ヘプタメロン

ページ名:ヘプタメロン



 ヘプタメロンあるいは魔術の要素(Heptameron or Magical Elements)は、ラテン語で7日の書を意味する題名の通りに1週間の7日のそれぞれの日を司る天使を召喚するグリモアである。
 成立年代はグリモア群の中でも特に古く、1496年に出版されているが、その文書はさらに古くからあり、少なくとも中世にまで遡れると Joseph H. Petersonはいう。ゴエティアソロモンの鍵を含む後の様々なグリモアから引用(換骨奪胎)されてきたグリモアの元となった一つであった(もっとも、このヘプタメロン自身、さらに古いホノリウスの誓いの書から引用した部分もある)。
 著者に目されているアバノのピエトロ(1257年 - 1316年)は中世イタリアの哲学者、占星術師、パドヴァ大学の医学教授である。このグリモアが真にピエトロが著者であったかは怪しい部分があるが、生前から既にピエトロは魔術師として悪評があった。ウェイトによると、ピエトロは中世人には珍しく、神も悪魔も信じていなかったそうである。
 本書は偽アグリッパのオカルト哲学 第四の書にも付属として付けられていた。以下の編者の序文はそこから来ている。




ヘプタメロン(7日の書)あるいは魔術の要素


哲学者 アバノのピエトロ著



編者による序文


 前書であるアグリッパの第四の書では、魔術儀式と秘儀参入については充分に語っている。
 だが先の書は、既に魔術について博識で良く熟練している読者向けに書かれていたように思え、さらにアグリッパは儀式について詳細には扱わず、全般的な内容に留めていたので、アバノのピエトロの「魔術の要素」を加えるのは私には良い考えに思えた。魔術の迷信にこれまで無知で経験が無い読者には、本書は自分たちだけで実践するのに良い教材であろう。私は本書の中に魔術という虚しい物事への確かな導入書としての内容があるのを見ており、さらに読者が目の前で実践するかのように、霊らの様々に区別された働き、これらと対話する方法、それぞれの日、時間で何をすべきか、これらは概略の中の概略のように語るので、どのように読むべきかといった内容を見るだろうからだ。


 簡潔に言うと、本書には魔術の作業の諸原理が含まれている。そして(魔術においては)円に対して最大の力が割り当てられているので(これらは、悪霊どもから作業者を安全にする確かな要塞のように働くからである)、まず私は最初に円の生成方法から扱うとしよう。


円とその構成要素について


 (魔術の)円の形は常に一つのみで同じとは限らず、呼び出す霊の位階、その場所、時(季節)、日や時間によって様々に用いられている。円を作る時には、何の年、月、時間かを考慮しなくてはならず、また何の霊を汝が呼ぼうとするか、何の星や領域にそれらの霊は属するか、それらは何の権能を持っているかといった事もである。そのため、まずは直径9フィート(2.7メートル)の3つの円を床に描いて、それらの円はお互いに拳の幅ほど離すようにする。


 1. そして内側の円の中心の、第1の場所に汝が作業する予定の時間の名前を書く。
 2. 第2の場所には、その時間を司る天使の名前を書く。
 3. 第3の場所には、その時間を司る天使の印章を描く。
 4. 第4には、汝が作業しようとする日を司る天使の名前と、その配下の天使らの名前を書く。
 5. 第5の場所には、現在の時(春などの季節)の名前を書く。
 6. 第6には、その時(季節)を司る天使とその配下らの名前を書く。
 7. 第7には、汝が作業する時(季節)を司る宮の頭領の名前を書く。
 8. 第8には、汝の作業する時(季節)における地霊の名前を書く。
 9. 第9には、円の中心の完成として、その時(季節)に従った太陽と月の名前を書く。時が変わるとともに、それらの名前も変わるからである。


 そして、一番外側の円の中に、4大天使の印章、作業をする予定の日の風を司る天使らの名前、すなわち王とその3人の家臣らの名前を書く。
 円の外側には、4大天使の名前を書いて、その部分に、それぞれ五芒星を描く。


 内側の円には、十字によって4つに分割して、4つの神名を書いていく。すなわち東にはAlphaを、西にはOmegaを書き、十字によって分割させよ。そして円が先に述べた規則に従って完成したら、汝は次に進んで良い。


時間とそれらを司る天使らの名前について


 また天使らはそれぞれの時間を、これらが従う天の軌跡と諸惑星に従って、順に支配していると言われる。ゆえに、その日を司る天使は第1の時間も支配している。第2の日の天使は第2の時間を、第3の日の天使は第3の時間を、という風に続いている。そして7惑星と時間が循環するとともに、これらも再びその日を司る天使へと戻る。そのため、私はまず時間の名前から話すとしよう*1


昼の時間夜の時間
1. Yayn1. Beron
2. Janor2. Barol
3. Nasnia3. Thami
4. Salla4. Athir
5. Sadedali5. Mathon
6. Thamur6. Rana
7. Ourer7. Netos
8. Thamic8. Tafrac
9. Neron9. Sassur
10. Jayon10. Aglo
11. Abai11. Calerva
12. Natalon12. Salam

 天使の名前と印章については、後にそれらの適切な場所で語るつもりである。次には、時(季節)の名前を見るとしよう。1年は春、夏、秋、冬の4つの季節に分けられ、それぞれの名前は以下の様にである。


春 Talvi
夏 Cosmaran
秋 Ardarael
冬 Farlas(あるいはFarlae)


春の天使

  • Coratasa(Carcasa)
  • Core
  • Amatiel
  • Commissoros

春の宮の頭領

  • Spugliguel

春の地霊の名前

  • Amadai

春の太陽と月の名前
太陽 Abraym
月  Agusita(Augusia)




夏の天使

  • Gargatel
  • Tariel
  • Gaviel

夏の宮の頭領

  • Tubiel

夏の地霊の名前

  • Festativi

夏の太陽と月の名前
太陽 Athemay(Atbemay)
月  Armatus(Armatas)




秋の天使

  • Tarquam
  • Guabarel(Gualbarel)

秋の宮の頭領

  • Torquaret(Tolquaret)

秋の地霊の名前

  • Rabianara(Rabianira)

秋の太陽と月の名前
太陽 Abragini
月  Matasignais




冬の天使

  • Amabael
  • Ctarari

冬の宮の頭領

  • Altarib

冬の地霊の名前

  • Geremiah(Gerenia)

冬の太陽と月の名前
太陽 Commutaff
月  Affaterim


聖別と祝福
円の最初の祝福


 円を描くのが完成したら、聖水や清めの水を振りまいて、以下の様に唱える。


「主は我をヒソップのように清め、(主よ)、我は清められん。
 主は我を洗い、雪よりも白くならん。」


香への祝福


 香に向かって、以下の様に唱える。


「アブラハム、イサク、ヤコブの神よ。
 これらの種の被造物を祝福したまえ。
 それにより、これらの香りの力と徳は高められ、
 敵もどのような偽りの想像物もこの中には入れまい。
 我らが主イエス キリストによって」など。


 それから、聖水を香に振りまく。


香が置かれる火へのエクソシズム


 香を燃やす時に用いる火は、土か鉄製の新しい器の中に点け、このようにしてエクソシズムをする。


「我は汝、火の被造物を万物を創造された方により祓わん。
 以後は汝はあらゆる幻覚を払い、何に対しても損害を与えないようにせよ」


 それから、このように唱える。


「主よ、この火の被造物を祝福し聖別したまえ。
 それにより、これは聖なる御名を称えるよう祝福され、
 エクソシストや観衆を傷つけようとする者は誰も来まい。
 我らが主イエス キリストによって」など。


衣とペンタクルについて


 衣は司祭のものにし、手に入れるならばリネンにより、清潔なものにする。それから、水星の日と時間、月齢が増大する時にペンタクル*2を子山羊の皮で作った皮紙に描く。だがその前にまず、これに向かって聖霊のミサを唱え、洗礼の水を振り向く。



衣を着てから唱える祈り


「アンコール、アマコール、アミデス、テオドニアス、アニトール。
 主よ、御身の天使らの守護のもと、我は救いの衣を身に着け、
 それにより我が望みは達成されよう。
 最も聖なるアドナイを通じて。御身の王国は世々限りなく続かん。アーメン」


作業の段取りについて


 作業は可能な限り月齢が増大するか均等な時(満月)にして、月が減少していく時には行わないようにせよ。
 作業者は作業を始める9日前から心身を清めて清潔にし、告解(懺悔)し、(教会のミサで)聖体拝領を受けるようにせよ。そして作業をする日のために香を焚く準備を整えておく。また作業者は司祭から聖水をもらっておいて、火を灯すための新しい土の器、衣、ペンタクルも用意する。そしてこれら全てが正しく聖別され準備されるようにする。汝の従者の一人に、火が灯された土の器と香を運ばせ、別の従者には書をもたせ、その他の従者には衣とペンタクルをもたせる。そして師は剣を運ぶ。これらには聖霊のミサを唱えねばならない。そして剣の刀身にはAGLAと十字の文字を、反対側には+ ON +を描いておく。そして作業者が聖別された作業場所へと向かう間、常にリタニ(連願)を先導して唱え、従者らがそれに応じるようにする。そして円を描く予定の作業場に到着したら、先に教えたように円を描き、作り終えたら、円に聖水を振りまき、「主よ、我を清めたまえ」などを唱える。


 師は作業を始める3日前から、断食、慈善、全ての贅沢品から離れるようにする。そして、作業の日になったら、純粋な衣を着て、幾つかのペンタクル、香、その他必要なものを身に着け、円の中に入り、週の7日間、7惑星、7色、7つの金属を支配する世界の東西南北の天使らを呼ぶ。それらの名前については、後に汝は関連する箇所で見るであろう。そして跪いて、先に述べた天使らを特に呼び、それからこのように唱える。


「先に述べた天使らよ、我が懇願により、助けとなりたまえ。そして、我が試みと懇願において助けたまえ」


 それから、世界の四方の天使らから、作業をする日の風を支配する天使を呼ぶ。それから円に書いた全ての名前と霊らに特に懇願してから、このように唱える。


「我はアドナイの座により、ハギオス、オテオス、イスキロス、アタナトス、パラクレトス、アルファとオメガ、さらにアグラ、オン、テトラグラマトンの秘密の御名により、汝ら全てに厳命し召喚せん。汝らは速やかに我が望みを満たすようにせよ」


 これらが行われたら、私が先に述べたように、作業者は作業をする(7日のうちの)日に割り当てられた召喚の呪文を唱える。だが霊らが頑固で言うことを聞かず、日の召喚呪文にせよ先に述べた祈りにせよ、服従しようとしないならば、以下のエクソシズムの呪文を用いよ。


風の霊らへのエクソシズム


「我らは神の像として造られ、神から力を授けられ、神の意志により、汝らを祓わん。最も力あり強力な神の御名エルにより、その力と驚異により(ここに呼び出す霊の名前を唱える)よ、我は汝らに命ずる。言葉を語り、それが実現する方により、全ての神の御名により、アドナイ、エル、エロヒム、エロヘー、ツァバオト、エリオン、エセルキエ、ヤー、テトラグラマトン、シャダイの御名により、いと高き主なる神により、我は汝らを祓い、最も強力に命ぜん。この円の前に、何ら奇形も醜さも無く、美しい人間の姿で現れ、速やかに来たれ。なぜなら我らは汝に以下の御名により命ずるゆえにだ。アダムが話し聞いたヤフとヴァウにより、ロトが聞き、その家族とともに救われたアグラの神名により、ヤコブが聞き天使と格闘し、兄エサウの手よりもたらされたヨトの御名により、アロンが聞き語り賢き者としたアナファクエトンの御名により、モーセが呼び(エジプトの)全ての川が血となったツァバオトの御名により、モーセが呼び全ての川にカエルが満ち、エジプト人の家にまで登っていき全てを破壊したエセルキエ オリストンの御名により、モーセが呼び世界の始まりより見た事の無い巨大な雹が降ってきたエリオンの御名により、モーセが呼びエジプトの地全体にイナゴが現れ雹が残したもの全てを食べたアドナイの御名により、ヨシュアが呼び太陽がその軌道を留まったシェマ アマティアの御名により、ダニエルが呼びベルを滅びし竜を倒したアルファとオメガの御名により、三人の若者、シャドラク、メシャク、アベドネゴが燃える炉の中で歌い救われたエンマヌエルの御名により、ハギオスの御名により、アドナイの印により、イスキロス、アタナトス、パラクレトスと、アグラ、オン、テトラグラマトンの秘密の御名により、我は汝らに厳命し、呼び寄せん。生ける真の神、我らが全能の主のこれらの御名や他の御名により、我は汝らを祓い命令せん。語ったことがなされ、万物が従う方により、神の恐るべき審判により、力ある神の御座の前にある不透明なガラスの海により、御座の前に立つ前にも後ろにも目がある4匹の獣により、御座の周りにある炎により、天の聖天使らにより、神の力ある知恵により、我らは強く汝らを祓わん。我らが望みを全てにおいて我らに良いやり方により満たすため、汝らはこの円の前に現れよ。バルダキアの印により、モーセが呼び地が開いてコラ、ダタン、アビラムを飲み込んだプリメウマトンの御名により、この御名の力において、我は天の全ての天使らに命じ、汝らを呪い、その権能、喜び、場所をはく奪し、地獄の穴の底に縛り付け、最後の審判の恐るべき日まで留まらせよう。そして我らは汝らを永遠の火へと縛り付け、火と硫黄の池の中に投げ込み、汝らが我らが意思を果たすためにこの円の前まで来るまで、そこに留まらせよう。それゆえ、汝ら来たれ。アドナイ、ツァバオト、アドナイ、アマイオラムの御名により、汝ら来たれ。汝ら来たれ。汝ら来たれ。アドナイが命ずる。シャダイ、最も力ある諸王の王、その力はいかなる者も抵抗できない方が、汝らに最も恐ろしいことをなそう。汝らが従い、この円の前に見目好く現れるまで、惨めな破滅と消す事の出来ない火が汝らとともにあろう。ゆえに、汝ら来たれ。アドナイ、ツァバオト、アドナイ、アモイラムの御名により、来たれ。来たれ。なぜ留まる? 急げ! アドナイ、シャダイ、諸王の王が汝らに命ずる。エル、アタイ、ティキプ、アジア、ヒン、イェン、ミノセル、アハダン、ヴァイ、ヴァアー、エイ、エクシィエ、ア、エル、エル、エル、ア、フイ、ハウ、ハウ、ハウ、ヴァウ、ヴァウ、ヴァウ、ヴァウ」*3


円の中で四方へ向かって言う神への祈り


「アモルレ、タネハ、ラティステン、ラブル、タネハ、ラティステン、エシュア、アラディア、アルファとオメガ、レイステ、ラリストン、アドナイ。我が最も恵み深い天の父よ、罪びとたる我に恵みを与えたまえ。今日、(御身の価値無き子なれども)我が前にて、これら強情で有害な霊らに対して御身の力ある腕を示したまえ。それにより我は御身の神の働きの熟考者となり、全ての知恵を受け入れ、常にその御名を称え崇めん。ゆえに、御身の裁きによって、我が呼ぶ霊らは来るように縛られ制約され、我が尋ねた事柄への真にして完全な回答を与え、我や御身が命じた事を示すであろう。そしてどのような生き物も傷つけず、我や仲間らを傷つけたり恐れさせたりはせず、他の生き物らも傷つけず、どの者にも影響を与えず、我がこれらに命令する事全てに服従するようにさせたまえ」


 それから、円の中心に立ち、その手をペンタクルへと向けて述べる。


「ソロモン王のペンタクルによって、我は汝らを呼ばん。我に真の解答を与えよ」


 それから、以下を述べる。


「ベラナネンシス、バルダキエンシス、パウマキアエ、アポロギアエ セデス、最も力ある諸王と諸力により、また最も強力な君主達、ゲニイ(守護神)リアキダエ、地獄の座の御使い達、アポロギアの座の首領、第9地獄の者らにより、我は汝らを呼び、強制し呼び出さん。さらに至高の神の力を身に着け、我は強く汝らに命ずる。語られた事がなされ、万物が従う方により、それらが聞かれたらエレメンツは転覆され、風は震え、海は退き、火は消され、地は崩れ、天と地と冥府の者ら全てが震えあがり狼狽する畏れ多き御名テトラグラマトン יהוה イェホヴァにより、力づくで遅れる事無く、汝らは世界のあらゆる場所から来て、我が汝らに尋ねる事全てに理性的な答えを返せ。そして今、平和的に見える姿で見目好く現れ、遅れる事無く、我が望む事全てを実現させよ。生ける真の神ヘリオレンの御名により召喚され、我が命を満たし、その目的を追求し、そして我が意図に従って、目に見えて見目好い姿で現れ、どのような曖昧さも無く清澄で知的な声で語れ」


幻視と出現


 これらの事を正しく行われたら、無限の幻視、出現、幻覚などが現れるであろう。またドラムを叩く音や、全ての種類の楽器の音もするだろう。これらは霊によってなされており、その恐れによって、汝の仲間が円の外へ出るのを待ち構えている。なぜなら、エクソシスト自身に対してこれらは何の影響も与えられないからだ。この後、汝は無数の数の弓者ら、多くの恐ろしい獣らを見るだろう。それらは汝の仲間を食い尽そうとするかのようである。だが、恐れる事は何も無い。
 それから、エクソシストは、ペンタクルを片手に持ち、このように唱える。


「神の旗の徳により、これらの不法を避けよ」


 すると霊らはエクソシストに従うよう強制されよう。それによって仲間はもはや幻覚を見る事は無くなるだろう。


 それから、エクソシストは、手をペンタクルに伸ばして以下の様に唱える。


「この我が汝らの目の前に示したソロモン王のペンタクルを見よ。このエクソシズムの儀式の中心に立つエクソシストを見よ。神によって武装され、恐れる事無く、良く準備され、このエクソシズムによって、力づくで汝らを召喚し呼ぼうとする者を。ゆえに、速やかに来たれ。アイェ サラエ、アイェ サラエ、アイェ サラエ。これらの御名の徳によって、恐れる事は許されぬ。エロイ、アカキマ、ラビル、生ける真の神の永遠の御名により、さらにここに示す汝らを力強く支配するソロモン王のペンタクルにより、汝らの君主である天の霊らの徳により、このエクソシズムの儀式の中心に立つエクソシストにより、召喚され速やかに来たれ。そしてオクティノモスと呼ばれる汝らの主に従え」


 これらが行われたら、エクソシストはホイッスルを世界の四方向へ向けて吹き鳴らす。すると即座に、汝は大いなる動きを見るだろう。そしたら、以下の様に唱えよ。


「なぜ留まる? どこで汝らは遅れている? 何をしているか? 主の御名、アブラクに駆け寄るバザトあるいはヴァハト、アベレルに近づくアベオルにより、汝らのマスターに従うのだ」


 すると、これらの霊らは即座に適切な姿で来るであろう。汝がこれらが円の前にいるのを見たら、良質なリネンで覆っていたペンタクルを見せて、覆いを外して、以下の様に述べよ。


「汝らが服従しないならば、どのような結果となるのかを見よ」


 すると突然に、これらは平和的な姿で現れて、汝が望む事は何か? 主が我らを従わせているので、我らは汝の命令を満たすべく準備されていると言うだろう。ならば、エクソシストは以下の様に述べよ。


「霊らよ(あるいは最も高貴な君主らよ)我らは歓迎する。我が汝らを天と地の万物が跪く御方、その御手は全ての王国の王らに及び、その意志に反する事が出来ない御方を通じて呼んだゆえに、我は汝らを拘束し、この円の前で長く固定されて見目好く見える姿のままにする。また汝らは我が意志を真に偽りなく行うまで、我が許可無しに退去する事も許されない。海を定め、その先を進めなくし*4、神の摂理、すなわち万物を創造された、いと高き主なる神、王の法を超えては進めなくした、その力の徳によって。アーメン」


 それから、汝が望む事を霊らに命じたら、それらは行われるだろう。その後に、以下のように霊らを退去させよ。


「+(十字を切る)父と、+子と、+聖霊の御名により、平和とともに汝らの居場所へと帰れ。平和が汝らと我らの間にあらん事を。そして汝らが再び呼ばれたら来るように準備せよ」


 これらが、アバノのピエトロが魔術の要素について述べた全内容である。


 だが汝が円の構成についてより良く理解できるように、私は一つの例を下に示しておこう。そのため、春の主日(日曜日)の第1の時間に円を描くとしたら、以下の図と同じものとなるだろう。


春の時の主日の第1時間の円の図


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*1 昼の時間とはその日の日の出から日の入りまでを12分割した時間で、夜の時間とは日の入りから翌日の日の出までを12分割した時間。季節によって時間の長さはまちまちになる。
*2 護符の意味。五芒星ペンタグラムと混同しないように注意。ここでのように、六芒星のものもある。
*3 この召喚の呪文は、ゴエティアやソロモンの鍵にあるもののオリジナルで、両グリモアはほとんどそのままコピーしている。
*4 このグリモアが書かれたのはコロンブスの航海以前である。平面な海の「世界の果て」の先に進もうとしたら、落っこちると信じられていた。