ディーの日記 1582年3月14日

ページ名:ディーの日記 1582年3月14日

1582年3月14日 水曜日 朝の9時頃


 この問題を先に進ませたい望みから、余らは行動に移る事に同意した。そしてエドワード タルボットがウリエルを呼び、(水晶玉の中に)見ると、余は祈禱所から机へと戻った。水晶玉の中にはテーブルと椅子は常に現れていた。余はウリエルの代わりに別の者が水晶玉に来るのを恐れていたので、この現われた霊的生命体に、何者であるのか、何という名であるかを熱心に求めた。やがて彼は返答し、聞き耳を立てていたエドワード タルボットに述べた。


ウリエル「ウリエルが我が名であり、他にはナリエル*1と呼ばれる事もある。ここに留まっているのだ」


 それからウリエルは去っていき、しばらくしてから再び戻ってきた。


ウリエル「神の力は常に汝と共にある。汝が書いたものを知っているか?」
ディー「2つの意味合いで、余はそれを理解できましょう。良き天使ガブリエルは、不可視のままで常に余とともにあり、また神の力ある手は常に我が守護としてあります」
ウリエル「神の力は常に汝と共にある」


 ウリエルは再び去っていき、再び戻ってきたが、今度は別の者も連れ立っていた。さらに、この他の者の前には、その頭が全て黒いフードをかぶった男がいた。それから彼は中央に来て椅子に座り、以下の言葉を述べた。


ミカエル「これらを書き記せ」


 これはミカエルで、その剣は右手にある。それからウリエルが男(黒いフードのようなもので頭全体が覆われている)の下へと来て、黒いフードを取り除いた。それからテーブルクロスを持ち上げて、その下を見ると、再び降ろし、再び持ち上げた。男はなおもミカエルの前に立っていた。それからミカエルは立ち上がり、男の衣服を全て取り除き、そのシャツのみを残した。それからウリエルは6ペンス程の大きさの小さな丸いタブレットを手に取り、そこには2つの文字がこのように書かれていた。



 そして、これをミカエルへと渡した。ウリエルはテーブルクロスを持ち上げると衣服のようにして男に被せた。それはシルクのように見え、多くの皺と織りがあった。そして男は跪いて、その両手を組んで上げた。ウリエルは月桂冠のようなものを取りだすと、男の頭へと載せた。そして男はミカエルの前に跪いた。ミカエルは文字が書かれた巻物を取り出して、男に食べるようにと与えた。そして男はそれを食べた*2


ウリエル「見よ、かくして物事は達成された」


 それからウリエルはテーブルクロスで再びテーブルを覆い、全ての側面で地面まで降ろした。男は立ち上がり、ミカエルは自らの剣でその頭を軽く叩いた*3。それから男は立ったままでその顔を見霊者のエドワード タルボットへと向けた。この男は余(ジョン ディー)に顔つきが似ていた。それから彼は再びミカエルへと向き直った。ミカエルは男の背中にこのように書いた。ANGELVS TVAE PROFESSIONIS(汝の職業の天使)。


 それからエドワード タルボットは余に、そのような人の職業の天使らはいるのですかと尋ねた。余は確かにアグリッパ*4や他の者らが宣言するようにいると答えた。


ミカエル「汝の愚行を捨て、汝の平和を保持せよ。汝はもはや赤(土)ではなく、神が自らに似たものとして創造したのだ」
ディー「はい。真実に」
ミカエル「汝はここへ論争するためではなく学ぶために来るのだ。主の働きを称えよ」


 男は跪いて、視界から消え去った。


ミカエル「彼は不幸に対しての力を食べていた。彼は無を食べていた。そして食べる事により、彼は全てのものを食べていた。その名はNAであり、不幸を褒め称える者だ」


 次にミカエルは、剣で自らの右腕を突いた。見霊者にはそれは酷く見えた。彼の剣は2つに裂かれたように見え、大いなる炎がそこから激しく放たれた。それからミカエルは剣の炎より指輪を取り出して、それをウリエルへと渡した。それから言った。


ミカエル「神の力は語られざられしものだ。神を永久に称えよ」


 ウリエルはミカエルに跪いた。


ミカエル「この種の後に、汝は指輪を知らねばならぬ。これを記すのだ」


 それからミカエルは上昇し、椅子から消えた。やがて再び来て、以下の様に述べた。


ミカエル「我は汝にこの指輪を明かさん。これはソロモン王の死以来、人類には決して明かされなかったものだ。我がソロモン王に力と慈悲とともに与えたのだ。見よ、これがそうである。これがそうである。これによりソロモン王の全ての奇跡、神の働き、驚異が行われたのだ。これを我は汝に明かさん。これが哲学者らが夢にまで見ていたものである。これが天使らといえども僅かしか知らないものである。これがそうである。そして神の御名は褒め称えられよ。確かに、神の御名は永久に褒め称えよ」



 それから、ミカエルは指輪をテーブルの上に置いて、述べた。


ミカエル「これを記すのだ」


 それは印が刻まれた黄金の指輪のように見えた。印の中心は円があり、その上にはVのような文字が、その下にはLのような文字があった。そして横棒が円を分割していた。そしてPELEという4文字が周囲にあった。


 その後、ミカエルは指輪をボードあるいはテーブルに投げ込み、それはテーブルの中へと落ちていったように見えた。それから以下の様に述べた。


ミカエル「同様に、汝への命令としてこれを行うのだ。この指輪無しには、汝は何も行えまい。万物を創造した神の御名を称えよ。驚異は神とともにあり、その御名はWONDERFVLLである。この御名は幾世代にも渡って奇跡を働かせてきた。


 それからミカエルは去っていき、しばらくしてから再び来た。


ミカエル「これを記すのだ」


 それから、ミカエルは別の日に示した印をもたらした。そして剣により開くと、見霊者には酷く見えた。そして読むように命じ、彼はEMETHと読んだ*5。それから剣で再び閉じて、ミカエルは言った。


ミカエル「我は汝のためにこれを開いた。なぜなら、汝はこのSIGILLVM DEIに驚異を見るからだ。これは印の名であり、永久に祝福されたものだ。これは印そのものであり、聖なるもの、純粋なものであり、永遠なるものである。アーメン」


 それから印は消え去った。そして余は我が友(見霊者)に述べた。以前に余はこの印の様々な流儀について考えてみて、それぞれが多くの違ったものを発見した。そのため余はそれらのうちのどれを真似るべきか、全てを完成させるにはどう作るべきかを知る必要があると言った。


ミカエル「これを造ろうとすべきではない。神は万物を完成させているからだ。また我が衣服を着ていない原因について尋ねるべきではない。この神秘は神のみが知るからである。汝が見るように、我は何も着ていない。我は真理、美徳の霊にして、それでいて汝は我に力を見よう。そして我は希望とともに汝を見るであろう。主に祝福あれ。そしてその波に永遠に従うのだ」


 それからミカエルは去っていった。そしてウリエルも彼に従っていった。それから余は我が見霊者に言った。これは良きものであり、彼らが訪れた時に、その手にある諸問題について探していない時に用いる合言葉となるものを得た。すると(余らが見ていない所から)ミカエルは再び語った。


ミカエル「我らは時を導き、時が我らを導くのではない。これをペンで記すのだ。神の御名を永遠に褒め称えよ」


 それから、彼らは両手を天へと持ち上げて(この天国はまた、水晶玉の中にも表れた)、我々に向けてから述べた。


ミカエル「さらばだ」


 こうして彼らは去っていった。そして彼らが去る際に、水晶玉の中に映っている椅子、テーブルは震えるように見えた。


 全ての誉れ、賛美、栄光は神のみにある。アーメン。


ディーの日記 1582年3月15日
↑ エノキアン魔術


*1 アグリッパのオカルト哲学の第3の書 24章でも、4大天使はミカエル、ガブリエル、ラファエル、ナリエルあるいはウリエルとある。
*2 これはヨハネの黙示録にある、天使が聖ヨハネに食べるように与えた巻物の話を思わせる。
*3 これは騎士就任式などで行われる仕草に似ている。
*4 オカルト哲学の第3の書 22章で、人は3体の良きダイモン(守護天使)を持っており、1体は聖なるもの、1体は生まれた時からのもの、1体は職業のものと述べている。
*5 このNA、Emeth、PELEは、アグリッパのオカルト哲学の第3の書 11章にも見つけられる。