさせよ」
ディー「悪霊に悩まされているイザベル リスナーに関して、与えられた印を余が行った事で良かったのか? これは良く働いたか?」
ATH「友よ、それは我が権能では無い。真の道は、真の名誉へと導き、そこには真にして義の神が座り、神は汝に完全な生へと導き確立させると覚えておくのだ」
ディー「アーメン、アーメン、アーメン」
ケリー「彼女は去りました」


ディーの日記 1583年6月9日
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*1 ディー注。決意が未決定なのを注記せよ。
*2 ディー中。この声は、背後にある余の小礼拝堂から聴こえた。
*3 サタン、ルシファーの事であろう。
*4 創世記での、エデンの園での裸のアダムでイヴが知識の実を欲した話から来ている。
*5 ディー注。ジョン ハッセーの事である。