オカルト哲学 3-8

ページ名:オカルト哲学 3-8

第8章 古の哲学者らは神の三位一体についてどう考えていたか


 聖アウグスティヌスとポルピュリオスが証言するに、プラトン学派は神には3つのペルソナがあると考え、その第1は世界の御父と彼らは呼び、第2は御子と第一精神、これはマクロビウスが名付けたものであるが、第3は世界の霊あるいは魂と呼び、ウェルギリウスはプラトンの意見からこれを霊と呼ぶべきだと詠った。


「この霊の中で世界は養われ、精神は
 世界を通じて満ち、この種のことを行い、
 これらは活動し、刺激する――」


 プロティノスとアレクサンドリアのフィロンが述べるに、神の御子、すなわち第一精神や神の知性は、父なる神より生まれ、それらは話者より放たれる言葉や、光から放たれる光のようであって、ゆえに御子は御言葉や父なる神の光輝の両方で呼ばれるのである。神の精神は変化も仲介する知も必要とせずに、自らのみで絶え間なく至高の善を理解し行うからである。神は自らの中から御子を生み出し、御子は完全な知、完成された神の像、世界の完全なパターンであり、我々の(宗教の)聖ヨハネとメルクリウス(ヘルメース)は彼を御言葉あるいは御発言と、プラトンは父なる神の御子と、オルペウスはユーピテル神の頭、すなわち知恵から産まれたパラス女神と名付けた。
 御子は父なる神の最も絶対的な像であり、それでいて特別な関係、あるいは本質的で絶対的な事柄によって、御父から生まれ、それについては「シラ書」*1で、私はいと高き方の口から生まれ、万物の前に最初に生まれた者と述べている。イアンブリコスは、この御子が父なる神と本質的には同等であり、すなわち御父と御子は同等に神と呼べると確言している。
 またアスクレピオスが引用するメルクリウス トリスメギストスは、神の御子について様々な場所で、我が父なる神は精神、神からの様々な働きを生んだと述べている。また他の箇所でも、統一は統一を生み、自らへの強い愛を再生させるともある。また「ポイマンドレース」の書(この中では、恵みの新たな契約、再生の神秘が来る預言をしているように思える)でも、再生の創造主は神の御子、神の唯一の意志による者だと述べ、また神は両方の性の果実により最も満たされているとも述べている。
 同様にインドの哲学者らも世界は部分的には男性で部分的には女性の動物だと確証しており、オルペウスもこの世界をユーピテルの自然と呼び、男性と女性の両方であるとし、神々は両方の性をもつと述べている。ゆえに彼の賛歌の中で、ミネルウァに対して御身は確かに男と女の両方だと称えている。またアプレイウスも世界の書の中で、オルペウスの神性から、ユーピテルへのこの詩を生み出している。


「ユーピテルは男と女の両者にして不死なる者。」

 またウェルギリウスもウェヌス女神について述べている。

「私は降りていき、この(男の)神は守護する――」

 また別の箇所でも、ユーノーあるいはアレクトーの知について彼は述べる。

「彼女の祈りが欠けている神ではない」

 またティブッルス*2が詠うに、

「我は大いなるウェヌスの神の預言をなし――」


 そしてカケニアの町の住人は、月を男神として大いに崇めていたとされる。
 いと高き方の完全な知性から、その愛は生まれ、精神の知性と結び付けられた。それは他の被造物よりも遥かに、無限に遥かに多く神と親密なものとなった。これは第3のペルソナ、聖霊である。またイアンブリコスは「カルデアの神託」にて、神に父なる力を、御父から知性(御子)が流出し、御父と御子から火のような愛が流出し、これらはいずれも同じ神であるとした。
 ゆえに、私がプルタルコスの書を読んだ内容によると、異教徒らは(神を)知性と火の霊として記し、形は無いが、自らを望むように変容させ、万物と自らを同等にしていたという。そして、私が申命記を読んだ内容では、我らの神は焼き尽す火であるとされる*3。またゾロアスター教徒らは、万物は火からのみ生まれたと述べる。またエフェソスのヘラクレイトスも同様に教えていた。ゆえに、神聖なるプラトンは神の住居を火の中だと考え、それを神自身への理解、表現できない光輝、愛と名付けた。
 また私がホメーロスを読んだ内容では、諸天はユーピテルの王国だと彼は詠う。


「ユーピテルは雲を暗くし、空を統治する」

 また別の箇所でも、

「天のユーピテルは空を覆い、
 彼は座る――」


 だがアイテール(エーテル)はギリシア語のアエトーから来た言葉であり、これは燃えるを意味し、aer spiritus quasi aethaerは、燃える霊を表す。
 そのためオルペウスは、天をピュリフノン、火が燃える場所と呼んだ。ゆえに、御父、御子、愛ある聖霊もまた火的であり、神学者らは3つのペルソナと呼ぶのである。これらについてオルペウスは賛美の詩において、これらの言葉により招聘している。天よ、我は御身を崇めん、大いなる神の賢明なる働きよ。我は御身に懇願する、御父の御言葉よ、神の知恵により世界全体が立てられた時の最初の火花よ。
 またヘーシオドスも同様の事を「神統記」の書において、ユーピテル、ミネルウァ、ブーレーの名において述べ、以下の言葉によりユーピテルから生まれた2者について宣言している。最初の娘は灰色の目を持つトリトニア(ミネルウァ、アテーナー)であり、御父と同じ力を持つ。そして第2の者は賢明なる相談役、ブーレー*4であり、オルペウスは先に述べた詩において、これを複数形で記しているが、なぜなら、ユーピテルとミネルウァの2つの流出から生まれたからである。
 そして聖アウグスティヌスが「神の国」の第4の書*5で証言するに、プラトン学派のポルピュリオスは神には3つのペルソナがあり、第1は世界の御父、第2は第一精神(マクロビウスは御子と呼ぶ)、第3は世界魂と述べており、最後の者についてはウェルギリウスはプラトンの意見として、霊と呼んでおり、こう述べる。


「この霊の中に、万物は保たれ――」


 そのため聖パウロが言うように、神から、神の中に、全てはある。なぜなら御父から、泉として万物は流れ、御子において万物はそれらのイデアとともに置かれ、聖霊により万物は発現し、その適切な段階に応じて配置されるからである。


オカルト哲学 3-9
↑ オカルト哲学 第三の書


*1 旧約聖書外典。著者はイエスス(ヨシュア)とされ、知恵の書に似た教訓譚が中心となっている。
*2 紀元前55年 - 紀元前19年。ローマ共和制時代の詩人。
*3 実際にはヘブライ人への手紙 第12章29節。アグリッパは申命記の第32章22節「私の怒りにより火は燃え、地を焼き尽くし」と混同しているのだろう。
*4 アテーナー女神は、ボウライア、相談役の女神と呼ばれていた。
*5 実際には第10の書。