オカルト哲学 3-24

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第24章 霊らの名前とこれらに様々に課せられたものついて、また星々、宮、天の四方、エレメンツに配置された霊らについて


 善霊らには星のように多くの様々な名前があり、それらは神のみが知る。神は無数の星の数を知り、それらの名前で呼ぶが、我々には神の啓示を除いていずれも知る事が出来ず、聖書には非常に少数のみが記されているのである。
 だがヘブライの師らは、天使らの名はアダムが名付けたと考えていた。聖書によれば、主はアダムのために万物をもたらし、彼が名前を付けて、彼が呼んだものが名前となったとある*1。そのため、ヘブライの賢者らや魔術師らは、人の中には霊らに名前を付ける力があるが、それは神の賜物か聖なる権威の下で威厳を与えられ、この徳へと高められた者のみが可能だと考えた。
 名前は神性の性質や天使の本質全体を表現するので、人間の声では作れない。そのため、天使らの名前の多くは、それらの職能、特定の権能の意味合い、効果から付けられ、霊らに尋ねるのに必要であり、これらの名前は神々へ捧げた生贄、奉納以外の何物でも無く、望む結果を得るために天上や地下の霊らを引き寄せる効果と性質を与える。
 私はこれらの幾つかを自ら見て、知っている。ある魔術師が月の時間に、処女羊皮紙に呼び出す霊の名前と印章を書き、その後に彼はそれを水ガエルに飲み込ませていた。その間、魔術師は何らかの詩を口ずさみ続けて、カエルを湖へと帰させた。するとやがて雨が降り始めた。また私は同じ男が火星の時間に別の霊の名前と印章を紙に書いてから雄牛に与えて、それが去るのに任せた後に詩を口ずさむと、雄牛が去った方角の天に厚い雲が広がるとともに稲妻、雷鳴が轟いた。いずれも霊の名前は未知の言語ではなく、これらの職能以外の何かでも無かった。
 この種のものについては、以下が天使の名前である。ラジエル、ガブリエル、ミカエル、ラファエル、ハニエルで、その意味は、神の幻視、神の美徳、神の力、神の癒し、神の栄光である。同様に、悪魔らの職能はこれらの名前から読める。遊ぶ者、欺く者、夢見る者、私通する者といった風にである。
 また私は古のヘブライの父祖らから、惑星や宮と関連づけられた天使の名前も受け取っている。土星にはザフキエル、木星にはザドキエル、火星にはカマエル、太陽にはラファエル、金星にはハニエル、水星にはミカエル、月にはガブリエルである。これらの7つの霊は常に神の御前に立ち、天全体の配置を任せられており、また地上の諸王国もであるが、それは月の下にある。(より好奇心の強い神学者らが言うように)これらは万物を時間、日、年の特定の変化により支配しており、占星術師らがこれらが司る惑星について教えるようにである。そのため、メルクリウス(ヘルメース) トリスメギストスはこれらを世界の7体の支配者と呼び、天から道具として、全ての星々と宮の影響を地上の低位者らへ配っているのである。
 次に、ある者らは違った名前の知性体らを星々に割り当てている。土星はオリフィエルと呼ばれる知性体に、木星はザカリエル、火星はザマエルに、太陽はミカエルに、金星はアナエルに、水星はラファエルに、月はガブリエルにである。そしてこれら全ては世界を354年と4ヶ月ずつ支配している。この統治は土星の知性体から始まり、その後に順に金星の知性体、木星、水星、火星、月、太陽と続き、それから再び土星の霊へと支配は戻る。トリテミウス修道院長はマクシミリアン カイザー*2に捧げられたこれらについての特別な書*3を書いており、この書を完全に調べ尽した者は、それらから未来の時代についての大いなる知識を引き出せよう。
 黄道12宮には、これらが割り当てられている。白羊宮にはマルキダエル、金牛宮にはアスモデル、双児宮にはアムブリエル、巨蟹宮にはムリエル、獅子宮にはヴェルキエル、処女宮にはハマリエル、天秤宮にはズリエル、天蝎宮にはバルビエル、人馬宮にはアドヴァキエル、磨羯宮にはハナエル、宝瓶宮にはカムビエル、双魚宮にはバルキエルである。
 惑星と宮に割り当てられたこれらの霊について、使徒ヨハネは「黙示録」でこう記している。惑星の天使らに関しては、初めの方で神の御前に立つ7つの霊として記しており、私はそれが7つの惑星の事であるのに気づいた。12宮の天使らについては、終わりの方で天のエルサレムの都市についての説明の中で、そこには12の門があり12の天使らが守護するとある。
 また、月の28宿を司る28の天使らもおり、それらの順番の名前は以下の通りである。ガニエル、エネディエル、アミクシエル、アザリエル、ガビエル、ディラキエル、シェリエル、アムネディエル、バルビエル、アルデシエル、ネキエル、アブディズエル、ヤザリエル、エルゲディエル、アタリエル、アゼルエル、アドリエル、エギビエル、アムティエル、キュリエル、ベサナエル、ゲリエル、レクゥイエル、アブリナエル、アジエル、タグリエル、アルヘニエル、アムニクシィエルである。
 また天使らには4人の君主らもおり、世界の4方向の風を押さえ、世界の4方を支配する。それらにおいて、ミカエルは東の風を押さえ、ラファエルは西を、ガブリエルは北を、ナリエル、ある者らはウリエルと呼ぶのは南を押さえている。
 またエレメンツに割り当てられた天使らもおり、フィロン*4やナタナエルの意見によれば、風はケルブ、水はタルシス、地はアリエル、火はセラフである。
 これらの霊のそれぞれは大君主であり、これら自身の惑星や宮、これらの年、月、日、時間、これらのエレメンツ、世界の部分、風の領域においては強力な力と自由を持つ。そして、これらそれぞれが、多くの軍団を支配しているのである。
 同様に、悪霊においても世界の4方向に従い、残りの者らよりも強力な4人の魔王らがおり、その名は東の魔王ウリエウス、南の魔王アマイモン、西の魔王パイモン、北の魔王エギンである。これらはヘブライの博士らがより正確に述べるなら、サマエル、アザゼル、アザエル、マハザエルであり、これらの下には多くの軍団の君主らや支配者らがおり、また数えきれない私領地の悪魔らもいるのである。
 さらに古代ギリシアの哲学者らは、6体の悪魔らを認めており、彼らはそれらをテルキネスと、他はアラストレスと呼び、人に悪運をもたらし、これらの手に冥府のスティクス川の水をすくって、地に振りまき、その結果、戦争、疫病、飢餓が起きるという。そしてこれらの名は、アクテウス、メガレジウス、オルメヌス、リュクス、ニコン、ミモンと言われている。
 だが、天使や悪魔のより正確な名前、権能、場所、時間を知りたい者は、ラビ シモンの神殿の書*5、彼の光の書、大いなる像(アダム カドモン)についての彼の論文、ラビ イシュマエルの神殿の書、そして何よりも形成の書(セフェル イェツィラー)の注釈書を調べるべきである。それにより彼はこれらについて多く書かれているのを見つけるであろう。


オカルト哲学 3-25
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 創世記 第2章19節。
*2 神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世。1459年 - 1519年。在位1508年 - 1519年。ハプスブルグの後の興隆の基礎を築き、大帝と称される。武勇に優れ、芸術を保護したため、中世最後の騎士とも呼ばれる。
*3 「七つの二次原因について」のこと。ちなみに、この書で1879年に起きるとされた大変化は何も起こらず、予言は外れている。
*4 アレクサンドリアのフィロン。紀元前20/30年 - 40/45年。ユダヤ人哲学者。ギリシア哲学をユダヤ教の解釈に適応した最初の人物で、ユダヤ教からは受け入れられなかったが、初期キリスト教に大きな影響を与える。
*5 おそらく、ラビ シメオン ベン ヨハイの書いたとされるゾーハルの7つの宮殿の章のこと。