KKKの書

ページ名:KKKの書

KKKの書


ピーター J. キャロル著


KAOS KERAUNOS KYBERNETOS

混沌の稲妻はいずこにも進む




 KKKの書は、ここ数世紀で最初の完全で系統的な魔術訓練プログラムである。これはアブラメリンの賢者の書の決定的な後継者である。このアブラメリン体系は、その唯一神教の超越主義によって時代遅れとなっており、その抑制のノーシスの形態への従属性は、今では相応しくないものと見做されている。


 KKKの書は、普遍的な魔術技法の集まりとして与えられ、これにより魔術師は自らが好む象徴、道具、ノーシスの形態のいずれを用いようとも、作業可能なプログラムを開発できるようにしてある。混沌魔術にとって、どのような信念やドグマを定めるのも、魔術は特定の普遍的原理に従うならば作用するというのを除けば、相応しくないであろう。混沌魔術師にとっては、どの体系もその詳細を奴隷的に崇めるのは相応しくないだろう。普遍的な進行を個人的な好みや目的に当てはめる作業において、このKKKの書から多くの事を学べるだろう。KKKの書はどの大人にせよ、用いる事が出来る。「魔術師」という言葉は、男女いずれにも当てはめられ、本書で男性名詞を用いるのは、単に英語での自然形の不在による都合に過ぎない。


 KKKの書は25の魔術作業あるいは「課程(conjurations)」の連なりである。5つの古典的な技法、召喚(Evocation)、占術(Divination)、まじない(Enchantment)、招聘(Invocation)、啓明(Illumination)が、妖術、シャーマン魔術、儀式魔術、アストラル魔術、高等魔術の5つのレベルでそれぞれ行われる。そのため、本書全体により体系的に、魔術技法全体の摘要となっており、魔術師をシンプルな実践と、道具の作成から、より複雑なサイキックレベルでの熟達へと導くようになっている。


 魔術師は自らの実践のために原始的な神殿(儀式所)を持つ事を強く推奨する。同時に作業の間は世俗でも活動をするのも不可欠である。この作業は世俗からのどのような隠居も必要では無く、むしろ魔術師を取り巻く環境は魔術の訓練場として使われる。そのため魔術師のビジネスや社会活動は、彼の魔術のための主要なフォーカスとなる。魔術を行う中、魔術師は徐々に自らの霊性あるいはスタイルを定めていく。霊性を自らの生の道以外で定義するのは適当とはいえないからだ。魔術の道に霊性の部分が含まれるとしたら、それは実践の中でのみ見つけられ、(宗教にある)全ての推奨と禁止は無用である。


 作業全体の達成への時間の上限は無いが、これは1年以内には達成させられない。1年以内に作業を達成させた者は、さらに様々な魔術の部分を用いるための任意の目的として、世俗的な献身も課せられる。客観的な結果は魔術の証明であり、それ以外の全ては神秘主義に過ぎない。


 例えば、鉛を金へと変容できない哲学者の石は、リスクと不確実性のライフスタイルでの啓明のエリクサーとしても失格であろう。魔術師は作業を開始する前に、これらのどの要素を自らのプロジェクトに含めるかを考慮する必要があるだろう。


 この作業の目的のために、5つの古典的な魔術の活動、召喚、占術、まじない、招聘、啓明は、以下の様に定義する。


召喚:


 自然にあるか作成した「存在」との作業である。これらは魔術師本人の好みと信念体系によって、独立した霊、魔術師の潜在意識の断片、様々な生命形態を持つエグリゴルと見做されよう。実践において召喚は通常は願望を満たすために行われ、召喚した存在は魔術のために効果を造り出す。また召喚した存在は、占術の一部の応用においても魔術師のために情報を集めるために使われる事もある。


占術:


 魔術師が、魔術的方法によって知覚を拡張しようとする全ての実践を含む。


まじない:


 魔術師がリアリティーに自らの意志を押し付けようとする全ての実践を含む。


招聘:


 意識、無意識と思考の何らかのアーキタイプ、あるいは重要な連結体との同調の意識的な試み。古代多神教のゴッドフォームの古典的な概念はよく使われるが、他の諸原理も仕えるであろう。招聘は、啓発あるいは憑依状態を造り出し、その間にまじない、占術、たまには召喚も行われる事がある。


啓明:


 魔術による意識的な自己修正であり、人格の弱い部分を修復したり力を強めるために、まじないの呪文を自らにかける行為や、啓発と方向付けのために占術と招聘が行われるのも含まれる。


 よって、全ての魔術作業は意志、知覚、想像力の使用を基礎とする。すなわち、これらは全ての種類のまじないと占術であると言える。想像力は意志と知覚がお互いを刺激した時に起きるものである。


 この作業のための魔術の活動の5つのレベル、妖術、シャーマン、儀式、アストラル、高等魔術は以下の様に定義される。


妖術:


 物理的な諸現象の間にある秘められた繋がりを用いるシンプルな魔術である。妖術は機械的な術であり、作業者の心とターゲットの間に繋がりがあるという理論を必要としない。だが、そのような繋がりから起きるどのような効果も、加えるボーナスと見做される。妖術レベルでの作業では魔術師は物理世界に魔術的に互いに影響し合う道具、アーティファクトを作る。これは後のレベルでも、より微細な方法によって再び使われる。妖術レベルの作業は全て行われねばならず、その実践はシンプルに見えるかもしれないが、残りの高いレベルの作業の基礎となる。


シャーマン魔術:


 このレベルでは、トランス、幻視、想像力、夢の作業となる。これは魔術師が表層意識の検閲機能を様々な技法によって無力化する事で、潜在意識を開く。魔術師はこのレベルでは考慮に値する危険があり、強迫観念や憑依の危険があれば、妖術の技法や追放の儀式を再取得するためにたびたび戻る必要があるかもしれない。


儀式魔術:


 妖術とシャーマンレベルで開発した諸能力を組み合わせる。魔術師は妖術レベルで用いた道具と、シャーマンレベルで解放した潜在意識の諸力を組み合わせ、訓練され制御された方法でこれらを用いる。


アストラル魔術:


 視覚イメージ化と変性意識状態、すなわちノーシスのみにより行われる。物理的な道具は使われないが、先のレベルで使用した魔術道具は、視覚イメージの形で使う事も出来る。最初は魔術師はこのような魔術に成功するには、隠遁、沈黙、夜の闇の中で、集中とトランスのためにかなりの努力を必要とするかもしれない。だが実践を続けているうちに、いつでも行えるようになるだろう。


高等魔術:


 意志の直接的な魔術の効果への障害は無くなり、直接的な遠隔透視や予知へのバリアーも無くなり、魔術師と入ろうと選んだ意識との間に何の分離も無くなった時、この段階に入る。ほとんどの人には、高等魔術の門は人生全体で瞬間しか開かれないからである。魔術師が訓練を進めていくうちに、この奇跡の門をよく多く開く意志力を得るだろう。高等魔術の5つの課程では何の進行も与えない。高等魔術を行う時点では、技術は直観的天才へと座を譲り、そのような諸力を解放する鍵は、それぞれの個人の直観により見つけなくてはならないからである。


 最初の20の課程では、魔術の稲妻を投げたり受け取ったりするための人工的なトリックと技法の全てを教える。高等魔術になると、我々の存在の中心にある根本的な混沌が、自ら稲妻を掴んだり投げたりするようになるだろう。


 それぞれのレベルの5つの課程は、どの順番からも始められるが、次のレベルへ行く前に5つの全ては達成されなくてはならない。魔術師は吉日か個人的に重要な日に作業を始めるための準備をすべきである。おそらく誕生日や季節の変わり目の日が良いだろう。魔術師が25の課程のそれぞれの成功を記録するための魔術日記も用意する。唯一、成功したもののみを記録し、魔術師は記録する価値ある結果に到達するまで、各課程での自らのアプローチを修正する必要がある。低位の結果は、他で引用のために記録する事も出来よう。だがKKKの書の作業での記録は、25の過程のそれぞれで十分な成功のみを含むようにする。25の過程それぞれで1つの成功は絶対的な最小限と、5つの成功は作業の完成と見做される。


 高等魔術の活動を可能な例外として、全ての過程は先に詳細に計画を立てる必要がある。作業の始まりで神殿に入る時には、魔術師は正確に何を行うかを知っていなくてはならない。ほとんどの魔術師は、それをほとんど使わないとしても儀式の内容を紙に書いておくのを好む。魔術師はしばしば、直観と必要性が彼を動かす事により、計画したものよりも多くの事をしなくてはならなくなるだろう。だが彼は計画したものを行うのを怠ったり、魔術を行う事の曖昧な考えを持って作業を始めたりはしないだろう。


ノーシス追放儀式


 このKKKの書の作業を行う間、魔術師は自身のミスによる結果と、敵意のあるサイキックの影響に対して、自らを守る必要が出てくる。また彼は自らの健康とサイキックの諸力を補充する必要もあるだろう。これらの目的のために、ノーシス追放儀式は使えよう。これは上記の目的全てのためのコンパクトな技法にして強力な儀式である。これは作業の間に自由に使ったり、最初の15の過程の特に始めと終わりに行ったりする。


課程 1 - 5:妖術レベルの魔術


 妖術は物理的諸現象の間での物理的な繋がりの利用に拠るものであり、心と物理的現象との間の繋がりの確立は二義的なものに過ぎない。それぞれの課程では物理的な道具の使用が求められ、それらは後のレベルでも再び用いられる。魔術師はこれらの道具を自ら造る事が大いに望ましい。だが、魔術師は既に存在する道具が、それらが特に重要だったり、ユニークなアーティファクトだったり、魔術師によりデザインされたものだったり、あるいはそれらの物が特別な形や意味のある形で魔術師の前に現れたりしたら、用いる事も出来よう。妖術の諸技法は、特定の子供時代の行い、パターンと類似しているのは偶然では無い。子供はしばしば、魔術のシンプルな原理と、それらの作業への根強さや推奨が欠けている場合においても、自然と親しんでいるからである。大人の魔術師は、この子供時代の想像力の感覚、流動的で希望的思考を回復させようとし、それらをリアルの力へと変換するのである。


課程 1――妖術の召喚


 魔術師は自らの手で彫刻、造形、組み立てといった方法により、サイキック存在の物理的な表現物フェティシュを造る。この機能は一般的には成功を引き寄せたり、不幸から身を守ったり、魔術師のための力の貯蔵庫として働く。通常はその機能を表す実際の生き物やそのキメラ的な形をしている。これが大まかに人間の形をしているなら、それはホムンクルスとして知られる。これは魔術師の体の一部を含んでいるか、血や精液によって塗られているだろう。魔術師はフェティシュを生き物のように扱い、自らの意志をそれに語りかけ、幸運をもたらすべくその影響力を働かせたり、重要な使いとして他人に送ったりする。一部の魔術師は2体のフェティシュを造るのを好み、1体は意志を実行させるため、もう1体は知識と情報をもたらすために用いる。


課程 2――妖術の占術


 魔術師は占術の道具として使う宇宙の単純なモデルを選ぶ。ルーンの彫られた枝や石は、この目的のために最も優れている。西洋の土占術の枝はいささかシンプルなモデルを与えるが、タロットや易経の体系は、何らかの方法で簡略化させない限りは、後のシャーマンレベルでの作業では複雑すぎるので適さない。魔術師は占術を一般的な傾向と特別な質問への返答の両方で熟達しなくてはならない。占術の道具の要素は、リアリティーの表している部分と直接的な関係があるもので、その進行はリアリティーが現実化するプロセスの鏡像でなければならない。また占術の活動は、頻度と複雑性のバランスが取れたものにし、解答が記憶できるものにすべきだ。また現象への占断は、比較的短期間に当たりはずれが確認できるものが望ましい。


課程 3――妖術のまじない


 この第3課程では、魔術師は様々な道具を用意したり手に入れる必要があろう。だが主には、まじないのための単独の特別な道具、魔術武器となる。小さな先端の尖った杖やナイフは特に使い勝手が良い。この特別な道具、武器は、ノーシス追放儀式で五芒星を空中に描く際にも便利に使える。また拳ほどの大きさの粘土か他の可塑性の物質のみが、この過程では他に必要とされる。妖術のまじないを行うためには、魔術師は自らの意志と願望の物理的な表現物を作る。魔術武器もこれらの表現物を作ったり操作する助けとして使われる事が多い。魔術師は1週間に1つか複数のこの作業を行わねばならない。また常にそうであるように、魔術師は自然が実現しようとする前に、事象に影響を与えねばならず、またほとんどあり得ない出来事を望む事で、自然を捻じ曲げすぎないようにしなくてはならない。


課程 4――妖術の招聘


 この第4課程の目的は、一時的に環境を変化させる事で、魔術師の振る舞いへの大きな変化を造り出す事である。魔術師が自らを変化させる実験の幅には限界は無い。例えば、彼は慎重な検証の後に、どこか違った場所へと変装して引っ越しして、完全に新しい社会の役割を演じる事も出来よう。あるいは、彼は古代のエジプトの神を経験すべく、神殿と自らを飾る事もである。この妖術の招聘では、魔術師は自らの環境と振る舞いを修正する事で、任意の変化を造り出す自らの能力の限界をテストする。


課程 5――妖術の啓明


 この啓明の作業では、魔術師は何らかの正確に定義された特別な方法により、自己を向上させるのを目的とする。霊的啓明のための雄大な計画は、より明らかな弱さを認識し乗り越え、今ある力を増大させるために、捨て去らねばならない。啓明の作業のために、魔術師は彼の探求全体を表現する物を作るか手に入れる。この物は専門用語では「ランプ」として知られるが、これは指輪から曼陀羅までどんな形も取る。この「ランプ」は、様々な誓約や抱負を主張する基礎として使われる。そのような制約や抱負はランプのデザインに彫られる事もある。魔術師は啓明の作業を進めるために、招聘、まじない、占術、召喚ですら行い、様々な補助的な活動も行う必要があるだろう。魔術師が啓明の作業の間にランプを破壊して再創造するのは珍しくも無い。


課程 6 - 10:シャーマンレベルの魔術


 シャーマン魔術は変性意識状態の使用に拠っており、この状態において視覚イメージ化や受動的幻視は最も容易に起こり得る。最も容易で安全に変性意識へとアクセスする方法は、半睡状態と夢であり、軽いトランスは静かな瞑想によってもたらされる。ノーシスのためのどの好みの技法も使えるが、最初の内は、制御不能となり得る特定の危険でエクスタシー的な実践は避けるのが賢明である。一般的には先に述べた極端なノーシス技法よりも、視覚イメージや幻視への集中によって、トランス状態へ至り深めるのが好ましい。シャーマン魔術では魔術師は自らの心のイメージと世界の事象との間の繋がりを見つけ確立するのを求める。幻視は象徴言語によってしばしば起きる。例えば、病は虫や忌わしい動物の姿で現れ、恐怖や欲望は霊として現れるだろう。魔術師、シャーマンは、イメージとして現れるこのようなものと対処し、追放や招聘は、視覚イメージの力によって形成し、それらの物理的な意味合いへの解釈は不可欠である。シャーマン魔術は非常に個人に特有で自由形態となりがちであり、それにより魔術師は自らの象徴を組み合わせる能力を探求する事になる。


課程 6――シャーマンの召喚


 この作業では魔術師は命令を与えるサイキック存在の幻視を確立するよう努める。妖術の召喚で用いた存在の視覚化された物とともに作業するのは、しばしば有用であるが、他の形態も用いられる。一般的にサイキック存在は、単純な呪文や占術では不十分な複雑な状況にある時に、望む出来事を現実化させるためや、情報を得るために用いられる。サイキック存在は、ある程度の独立行動をする半知性の呪文である。魔術師は想像力によって呼び出す存在との友好的な関係を構築しようとし、やがてはこれらは世界に現実の影響をもたらすようになる。これらの存在との最良の作業は、夢の中でこれらと交渉する事から得られる。


課程 7――シャーマンの占術


 シャーマン魔術では占術は特定の質問への返答のためのヴィジョン クエストという形を取る。だが、伝統的な用語「ヴィジョン クエスト」は、(視覚のみならず)どの感覚での返答も含むと理解しなくてはならない。これは幻覚的な声、触覚によるものや、他にも様々にある。一般的に魔術師は質問を心に抱いたまま夢の状態、半睡、トランスに入り、それから自らに湧き起るイメージ、声、その他の感覚に従う。幻視から完全に自由になってから、後に解釈をする。あるいは魔術師は自らの経験を、特別な象徴、特に妖術の占術の作業で選んだものにより、構造化させられよう。


課程 8――シャーマンのまじない


 シャーマンのまじないでは、魔術師は直接的に願望を象徴的に視覚イメージする事により、自らの意志を世界に押し付ける。よって、自ら選んだトランス状態に入ったまま、目標の現象のイメージを呼び出し、彼の願望がそれに通過すると想像する。魔術師は自らが霊の幻視の中で影響を与えたい目標の人物か状況へと旅するとイメージするのが助けとなるのを、しばしば発見するであろう。それから彼は状況や人物の振る舞いが彼の望むように変化するよう想像的な定めをイメージする。魔術師の想像力により、視覚イメージが象徴的になったり、歪んだり、色付けられたりするのは珍しくも無い。一般的にこれらの混乱は、望む視覚イメージへのより強い集中により取り除かれねばならない。だが、これらが継続して存在するなら、ターゲットの何らかの知識を明らかにしたり、魔術師の関係を強めて、それにより自らのまじないを強化するのに用いられたりする。例えば、幻視の中でターゲットの人物がある種のオーラや動物の形態で何度も現れるなら、これを直接にイメージするのは、しばしば最良の結果となる。同様に、霊の幻視の中でターゲットの状況がある種の特徴ある振動あるいは「感じ」があるなら、魔術師は実際の状況よりもこれらのイメージに集中するほうが、よく成功するようになる。


課程 9――シャーマンの招聘


 シャーマンの招聘では魔術師は先祖返り、通常は動物の先祖返りから知識と力を引き出す。なぜこのような経験が可能であるかの数多くの独創的な説明が存在する。人間の遺伝子情報には、一見して使われない膨大な情報がある。その多くは我々の進化の歴史と関連するものである。人間の脳は完全な修正によるものではなく、追加のプロセスを通じて進化してきた。我々の脳の古い部分は、他の動物と同等のサーキットとプログラムが含まれている。一部の魔術師は、人間のサイキックな部分は、肉体が造られていったのと同じように、動物を含めた多くの過去の存在のサイキックの破片から造られていると考えている。他の者らは様々な動物の種の集合心理はこれらにテレパシー的に可能であると考えている。


 シャーマンの招聘を行うには、魔術師は動物の先祖返りによるある種の憑依を得るべく努めなくてはならない。どの動物を選ぶかは非常に個人的な問題である。例えば魔術師が子供の頃から特定の動物に愛着しているとか、その肉体的、精神的な特徴や、直観によって選ぶ事もあれば、突然に幻視が明らかにする事もある。招聘に熟達するには、魔術師はトランス状態で自らを動物の形態へとイメージしたり、アストラル体離脱で動物の形を取る事すら努めなくてはならない。また、適切な環境において動物の動きを真似るのも、しばしば有用である。実践を繰り返すうちに、様々な段階の意識の分離が起きて、それによって魔術師は問題の下にあるものを先祖返りによる調査によって理解できるようになり、また肉体やアストラル体で支えられる力を与えるように尋ねる事も出来る。


課程 10――シャーマンの啓明


 シャーマンの啓明の、俗にいうメディシン(まじない)の旅は、自己知識、自己新生、自己向上のための探求である。これは様々な形を取れる。伝統的には、死と再生の経験の形を取り、そこでは魔術師は自らの死と肉体の切断を幻視し、それに続いて肉体の再構築、「霊」、再生を見る。時にはこのプロセスは睡眠の遮断、断食、トランスを深めるための苦行といった物理的な欠乏が伴う事もある。別の方法は、一連の幻視による旅で、自然現象、動物、植物、石のいわゆる「霊ら」を呼び、知識を授けるように求める。これら全ての最もシンプルな方法は、何日か荒野の人里離れた場所に隠遁して、自らの人生を現時点まで完全に振り返り、また未来への期待についても考える事である。


課程 11 - 15:儀式魔術


 儀式魔術では、魔術道具の物理的な使用は、一連の構造化された儀式の中で変性意識状態と組み合わされる。あなた(魔術師)は特定の魔術理論を自らの作業のデザインに組み込む事で、より正確で効果的にする。特にあなたがノーシスの様々な技法を用いる事で、トランス状態をさらに深めるのを求めている場合にはである。これには、心の無意識の部分をもたらす効果があり、それにより演劇ではなく実際の魔術となる。儀式魔術では、様々な照応する象徴体系、寓意的思考、シジルを多く用いる。これらは無意識と対話し、魔術が作業している間に表層意識の注意を逸らすために用いられる。


 儀式魔術は常に意識レベルでの願望への間接的アプローチにより構築されている。儀式魔術師は彼 / 彼女が望むものへの直接的な表現や視覚イメージとともに作業する事は無く、何らかのシジルや象徴的な寓意を用いて、ノーシス状態に入る事で、それらは実際の願望を無意識に刺激させるのである。


課程 11――儀式の召喚


 儀式の召喚においては、魔術師は妖術やシャーマンレベルで用いたサイキック存在を継続して用いるか、あるいは古典的なグリモアの霊らからの伝統的な形態を用いるかを選ぶ。あるいは、自らによりこの存在を作り上げる事もある。伝統的には魔術師は4体以上の存在を保持すべきではないと言われ、これは良い経験則に思える。儀式の召喚において、物質的な基盤は、それが単に紙に書かれた図形によるシジルであったとしても常に使われる。召喚の始めには、魔術師は完全なノーシス状態に入る事により、存在の強い視覚イメージを作り上げる。それに続く召喚儀式では、あなたは物質基盤のこの存在に対して、様々な命令を下したり、それから情報を受け取ったりする。物理的基盤は、可能な限りノーシス状態において儀式的に取り扱う。使わない時には、これは隠しておく。


課程 12――儀式の占術


 儀式の占術において、ノーシス状態に入っている間に、象徴的、寓話的な返答を受け取るために、ある種の物理的な道具を操作する。ノーシスの深い状態では、多くの人々にはカバラや易経といった複雑な占術の道具の使用を防ぐようになりがちであり、一方で骨を投げるといった非常にシンプルな体系は、この種の作業では僅かな情報しか与えない問題もある。そのため、ルーン、タロット、西洋地占術といった中間の複雑性のあるものは最も有用である。占断に入る前に、魔術師は質問を寓意的に表すシジルやもので占術の道具を儀式的に充填すべきである。それから、占断はノーシス状態の中で行う。解釈もまたノーシス状態でするか、通常の意識に戻って行う。


課程 13――儀式のまじない


 儀式のまじないでは、魔術師は妖術レベルでの特別な道具を選んでも良いが、特にもっと良い道具を作るよう啓明されたらそのようにする。まじないの道具、あるいは「魔術武器」は、それにより空中にシジルを描いたり、様々な呪文を造り操作するのにも使われる。全ての儀式のまじないは、ある種の呪文(Spell)を使う事に拠り、それによって表層意識を占拠したりバイパスしたりして、より強力な無意識を働かせるようにする。呪文は、シジルの製造と聖別から、蝋人形の作成、願望を表す儀式の制定まで、事実上何からでも構成できる。この全ての場合にて、効果的なまじないの作業をするために、魔術師はノーシスを用いて、欲望を表すものではなく呪文自身と繋がる必要がある。


課程 14――儀式の招聘


 儀式の招聘では、あなた(魔術師)は、自らの感覚を招聘したいと望む特定の性質と照応するか象徴する経験に浸すように努める。そのため、あなたは神殿と自らを、招聘する対象の色、匂い、象徴、数、宝石、植物、金属、音で飾り付ける。またあなたは、自らの振る舞い、思考を調整し、招聘する対象に憑依されるよう試みる中で、ノーシス状態に入ってイメージする。実践においては、心理学全体と関連する性質のスペクトルを与える多神教のパンテオンから、古典的なゴッドフォームがよく使われる。あなたは、個人的な共感を持つ性質のある神々のみを招聘するのに留めるべきではない。何らかの部分的に成功した招聘の次には、完全に違った性質の招聘を後の時間に行うべきである。儀式の招聘のプログラムを通じて、少なくとも5つの完全に違った招聘の成功を含むものにする。


課程 15――儀式の啓明


 儀式の啓明では、魔術師は自己向上のために、占術、まじない、召喚、自らへの招聘の様々な儀式の活動を用いる。啓明の全ての働きと同様に、ここでも変化は曖昧で一般的なものではなく特別な目的に定めなくてはならない。魔術師はこの過程のためには、よく洗練された「ランプ」、おそらくは自己や魂を表す曼陀羅の形を準備するのが有用だと気付くだろう。この儀式の啓明の効果の一つは、魔術師にしばしばアートマン(真我)とアナッター(無我)の間の選択を迫る。彼がアナッター、魂が無い説のパラダイムの中で作業するならば、啓明とは思考と行いの特定のパターンの増減の問題となる。魔術師がアートマン、個人的魂、あるいは聖守護天使の教義のパラダイムの中で働くならば、彼はより複雑で危険で混乱した状況と向き合う。もし個人的魂は存在すると仮定するが、真の意志が無いとするなら、アートマン魔術師はアナッター主義者のように進められる。だがもし真の意志が存在すると仮定するなら、この過程はその発見と充足に向けられる。著者はこの道を歩みすぎるのを避けるようにしており、多くの人々のケースでこのプロセスが壮大に間違って進まれるのを見てきた。これを試みる人は、一般常識、あるいはこのパラダイムが甚だしく呼ぶ「低位の意志」と激しく矛盾する何であれ、真の意志として受け入れる事のないように忠告する。


課程 16 - 20:アストラル魔術


 アストラル魔術は、視覚化とイマジネーションの世界で全て行われる儀式魔術である。シャーマン魔術では、イメージの使用と探索するヴィジョンはかなり自由であったのに反して、この魔術では内なる眺望への正確な視覚イメージが求められる。この眺望の中で、魔術師は日常世界の知識をもたらすためや、世界や自らを変えるためにデザインされたプロセスを行う。アストラル魔術は儀式魔術と同じほどに準備と努力が払われるべきで、そうでなければイマジネーションの世界の遠足の短い連なりとなる傾向があり、ごく僅かな魔術の効果しか持てない。適切に行われるならば、これは超越的な力の源となり、何の物理的な道具も必要としない利点もある。アストラル魔術は通常は、静かな人里離れた場所で始めて、魔術師は心地よい椅子に座るか、ソファーに横になり、目を閉じる。外面的には、おそらく魔術師がノーシスに入った結果として、呼吸レートの変化や、姿勢や顔の表現を除けば、ほとんど変化はない。


 アストラル魔術の準備として、視覚イマジネーションの世界でも神殿や、複数の神殿の連なりが建てられる必要がある。そのような神殿はどのような都合の良い形も取り得るが、一部の魔術師らは、物理世界での彼らの神殿と正確に同じものにするのを好む。アストラルの神殿は詳細まで視覚イメージされ、儀式のために必要な全ての道具も含まれるか、少なくとも必要な道具が入っているカップボードが無ければならない。神殿で最も重要なものは、魔術師自身の働くイメージである。最初は、それは神殿の中で自らが操る人形のように見えるかもしれないが、何度も続けているうちに、これは実際にそこにいるように感じるようになる。


 アストラル魔術を適切に始める前に、必要な神殿と道具と魔術師自身のイメージを、視点を周回させながら見ていき、詳細まで完成しているかを確認する。その後にのみ、魔術師は神殿を用いる事が出来る。アストラル魔術のそれぞれの課程は、儀式魔術と同じように詳細に注意を払って実行の計画を立てる必要がある。アストラルの召喚、占術、まじない、招聘、啓明の様々な活動は、儀式魔術の活動と似たようなものとなり、魔術師はそれらをアストラルの作業のために用いる。


課程 21 - 25:高等魔術


 これらの魔術の技法全ては、我々の内にある定義不能な部分を魔術に働かせるためにトリックする様々な方法に過ぎない。宇宙は基本的には魔術的な構造であり、我々全ては魔術を行える。魔術の真に有用な理論は、なぜ魔術はこうも気まぐれに働く傾向があり、我々はそれを信じ、魔術を働かせ、それが働いたと認識する事への数えきれない抑圧があるのかを説明するものである。宇宙が我々が魔術師では無いと確信させるために呪文を唱えたかのようである。だが、この呪文はちょっと陽気な宇宙的冗談である。宇宙は我々に、これに少しの割れ目を残す事で、この幻影を破壊するよう挑戦している。


 高等魔術の5つの過程には何の詳細も与えないし、与える事も出来ない。読者は序文でのこれらについて述べた事を思い出してほしい。魔術師は妖術、シャーマニズム、儀式、アストラル魔術の彼の作業によって得た知見に拠り、高等魔術の領域へと入り、その内側にある混沌の創造性を自然に解放させるための、自身のトリックと徒手の技法を開発していくべきである。


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