はじめに

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はじめに ――オカルト、あるいは秘密の世界



 オカルト。
 現在日本では様々な意味合いを持つようになった言葉だが、もとはラテン語の「隠されたもの、秘密のもの」を意味するOccultusから来ており、西洋では一般人が知る事の出来ない秘密の知識全般を扱う言葉となっていた。
 中世からルネッサンス、近世にかけて多く書かれた魔術書「グリモア」には、天使や悪魔を呼び出せると称する「秘密の」印章や特殊な呪文がページを満たしていた。
 パラケルススなどの錬金術師らは、「秘密の」術式によって、卑金属を金に変えられたり、人間を不死にする「哲学者の石」を探し求めた。さらに、ニコラス フラメルといったような見つけたと称する者らは、その内容を暗号めいた絵や象徴に満ちた書の中に隠し、大衆の目には「秘密」にした。
 古代ギリシア、ローマではプラトン、ピュタゴラス、アリストテレスといったような古代の知識人らも加わり、尊崇していた様々な密儀宗教があった。秘儀参入イニシエーションの中で参加者は神々と遭遇し、自らを神の境地まで高められるとされ、それらの内容は絶対の「秘密」とされ、漏らした者には死が与えられた。
 さらに17、18世紀に入ると、薔薇十字団、フリーメイソンリー、イルミナティなど、文字通り「秘密結社」が登場する。密儀宗教の近世版であった秘儀参入儀礼の内容も絶対の「秘密」であり、薔薇十字団などは実在するかどうかすらも「秘密」であり、誰も組織の実際の建物すら見ていないが、当時の様々な知識人が隠れ団員だったという噂が立っていった。
 そして中世のユダヤ人は「秘密」に師から弟子へと口承で伝えられる教え、カバラを編み出していった。特殊な文字操作の術によって、カバラ学者らは旧約聖書タナハに隠された神の「秘密」の言葉を解読しようとし、その内容は一般のユダヤ教とも大いに違う秘教となっていった。
 さらに「秘密」の追求はヨーロッパに限らず、遠いインドでも中世以降には「秘密」の教え、タントラ教が勃興し、そこでは身体内の霊的な器官、チャクラやクンダリニーなど、一般のヒンドゥー教徒にすら知らないものがヨーギらにより経験則的に見つけられ体系化されていき、それらの霊性を開発するヨーガ、クンダリニー ヨーガ(正確にはラヤ ヨーガ)も作られていった。


 かように、古今の歴史、世界には秘密と謎が溢れていた。
 自分たちと違う考えの持ち主をキリスト教会が弾圧していた時代には、秘密は生存のために不可欠でもあった。
 またパラケルススが顕著ではあるが、大衆を軽蔑し、知らせずに自分たちだけで知識を独占する彼らのエリート意識も見逃せない。錬金術や秘密結社とも密接に関係していたフランシス ベーコン卿が言うように、「知識は力」だからである。
 彼ら、プラトンからアイザック ニュートンに至る欧米の知的巨人らが生涯を懸けて追い求めていた秘密の知識とは何だろうか? それらは「本物」だろうか? それとも彼らは有りもしない幻を追い求めた愚者の群れなのだろうか?
 その答えは神ならぬ僕には答えられない。だが一つ確実なのは、これらは興味深い世界であり、読んでて退屈はしないだろう事だ。
 隠れた知の集積所、オカルト図書館へようこそ。楽しんで読んでいってください。


 オカルト図書館 館長 Hiro




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