ディーの日記 1583年5月8日

ページ名:ディーの日記 1583年5月8日

1583年5月8日 水曜日 昼食後の午後4時頃


 余の実践すべき部分をさらに進めたいと望み、エドワード ケリーは(前に述べたように)この後の10日から12日間は土を探すために探索へと出る必要があり、さらにかの書は次の8月までの40日間で書かれねばならず、それがいつから始まっているのかも余は知らないのである。また、余らの教授者の助言とともに(喜んで)全ての事をなすつもりであるが、余はこの書は紙か羊皮紙の上のいずれかに書くべきか、線の色は黒や緑や青などのいずれであるかを知りたいと望み、その他の疑いも解決する必要があり、余は何らかの例を得るのを望んでいた。余とケリーは長く祈ったが、空間には何も、あるいは微かにしか見えなかった。それから、水晶玉の間へと向かうべきという考えが余の頭に浮かんだ。
 エドワード ケリーは水晶玉を見てから、そこにはテーブル、椅子、いつもの3人が来たと述べた。ウリエルは椅子に座り、他の2人は恭しく彼にお辞儀をすると、一方は椅子の片方に、もう一方はもう片方で立った。
 テーブルクロスの側面は持ち上げられ、子羊よりも大きな若い羊のような姿のものがテーブルの下から現れた。そして2人はウリエルの前に跪いて述べた。
「真、聖にして永遠なる者よ」
 それから彼らは再び立ち上がり、2人で何らかの対話をしているようだった。そしてウリエルは述べた。


ウリエル「そうあるべし。なぜなら、力は彼に与えられたからだ」
ケリー「テーブル、椅子、3人全ては消えました。それからすぐに、美しい宮殿が水晶玉の中に現れました*1。そして宮殿からは背が高い男が現れました。とても裕福そうな衣服を着て、羽根の付いたブラウンの帽子をかぶっています。そして彼の背後には大勢の者らが従っていて、彼ら全ては廷臣のように見えます。そしてこの勇敢な男は言いました」
男「賢者が欺かれるのは、なんと悲しい事では無いか?」
ディー「(余は煙を嗅いだ)貴殿よ、汝の目的について述べよ」
男「我は汝に良き事をなすために、ここに来た」
ディー「来るか、送られた場所へ戻れ。我は汝に、永遠の真理の御名と力において、真実を語るように命ずる」


 注記。この者が神が許可した力を持つ悪しき誘惑者であると明らかに受け取った後、余は熱心にこの者を非難し、命令をし始めた。だがこの者はぎこちなくも威厳ある態度で余を軽蔑したり嘲ったりしていて、やがては余と妻、子供らを滅ぼすと脅迫し始めた。
 余はこの霊的な敵に対して、神に熱心に祈っていた。だが、余の祈りのさ中にこの者は述べた。


男「真に、生ける主と、なされた全ては嘘だ」
ディー「その汝の言葉は、恐るべき日(最後の審判の日)に汝に対して告発すべく、余は記録しようぞ!」
 この大嵐が過ぎ去った後、以下の声がエドワード ケリーに聞こえた。
声「闇の君主とともに、この闇は消え去ろう」
 この君主、宮殿、その他の全ては突然に消え去った。そしてテーブル、椅子、ウリエルが再び現れた。


ウリエル「汝自身を(信仰で)武装するのだ。大きな誘惑が従うだろうからだ。汝は全てにおいて阻害されるであろう。
 だが、神とその定められた目的を防ぐものは何も無い」
ディー「あの男は、自らの救いを防いでいよう」
ウリエル「命ぜられた事柄を満たせ。汝自身の判断に従って、この書を形成し書くのだ。神の定めは公正である。それゆえ、汝の手を置くのだ。今までに述べた以上に、平明には述べられない。神の働きは、その目的のために真実である」
ディー「土やその他のものを集めるための探索において、余らは馬を得ようと試みました。だが余らは1匹も得る事は出来ず、資金の提供が無い限り、余らはこの作業を準備できません。そのため記された10の場所について、このままでは最小のものしか得られないので、神が望むならば、ここに余らへの金をもたらしたまえ。この苦難の中で、それは余らを大いに喜ばせるでありましょう」
ウリエル「これらの世俗のものは、その不義を保つのか?」
ケリー「彼らはテーブルの脚を引き抜いて、雲のようにこれらの束全てを運んで行き、完全に消え去りました」
 それゆえ、余は激しく悲しみ、自らを祈りの嘆きへと捧げた。
 長い祈りをした後、水晶玉に舌のようなものが現れた。全てが炎に包まれ、下へと垂らされていた*2



 そして、それから声が聞こえてきた。
舌「汝は心の望みを語り、好ましくない事をなした。汝は不義を語り、ゆえに我らによりなす神の真理は、汝の悪の中で腐っていった」
ディー「余はこの舌の真理について疑いがある」
舌「人は(神よ)自らの想像力において、己を信じている。ゆえに、地の面より我らの聖性、我らの行いの義、我らの神への称賛や賛美を拭い去った」
 余は今や、前の発言を恥じ入り、我が過ちを認め、主の御手に激しく許しを請うた。するとやがて、この舌は述べた。
舌「命ぜられたことをなせ。主は義である」
ディー「主よ、我が違反を許したまえ。そして、義に従って余を裁かないでくだされ。そうするならば、余も全ての人類も完全に滅びましょう。少なくとも、御身の慈悲は余らの保護であり、破滅は我らの荒野である」
舌「それは許されよう。だが、懲罰はなされなくてはならない」
ケリー「舌は天へ向かって昇っていき、水晶玉から出て、手の幅ほど上の空間に行き、さらに上昇していきました」
ディー「神よ、その御名が永遠に称えられたまえ。アーメン」


 これにより、余の心は大いに重く悲しみを抱え、何度も神への我が罪について嘆き悲しみ、以後は発言と、我が心の不法だったり神を喜ばせない望みに大いに気を付けると誓った。そして余の妻との性交をしばらく断つことにした。それらは天により許されるか、我が抗議においてこの闘争を固め、主が我が罪を直すよう命じ、余が乗り越えるまでである。余がこうも熱心に助けを求め、にも関わらず罪に落ちたとしたら、そのような違反は余が喜んで罪を犯した場合よりも重くは無いだろうからである。


ディーの日記 1583年5月9日
↑ ディーの日記


*1 ディー注。神が許した誘惑である。
*2 使徒言行録にある、使徒らに降りてきた炎の舌(聖霊)の描写を思わせる。