オカルト哲学 3-57

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第57章 高揚をもたらす外的に用いるものについて


 聖なる事柄に技量のある者らは、犠牲、洗礼、懇願、祝福、聖別、聖水の散布、聖油の塗油、香など体の外側への特定の教授と秘蹟が精神をも高揚させると信じられ、用いられている。これらは自然物としてはそれほど聖なるものではないにせよである。
 これらの中でも硫黄は宗教において、悪しきダイモンらをその匂いで払う特有の価値を認められている。また卵も浄化に用いられ、ゆえに聖なるものと呼ばれる。これについてオウィディウスはこう詠う。


「老女を呼び、ベッドや部屋を浄化させよ。
 硫黄と聖なる卵を彼女の震える手に持たせつつ――」


 またプロクロスも、浄化を求める神官は、硫黄や瀝青を用いたり、海水で沐浴する事があると記している。硫黄はその鋭い匂いによって浄化し、海水はその火的な部分によってなすからである。
 同様にキジムシロの草は、その純粋さから、古の神官らは浄化に用いていた。またオリーブの枝も大いなる浄化の力があるとされ、そのため売春婦が植えたオリーブ木は、永遠に果実を作らなかったり萎れたと記されている。
 また同様にフランキンセンス、没薬、クマツヅラ、カノコソウ、フーと呼ばれる草*1は、精神に高揚をもたらすと言われる。また聖なる丁子の花や、黒犬の肝*2を火でいぶしたら、これらは非常に強力で、悪霊らを全て追い出し、魔女の呪いも同様であると言われる。またタゲリの羽根を火でいぶしたら、幻影を追い払う。
 これは驚異的でほとんど信じがたいが、高名な著者(フラウィウス)ヨセフスがエルサレムの歴史の中で述べている事で、ユダヤ地方のマケルヌスという町の近くに生えるバアラスと呼ばれる草の根は、黄色をしていて夜には輝き、取ろうとする手をしばしば欺くので容易には入手できず、その視野から消え去り、一つどころには留まらないが、月経の間の女の小便が振りまかれるならば動けなくなるという。また引き抜く事も出来ず、それ自体には危険は無いのだが、取った者は突然死するのである。そのため、この根を取ろうとする者は護符を身に着け、根に紐を結んで、反対側を犬に結び付け、すぐにその場から離れる。やがて犬が根を引き抜く労苦をなし、その飼い主が戻ってくると、すでに犬は死んでおり、その後は誰でも根を安全に取れるのである*3。この力は高揚に非常に優れていて、悪霊に苦しめられている者らに用いられてもいる。
 次に、この種の物質は霊的な形質にも働き、それらを(肉体から)飛ばしたり魅惑したり鎮静させたり刺激したりする。これらはシチリアの火*4が魂に働くもの以外の意見は無く、パリのウィリアムズが証言するに、これらが近くにあっても肉体を傷つける事は無く、それらの魂を最も無慈悲に痛めつけるという。だがこれらについて、私は部分的には先の章で既に述べている。


オカルト哲学 3-58
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 カノコソウの一種でクレタ島に生えるヴァレリアナ フー。
*2 黒犬は冥府の女神ヘカテーの使者とされた。
*3 これはマンドラゴラ草の採取法と同じである。
*4 エトナ火山のこと。