オカルト哲学 3-34

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第34章 魂の位階と英雄について


 福者の一団の上にある魂の位階は、ヘブライ人の神学者らはイシム、すなわち強者と呼ぶ。これらは異教徒の魔術師らは、英雄や半神、つまり半分神で半分人間と呼ぶ。高名なフルゲンティウスが述べるに、これらがこう呼ばれるのは、これらの不毛な悪意から、天へと迎えられるには値しないが、しかしその崇敬から地に落とされるにも値しないからである。古のこの種の者らは、プリアーポス、ヒッポー、ウェルトゥムヌス*1で、これらは生前には神的な美徳で高名であり、人類に利益を与えたので、人間としての生を終えた後にも、祝福された神々の一列に加えられ、生前の時と同様に人類にその美徳と利益を与えている。あるいは、これらは上位者の秘密の種から造られ、神々あるいは天使と人間の間の合いの子として生まれたと考えられており、そのため特別な中間の性質を得たので、これらは天使でも人間でもない。これらの意見はラクタンティウス*2も支持していた。
 また、今日においてすら、霊と混ざり合った生まれの者らがいる。現在では全ての者らはイングランドの預言者マーリンは、霊の子であり、処女から生まれたと信じている。また知恵の君主プラトンも、アポローン神の幻惑による受胎により処女から生まれたと想像されている。また歴史家らが述べるには、ゴート族(彼らはアルヌマナと呼ぶ)のある女らは美と才能で高名であった。彼女らはフィリミレか、他の者らが言うにはイダンスレシエで、ゴート王の幕屋から逃げ去り、メオティスの沼地の先にあるアジアのスキタイ族の荒野を彷徨い、ファウヌスやサチュロスにより孕まされられ、フン族の最初の子らを生んだという。さらに、プセルロスが書いた本によると、霊は時には種を放ち、そこから特別な小さな生き物が生まれるという。
 そのため、これらの英雄らは、神々や天使と比べても低位物を動かし支配する力は劣ってはおらず、これらの権能と威厳を用いる。そのため、これらは神々同様に、神殿、彫像、祭壇、生贄、誓約、その他の宗教の神秘が捧げられてきた。そして、これらの名前には奇跡を引き起こす神的で魔術的な性質が含まれており、それらについてエウセビウスが記すには、多くの者らが、ティアナのアポロニウスの名によって招聘をしようと試みたとある。またその他にも、ヘーラクレース、アトラース、アスクレーピオスや、その他の異教徒の英雄らについて多くの詩人、歴史家、哲学者らの書を私は読んでいる。だがこれらは異教徒らの愚かさなのである。
 だが我々の(宗教の)聖なる英雄らについては、これらは神力において卓越していると私は信じており、さらに、メシアの魂がこれらを支配しているとユダヤ人の神学者らが確言しているが、このメシアとはイエス キリストであり、これらは様々なイエスの聖人らであり、この目的に適している者らで、神の様々な恵みを低位物へ向けて管理し配置している。そしてこれらの聖人らはそれぞれ特有の働きの賜物を行い、様々な恵みの分配に応じた祈りによって我々の嘆願を受けると、いずれもが自由にこれらの賜物、恩寵、恵みを天使の諸力よりも準備され、真実で、豊富に与えるのである。それはこれらが我々に近い者であり、過去には人間であり、人間の苦しみと弱さを経験しており、これらの名前や位階、権能は我々にはより多く知られているからである。
 そのため、ほとんど無限の数のこれらの中でも、主要な12人、すなわちキリストの12使徒が、福音の真理が告げているように、12の御座に座り、イスラエルの12部族を裁き、ヨハネの黙示録によれば、天の都の12の門にある12の土台に割り当てられており、黄道の12宮を支配し、12の宝石により飾られており*3、世界全体はこれらに分配されているのである。だが、これらの真の名は以下の様にである。第1の者はシメオン ハ=ケフィ שמעון הכפי で、これはペトロである。第2はアロウシ אלעוזי で、我々はアンデレと呼ぶ。第3はヤハコバー יעקבה で、これは大ヤコブ(ゼベダイの子のヤコブ)である。第4はポリポス פוליפוש で、我々はフィリポと呼ぶ。第5はバラキアー ברכיה で、これはバルトロマイである。第6はヨハナー יוהנה で、我々はヨハネと呼ぶ。第7はタムニ תמני で、我々はトマスと呼ぶ。第8はメドン מדון と呼ばれ、我々はマタイと呼ぶ。第9はヤハコブ יעקב で、これは小ヤコブ(アルファイの子のヤコブ)である。第10はカテファ כטיפא で、これはタダイである。第11はサマム שמאם で、熱心党のシモンである。第12はマタティアー מתתיה で、我々はマティアスと呼ぶ*4
 これらに続くのは、キリストの72人の弟子らで、これら自身も天の(黄道360度の)5度ずつや、諸部族、人々、国々、諸言語圏を支配する。これらに続くのは、数えきれない聖人らで、これら自身も様々な権能を授かり、様々な場所、国々、人々を守護しており、これらを招聘するための敬虔な祈りにより多くの奇跡がなされているのを、我々は豊富に見て、聞いている。


オカルト哲学 3-35
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 プリアーポスはディオニューソスとアプロディーテーの間に生まれた羊飼い、庭園、果樹園の守護神。ヒッポーはおそらくは、ポセイドンと人間の女アロペーの間に生まれたヒッポソーン、高名な英雄達の中の一人。ウェルトゥムヌスは、元はエトルリアの豊穣の神で、姿を自由に変えれたという。
*2 240年頃 - 320年頃。キリスト教護教家。コンスタンティヌス帝の助言者として帝国のキリスト教化を指導する。
*3 ヨハネの黙示録 第21章19節。
*4 イスカリオテのユダの裏切り後に欠番となった12番目は、使徒言行録 第1章26節で、信者の間で評判が良かったマティアスがくじによって選ばれた。