体外離脱の基礎概念

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体外離脱の基礎概念


 ここでは体外離脱現象の基礎について簡潔に述べていく。
 体外離脱体験(Out of Body Experience。略してOBEあるいはOOBEと呼ばれる)は、超心理学の研究者らが用いる、どちらかといえば科学的なタームで、オカルトでは主にAstral Projection(幽体離脱。また、アストラル体離脱、アストラル体投射と訳される事もある)が、よく使われている。だが、これらはいずれも同じもので、文字通りに「意識」が微細なエネルギーの体として肉体の外へ出て、知覚や活動をすると認識する体験である。この体は微細なので、壁などの物質を自由に通り抜けたり、重力に縛られずに空を飛んだり出来るとされる。やがて、意識は肉体へと(自発的にか「時間切れ」で強制的にか)戻るが、離脱した時の経験を覚えている。


 ちなみに、ここでいうアストラルという言葉は、古代ギリシア語のἄστρον(アストロン)、星の事から来ているが、現代オカルトでは星とは直接的な繋がりは一切無い言葉となっている。微細体、エネルギーの体という意味では、19世紀のエリファス レヴィや神智学あたりから、よく使われ出すようになった言葉である。また他にも、より肉体に近い粗雑なエーテル体や、さらに微細な体が幾つもあるとされるが、ここではそれらの詳細には踏み込まない(詳しく知りたい読者は神智学系の本を参照のこと)。


 また、臨死体験もこの体験の一部と考えられている。医者から死んだとされた人物が「魂」として肉体から離れ、「死後の世界」を経験するものの、やがては肉体に呼び戻されて蘇生し、その間に見た事を話す。あるケースでは、手術室での自分の肉体への手術オペレーションを上空から眺めていて、それらの記述は正確だったと確認されている。勿論、死んだ状態なので脳は活動を停止しており、通常はあり得ない。


様々なアストラル界


 この離脱した意識が向かうのはアストラル界と呼ばれるが、それらは様々な世界がある。現実世界に類似した場所や、全くの異世界の場合もある。前者の例でいえば、離脱直後は自分の部屋の天井付近に浮かんでいて、そこから自らの眠っている肉体を見下ろす体験は一般的である(実は僕もこの経験はある(後述))。
 体験者らによると、この現実世界に似たアストラル界は、しかし微妙に違っているという。左側にあるべき扉が右側にあったり、壁の絵の内容が変わっているなどである。
 この微細な体は空中を飛び、壁を通り抜け、さらにテレポーテーションのように瞬時に行きたい場所へ行く事もあり(これは出来る人には)、この地上でアストラル体で行けない場所は無いと考えていい。
 またアストラル界は時間の流れが現実世界とは異なり、過去や未来にも行けるという(あるいは、ある経験者が言うには、「過去、現在、未来が同時にある」)。それにより、正確な未来予知を見たり、100年以上の前の知らない過去を旅して、その記述が歴史的に正確だったと確認された体験者もいる。だが多くの場合は、これらは曖昧である。


 また別の種類のアストラル界もあり、これらは現実世界とは全く関わりが無い異世界である。探索者の報告の中には、宇宙の中心へと飛んで神と出会うなど、豪快な内容もあるが、ここまで来ると幻覚じみていて、にわかには信じがたい。魔術師の中には、これらの「妄想」に耽る危険を警告し、初心者は現実世界と隣接したアストラル界にのみ活動を制限するのを勧める人もいる。


 だが、現代魔術(特に黄金の夜明け団系)では、これらの異世界をカバラの生命の樹を地図として探索するのを修行の一環としている。これらはパスワーキングと呼ばれ、アストラルで経験する諸世界は自らの内面と密接に関連しているので、自己の内面状態を知るのに良い道具となる。


 また、この異世界系のアストラル界には「アーカシックレコード」(アカシャ記録)と呼ばれる場所もあるとされる。これは20世紀の「眠れる予言者」エドガー ケイシーが述べるに、宇宙のあらゆる情報が集まっている図書館のような場所だという。ケイシーは夢の中でたびたび訪れた、この場所で得た未来の情報をもとに未来予知予言をしていたと主張している。


シルバーコード


 一部の体外離脱経験者は、離脱中に自分のアストラル体の背中から銀色のコードが伸びていて、それが肉体の臍に繋がっているのを見ている。このシルバーコードとは元は聖書の「伝道の書」12章6節に出てくる言葉で、シルバーコードが緩められたり(略)すると、塵(人間の肉体)は元の地に戻り、霊は元の神の御許へ行くとある(ちなみに、聖書全体でシルバーコードという言葉があるのは、この箇所だけである)。
 実際、離脱中にこのコードが切断されたら、肉体は死ぬと言われている。もっとも、その証明は無い(切ってから死んだとしても、「やっぱり死にます」と生者らに報告する手段が無いので、証明しようがない)。
 しかし、体験者でシルバーコードを一切見ていない者も多く、両者の意見を総合すると、コードがあると強く信じる人には「見える」ようになり、信じなかったり、どうでもよいと思っている人には見えないようである。強い信念によって実体化するアストラル形質の性質からして、それは不思議ではない。


異世界は実在するのか、それとも脳内幻覚か?


 ここで、体外離脱で歴史的に重大な議論について述べよう。この体験は、実際に「意識」が何らかのエネルギー体として肉体の外へ出て経験するものか、それとも「そう思い込んでいる」だけの脳内体験の一種かである。この両派の主張は昔から拮抗していて、結論は一切出ていない。
 例えば、先に述べたアストラル界は現実世界と似ているが全く同じではないという現象も、脳内体験説ならば、それらは記憶によって造られた仮の世界なので、と完全に説明可能である。
 一方で、知らない遠い場所で起きたり、未来で起きた出来事を「見て」、肉体に帰ってから確認したら、その通りだったという報告も幾つもあり、これらは脳内説のみでは説明不可能である。
 アストラル界は論理学的には証明不可能問題に属し、両派の主張は昔からずっと平行線をたどっているので、読者は自分の好む方の考えを選んでいいだろう。間違いなく、論破されるリスクは無いからである(逆に言えば、絶対的に証明する機会も無いが)。


体外離脱と夢


 体外離脱体験は夢の体験(特に空を飛ぶ夢)に似ている。研究者の中にはアストラル体験は夢の一種と結論する者もいる。また逆に、夢とは意識がアストラル体として毎夜肉体の外へ出て経験する体験であると(オカルト的に)説明される事もある。この場合、誰もが毎夜、体外離脱体験をしている事になるが、起きたらすぐ忘れるので覚えていないとされる。
 夢の中には、明晰夢(めいせきむ)と呼ばれる種類がある。夢の中で、自分が夢を見ていると気付いている状態の事を指すが、これらは体外離脱体験と酷似している。また、明晰夢から体外離脱体験へと移行したり、体外離脱体験をしていたら、気づいた時には夢の世界に入っている事もある。この明晰夢から体外離脱に入るのは、最も容易な方法の一つとされる(後の章でこれらについての技法を説明する)。


その他、体外離脱に関連する問題


 この体外離脱体験は、超能力(特にテレパシーや遠隔透視などの精神的なもの)の発現とも密接に関係しているとされ、片方が出来たら、もう片方も出来るようになったという報告が多い。また、ヨーガの修行の結果得られるとされる超能力、シッディも、内容が体外離脱体験と酷似したものもあり、両者は霊的な進化のある段階で関わりがあるようである。


 また、離脱した先には、ガイド霊(あるいは守護神、守護霊、守護天使などとも呼ばれる)という存在と出会い、指導を受けたり旅の補助を受ける事もよく報告されている。これらは善意とともに実践者を導くとされるが、あまり妄信しないほうがいいだろう。黄金の夜明け団の魔術師らは、アストラルの旅の最中にこれらの霊的存在と出会ったら、特別なサインのしぐさを行い、それが本物の天使であるかを試すようにしていた。


 天使がいれば、当然悪魔もいる。アストラル界で悪魔、悪霊、低位アストラル存在などと呼ばれるものと遭遇した報告もある。他にも、フランツ バードンはラルヴァという奇妙な霊的生命体について述べていた
 ともあれ、これらにはあまり深入りしない事を勧める。


全体的な注意


 これから、グループ分けしたそれぞれの技法について各章ごとに説明していくが、その前に、全体的に共通して実践者らが勧める内容について、ここで述べておこう。


 多くの実践者らが力説するのは、体外離脱体験は完全にリラックスした状態で行われねばならないという。肉体に意識が少しでも向いているうちは、離脱するのが難しくなるからだ。自律訓練法に基づく本格的に肉体の各部分をリラックスさせる技法を勧める実践者もいるが、そこまで凝ったものではなくても、実践前に体の緊張を解いてリラックスさせた方がいいだろう。


 また体外離脱の成否は心の状態が大きく影響し、肯定的であるほど成功率が高まるという。そのため、日々体外離脱やアストラル界についての本を読み、意識を肯定的にする事がよく勧められている。実践をする前にアファメーション(後述)をするのも良いとされる。


 記録をつける事も重要である。夢日記のようなものだが、離脱体験があればすぐにノートに書き記しておく習慣をつけるようにする。有名な離脱者のロバート ブルースによると、体外離脱体験をする事よりも、それを覚えておく事の方が遥かに重要だという。夢日記と同様に、記録する習慣をつけているうちに、それらの体験を忘れる頻度も減っていく。
 またもう一つ、記録をつける重要性として、未来予知のアストラル体験のケースがある。そのようなヴィジョンを見たら記録しておくことで、後に当たっていたかどうかの検証が出来るので、非常に重要である。


 体外離脱体験の前に、金縛りの経験があるというのも、よく聞く話である。もっとも、これらが一切無くても離脱できる経験者も多くいるので、必須という訳では無い。
 体外離脱体験は「肉体が眠り、精神が起きている」状態で起こるとよく言われ、この肉体を眠らせた段階が金縛りなのである。金縛りというのは、一部の人々が恐れているような、幽霊やオカルト現象とは一切関係ない、ごく通常の肉体現象(悪夢を見た時に、肉体も一緒に暴れて怪我したりしないように、脳によって毎夜固定される現象である。いわば、寝ている時は誰もが金縛り状態なのである)であるが、違っているのは脳が肉体とともに精神ももう眠っていると「誤解」した状態である。これによって、精神は起きたままで肉体が眠った(動けなくなる)理想的な状態であるのが確認できるので、あとは肉体という牢獄の「ロックを外す」のみで離脱するので、一部の研究者らからは前提条件として重要視されている。


 その他の「超常体験」として、離脱の前にヴァイブレーション、体が振動する感覚がある、またはブンブンと鳴るような音が聴こえるというのも、よく言われる。これもまた、それらを一切経験せずに離脱する人もいるので、必要条件とまではいかない様である。この振動に対して、さらに集中して激しく大きくしていくと離脱すると主張する実践者もいれば、一切意識してはならないという実践者もいて、様々である。これは個々の技法の説明の場所で述べる事にする。


 夜に寝る前に行うか、朝に起きた後に行うかは、圧倒的に起きた直後が良いようである。寝る前に行うと、そのまま知らず知らずに寝てしまうのは、よくある話だからである。また、午前4-5時が体外離脱体験には最も適している時間帯と主張している研究者らが多く、これらを考えると、夜は早めに寝て、目覚まし時計を4-5時頃にセットするのが良いようである。それらが無理なら、次善として昼寝の時に行うのが良いとされる。


 また、当然ながら体を縛り付けるような服装は避ける(意識が肉体に向くような事は一切避けるのが鉄則である)。食事の直後も止めた方が良いという研究者も多い。灯りを暗くして、また実践中は他人に邪魔されないようにする。


 では全体的な注意はこれくらいにして、以下の章から、それぞれ技法を説明していこう。


オーソドックスな離脱技法
↑ 体外離脱の技法