ディーの日記 1583年4月29日

ページ名:ディーの日記 1583年4月29日

1583年4月29日 月曜日 正午


 余とエドワード ケリーがソイガあるいはアルダライアの書について話していて、最後に余が(余が覚えている限りにおいては)Zadzaczadlinはそのアルファベットにより、アダムであると述べた時に、突然に霊的な生き物が現れ、それは昨日に再び来るが呼ぶなかれと言った者であった。そして、最初に来た時、彼はこう述べた。


イル「始めより」
ディー「始めから新しきもの、アルファとオメガが、我らに恵みを与えん事を」
イル「アーメン。栄光は単独にして全てを含む方に。驚くべきはその知恵に、それらの中に、それらにより、神は万物を含む。
 短い祈りであるが我が目的には適う。
 我らへのあらゆる賛美は祈りである」


 イルは着ていた継ぎはぎだらけの衣を取り去ると、余の机の角へと投げ、それから古代の学者の衣服を着ているように見えた。そして頭には、3つに編んだ白いシルクの花輪をかぶっていた。


イル「では、我は汝に我が講義を与えてから去るとしよう。まず最初に、我は汝にその揺れる心を取り去るように説得する。第2に、汝への教授のために、必要な事柄がある。すなわち、
 外側あるいは肌(の内側)には中心がなくてはならない*1。ここは基盤である。
 肉は外側に無くてはならない。
 中心は4つの均等な部分に分割されねばならない。
 これらが汝への講義である」
ディー「余らはこの曖昧な講義を良く理解していません」
イル「心臓は肉体の4分の1を占め、それでいて肉体は完全で正常でなくてはならない。肌は心臓の部分を占めて、それでいて奇形でないようにする。神は万物の始まりである。万物の最遠部は神の手の中にある。同様に、その被造物らの数の中に、最も聖なる御名を見つけるであろう。地は万物の基盤であり、形においてのみ違っている。自らの申し出により形は定められた。神は万物の始まりであり、何かに準ずるものや、何かに似たものでは無い。だが神の御名とともに、その働きには3つのやり方がある。
 1つ目は、威厳の働きに関するものである。
 2つ目は、慰めに関するものである。
 3つ目は、作業の目的と決意に関するものである。
 ところでディー殿、汝の印章はどうなっているか?」


 余は最初の2つを共に対処し、霊的な生き物(余らはそれがウリエルと考えた)はそれに答えた。
ウリエル「全ての場所、時間、出来事で体を守護するために、このシジルを金に彫り、胸に身につけよ*2



イル「だが我はどのように教えるべきか? この印章は威厳を高めるためにのみ用いる道具である。(ディー殿)には威厳が無いが、それを創り出していく。そして3と4の数の正方形の中の中心にその完全な構成がある。それらの中心は、最大限と同一である」
ディー「余は汝が何を言っているのか理解できませぬ」
イル「これにより、汝はこの祝福された印章が準備する目的(それにより、汝は威厳ある者となる)を集めるのみならず、全ての他の印章の性質もである。第2には」
 慰めの意味についてである。
イル「この図は慰めの道具である。そして、他の7つの印章でもある。それらは汝は、その図の名前を呼ぶ事で、そこから正方形の軍を形成する。そして、それらはあらゆる王や君主に、その序列に従って適切なものである*3
 では最後に」
 この作業の目的と決意についてである。
イル「これは神の恵みと、これらの書*4の印章によってのみ構成される。神から来たり弾かれたりするものは無く、神そのものであり、そこには秘密の神秘と説明出来ない働きがあるように、ここにあるあらゆる文字は、神の御名を生み出す。(無論)それらは実際には1つの御名に過ぎないが、その地域と先の存在に従って、腐敗する事があったりなかったりする万物の普遍的な世代を含んでいる。これが従うなら、万物の終わりも含む必要があるからだ。
 これで充分に語ったであろう。
 この(過去の)印章は偽りで悪魔のものである*5
 遥か昔から汝の中に住み、これらについて語った者は悪魔であり、自らを浸透させるのみならず、これらの事柄も行っていた」
ディー「余らはこれらについて今まで何の警告も無く、しばしばこれらの事柄(印章と図)を準備せよと命ぜられていて、それでいてこれらは実は偽りであるというのは奇妙なことです」
イル「これが造られるべきであるなら、悪しき形の下を通るようにされる事は無かっただろう。真実は、最初の証明(我が証明と汝のものは全てが同じでは無い*6。ディー殿、汝は我を不快にはしまい)を集めるようにするものである。
 我は汝に、それのみで証明には充分な特定の原理を与えた。我は汝に命ずる。中心にてこれを形成し、汝が求めるものの序列と輪郭を置くようにするのだ*7
ディー「ですが余は真に理解できません」
イル「我は教えよう。綺麗な紙を用意し、そこに4インチの正方形を描け。祈るのだ」
 余らは祈った。
イル「我が今から語るこれらの文字は、その後に汝はその適切な文字によって置くようにせよ*8
 書き記せ。世界の始まりより、この秘密は決して明かされる事は無く、この世界の弱者ら(人類)の前に、この聖なる神秘が開かれる事も無かった。では最上段に「O」を、その下の右側には「b」を、左側には「g」を書くなどをする。それから2つの先端の右側には「a」を、左側には「o」を書くなどをする。
 これが全体である」


 余らは明かされた神秘について(自発的に)祈った。エドワード ケリーは霊的な生き物の声に滅多に耐えられずにいた。彼がこれらの事柄を今話している時には、その音は彼の頭ではかくも強く鳴り響いていた。



イル「それから、図の中に王とその君主らを(汝がそれらを知るように)、その名前の文字を逆向きに書き記せ。それらの頭文字のBを取り除き、右側から左側へと書くのだ*9。まずは、Bobogelとその君主Bornogoを最初にせよ*10


 注意。ここでは、文字を置くための3つの違った方法がある。1. この真ん中は、心臓あるいは中心と呼ばれる。2. その周囲、心臓を取り巻く部分は、肉と呼ばれる。3. この外側の2本の柱(あるいは2文字の列)は肌と呼ばれる。



イル「ここでは、肌は中心へと向き、中心は体の4つの部分へと向く」
ディー「余はまた今では、o g e l o r n oなどのように、肉がどのように(この威厳の図の)外側となるかも見ました」
イル「我は日が沈む前に行った」
ディー「我らの全能の神に、永遠の称賛と限界無き栄光があらん事を。アーメン」




注記


 これらの事が終わってから、エドワード ケリーはテーブルから起き上がり、西の窓へと行き、彼の妻が送った手紙をそこで読んだ。それから彼は小さな祈りの書(ウィリアム ハリスなる者が書いた英語のもので*11、エイドリアン ギルバート氏がここに居た時に、テーブルに置いていったものである)を取り、そこにある彼が好んでいる特定の祈りを祈るために、本を持って寝室へと行った。そして本を開くと、終わりの方の白い紙の余白に、奇妙な文があるのを見た。それを見て、彼はそれが確かに自分が書いたものであると判断したが、この(慰めに関する)この文字のようなものは見た事ないと確信していた。それから、(先の時間に心臓あるいは中心、肌、肉について気づいた)ものと見比べてそれが同じものであるのに気づくと、大いに当惑し、怒りを覚えた。そして見よ、突然に彼の前に1体の霊が現れて「見よ、これはこの他のものと同じように良きものである」と言った。この他のものとは、余らが受け取って、先のページに書いたものである。エドワード ケリーからこの知らせを余が受け取った時、(日記に)最後の行動について書いている最中であったが、彼は「ディー殿に奇妙な事について話したく思います」と述べた。「それは何か?」と余が答えると、彼は最初に(彼の心には神の栄光へ自らを押し付けようとし、人が後釜になろうとする微細な傷を受けていた)「あなたは知っているはずです」と述べ、やがては余に先に述べた小さな祈りの書の最後の方の白いページの紙を見せた。そして余はそれを見て、それが余らが書いたものと類似しているのを見つけ、それらの言葉の綴りは良く充分ではあったが、それは余らの方法のものとは違い、全てが不完全な方法であった。これは悪しき敵(悪魔)の嘲りと悪戯であり、その妬み、愚かしい野心、さらに無論、全ての良きものへの盲目さからであった。結論として余らは、これは何らかの悪霊が、余らが書いた完全なものに疑いをもたらし、それにより神の良き生き物らの語った事へ疑わせたり、受け取った価値があり良きものへの余らの心を動揺させ、試みを臆病とともに放棄させるべく、この悪魔的な図形を素早く書いたものであるとした。だが余は神の恵みにより(このような悪意と対照的に)継続して確信とともに、神は余らを苦しめたりはせず、(神からの知恵を受け取る、神の善意と慈悲に余の信頼を置き)、かくも不義に扱ったり、その御手を冷酷に用いたりはしまいと、良き希望を持っている。そして、この悪しき侵入と幻覚を起こす悪魔の誘惑に対して、夕食後に神への余の心からの抗議をする事にして、余らはまず夕食へと向かった。


原書の図


ディーの日記 1583年4月29日 後編
↑ ディーの日記


*1 ディー注。よくわからない講義である。
*2 ディー注。1582年3月10日の6枚目の見開きの、それ自身の場所についての説明を参照せよ。
*3 ディー注。ここで言うのは、創造の7つの図の事で、それを7人の王と君主らにどう当てはめるのかの話である。
*4 ディー注。48の図の書の事である。
*5 ディー注。この印章も偽りの伝統のものだった。
*6 ディー注。なんたるかな! 彼は、余の数学的証明を裏書している。
*7 ディー注。余の適切な印章を真に作る方法について彼は意味している。
*8 これから英文字で説明するが、天使文字で書けということ。
*9 ディー注。このため、我が威厳の印章あるいはラメンには、7人の王と7人の君主の全ての名前が完全に入るようになる。そして大いなる図(しばしばMensa Faederisと呼ばれる)と同様に、(これら全てに共通する最初の文字の)Bの字を取り除くようにする。
*10 ディー注。注意。ここではButmonoはBynepopの君主で、BlisdonはBnaspol王の君主となろう。
*11 ディー注。この書の題名は、罪による魂の苦しみの7つのすすり泣きと言うもので、ロンドンで1583年に出たものである。 訳注。ハリスのこの書は、7つの告解の詩篇の翻訳である。