オカルト哲学 3-14

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第14章 異教の神々と、天の諸惑星の魂について。また古においてどの場所が神々へ捧げられた聖地だったか


 私が先に示してきたように、哲学者らは天や星々は神の動物らと、それらの魂、知性は神の精神を共にしているという見解を保持してきた。そして、支配する者と仕える者のように、一部の分離された形質は上位にあり、他のものは低位にあると彼らは証言し、それらを知性体や天使と呼んでいる。さらにプラトン自身も確証している事は、天の魂らは、我々の魂と肉体のように、その(星の)体に限定されておらず、これらが望む場所へと行け、また神の幻視を楽しみ、労苦も無しにこれらの体を動かし、共に動く事によって、低位のものを容易に支配するのである。
 そのため古人らはしばしば、この種の魂らを神々と呼び、神の名誉をこれらに授け、祈りと生贄を捧げ、神への信仰としてこれらを崇拝してきた。そして、これらは全ての民に帰する神々である。これらについてモーセは「申命記」で以下の様に命じている*1。汝は目を天へと上げ、太陽、月、全ての天の星々を見るが、それらを崇めたり拝んではならない。これらは天の下にある全ての国々が属しているが、主イェホヴァは汝をエジプトの鉄の炉から導き出し、ゆえに汝は主の民であるべきだからであると。また、同書の第17章(3節)の箇所でも、モーセは太陽、月、星々を神々と呼んでいる。
 またヘブライの博士らは、創世記のある個所*2でも述べているが、アブラハムは妾の子ら、シェモト、ステルトマ、これら奇妙な名前の者らに贈物を与えたが、後継者のイサクに全ての持ち物を授けて、言った。妾の子らはアブラハムの祝福は与えられず、彼らはいと高き創造主イェホヴァにではなく、見知らぬ神々へと捧げられている。だが、イサクとその子孫は全能のイェホヴァに捧げられ、そのどの部分も見知らぬ神々には与えない。そのため、彼ら(妾の子ら)は「申命記」では咎められている。なぜなら彼らは見知らぬ神々に仕え、知らない神々を崇拝し、祝福が与えられないからである。
 またヨシュア*3も、イスラエルの民が約束の地へと到達し、その敵らを打ち破ってから、イスラエルの多くの土地を分配したが、そこで民に対して、どの神を崇拝するかの選択を委ね、言った。汝らが特に仕える神を選ぶようにせよ。父祖がメソポタミアで崇めていた神々か、汝らが継承する土地のアモリ人が崇拝する神々か。だが人々は答えて、我々は主イェホヴァに仕え、主は我らが神となるでしょうと。ヨシュアは汝らはそれを行えない、主イェホヴァは聖なる神、強き神、妬む神だからであると答えるが、人々はイェホヴァに仕えるとさらに述べ、ヨシュアは答えた。汝らは主を選び、主に仕えるとの自らの証人となった。それならば、汝らの中にある見知らぬ神々を取り除き、イスラエルの主なる神に自らの心を傾けよと述べ、それから大きな石を立てて、言った。この石は今日の出来事の証人となるだろう。この後には、汝らが主なる汝の神を拒否したり偽ったりしないようにせよ、と。
 このように、他の国々に与えられた他の神々は、太陽、月、12宮、その他の天の星と、神の織りなすもの(星座)で、それらは(物質の)体のみならず、そこに宿る魂もあり、それら天の全体に対して、預言者エレミヤは天后と呼び*4、この力により天は支配され、この女神についてエレミヤは、子供らは枝を集め、それにより火を焚き、女らは油をこねて、それで天后のためのケーキを焼くと述べている。これら天后や他の天の魂らへのドゥリアの崇敬は禁じられてはおらず、ラトリアのみが主が咎めている*5
 では、これらの魂あるいは神々の名前について述べていこう。だが、どの地域、人々、都市がこれらの神々が適切に守護するかについては、オリゲネス、テルトゥリアヌス、アプレイウス、ディオドロス、その他の多くの歴史家、特に我々と関連する者らを参照にしている。
 全ての民は、彼らの神々を彼らの適切な儀礼によって崇拝していた。(ギリシア中央部の)ボイオーティア人はアムピアラーオス*6を崇拝し、(北)アフリカ人はモプソス*7を、エジプト人はオシリスとイシスを、(ナイル川中流域の)メロエ地方に住むエチオピア人はユーピテルとバッコスを、アラビア人はバッコスとウェヌスを、スキタイ人はミネルウァを、ロドス人はセラピスを、シリア人はアタルガティス*8を、(また別の説では)アラビア人はディアファレスを、アフリカ人はカエレスティス*9を、ノルリア人はティベレヌスを崇拝していた。
 イタリアでも、自由都市群が(神々に)捧げられていた。クルストメンシア人の神はデルウェンティウスであり、ナルウェンシア人はウィリディアヌスを、アエクラ人はアンカリア*10を、ヴォルシア人はナルシアを、オトリクラ人はウァレンティアを、ストリニア人はノルティア*11を、ファリキア人はキュリスを神としていたが、これらは特に有名なものである。
 ラティアン人はマールスを大いに崇拝しており、エジプト人はイシスを、(北西アフリカの)ムーア人はユバ*12を、マケドニア人はカベイロス*13を、カルタゴ人はウーラノスを、ラテン人はファウヌスを、ローマ人はクゥイリーヌス*14を(ローマ北東の)サビニ人はサングス*15を、アテネ人はミルネウァを、サモス島ではユーノーを、(キプロス島の)パフォスではウェヌスを、レームノス島ではウゥルカーヌスを、ナクソス島ではバッコスを、デロス島ではアポローンを崇拝していた。
 そしてオウィディウスはファスティ(カレンダー)の詩において、かく詠う。


「アテネ人はパラスに、クレタ人はディアーナに懇願し、
 レームノス島では、ウゥルカーヌスが崇められる。
 スパルタ人はユーノーを――」


 カルタゴ人とレフカダ島人はサトゥルヌスを崇拝し、クレタ人、ピレウス、ホモレ、イダ、エーリスではユーピテルを崇め、リビア地方では神託がなされていた*16。エペイロス、ラティウム、クニドス、リュキア、ピサ、マケドニアではマールスを、テルモードーン人(アマゾン女部族)、スキタイ人、トラキア人は太陽神を崇拝していた。
 スキタイ人は唯一の神を崇拝し、馬を生贄としていた。同様の事をヘリオポリスやアッシリアの民も行っていた。ロドス島人、ヒュペルボレイオス人、ミレートス人はアポローンの名の下に崇拝し、パルナッソス山、キュントス山、ソラクテ山はこの神の聖山とされ、デロス島、クラロス、テネドス、マロイス、レスボス島のある場所や、グリネアの森、さらにパタラ、クリサ、タラプナス、キュルハ、デルフォス、アッレフィナ、エントロシ、テギュラもアポローンの崇敬で有名である。またテーバイ、ナクソス島、アラビアの町ニス、パフラゴニア地方のカリコロス川は、バッコスとディオニューソスの名の下に捧げられていた。またヴィオティア地方のパルナッソス山とキュテロス山では、2年ごとにバッコス神への祝祭が行われていた。また、(ペルシア北部の)ヒルカニア地方の近くにあるサマリアの住人は、彼ら自身の儀礼によりバッコスを崇拝していた。
 アッシリア人はまず最初にウェヌス崇拝を始めた者らで、それからキプロス島のパフォス人、フェニキア人、キティラ島の住人も崇拝し、アゲウスが述べるにアテネ人もそれに続いた。ラケダイモニア人(スパルタ人)の間でも、武装したウェヌスが崇拝されていた。デロス島では墓のウェヌスが崇拝され、彼女はコリントス、エーゲ海のアマトゥス島、エジプトの都市メンフィス、クニドス、シチリア島、イダリアの森、ヒュペパの町、シチリアのエリチェ山、カリドニア、キュレネ、サモス島でも崇拝されていた。アリストテレスは、古代の神々でこれほど盛大な儀礼で広く崇拝されていた神は無いと述べている。
 フランス人(古代のケルト人)は特にメルクリウスを崇拝し、この神をテウタテスと呼び、またアルカディア、エジプトのヘリオポリス、メンフィスでも崇拝されていた。
 タウルス山に住むスキタイ人は、ディアーナの名で月を崇拝し、エペソスではこの女神は最も安定した神殿を持っていた。そしてミケナでは、タウリカ(クリミア)の王トアンテスの死後に、彼女の像はイーピゲネイアとオレステースにより盗まれた。彼女はアリキア地方でも崇拝されていた。儀礼は変わっているが、彼女はテッサリアの住人マグネシア、アカエアの都市ピサ、テュブル、ローマのアウェンティヌムの丘、パンフィラのペルガの町、アッティカ王国のアグラスでも崇められていた。また、カテニア人は月を男神として崇めていたと報告されている*17
 また他の神々に捧げられた場所もあり、ミネルウァとも呼ばれるパラス女神はアテネの町、ピレウスとアラキュントゥスの山、トリトネス川、ボイオーティアのアルコメネウムの町、キクラデス諸島の一つのネオ島でも崇拝されていた。
 ケレースの聖地は、エレウシス、アッティカ、エンナ、カタナ、シチリアの諸都市、エトナ山である。
 ウゥルカーヌスの主な崇拝はレームノス島で、トラキア地方のインブレス島、テラシア島、シチリア島もこの神に捧げられている。
 かつてのトロイ人の女神ウェスタも、新天地を求めて出航したアイネイアースに連れられてイタリアへと渡り、彼女にはフリギア、イデア、フリギアのディンディモン山、ウンブリア地方のレアトゥムの町、さらにベレキュントゥス山と、フリギアのペシヌンティウムの町も捧げられている。
 カルタゴの諸都市、ポルセンナ、アルゴス、ミケーネではユーノー女神が崇拝されていた。
 またサモス島、ファリスキアの民、ボイオーティアのオルケストスの町、ラコニア地方のテナトゥス岬はネプトゥーヌスに捧げられており、トレゼニアの国とそこにある町は、ネプトゥーヌスの保護下にあった。
 これらが、古代の国々を支配し治めてきた神々であり、モーセ自身が「申命記」で地の神々と呼び*18、これらの神々に全ての国々は帰しており、それらは天の星々とその魂以外の何物をも意味しなかったのである。


オカルト哲学 3-15
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 申命記 第4章19-20節
*2 創世記 第25章6節。
*3 ヨシュア記 第24章15-27節。
*4 エレミヤ記 第7章18節。これはイシュタル女神を指す。紀元前7世紀にアッシリアの属領となったユダヤでイシュタル崇拝は盛んとなっていた。
*5 カトリックの教義でラトリアとは主要な崇拝で、三位一体の神のみに許されている。一方でドゥリアは諸聖人への二義的な崇敬の事で教会からは大目に見られているが、プロテスタントではこれも禁止されている。
*6 ギリシア英雄で、テーバイを攻めた七将の一人。予言者でもあり、アルゴー号航海へも参加する。
*7 ギリシア英雄の一人。その予言の力は高名で「モプソスより正確」という諺にもなった。アルゴー号航海へも参加する。
*8 魚の姿をした女神で、主神バアルの妻。水と地の豊穣の力を表す。
*9 古代ローマの女神。元の天の意味合いが擬人化したもの。
*10 古代ローマの女神アンゲロナの別名。ローマの守護女神でもあった。
*11 ラテン語化した古代エトルリアの時と運命の女神ヌルティアのこと。
*12 この地の王ユバ2世(紀元前52年 - 西暦23年)はローマ初代皇帝オクタウィアヌスの側近であり、死後に神として崇められていた。
*13 ギリシアの鍛冶と農耕の神々。その密儀はテーバイやサモトラケー島などで崇拝されていた。
*14 ローマの神。ローマの建設者ロムヌスの神格化とされ、かつてはユーピテル、マールスと並ぶ主神扱いだった。
*15 古代ローマの信義の神。
*16 アモン神と習合したユーピテルの神託はエジプトのアモン神殿で行われていた。
*17 日本人も月読神として月を男神崇拝する側である。
*18 申命記 第13章7節。