オカルト哲学 3-30

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第30章 カバラ学者による文字を作る別の方法


 ヘブライ人の間にある、より興味深い文字の伝統を私は発見しており、その中の一つは最古のもの、つまりモーセが書き、預言者らが用いたものであり、これらの形は誰にでも安易には見つけられるものではない。なぜなら、これらの文字は当時は祭司エズラによって(選ばれた少数者にのみ)教授されていたからである。
 また他にも、天上文字と呼ばれる文字もある。そう呼ばれる理由は、これらが星座の形から取られたからであり、それらは星々の外形より他の天文学者らが像を造ったもの以外の何物でも無い。また彼らがマラキムあるいはメラキム、すなわち天使あるいは王者と呼ぶ文字もある。また他にも、渡河文字と呼ばれるものもある。そして、これら全ての文字と形は以下に示しておく。



 他にも、カバラ学者の間で別の伝統もあり、かつては大いに尊崇されていたが、今では一般的なものになり、ほとんど世俗の物事の地位に置かれている。それは普通のヘブライ文字から作られ、その27の文字を3つに分けられ、それぞれが9文字が含まれる。第1のものは、אבגדהוזחט で、1桁の数や知的な事柄の印であり、天使らの9位階に割り当てられている。第2のものは、יכלמנסעפצ で、10の位と天の事柄の印であり、天の9つの圏と関連している。第3のものは、残りの4つの文字と5つの語末で変わる文字で、その順番は、קרשתךםןףץ で、100の位と低位のもの、すなわちシンプルなエレメンツと、5種の完全な混合物*1を表している。
 彼らはこれらの3つの区分を9つの部屋(欄)に割り当てて、第1の部屋にはそれぞれの、すなわち知性、天上、低位の1文字目、第2の部屋には2文字目、第3の部屋には3文字目という風に配置していった。これらの部屋は4つの平行な線によって区分され、お互いに交差するようにした。そのため、以下のような図となる。



 これらを部分のみに切ると、9つの部分的な図形となる。すなわち、



であるが、これは9つの部屋であり、先に述べたノタリコンの技法によって、それらに属する文字が特徴となる。そして、そこに1つの点のみあれば、その部屋の第1の文字であるのを示し、2つの点ならば第2の文字で、3つの点ならば第3の文字である。例えば、ミカエル מיכאל の言葉を汝が変換したなら、5つの図形、すなわち、


となり、さらにこれらは以下の様に3つの文字に縮められる。

それから、これらを1つの図形に組み合わせられ、点は無視されることが多い。これによってミカエルの印章が作られるのである。



 また別の文字の伝統もあり、全ての文字や言語で用いられており、非常に容易に作れる。これは文字全てを集めて組み合わせたものである*2。例えば、天使ミカエルの名前を用いるとしたら、これらの文字は以下の様に組み合わされるだろう。



 そしてこの伝統はアラビア人が最も得意とするものである。アラビア文字ほど組み合わせが流暢で容易な言語は他に無いからである。
 次に、天使の霊らは、純粋な知性体で形無きゆえ、どのような印や文字、粗雑な図形、その他の人間の印によって書かれる事は無いが、我々がこれらの本質、性質を知らなくても、これらの名前や働きやその他から作った、これらの印章や図形に我々の想像力を捧げ、聖別する事により行える。この種の印章によって、これらを強制する事は出来ないが、呼ぶ事は出来る。このような印章や図形はほとんど知られていない。
 まず最初に、我々の内側と外側の両方の感覚をこれらの印へと向ける。それから我々の理性による特定の賛美により、これらに宗教的な崇敬を自らに引き起こす。そして我々の心全体をエクスタシーの崇敬に満たし、それから強固な信仰、疑い無き望み、速やかな愛で満たしたら、我々はこれらの印に霊を呼ぶ。これは真実である。真の名前と印章により、我々は望む性質と力をこれらから得るのである。


オカルト哲学 3-31
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 アグリッパが指しているのは、おそらくは第2の書の8章にあった、植物、鉱物、石類、動物、植物と動物の中間の事かと思われる。
*2 これは20世紀の混沌魔術でのシジルの作り方と酷似しており、おそらくこれが元ネタであろう。