幻視の短期コース 第三章

ページ名:幻視の短期コース 第三章


第三章 あなたの魔術の空間を作業に使う
 

 象徴について
 

 数ヶ月の間、先に述べた実践を行ったら、あなたは未来の魔術の作業のための堅固な基礎を確立するだろう。実践的には、これから行う全ての魔術的、瞑想上の技法は、魔術の空間を建設するために習ったスキルのバリエーションや拡張である。
 

 誰もがこれらの技術の違った才能を持っている。非常に僅かな人々のみが魔術の空間に完全に入り込み、肉体を完全に無意識下に置く事ができる。これらの人々にとっては、この作業の結果は古典的な幽体離脱の状態と区別がつかないだろう。ほとんどの人々にとって、意識の一部が「外側」に残っていたり、この感覚の密度が通常の知覚の明晰さや明るさを決して得られないだろう。私自身が後者の低位に属していた。自らのヴィジョンの色が、直接知覚した時よりも区別しづらく、ほとんどの場合、私は詳細を見るために集中する必要があった。
 

 意識全てを魔術の空間に集中できるかは、技法の進歩には必要でない。より重要なことは、あなたが今持っているスキルを最良に使えるかどうかだ。あなたの経験からあなた自身と世界への洞察を受け取れるか、それを現実に使えるかが最も重要だ。明るくて華麗なヴィジョンを得ても、それが何の使えるモノも無かったり、そこから理解と認識の(少しずつだが確実な)拡張が無ければ、何の意味もない。
 

 基礎を確立したので、以下のセクションで我々は様々な実践を見ていく。これらの全ては「幻視」の形態だ。詳細を述べる前に、我々は―― 一般的に――幻視をしている最中に人々が経験するものについて考える必要がある。
 

 夢は象徴の領域としばしば言われるが、幻視においても同じである。だが夢の象徴は通常表層意識の下で起きているプロセスの表現であるが、幻視で見る象徴はしばしば(理想的には常に)意識が住む場所の「上」で起きる事象とプロセスの表現である。これらは意識がまだ完全に獲得していない、最低限の獲得の準備が出来ているプロセスの様相である。ある意味では、あなたが見るこれらの象徴はアンカーポイント以上のものではない。現在の意識の範囲の外側から来る何かとの繋がりを意識に与える、便利な方法である。
 

 象徴の形態には、あなたが繋がろうとする自然と直接的な関係は必要ではない。ある象徴――たとえばギリシアの神々やカバラ実践者の生命の樹――は、内なるリアリティの様相を直接反映する形をしている。他のものは主に慣習の問題である。それらが内なるリアリティの様相を反映しているのは、我々が習慣的に使っている理由からのみである。カバラの色彩は、このカテゴリーに属する。その他のものは、現在の瞬間の必要に仕えるもので、ヴィジョンのコンテキストの外側には何の特別な意味も無い。
 

 だがこの場合はいずれも、ヴィジョンで見た象徴は、ある魔術的な力、アーキタイプ、思考体、存在と直接的に繋がっている。あなたの幻視から最大の利益を得るには、視覚的、聴覚的な象徴の「背後」を感じるよう継続して努める必要がある。それに埋められている道に沿って意識を拡張させる。
 

 これらを獲得するのは、手腕を要する作業である。先に述べたリラクゼーションの実践は再び重要となる。今回は、精神を静かにさせるのに用いられる。これには二つの重要性がある。第一に、精神の内なるお喋りは象徴を通じての対話を覆い隠しがちだからである。第二に、精神の活動的な部分は象徴の意味をそれ自体の先入観で捻じ曲げるよう試みるからである。
 

 これは、特に実践者が伝達される情報に関連する個人的な願望がある時や、実践者の自己イメージが恐れを感じている時に起きる。あなたの自己概念が特定の世界観に拠っており、見た内容がこの視点に従わないなら、正確に視るのはほとんど不可能となる。
 

 これらが起きる可能性を減らすために、あなたのヴィジョンの内容と精神が繋がらないよう精神状態を意識的に開発しなくてはならない。あらゆる個人的重要性を意図的に無視し、内容の真偽を判断するのを拒否する。幻視セッションの結果についての評価は明らかに必要であるが、評価する時は、セッションが終了した「後」にする。作業をしている最中には、あなたは完全に判定を停止する状態に努めなければならない。見たり感じたりしたものを信じるのでも、信じないのもである。ただ受け取った象徴とそれらが表している意味を正確に見る様にする。
 

 幻視の技法を魔術の作業で用いる時には、あなたは常に未知の「領域」を貫こうと努める。霊的進歩の結果となるあらゆる作業は、その定義から、少なくとも部分的には現在の視野と理解の外側にある。全く未知の事をやる時と同じく、精神を正確に視るように調整するのにはしばらく時間がかかる。さらに、あらゆる象徴の背後の意味は、多くの違ったレベルがある。あなたの意識に「染みる」には、長い時間がかかるかもしれない。そして最後のものの重要性は最初の奇妙な現れとは大きく違うだろう。私自身の作業では、繰り返し探索し、それらが完全に現れるまで一年半くらいかかった。それゆえ、変更や追加ができないような決定的な評価は下すべきではない。全ての意味は追加の実践により繰り返して調整されるまでの一時的なものと見做すべきだ。
 

 私は特定の人物に現れた象徴の意味について、どんな保証も与えられない。「典型的」として特徴を述べられるだけの数だけ、私は他の人々から充分な情報を得ていないからだ。私の場合には、これらは私が内的に招聘したものや、どれだけ通常の意識レベルより私がその時に高くしているかに応じて、二つか三つの形で来る。
 

 通常、これらは精神に同時に、ある存在によって語られた言葉として様々な思考の集まりや連合として現れる。言葉のための詳細なコンテキストも与えられる。あたかも存在が述べた言葉に沿って思考が送られたかのようだ。私が言葉を聴くよりも視覚的な象徴を見ていたら、象徴が意図していたり表されているものの「認識」として突然に詳細な形で現れる。
 

 それより稀に、突然に象徴の意味が物語の形式で現れる事もある。出来事の長い続きものとして精神に現れる。自己のある部分が取り去られ、魔術の空間の中を長い旅をしてから、離れた時と正確に同じ時間軸に戻って返されたかのようである。完全な旅は即座に「思い出される」。たとえ意識において何の時間が経っていなくてもである。
 

 非常に稀な場合に、神秘的なエネルギーの塊として意識の中に意味が現れる事もある。それは私の心の中に留まり、少しずつ自らを言葉、イメージ、意味として「明らかにする」。それらは数分の場合もあれば数週間かかる事もある。これらの「塊」は本のある種の魔術の同等物に思える。これらの内容は通常受け取った人物に向けられたものではなく、むしろ、一般聴衆に向けられたように見える。そして内容はしばしば実践者が通常に関心がある視野や考えとは大きく違っている。
 

 これらの方法でのみ象徴の背後にある意味を得られると考えてはいけない。あなたは他の方法があなたにとってはもっと一般的なのを見つけるかもしれない。だが、これらの方法によって情報を得たら、この問題に対してある程度の成功をしたと確信を感じるだろう。
 

 魔術のミステリーツアー
 

 最初の幻視テクニックはとてもシンプルで面白いものだ。この技法によってあなたが得る結果は、馬鹿げたものから崇高なものまで、取るに足らないものから重要なものまで様々だ。これらは実践時の精神状態に依拠する。この技法はあなたの無意識がものを象徴化させる方法を経験させ、重要でない状況で幾つかの訓練を与える。
 

 あなたの魔術の空間に入り、先に述べた技法によりここは安全だとアファメーションを再び行う。それから見知った野外の場所へと行き、周囲を見渡して他の見知った場所との位置関係を確立させる。
 

 それからこれらの見知った場所にまだあなたが何も知らず、何時、何が起きるかわからない広大な地域が取り囲んでいると想像する。あなたはこれらの地域の一部に向かって歩いて見て回ると決意する。方向を選び、歩き始める。見知った場所から離れていくにつれ、この風景にどんな特定の物があるかと想像しない。介入することなく、あなたのイマジネーションにこの地域にある物を満たすのを委ねよ。
 

 何か面白そうなものを見つけるまで荒野を歩き続ける。それは興味深い自然物かもしれず、物かもしれず、建物、人物、動物かもしれない。物を調査するか、建物を探索する。この魔術の空間では何か普通でない物には常にある種の意味があるのを忘れないようにする。何も思いつかなかったら、そのまま進んできた方角へと歩き続ける。時には、幾つかの場所で連続して起きて、全てを得るまでは理解できない物語を語る場合もある。他の場合、あなたが来た最初の場所は単純に大して重要でない。
 

 人物や動物に、これらがあなたとは別個に独立した存在かのように話しかけてみる。彼らをあなたが孤立した場所で外国人と会った時に与えるような敬意と丁重さをもって扱う。彼らが何をしようとも友好的で脅威を与えない態度を維持するよう努める。また、これらはあなたの個人的な世界で起きている事なので、自分が完全に安全だと忘れないようにする。彼らの行動を決めようとしない。ただ、彼らが自発的に話したり行動するのに任せる。この存在に自らについてや何をしているのか話すよう尋ねるなら、ほとんど常に肯定的な反応が得られるだろう。
 

 この物があなたの存在に気づいていなかったり、あなたの質問に応えなかったら、しばらくこれらが何をしているのかを動きが止まるまで見る。それから別の場所へ移動せよ。これらが反応し、あなたの質問する内容が無くなったら、近くに興味深いものがあるか尋ねよ。そしてこれらが与えた方角へ向かう。
 

 通常このような探検は、自らについて、人生の状況について、魔術作業の現状についての何らかの事を語るだろう。勿論、それらは全て象徴的な形で現れる。これらの事象の表面的な現れは、常にその深い重要性とは関係ない。だが、象徴主義についてあなたが理解したなら、結果は常に何か有益や興味深いものである。だが、常に重要とは限らないが。
 

 この技法はあなたが自らの人生の魔術の側面において周囲で何かが進行中だが、それが何であるかわからない時に、特に向いている。これはまた、あなたが何の質問を尋ねるべきか確信が持てない状況でも向いている。この技法をそのために使うには、あなたが情報や答えが必要だという考えを心の中で保持しつつ、あなたの旅の方向を決める。そして答えがある方角を感じようと努めよ。常にそのような方角は存在する。それから、その方角へ歩き、あなたが全ての答えを受け取ったと感じるまで、興味深いものを探し続ける。これは通常、安心の感覚や曖昧に感じていたプレッシャーが減った事で現れる。それからあなたが見た物に対して、現在の状況との関係を考える。これらが含んでいる意味は、通常あなたが必要な本質的な証拠を提供する。
 

 魔法の鏡
 

 次の技法は、「古典的」な幻視技法に極めて近い。だが必要な道具はすべて現実世界でなくアストラル界で用いる。この技法は無数のバリエーションを作れるが、その中のわずかのみをここでは記す。
 

 あなたの魔術の空間で気に入っている場所を選ぶ。あなたが魔術の諸力の招聘とともに幻視を行おうとするなら、聖別された神殿や魔術の仕事場がベストの場所である。他の場合、気に入っていて安全に感じるなら、どんな場所でもいい。
 

 この場所で、大きな鏡の枠組みを想像する。これは少なくともあなたの背丈ほどあるべきで、全体を一瞥出来る幅にする。次に枠組みにガラスの板を嵌めるよう想像する。だが、水銀塗りの鏡ではなく、ガラスは深い透明な黒を含むようにする。ガラスの背後が無限に広がる虚無であるかのようにする。
 

 あなたは――物理的な魔法の鏡を同時に作ることで――どのような見え方をするかを確認できる。(科学用品店から)半分か四分の一の水銀塗りガラスを買って、良質の黒いビロードの上に被せる。非常に低い照明を下から照らして見る事で、無限の深みを見る事ができるだろう。これは深みそのものはあるが、正確にどれだけの深さかを測る事が出来ないだろう。
 

 同時に、この鏡の表面に私が求めている質問の答えが現れると確信するよう想像し「感じる」必要がある。どのように鏡が働くかで悩む必要は無い。単に感情的な確信を作るだけで働くようになる。
 

 この鏡の基本的な使い方は、極めて単純である。あなたは知りたいと願うことを心の中に保持して、鏡がこの考えに「調節され」、この考えを使って答えが見つかる場所と繋がると想像する。鏡が調節されたのを感じたら、考えるのを止め、心を静かにして鏡の闇の中からイメージが現れるのを待つ。そして「ミステリーツアー」の技法と同じく、イメージの意味を「聞いたり」、他の感覚から得られる。
 

 この基本技法に対して、違った目的に応じた様々なバリエーションがある。基本技法にあなたが熟達したら、これらやあなた自身による発明を使うこともできるだろう。この技法に慣れる事で、あなた自身の直観がどんな「公式な」技法よりも良くガイドするようになる。実験するのを恐れないでほしい。
 

 サイコメトリー(対象物の情報や歴史を霊知する)のためには、あなたの(肉体の)手で物を掴んで、それと鏡との間にリンクがあると想像する。それから物に含まれている「印象」を反映するよう鏡を見る。もし物がある人物によって使われているなら、物そのものよりも、その人物を知りたいと特定化させる必要がある。そうしないと、奇妙な結果を得る事もある。例えば、私はフリントナイフの刃をサイコメトリーした事がある。そしてフリントの原材料の地層の地質学の歴史を見た。それは岩の起源の方が、このナイフを作って使っていた人物よりも強い繋がりがあったのだ。
 

 あなたはまた、人物を「サイコメトリー化」させる事もできる。――彼らの「ライフリーディング」や特別な質問に答える――彼らと手を繋いで、彼らの霊からあなたが受け取る印象を魔法の鏡が反映するのを見る。これはより難しく、更なる実践が必要となる。また、あなたが質問者と個人的関係に無いなら、ベストに働く。あなたが何らかの感情的に入れ込んでいる人々と決して行ってはならない。
 

 視覚的象徴と関連する意味や基本的な考えを得るには、鏡の表面に浮き上がる線として象徴を描くと想像する。それからあなたは象徴を鏡に押し込み、それは遠くへ離れていき、いずれは視線から消えていく。象徴を鏡に「調節」させ、心を静かにしてイメージが浮かんでくるのを待つ。鏡はその象徴について語るであろう。
 

 鏡の力を増大させるために魔術の招聘を使える。例えば、あなたは火エレメントの自然を探検したいと望むなら、小五芒星追放儀式を行う事で、鏡を含めてその場の外的影響を消す。それから大五芒星儀式で火エレメントを召喚する。エレメントの力がこの場にある強い感覚を感じたら、その力を鏡へと向ける。同時にこの力は鏡をエレメントへと調整するのみならず、エネルギーを強化し、チャンネルを浄化する事で鏡は最良の働きをするようになると想像する。あるいは、あなたはエレメントの大天使や天使に鏡の中に現れ、質問に答えるよう求める事もできよう。
 

 これらのどの技法でも、あなたが得るイメージは最初は曖昧で、ほとんど動きも無いだろう。だが実践を続けているうちに、形ははっきりして、拡張し、活動的になり、風景全体や長い物語によりドラマチックにあなたの求める答えが与えられる。鏡はあなたが調べているアストラル界に開かれた窓となるように思えるだろう。
 

 この状態に到達したら、鏡は「門」として使えるようになる。開く事により、見ている界へ直接的にあなたは旅し、そこでの出来事を当事者として味わう事ができる。魔術入門の観点からは、これは好ましい作業方式だ。あなたが探検している力を意識に没頭させるからだ。没頭は意識にリアルと永続的な変化への潜在性を増大させ、召喚した力からの見識と認識に到達するためのあなたの力を強化させる。
 

 鏡を門に変換するためには、鏡にあるイメージが三次元になると想像する。単に絵を見ているのではなく、実際に窓から現実の場所を見ているようにする。それから、鏡のガラスが溶けていき消え去るが、鏡のイメージはそのままの場所にある。あるいは、あなたの精神にはこちらの方が簡単ならば、ガラスは実際には枠組みのある窓であり、窓を開けると想像する。
 

 あなたが招聘した力に完全に調節されていない限り、通常、鏡の枠を通り抜けて世界の別の側へと入るのが難しい事がある。黄金の夜明け団の「入室者のサイン」が抵抗を乗り越える助けとなろう。腕の長さの距離で門と向き合い、両腕を頭の上へと上げて、これらを振り下ろして人差し指を垂直に前へと向ける。それと同時に一歩前へと進む。あるいは他の方法としては、手のひらを肩の高さまで引いてから、腕を前に伸ばして一歩進む。これらの仕草が、あなたの入室を防いでいるものに穴を開けると想像する。そして前に一歩進む移動の慣性があなたを門を通り抜けるよう運び、世界の反対側へと入らせる。門にさらに抵抗を感じるようなら、この仕草を再び繰り返す。
 

 門を通り抜けたら、周囲を見渡して、見たもの全てを記録するようにする。情景の主な特徴から始めて、詳細へと向かう。あなたが力を正確に召喚していたら、その力の特性に応じた物や出来事を見るだろう。
 

 あなたが入った世界や出会った物に対してテストするのは良い実践だ。それにより、これらはあなたが召喚した力を反映したものや、良いものかを確認できる。テストする方法については、次の章で詳しく説明しよう。
 

 あなたが鏡を門に変換するのが難しく感じたり、鏡があなたに完全な情景や物語のイメージを与えなかったりしたら、パスワーキングの魔術実践のバリエーションが助けとなろう。以下で記す実践は単純な象徴を幻視するのと、召喚した力を自由形式で探索する中間で、これらの間の変換を手伝う。
 

 パスワーキング
 

 「パスワーキング」という言葉は、シンプルな瞑想から計画的な視覚イメージ化、ヴィジョン、アストラルの旅まで、様々な違った実践のために使われている。これら全てに共通するのは、伝統的に生命の樹の「小路」、つまりタロットの大アルカナカードに関連付けられている象徴を使う事だ。これらの象徴は充分に長い間使われてきたので、内なる世界でそれらの力が表されている領域は安定している。これらの象徴を実践で使うことで、実践者はこれらの領域と繋がり、象徴の背後にあるリアリティの一部を学ぶことが出来る。
 

1.あなたが探索したいと思う小路の視覚的象徴を選ぶ。タロットカードは良い出発点である。ライダータロットの漫画的な絵は、クロウリーのデッキの詳細な絵よりも向いている。これらのカードの明るく平坦な色調はあなたの想像力に余白を満たすよう促す。私はライダーデッキの「愚者」のカードを例として使う。
 


2.カードの関連について知っていることを再確認する。カードについて得られる情報源が述べることを読む。それから、しばらく考えるのをやめて別の事をして、無意識が情報を吸収させるようにする。意識的自己が何の努力もせずに、無意識が自ら接続させ結論付けさせる。
 

 この例のカードでは、私のマインドに即座に来たものは、愚者は一般的に風エレメントとアレフの小路に充てられている。黄金の夜明け団版の生命の樹では、アレフの小路はケテルとホクマーを繋げている。兄弟アハド版の生命の樹ではマルクトとイェソドを繋げている。愚者は風の原初的形態で、剣のタロットスーツよりも、より宇宙的でありわずかに「地上的」である。カバラにおいて、これは存在の精神と知性を現していて、イェッヅィアティック、つまりIHVHの列での「形成」あるいは「息子」の相である。エノキアンのエレメンタル方陣では、神性により現された創造的理想を表している。これは他のエレメンツを通じてのさらなる開発と完全な発現の基礎である。地球の構造においては、これは惑星の磁気圏の霊の相と大洋の水の相との間に位置する、など。
 

3.カードについて学び、詳細をノートに書く。また、頭に浮かんできたどんな関連も書く。カードの人物について考えよ。彼/彼女はどんな姿勢、仕草、表現をしているか? 彼の態度や感情の状態は? 彼の注意はどこに向けられているか? この存在が表現している人格の型について考えようと努めよ。
 

 例: 愚者が立っている崖はマルクトの三つの色、黒、オリーブ、あずき色で塗られている。愚者の靴は淡黄色で、これでマルクトの四つの色が全て揃う。背後の山脈はイェソドの菫色、雪に覆われた山頂は陽光を反射し、ケテルの白で塗られている。この絵の多くを覆っている空は風の黄色、少し彼の靴よりも暗くなっている。
 

 愚者の外着は緑に蔦のパターンであり、これは私にケルト神話のグリーンマンを思い起こさせる。これもまたマルクトである。裏地は赤であり、これは火と火星の性的なエネルギーを思わせる。衣服には車輪が描かれていて、これは別のカード、運命の輪を思わせる。このカードは木星に充てられており、それは風の主である。また、衣服にはアイリス模様もあり、これは百合(クロウリーによればマルクト)か、アイリス(色と形からイェソド)である。
 

 彼のインナーは白であり、再びこれはケテルを示唆している。彼の帽子には羽がつけられており、この形はエジプトの服装の蛇形記章か、マアトの羽を示唆する。彼はバラを左手に持ち、右手には鞄がつけられた杖(男根をイメージさせる)を抱えている。
 

 愚者は頭を上げて、彼の目は彼のみが見える遠い距離に向けられている。彼の姿勢はどこか「感覚的」を装っており、それはフランスの太陽王がダンスの時に使う時に見るだろう。全体的に彼は13世紀のガイヤルド詩人を私に思い起こさせる。貴族の教育され過ぎた若い息子で、放浪し吟遊楽人を装いつつも、世俗的な仕事を避ける。彼は崖を歩こうとしている。彼の踵の犬は遊んでいるようにも見えるし、彼のすぐそばの危険に対して注意を払わせようとしているようにも見える。
 

 あなたはこの例のように詳細に踏み込む必要はない。あなたが魔術を始めたばかりなら、おそらくこれを行う情報源は持っていないだろう。重要な事は、詳細をノートに書くことと、人物の表現や姿勢、これから遭遇しそうな出来事を解釈しようとすることだ。
 

 これらの最初の三つのステップは準備の段階であり、実践のメインの部分を始める前に行われるべきである。これらを行ったら、数時間か一日ほど他の事を行い、潜在意識に情報を染み込ませるのに任せる。この考えは、無意識にやさしく内容に注意を向けさせ、表層意識の干渉無しに情報と考えを吸収させることにある。これにより、潜在意識に実践により参加したがるようにし、カードの背後にある魔術の領域との繋がりを強めさせる。
 

 メインの実践
 

4.座り、初期のセクションで述べたリラクゼーションの実践をする。
 

5.カードを目の前に置く。見る時に、目を緊張させたり、リラックスした姿勢を変える必要のない場所にする。意識的に集中することなくカードを見る。両目を移動させ通常のスキャンさせる動きでカードを眺めさせる。
 

6.あなたの魔術の空間に入り、そこで意識を堅固に確立させる。魔法の鏡がある場所へと行き、正面から向き合って立つ。タロットカードのイメージを鏡に想像する。完全に枠組み内を埋めるようにする。それから絵の情景を見る。もしこれがリアルでただの漫画絵で無かったら、どのように見えるだろう、と考える。鏡のガラスの向こう側に三次元の世界のイメージを見ようと努める。この窓枠からは見えない情景の部分も考える。色はほとんど同じように維持するが、詳細を満たしていく。世界はあなたが見えるリアルな場所として絵を作っていく。あなたの人生で見た現実の場所の詳細を組み込んでいっても良い(だが、リアルな人々を人物のモデルとして「使わない」)。
 

 例: 愚者のカードの山脈はスイスアルプスの菫色の岩々に雪に覆われた山頂を私に思わせる。私は峡谷、岩すべりなどの相応しい詳細で絵を満たしていった。愚者が立つ崖は苔に覆われた花崗岩といった類に私には見える。そして涙滴状の形は、氷河が刻んだのを示唆している。同じ氷河が谷の底を深く広く刻んだのだろう。そして私は他に草原と松とモミの木々の林、少し離れた場所に村の家々の屋根が見えていると想像する。
 

 愚者は窓へ向かって歩いている。なので、山道は露頭の背後に隠れた谷へと延びているだろう。私はこの山道は谷の終わりに沿って上向きに蛇行しつつ露頭で終わっていると想像する。私はこの露頭は見えている場所の右側のどこかの山頂の側にあると想像する。
 

7.次に、あなたは窓枠を通じて飛び込んで、見ていた世界に着地すると想像する。だが、生きている人物が場面に現れる少し前の時間である。鏡を通じて移動しようとせず、瞬間的に想像した場所へ転移するようにする。必要ならば、再び情景を一から作り直すが、ここではあなたも中にいるようにする。
 

 周囲を見渡して、周りの物をあなたの新しい視点から見てみる。360度の視野を得る。そして窓からの元の視野からは見えなかった部分も埋めていく(ちなみに窓は見えないようにする)。あなたが似たような現実の場所にいたら、他の感覚はどう感じるかを想像し、その印象をこの場所に追加していく。
 

 例: 窓があった方へと振り向く。山脈が低くなっていき、徐々に畑になっていく方角だ。大きな湖(ルツェルン湖やジェネヴァ湖のような)が視野の端にかすかに見える。私が立っている山脈も見え、さらに露頭の背後の山道も見える。この道は現在の場所へと続いていき、それから山脈に沿ってカーブして半ばへと進んでいく。谷の底を見下ろすと、村と私の場所の間に小さな雲がいくつも見え、私は通常の世界の上の世界に今いるという印象を与える。私は周囲の風を感じ、音を聴く。そして松や草や風の中の火打石、新鮮な薄いオゾンの匂いもする。村からは人々の活動の音が小さく聴こえる。
 

8.あなたの想像の場面を詳しくして、視点を堅固にするために、ある程度の時間を使う。詳細が変化したりシフトしたりするのを気にせず、それらを元に戻そうと意識的な努力をしない。大まかな輪郭と堅固な位置を維持し、詳細は変化するに任せる。白昼夢で場所がどう見えるかを考えてみよう。しばしば、わずかな詳細のみがあり、それらは実際に見るというより、仄めかしに近いのではないか。この実践を何週間何か月と継続していたら、あなたの無意識は、意識的な努力無しに、徐々にこれらを満たし安定させる方法を学ぶだろう。
 

9.次のステップは、ある意味最も難しいが、ある意味最も簡単である。我々は白昼夢の中で、人生の過去の恥ずかしい出来事へのメンツを保つ独り言を考えだしたりしている。他にも、我々は未来の出会いや状況で起きて欲しいと思うが、日常では起こり得そうにないような出来事や関係を想像したりする。このステップで何をするかというと、基本的には同じ事である。唯一の違いは、あなたは他の人物が言う事をコントロールしようと望んではならず、代わりに彼らが自ら何を言うかを聞こうとするのだ。
 

 あなたの立っている場所にタロットカードの人物がやってきて、あなたと会話をするシナリオを想像する。我々の例を使うと、あなたは背後から歌っている声を聴く。あなたが振り向いて崖道を見下ろすと、犬を連れた愚者が登ってくるのが見える。彼は歩くとともに、陽気に歌っている。あなたが聴くのに充分なだけ近づいてきたら、あなたは彼に呼び掛けて手を振る。彼は見上げて、手を振り返す。あなたが立つ絶壁へと彼は近づいてくる。彼は背伸びをして、新鮮な山の空気を深呼吸する。その時の姿勢は、カードに描かれているのと同じになる。それから、あなたに振り向いて彼は尋ねる。「どこへ行くんだい、旅人さんよ?」
 

 これらの根本にある考えは、無意識に対して、あなたがカードの人物に話しかける状況にあると説得力のある理由を与える事にある。想像力に触れている無意識の一部は、仮定の状況を信じない。だが、充分に首尾一貫しているものなら、リアルとして受け入れる。あなたの無意識マインドのこの部分は、人物の役を演じ、あなた自身の表層意識はあなたを演じる。この同じ部分は、他のマインド、魔術の領域にも伸びていき、人物を作り出すのにその情報を用いる。
 

9.今、人物がここにいるので、あなたは彼自身に関するものや、彼の服や持ち物の様々な象徴について、あるいはあなたが見つけた環境について質問を尋ねる。常に人物をリアルで独立した人格として扱い、同等の敬意を彼に払う。決して、上位者として振る舞ったりせず、どんな事があろうとも決して脅威を与えない。彼が特定の質問への答えを望まないなら、強要しない。彼が投げかける質問に対しては自らの能力の限りに正直に答える。だが同時に自らに脅威を与えられたり卑屈になったりさせない。あなたと彼との関係を平等に保つようにする。
 

 他に覚えておくべき事は、この実践のフェイズでは、悪い結果は何もなく、あなたが理解できない結果のみがある。なにかカードの状況から外れた物があったとしても拒絶しない。単純にあなたが理解できないと認め、後の検討に取っておく。一般的に、あなたは何か起きたとしてもそれに従うべきだ。あなたが危害を受ける事は無く、あなたが行うべきでない理由も無い。
 

10.疲れてきたり、人物が充分に会話したのを示したら、実践を終わらせる時だ。人物に別れを告げて、振り向いて人物が視界から見えなくなるまで歩いていく。それから魔法の鏡を通じて「ジャンプ」して、振り向く。あなたがジャンプした場所を鏡を通じて見る。たとえ、そこが始まりとは違った地点であってもだ。それから鏡を閉じて、深い闇のみが見える状態に戻すよう想像する。
 

 魔術の空間を去ってから、少しの間、物理環境の様々な物へ注意を払う。起き上がって周囲を歩き回る。背伸びをする。何かを飲み物を飲む、風呂に入る、あるいは他の日常の作業をする。それから、再び座り、この実践の間に何が起きたかを可能な限り詳細に書き記す。何が話されたかを、あなたの心に何が浮かんできたかを、場所や動きが他の状況へ変化したかなどを記録する。
 

 時には、この実践の間に予想もしない事が起きることもある。例えば、あなたが情景に対して働いている最中に、人物が突然現れて挨拶を言うなどだ。通常、様々なステージに従っていくよう拘るよりも、これらの出来事に従うのが良い。
 

 人物が現れたら、「ミステリーツアー」の実践と同様に、何が起きても認めるのがルールとなる。あなたは環境を堅固にしておくのに必要以上に気にすることもない。人物は情景を彼の話題に合うように変える事もあるし、生き物や物を持ってくる事もある。他の物が現れる事もあるし、自発的に消える事もある。時には、まったく違った場所へあなたと人物がテレポートする事もある。これら全てを受け入れて、批判しない精神を取るべきだ。ヴィジョンの論理は夢の論理であり、そのような出来事は珍しくもない事を忘れないようにする。
 

 この技法を一、二週間で様々なタロットカードを使って実践したら、儀式を用いて再び力を招聘し、鏡を通じて返事を得よ。鏡の中に情景を作るこの実践は、これらに関するあらゆる難点を乗り越えさせるだろう。あなたがなおもトラブルにあるなら、相応しいタロットのイメージと招聘を組み合わせよ。

 

幻視の短期コース 第四章
↑ 幻視の短期コース